ストライク・ザ・ブラッド~黒輪の根絶者〜 作:アイリエッタ・ゼロス
錬金術師の帰還 Ⅰ
「叶瀬 賢生が襲われた?」
「あぁ。昨日の夜にな」
病院を退院して数日後、凪沙ちゃん達と買い物に行く前に学園のなっちゃんの部屋で
そんな事を言われた。
「襲われたって誰に?」
「天塚 汞という錬金術師だ。見た目は赤白チェックの奴だ。見つけたらとっ捕まえる前に私に
連絡しろ」
「了解」
そう言いながら、俺はなっちゃんの部屋から出て待ち合わせ場所に向かった。
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「くっそ....どんだけ買うんだよ」
「言ってやるな。女子は大変なんだろ」
そう言いながら、俺と古城は凪沙ちゃんと姫柊、そしてリアの叔母にあたる叶瀬 夏音の
買い物の荷物持ちをしていた。
「シュウ君の言う通りだよ古城君! 女の子は大変なんだから!」
「へいへい、それは悪かったな」
「まったく....あ! 二人ともあそこのお店入ろ! 二人は外で待っててよ!」
「了解」
「言われなくても入らねぇっての....」
そうして、三人はランジェリーショップの中に消えていった。
「アイツのテンションには付き合いきれんな....」
「そんだけ楽しみにしてんだろ。凪沙ちゃん、島外に出るのが久しぶりなんだろ?」
「あぁ。浮かれるのは別に良いが、調子に乗って羽目を外さなきゃ良いんだがな....」
「凪沙ちゃんだし大丈夫....っ!」
そう言いながら、俺は古城と俺に近づいてくる男が目に入った。その男は赤白チェックの
帽子とネクタイ、真っ白なマントコートを纏った男だった。そして、左手には銀色の
ステッキを持っていた。
「どーも。さっきの銀髪の彼女、綺麗な子だね」
「あぁ、まぁ....」
「下がれ古城! "アステロイド・ウルフ"!」
俺は古城にそう叫び、アステロイド・ウルフを
「やれ!」
アステロイド・ウルフは男の腕に嚙みついて腕を奪った。だが、奪った腕はすぐに銀色の
液体金属の様な物で剣に変わった。
「チッ....」
「おっと....随分と遠慮がないなぁ」
「おい終夜。アイツ何者だ」
「天塚 汞っていう錬金術師の犯罪者だ。昨日、叶瀬 賢生がコイツに襲われて重傷を負った」
「なっ!?」
「随分と余裕だね!」
そう叫びながら、天塚 汞は剣を振り下ろしてきた。
「取り敢えず広い所に移動するぞ!」
「あ、あぁ!」
そう言いながら、俺と古城は天塚 汞の攻撃を避けながら広場の方に出た。
「できれば目立たないように殺したかったんだけど....見たところ、二人ともただの人間じゃ
ない感じだね。それに、フードの方は吸血鬼か」
「テメェ、何の真似だ! 目的は叶瀬か!」
「誘拐、にしては物騒だがな....」
すると、何故か天塚 汞は笑い出した。
「誘拐だって? 何処かに連れて行くって事かい? あの子は何処にも行けない。ただの供物に
なって貰おうと思っただけだよ」
「供物だと?」
「そうだよ。だから、邪魔な君達には死んでもらう!」
そう叫びながら、天塚 汞は俺達に向かって飛びかかってきた。俺は別のユニットを
弾いた。
「姫柊!」
「お二人ともご無事ですか?」
「あぁ」
「まぁな」
「そうですか。....それよりも、あちらの方は?」
「天塚 汞。錬金術師で叶瀬を狙ってる」
「叶瀬さんを?」
「ふぅん...."
第四真祖の監視役に派遣されてきたという噂があったっけ」
そう言いながら、天塚 汞は弾かれた腕を地面に落ちていた鉄柱に触れて元に戻していた。
「剣巫に第四真祖、それにわけのわからない魔術師。三対一は流石に分が悪いか。叶瀬 夏音の
始末は一度諦めるのが正しいか」
そう言うと、天塚 汞は背中を向けて俺達から逃げ出した。
「っ、待て! この赤白チェック!」
「古城止まれ!」
「駄目です先輩! 相手の能力が把握できていない以上は....!」
俺と姫柊は古城に追いかけるのを止めようとしたが、古城はそれを無視して天塚 汞を
追うために走り出した。だが、それと同時に古城が走り出した方向にあった木が金属に
変わって倒れようとしていた。
「っ! "オルバース・パンゴリン"!」
俺は咄嗟に倒れてくる木の場所にオルバース・パンゴリンを
「っ!? あぶねぇ....」
「あぶねぇじゃねぇっての....」
「そうですよ先輩! 伊吹先輩が間に合わなかったら大怪我でしたよ!」
「あ、あぁ....すまねぇ終夜。助かった。姫柊もありがとな」
「怪我が無いなら別に良い」
「当然のことをしただけです。私は先輩の監視役ですから」
そう言いながら、俺はユニットを退却させて服に付いた砂埃をはたいた。その時、俺はある事に
気づいて姫柊から視線をそらした。
「なぁ、姫柊。二人はどうした?」
「二人なら試着中だと思いますよ。それよりも、どうして私から視線を逸らして....」
「....胸元見てみろ」
「えっ? っ!?」
そう言った瞬間、姫柊は自分の服装を見てその場に座り込んだ。
「い、伊吹先輩....いつから気づいていたんですか....!?」
「俺はついさっきだ。そっちは....いつから気づいてたかは自分で聞いてくれ。俺は少し電話を
してくる」
「お、おい終夜! 今ここで俺を一人にするなよ!」
そんな悲痛な叫びを無視して、俺は少し離れた所でなっちゃんに電話をかけた。
『....何だ』
「天塚 汞と接触した。どうやら狙いは叶瀬 夏音みたいだ」
『そうか....予想通りだな』
「どうする? 俺の方で叶瀬 夏音に護衛でも付けておこうか?」
『....そうだな。二、三人ほど頼んでおく』
「了解」
そう言って、俺は電話を切って少し考えた。
「(何故奴は叶瀬 夏音を狙う....アルディギアの血筋だから? いや、この情報はほぼ外に
流れていない。じゃあ何だ....)」
その時、俺はリアから聞かれた事を思い出した。
「(そういえば、リアは修道院の事故の事を聞いてきたな....そうなると、修道院の事故が
関係ありそうだな。少し確認に行ってみるか)」
そう思いながら、俺は古城達がいる場所に戻った。