ストライク・ザ・ブラッド~黒輪の根絶者〜 作:アイリエッタ・ゼロス
古城side
「そういえば、あの騎士みたいな人は誰なのよ?」
風呂に入り、ヴァトラーのメイド軍団に子種が欲しいと言われて、浅葱に抱き着かれて
鼻血を噴き出した俺は浅葱と那月ちゃんととある部屋にいた。そして、さっき浅葱に
下駄で殴られ、那月ちゃんのバックアップが覚醒してバックアップの説明を聞くと
浅葱が俺にそう聞いてきた。
「あの騎士みたいなのは黒輪の
「あ、あの騎士みたいな人が!?」
すると、浅葱は驚いたように声を上げた。
「あぁ」
「あ、あんた何でそんな化け物と知り合いなのよ!」
「知らねぇよ....俺だってよくわかってねぇのに。あ、でも那月ちゃんとは知り合い
だったはずだ」
「そうなの!?」
「あぁ。この前那月ちゃんがそんなことを言ってた。それに、今は那月ちゃんを救うために
協力関係だ」
「何で那月ちゃんもそんな化け物と知り合いなのよ....」
浅葱はどこか疲れたようにそう言った。すると、部屋にあるテレビが急についた。
『ようやくつながったぜ。嬢ちゃん、聞こえるか?』
「モ、モグワイ!」
ついたテレビにはどこか不細工なぬいぐるみが映っていた。
「....あんた、何でそんなところから出てきてんの」
『嬢ちゃんがスマホを切ってたもんでな。ハッキングさせてもらったんだ。それよりも
嬢ちゃん、また厄介なトラブルが起きたんだ。ちょっと手を貸してほしんだ』
「あっそう。イヤよ」
そう言うと、浅葱はリモコンを使ってテレビを消した。だがテレビはすぐにつき、モグワイは
土下座していた。
『そこを何とか頼むぜ』
「絶対イヤ! あんたね、ただのバイトの学生にどんだけ働かせるのよ。あんたのせいで
こっちは、祭り初日をまるっと台無しにされたんだからね!」
『それは悪かったって思ってるって。だけど今回のトラブルは嬢ちゃんとも無関係じゃ
ねぇんだって』
「どういう意味よ」
『彩海学園を中心に妙な空間が発生してるんだ。その中では魔術に関する物が全部
キャンセルされちまうらしい』
「それって、魔術が無効化されるってこと?」
『端的に言えばそうだな』
「ふーん。平和でいいじゃない」
『あぁ。ここが人工島じゃなかったらな』
「あ....」
「おい、それってまさか....」
『お二人さんの想像通り、島本体の建築魔術が機能を停止してやがる。今はまだ学園周辺しか
影響を受けてないが、このままだとマズいことになるな』
そう言われて、俺と浅葱は事の重大さが理解できた。この人工島は多くの魔術によって
支えられている。もしもその魔術が機能停止したら、この島が海に沈んでしまうのが俺は
予想できた。
「最悪だわ....」
『つーわけで、強度計算やら避難誘導のプログラムができる人材を絶賛募集中なんだわ。
バイト代も弾むぜ』
「事情は分かったけど....こっちもすぐには行けないわよ。こっちはこっちで面倒ごとに
巻き込まれてるんだから」
『そいつはわかってる。それもこっちの方で....』
モグワイが続きを言おうとした瞬間、突然テレビの画面が消えた。それと同時に、船体が
激しく揺れた。
「な、何だ!?」
「監獄結界の囚人ニャン。正面からこの船に乗り込んでみたいニャ」
「キャラがブレブレじゃねぇか....てか、囚人ならヴァトラーがどうにかするだろ」
「いやー....どうかな」
いつの間にか窓の近くにいた那月ちゃんが外を見ながらそう言った瞬間、船体に何かが
叩きつけられる音が聞こえた。音が気になり俺も窓に近づいて外を見ると、船体に
ヴァトラーが血まみれで倒れているのが見えた。
「これはちょっとまずいかも....キュン」
那月ちゃんはそう言いながら下をペロッと出した。そのあざとい仕草にイラっとしながらも
俺は那月ちゃんと浅葱の手を引いてこの場から逃げ出した。
