ストライク・ザ・ブラッド~黒輪の根絶者〜   作:アイリエッタ・ゼロス

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観測者たちの宴 Ⅱ

「そういえば紗矢華さん、ラ・フォリアは?」

 戦車に乗って監獄結界から離れてしばらくすると、雪菜がそう聞いてきた。

 

「王女? 王女ならさっき帰国されると言われて別れたわ。ここでのやるべき事は

 終わったからですって」

「そうですか」

「というか雪菜....王女を呼び捨てで大丈夫なの?」

「....? はい、大丈夫ですよ。王女からもそう呼ぶ様に言われましたので」

「そ、そう....」

「(何考えてるんですか王女....)」

 私は雪菜の言葉に困惑しながらも戦車に乗っている仙都木 優麻を見た。

 

「というか....その子、図書館の犯罪者じゃなかったの?」

「違うんだよ....こいつは、自分の母親に利用されてたんだ」

「母親? 何の事よ」

「....優麻さんの母親は、LCOの大司書、仙都木 阿夜だったんです。それで、監獄結界に

 収監されていた仙都木 阿夜は脱獄のために優麻さんを利用していたんです」

「っ! じゃあ、脱獄して用済みとなったからこの子はこんな事に....」

「....そういう事です」

「実の娘に向かってこんな仕打ちをするなんて....!」

 私はさっきまで犯罪者だと思っていた子に同情した。

 

「(実の親に殺されそうになるって....形は違うけど、私と同じなのね....)」

 そう思っていると、突然暁 古城がこう聞いてきた。

 

「なぁ煌坂。お前だったら、ユウマをどうにかできないか?」

「無茶言わないでくれる....こんな傷を治せるのは強力な魔女か魔導医師だけよ」

「魔導医師....だったら煌坂。次の信号を左に曲がってくれ」

「えっ?」

 そう言われて、私は信号を左に曲がった。

 

「一人だけ、ユウマを治せそうな人物がいる。家に帰ってなければ、この時間だったら

 まだMARの研究所にいるはずだ」

「家に帰ってなければって、変な言い方するわね。誰の話をしてるのよ」

「....暁 深森。俺と凪沙の母親だ」

 

 〜〜〜〜

 

 戦車に乗ってしばらく走ると、私達はMARの研究所の片隅にある円筒形のビルに着いた。

 

「こ、ここにアンタのお母さんがいるわけ?」

「あぁ。俺の母親はMAR医療部門の主任研究員なんだよ。臨床魔導医師の資格も持ってるし

 ユウマとも知り合いだしな」

「へぇ....アンタのお母さん凄い人じゃない」

「....まぁ、凄いのは凄いんだがな」

 暁 古城はどこか諦めた様な表情をしていた。

 

「....?」

「先輩....今になって思ったんですが、私達も一緒にお邪魔しても良いんでしょうか?」

 すると、エレベーターが止まった瞬間、雪菜がそう言った。今の雪菜の姿は、服は埃や

 かすり傷でボロボロで、雪霞狼は返り血で汚れていた。確かにこの格好を波朧院フェスタの

 仮装というのは無理がありそうだ。

 

「あぁ....その辺は心配いらない。会ってみればわかると思うけどな」

「は、はぁ....」

 戸惑っている雪菜を横目に見ながら、暁 古城は呼び鈴を押した。すると....

 

『はいはーい。どなたですかぁ?』

 インターホンからふわふわとした女の人の声が聞こえてきた。

 

「俺だ母さん。悪いけど少し頼みがあるんだが....」

「(今の声の人、暁 古城のお母さんなの!?)」

 さっきの若々しい声が暁 古城のお母さんと分かり、私は内心驚いていた。

 

『あら、古城君? ちょっと待ってね、今開けるから』

 その声が聞こえると、ドアの向こう側から走り回る音が聞こえてきた。そして、ドアの鍵が

 外れると、暁 古城はドアを開いた。すると、ドアの向こう側から突然白衣を着た巨大な

 ジャックランタンが飛び出してきた。

 

「ばぁ!」

「ひゃぁぁぁぁぁ!?」

 突然のジャックランタンの登場に雪菜は驚いたのか、悲鳴を上げながら暁 古城の腕に

 抱きついてきた。

 

「ちょっ! ゆ、雪菜!?」

 私は雪菜が暁 古城に抱きついたのを見て、頭の中が一瞬真っ白になった。

 

「ふふふ〜、驚いた?」

 そう言いながらジャックランタンは頭のカボチャを取った。そのカボチャの中にいたのは

 童顔の女の人だった。

 

「驚くわっ! 何やってんだアンタは!」

「だって今日は波朧院フェスタでしょ? 私も行きたかったのにー。悪戯か死か!」

「色々間違ってるわ! 怖いわその祭り!」

 暁 古城は童顔の女の人と言い争いをしていた。

 

「(この人が暁 古城のお母さん....? 何かすごく若そうに見えるけど....)」

 私は二人の言い争いを見てそう思っていた。すると、暁 古城のお母さんらしき人は私と

 雪菜を見た。すると暁 古城の脇腹を肘打ちすると私達に顔を近づけた。

 

「ちょっと! めちゃくちゃ可愛い子達じゃない! どの子? どっちが本命? もうヤった? 

 ヤっちゃった? やだ、もしかして家族が増えちゃうの? 私おばあちゃんになっちゃうの?」

「増えねぇし、なるかぁ! 少しはこっちの話を聞け!」

 暁 古城のお母さんらしき人のマシンガントークに呆れながら暁 古城はそう叫んだ。

 

「(私、何見せられてるんだろ....)」

 そんな事を思っていると、家の中から小柄な人物が現れた。

 

「(嘘でしょ....!?)」

 その人物を見て、私は背中から嫌な汗が流れた。

 

「凪沙! おまっ、何でここに....」

「今朝早くに深森ちゃんに呼ばれて着替えを届けに来たんだよ」

「それからずっとここにいたのか....?」

「そうだよ」

「そ、そうか....」

 そう言いながら暁 古城はどこか安堵した様な表情をしていた。

 

「(こっちはそれどころじゃないんだけど....!)」

「ていうかユウちゃん、怪我してるの!? 何かあったの? そっちの女の人は....って、

 あなたは....」

 すると、暁 古城の妹の凪沙ちゃんは私を睨んできた。

 

「....あなた、確か煌坂さんでしたよね? 古城君とシュウ君とどんな関係なんですか?」

「わ、私!? てかシュウ君って誰!?」

「....シュウ君ってのは伊吹の事だ。悪いが煌坂、しばらく凪沙を引き止めておいてくれ」

 そう言って、暁 古城は私の背中を押してきた。それと同時に私は凪沙ちゃんに腕を

 掴まれた。

 

「....逃がしませんよ」

 そして、私はそのまま家の中に連れて行かれた。

 

「ちょっ! あ、あとで覚えておきなさいよ暁 古城!」

 

 

 

 

 

 

 

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