ストライク・ザ・ブラッド~黒輪の根絶者〜   作:アイリエッタ・ゼロス

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観測者たちの宴 Ⅹ

『....』

『(何とかなったか....)』

「ねぇ....コイツ、死なないわよね?」

『今できる処置はすべてした。死ぬことはない』

「そう....」

 古城が気絶し、俺と紗矢華はこの付近にあったフェリーターミナルの医療室に移動し、俺は

 レディーヒーラーにライドして古城の傷を治していた。すると....

 

「....っ! 痛ぇな....!」

 腹の傷を治した古城が腹を抑えながら起き上がった。

 

「暁 古城!? 目が覚めたの!?」

「煌坂....ここは....」

「フェリーターミナルの一室よ。アンタが倒れたからここに運んできて、さっきまで

 黒輪の根絶者(デリーター)が治療してくれてたのよ」

「そうだったのか....悪いな」

『別に良い。それよりも、お前はもう休んでろ。あとは俺がケリをつける』

 そう言いながら、俺はブラスター・ジョーカーに姿を変えた。

 

「っ! まだ俺は....!」

 古城はそう言って立ち上がろうとしたのだが、すぐに膝を地面につけた。

 

『....やめておけ。出血多量で血が足りてなくてまともに動けない上に、眷獣を使えない

 お前が行っても無駄死にするだけだ』

「それはっ....」

『自分の身体の状態がわからないわけではないだろ。だから....』

「なら、血が足りて眷獣を使えれば行ってもいいんだね」

 すると、突然背後からそんな声が聞こえた。俺が背後を見ると、全身に包帯を巻いて白衣を

 着た仙都木 優麻がいた。

 

「ユウマ!?」

『....何をしに来た。仙都木 優麻』

「古城に希望を託しに来たんだ。仙都木 阿夜に対抗できる最後の希望を....」

「仙都木 阿夜に対抗って....」

「仙都木 阿夜は闇聖書を使ってこの島の異能の力を全て消した。だけど自分自身の力だけは

 消さなかった。つまり、彼女のコピーとして造られたボクの魔力も健在なんだ。だから、古城が

 ボクの血を吸えば....」

「っ! 暁 古城の吸血鬼の力は戻るかもしれない....!?」

「そういう事だよ煌坂さん」

 そう言いながら、仙都木 優麻は古城の前に立ち白衣を脱ぎ始めた。

 

「ちょっ!?」

『煌坂 紗矢華、目をつぶっといてやれ』

 そう言いながら、俺も二人から目を逸らした。そして、少しすると仙都木 優麻は弱々しい声を

 出し激しく血を吐いた。

 

「ここまでみたいかな....古城、それと黒輪の根絶者(デリーター)。勝手かもしれないけど、あの人を

 止めてくれ....」

「ユウマ....」

『言われなくてもわかっている....召喚(コール)、綻びた世界のレディヒーラー』

 そう言って、俺はレディーヒーラーをコールした。

 

『レディーヒーラー』

『....えぇ』

 レディーヒーラーは仙都木 優麻をソファに運んで周りに治療道具を並べだした。すると....

 

「ちょ、ちょっと暁 古城!? そんな血走った目でこっちに近づかないでくれる!?」

 少し目を離した隙に、古城が紗矢華に血走った目で近づいていた。

 

『....おい暁 古城』

 俺は古城の肩を掴み、さっきの治療中に紗矢華から少し貰って試験管に入れていた紗矢華の血を

 古城に無理やり飲ませた。

 

「ん!?」

『レディーヒーラー、そこの馬鹿が襲おうとしたら力づくで止めろ』

『わかったわ』

『じゃあ、俺は先に向かわせてもらうぞ』

 そう言って、俺は医療室から外に出てカードを展開した。

 

『ライド、突貫する根絶者(ペニトレイト・デリーター) ヰギー』

 俺は突貫する根絶者(ペニトレイト・デリーター) ヰギーにライドすると、一直線に学園の方に向かって飛んだ。

 


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