ストライク・ザ・ブラッド~黒輪の根絶者〜 作:アイリエッタ・ゼロス
雪菜side
「私と伊吹が出会ったのは、私が攻魔師になって一年が経った時だ。私はある任務で
とある違法研究所の摘発を行っていた」
「違法研究所?」
「あぁ。その研究所では強力な魔力を持つ子供に無理矢理眷獣を埋め込む実験が行われて
いたのだ」
「「っ!?」」
南宮先生の言葉に私と先輩は言葉を失った。
「私と数人の攻魔官は奇襲を仕掛けて研究所に乗り込んだ。そして、研究員を全員捕獲し
生き残っていた子供たちを救出した。だが、一つイレギュラーな事が起こった」
「イレギュラー、ですか....?」
「あぁ。子供たちの中に一人だけ、眷獣を埋め込まれて暴走した子供がいた。そいつがコイツ、
伊吹 終夜だった」
南宮先生はそう言いながら伊吹先輩の方を見た。
「急に暴走を起こしたからな。対処できるのは私だけだった。だから私は力づくでコイツを
抑えた。そしてそのままこの島に戻り子供たちを親の元に返していった。だが、コイツの
親だけは消息を絶っていたのだ。不思議に思い研究所の資料を調べると、コイツは実の親に
大金で売られていた」
「っ! マジかよ....」
「だから伊吹先輩の親を見ないんですね....」
「あぁ。その後、伊吹の処遇については一悶着あった。だから私は一度伊吹を引き取った。
伊吹を抑えることができ、何より監視下に置くには私は都合が良かったからな。それから
伊吹はしばらく私の家に住みながら魔力を抑える特訓を行っていた。だが、私も教えるには
限界があった。そんな時に....」
「....黒輪の
私の言葉に南宮先生は小さく頷いた。
「奴は何処から知ったのかは知らないが伊吹の情報を知っていてな。自分なら伊吹に魔力を
抑える方法と魔力を自在に操る方法をが分かると言って伊吹を弟子にした。この事に伊吹も
同意して、しばらく伊吹はジョーカーとともに旅に出かけた。そして二年ほど経つと一人で
私のもとに戻ってきた。自分の中にいる眷獣を自在に操れるほどになってな。そして、
伊吹はその力を私に貸すようになった。今までの恩を返したいと言ってな。それからは私の
秘密の助手となった」
「秘密の助手?」
「あぁ。魔導犯罪者や指名手配犯の捕獲といった私の手伝いを任せている」
「ちょっと待ってください。だったら伊吹先輩は攻魔師なんですか?」
私は南宮先生の言葉が気になりそう聞いた。
「いや、伊吹は正式な攻魔師ではない」
「だったら勝手に行動するのはマズいんじゃ....」
「あぁ。だから黙っておけよ。外にバレると色々と処理が面倒だ」
「良いのかよそんなんで....」
「まぁな。伊吹のおかげで今まで捕まらなかった犯罪者が捕まり私の地位も上がって
色々と無理が通るようになったし、伊吹も伊吹で私からの給料が出る。winwinの関係と
言ったところだな。....これで私が話せることは全てだ」
そう言って、南宮先生は話しを終えた。
「終夜にそんな過去があったのか....知らなかったな....」
「当然だ。私も伊吹には自分の過去については喋るなと言っていたからな。面倒ごとの
元になるかも知らんからな」
「そうか....」
「とにかく、今話した事は誰にも話すなよ。研究所の件も
されている。本来これを話すのも問題になるからな」
「わかった」
「....わかりました」
「....なら良い」
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那月side
二人に話し終えると、二人は帰っていった。私は二人が帰るのを病室から確認すると、
病室にある花瓶を手に取った。そして、花瓶の下に付いていた式神を剥がして病院の
屋上に転移した。すると、そこには舞威媛がいた。
「盗み聞きとは良い趣味をしているな、舞威媛」
「っ!? 空隙の魔女....!」
舞威媛は私が現れていた事に驚いているようだった。
「どうしてここが....」
「魔力を辿っただけだ。....それよりも貴様、さっきの話しを聞いたな?」
「....えぇ。聞いたわよ」
「そうか。....なら、分かっているな?」
私は少し睨みながら舞威媛にそう言った。
「っ....! 分かっているわよ。聞いたことは誰にも話さないわ」
「なら良い。あぁ、それと....好きな男の見舞いぐらい式神を使わずに自分で行け」
「は、はぁぁぁぁ!?」
「ではな」
私は舞威媛の絶叫を聞きながら伊吹の病室に転移した。
「....ぐっすり眠りよって」
私はそう呟きながら伊吹の頭を撫でた。すると、私の隣にゲートができジョーカーが現れた。
「ジョーカーか」
『感謝する南宮 那月。おかげで時間が稼げた』
そう言って、ジョーカーは私に頭を下げてきた。
「別に構わん。貴様らにも今回の件には随分と世話になったみたいだからな」
『そうか。....では、俺も一度眠りに就く』
そう言うと、ジョーカーの姿は光り出しカードとなって伊吹の身体の中に消えた。
「ふぅ....一先ずご苦労だったな伊吹。ゆっくり休めよ」
私はそう言い残してこの場から転移した。