ストライク・ザ・ブラッド~黒輪の根絶者〜   作:アイリエッタ・ゼロス

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錬金術師の帰還 Ⅴ

 一度家に帰り、古城の家に行くと何故か古城はリビングにいなかった。そして、

 何故か古城の部屋からは知らない気配を感じた。

 

「(何だ....この覚えのない気配は。敵....いや、この家にいるという事は敵ではないか)」

 そう思いながら俺が凪沙ちゃんの手伝いをしていると、古城と浅葱がリビングに入って来た。

 だが、入ってきた浅葱からは何か別の気配を感じた。

 

「....古城、ちょっと来い」

 俺は古城にそう言って古城をリビングの外に連れ出した。

 

「どうしたんだよ急に」

「浅葱の中にいるアレは何だ? 気配からして相当な魔術師だと思うが?」

「っ! 気づいたのか?」

「まぁな。こう見えて魔力の気配には敏感なんだよ。で、アレの正体は?」

「あぁ....浅葱の中にいるのはニーナ=アデラード。古の大練金術師様だと」

「ニーナ=アデラード....敵、ではなさそうか?」

「あぁ。浅葱の命を救ってくれて、敵意もなさそうだからな」

「....そうか。なら良い。古城、先に戻っとけ。なっちゃんに連絡してくる」

「あぁ」

 俺がそう言うと、古城はリビングの方に戻っていった。そして、俺はなっちゃんに

 電話をかけた。

 

『....何だ伊吹』

「追加報告。浅葱の身体にニーナ=アデラードとかいう錬金術師が憑依した」

『ニーナ=アデラード....そうか。報告ご苦労』

 なっちゃんは特に驚いた様子もなく電話を切った。

 

「(監視は、しなくても良いか。何かあったら古城がどうにかするだろ....)」

 そう古城に丸投げしようと思い、俺は暁家のリビングに戻った。

 

 〜その日の夜〜

 古城side

 

「のう古城よ」

 晩飯も食べ終わり、風呂に入った俺が部屋に戻って来るとニーナが話しかけてきた。

 

「何だニーナ?」

「先程夕食を食べていた時にいた銀髪の男だが....」

「終夜の事か?」

「あぁ。あの男には気を付けておいたほうが良い」

「えっ?」

 ニーナはどこか真剣な表情でそう言ってきた。

 

「あの男から感じた魔力....底が見えず、危険な気配がしていた。うまく隠して

 いるようだがな」

「魔力を隠して....?」

「あぁ。理由はわからぬがな。気を付けておくに越したことはないだろう」

「....」

「(魔力を隠して....一体何のためにだ? 黒輪の根絶者(デリーター)の関係者だとバレないためか? 

 だが、底が見えないってのはどういう....)」

 俺はニーナの言った事の真意が見えず、寝るまでずっと考え込んでいた。

 

 ~次の日~

 伊吹side

 

「じゃ三人とも。気をつけて行ってくるんだぞ」

 次の日の朝五時、俺は姫柊と凪沙ちゃん、そして叶瀬を見送るためにマンションの

 ロビーに降りていた。

 

「はい」

「伊吹先輩、先輩の事少しの間お願いしますね」

「シュウ君、お土産楽しみにしててね」

「あぁ。いってらっしゃい」

 そう言って、俺は三人が見えなくなるまでロビーにいた。そして、三人が見えなくなると

 エレベーターの方に向かって歩いていった。そしてエレベーターに乗ってエレベーターに

 ある鏡を見た時、俺の眼が虹色に光り出した。そして、俺の頭の中にはある映像が見えた。

 それは、港付近のコンテナ置き場で赤いスライムの様な物が特区警備隊(アイランド・ガード)と、矢瀬が乗っている

 コンテナを運ぶために配置されているクレーンに向かって荷電粒子砲が放たれている

 映像だった。

 

「....」

「(朝から面倒が起こったな....)」

「ジョーカー、行けるか?」

『我らはいつでも』

「そうか。じゃあ行くか」

 そう言って、俺は頭の中に見えた場所に向かって走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 


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