ストライク・ザ・ブラッド~黒輪の根絶者〜   作:アイリエッタ・ゼロス

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戦王の使者編
戦王の使者 Ⅰ


『はぁ....鬼ごっこは終わりで良いか?』

 俺は夜の倉庫街で一匹の獣人と対峙していた。

 

「く、くそっ! 何故貴様のような化け物がここにいる! 黒輪の根絶者(デリーター)!」

『さてな。....面倒だからこれで終わりだ』

 俺はそう言って、一瞬で獣人に近づいて斬り伏せた。そして、俺は獣人の男に

 手を向けてこう呟いた。

 

呪縛(ロック)

 すると、獣人の男は黒い球体に封印された。

 

『これで俺の任務は終わりで良いんだよな、なっちゃん』

「あぁ。ご苦労だったな」

 俺は背後のコンテナの上にいるなっちゃんにそう聞いた。なっちゃんはコンテナから

 降りてくると、呪縛(ロック)状態の獣人を鎖で縛り始めた。

 

「今回の分のバイト代は明日にでも振り込んでおく」

『そいつはどうも。んじゃ、俺は帰ってもう一眠りでも....』

 そう言って立ち去ろうとしたその時、船の汽笛音が聞こえてきた。

 

『こんな時間に船か....』

「そのようだな。....しかし、何とも言えない嫌悪感を感じるのは私だけか?」

『なっちゃんもか....俺もそんな感じがするんだよな』

 俺となっちゃんは遠くに見える船を見てそう言った。

 

「お前もか....まぁ良い。私はコイツを連れて行く。お前も明日の授業には遅れるなよ」

『了解。じゃあまた明日』

 そう言って、俺は自分の家に向かって歩き出した。

 

 〜〜〜〜

 

「邪魔してるぞ古城」

「終夜か」

 獣人を捕獲したその日の朝、俺は古城の家にいた。何故俺が古城の家にいるかというと、

 昨日凪沙ちゃんに朝ご飯を食べに来てと誘われたからだ。

 机の上には既にベーグルサンドとイタリアンサンドが用意されていた。

 しかし、何故か4人分だった。

 

「何で4人分?」

「あー、それは姫柊の分だ」

「姫柊も誘われてたのか。....てか、凪沙ちゃんと姫柊は?」

「2人なら凪沙の部屋だが....」

 そう話していると、凪沙ちゃんの部屋から楽しげな話し声が聞こえてきた。

 

「俺、コーヒーいるか聞いてくるわ」

「おう。じゃあ湯は沸かしとくぞ」

 古城はそう言って凪沙ちゃんの部屋に行き、俺はキッチンで湯を沸かし始めた。

 すると、急に凪沙ちゃんの部屋から大きな音が聞こえてきた。

 

「(何の音だ....?)」

 俺は不思議に思って見に行くと、凪沙ちゃんの部屋の前で古城が鼻血を出して倒れていた。

 

「何してんだお前は....?」

 俺は古城に近づいて様子を確認しようとした。だが、俺は部屋から出てきた凪沙ちゃんを

 見て動きが止まった。部屋から出てきた凪沙ちゃんは、何故か下着姿だった。

 

「シュ、シュウ君....?」//

 俺がいることに気づいた凪沙ちゃんはどんどん顔を赤らめていき、両腕で胸元を隠した。

 

「ちょ、ちょっと待て凪沙ちゃん! 俺はただ古城の様子を見ようと....!」

「シュ、シュウ君のエッチ!」///

 俺の言葉は悲しいことに凪沙ちゃんには届かず、俺は凪沙ちゃんからタックルを食らって

 壁に叩きつけられた。

 

 

 〜〜〜〜

 

「すみませんでした....」

「ごめんなさい....」

 俺と古城は現在、姫柊と凪沙ちゃんそれぞれに土下座していた。

 

「大丈夫です。 先輩がいやらしいのは最初から分かっていた事ですし、警戒を怠った

 私の責任です」

 姫柊は古城を見下しながら呆れたようにそう言った。だが、凪沙ちゃんは....

 

「シュウ君に下着姿見られた....凪沙、もうお嫁さんに行けないよ」

 すごく小さな声で俺にそう言ってきた。それを聞いて、俺は精神的なダメージを受けていた。

 

「本当にごめん凪沙ちゃん....俺に出来る事なら何でも一つ言うことを聞くから

 許してもらえないか?」

「....何でも?」

 凪沙ちゃんは確認するようにそう聞いてきた。

 

「はい....」

「....わかったよ。なら、今回は許してあげる」

「ありがとうございます....」

「ほら、もう頭上げて朝ご飯食べよ。雪菜ちゃんと古城君も」

 凪沙ちゃんの言葉で俺と古城は何とか頭を上げる事ができ、朝ご飯を食べる事が出来た。

 

 

 〜〜〜〜

 

「てか、部屋で二人で何してたんだ?」

 朝ご飯を食べ終わってモノレールに乗って学校に向かっている時、古城が凪沙ちゃんに

 そう聞いた。

 

「雪菜ちゃんが球技大会で使うチアの衣装の採寸と仮縫いをやってたの」

「チアの衣装?」

「そんなつもりはなかったんですけど、どうしても断り切れなくて....」

 俺がそう言うと、姫柊は深々しくため息を吐いた。

 

「クラスの男子全員が土下座して雪菜ちゃんに頼んだの。姫がチアの衣装で応援して

 くれるなら家臣一同なんでもする、死に物狂いで優勝目指してがんばるって」

 凪沙ちゃんは笑いながら明るい声でそう言った。

 

「男子全員、土下座....?」

「凪沙ちゃんのクラスの男ども、絶対アホだろ....」

 古城は唖然としており、俺は凪沙ちゃんのクラスも男どもに呆れていた。

 

「普通ならそんなのドン引きなんだけど、なにしろほら、相手が雪菜ちゃんだから男子が

 そう言いたくなる気持ちもわかるから、女子も協力してあげようって話になったんだ」

「....ご愁傷様だな姫柊」

「クラスを掌握してるんだな、お姫様」

「そ、そんな事してません!それとその呼び方やめてください!」

 姫柊は焦ったように反論してきた。

 

「それで、お前も一緒にやるのか凪沙?」

「へっへー、いいでしょ。 あ、もしかして古城君とシュウ君も応援して欲しかった?」

「いや、それは別にどうでもいい」

 古城は無頓着にそう答えた。すると、凪沙ちゃんの表情はみるみる不機嫌になっていった。

 

「えー、どうして!? 嬉しくないの!?」

「たかが学校の球技大会で、そんな気合の入れた恰好で妹に応援されたら恥ずかしいっての」

「恥ずかしい....格好....」

 古城の言葉に姫柊は憂鬱そうに俯いた。

 

「は? なにそれ? 雪菜ちゃんは良くて、私に応援されるのは恥ずかしいわけ!?」

「そうは言ってねぇだろ....」

「むぅぅぅ! シュウ君は私が私が応援したら嬉しいよね?」

「えっ....?」

 凪沙ちゃんはほっぺを膨らましながら、何故か俺に聞いてきた。

 

「嬉しいよね? ねっ?」

「....まぁ、嬉しいといえば嬉しいけど」

 凪沙ちゃんの謎の圧に押されて俺はそう言った。

 

「ほら! シュウ君もこう言ってるよ古城君!」

「....お前、凪沙には甘いよな」

「....黙れ」

 俺は余計な事を言った古城の頭をしばいて顔を背けた。

 

 

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