~古城たちが逃げる数分前~
黒輪の
「あいつ何なの! この状況でお風呂に入るってどういう神経してるのよ! 私だって
お風呂に入りたいのに!」
『欲望が出てるぞ....まぁそれよりも、いつまでこっちを見てるつもりだ、ヴァトラー』
紗矢華にツッコミを入れながら、俺は誰もいない所に向かってそう言った。すると、金色の
霧が集まり、ヴァトラーが現れた。
「やっぱり気づいていたのか。流石だネ」
『当然だろうが。ま、コイツも気づいてたみたいだがな』
そう言いながら、俺は姫柊の方を見た。
「そうカ。流石は第四真祖の監視者だネ。君が古城の監視者に選ばれた理由が納得
できるヨ」
「それは、どういう意味ですか....?」
「いや、質問を変えよう。そもそも第四真祖は何者だ? 三柱しか存在しないはずの吸血鬼の
真祖に何故四番目が存在するのか。四番目が生み出された理由は何なのか。古城が完全な
第四真祖になればそれがわかるかもしれない。その状態の古城と戦って彼を喰うのも
面白そうだ」
「アルデアル公....あなたは....」
姫柊は笑みを浮かべているヴァトラーを警戒しながら槍に手をかけていた。
「そして君もだ、黒輪の
ヴァトラーは警戒している姫柊を横目で見ながら俺にそう言ってきた。
「本来真祖には真祖しか勝てないと言われているのに君は三人の真祖を倒した。そして、
真祖の眷獣を封印する力を持っている。過去にそのような存在はいなかったのにネ。
そして君は古城には一切手を出さない。それどころか古城に手を貸している。君という
存在は一体何者で何を目的にしているんだろうネ?」
『....少なくともお前に話す気はない』
そう言いながら、俺は腰に差しているブラスター・ブレードを抜いた。
『それよりも、この場にふさわしくない客が来たみたいだな』
そう言って、俺は埠頭の方を睨んだ。睨んだ所には、背中に大剣を背負っている男がいた。
「「監獄結界の囚人!?」」
姫柊と紗矢華も囚人に気づき、それぞれの武器を構えた。すると、囚人の男がこちらに
気づき背中の大剣を抜こうとした。だが、それよりも早くヴァトラーが眷獣を呼び出して
囚人に攻撃を仕掛けた。
「ア、アルデアル公!?」
姫柊はヴァトラーの容赦のない一撃に驚いていた。だが、ヴァトラーの一撃は大剣で
斬り裂かれ、ヴァトラーの眷獣は真っ二つに斬られた。
「嘘!?」
「眷獣を斬った!?」
眷獣を斬った囚人はそのままヴァトラーに突っ込み、ヴァトラーを吹き飛ばした。
『お前ら、アイツはヴァトラーに任せておくぞ』
「えっ?」
「だ、大丈夫なの?」
『あの程度でやられるなら俺が昔に消してる。それよりも、俺らはこっちだ』
俺はそう言って背後を見た。
「おぉ....派手にやってんな。ちょいと出遅れちまったぜ」
「あなたは....!?」
背後にいたのはドレッドヘアの囚人だった。
「なんだぁ....? 魔族特区じゃ攻魔師がナースもやってんのか?」
「え?」
ドレッドヘアは姫柊を見ながらそう言った。
「ま、そんな事はどうでもいいがなぁ!」
そう叫びながら、ドレッドヘアは姫柊に向かって腕を振りかぶった。姫柊はドレッドヘアの
攻撃を防ごうとしていたが、その前に俺と紗矢華が同じタイミングで姫柊の前に動き
攻撃をかき消した。
「ちょっと! 私の雪菜に何やってんのよチリチリ頭!」
紗矢華はドレッドヘアの囚人に向かって怒りながらそう叫んだ。
「面白いじゃねぇかこの野郎!」
「雪菜! コイツは私と黒輪の
「っ! わかりました」
そう言って、姫柊は船の方に向かって走り出した。
「悪いわね、こっちに巻き込んで」
『別に良い。それよりも、さっさと倒すぞ』
そう言いながら、俺は一瞬感じた強烈な気配の事を考えていた。
『(気配の感じた方向....奴の居場所はあそこか....)』