ストライク・ザ・ブラッド~黒輪の根絶者〜 作:アイリエッタ・ゼロス
「....予測通り獣人か」
『あぁ。トリーネ・ハルデン、北海帝国に雇われたフリーのテロリストでジャコウネコの
獣人だ。お前は問題ないが、暁には厳重注意をしておけ。恐らく、狙われるとすれば
奴の方だ』
「だろうな....もうこっちに着いてるのか?」
『いや、私は私の方でやることがある。代わりにアスタルテを向かわせている』
「了解。何かあったらまた連絡する」
そう言って、俺は電話を切った。
「(何も起きない、なんてことはないよな....)」
そう思いながら、俺はホールの方に戻った。
俺は王妃に招待されたパーティー会場であるホテルにいた。ホテルには島の政治家や
会社の社長が集まっており、政治的な話やら世間話やらをしていた。そんな人の群れを
避け、俺は古城と姫柊がいる場所に向かった。
「伊吹先輩」
「終夜。電話誰からだったんだ?」
古城と姫柊がいる場所に着くと、古城からそう聞かれた。
「なっちゃんから。テロリストの正体がわかったって連絡があった」
「誰だったんですか?」
「ジャコウネコの獣人だ。古城、お前は女に警戒してろよ?」
「何で俺が?」
「それは....」
「....へぇ。そういう格好初めて見たけど似合ってるじゃない古城、終夜」
俺が古城に理由を話そうとした時、突然背後からそんな声が聞こえた。その声に、俺は
聞き覚えがあり背後を見た。そこにいたのは....
「「浅葱!?」」
「俺もいるぜ」
浅葱と矢瀬だった。
「何でお前らがここに....」
「今日の昼頃に招待状が届いたのよ。ほらこれ」
「俺にもな」
そう言って、二人はアルディギアの国章が付いた招待状を見せてきた。
「多分、古城と終夜、それに夏音ちゃんの関係者が集められてるっぽいな。ほら、あそこにも」
そう言って矢瀬が指差した先にはアスタルテと凪沙ちゃんがいた。
「アスタルテ! それに凪沙ちゃんまで....」
「っ! 終夜さん」
「シュ、シュウ君!」
二人は俺に気づくと驚いた表情をしていた。
「シュウ君も来てたんだ....」
「まぁな」
「終夜さん、教官から話しは....」
「さっき聞いた。お前もなっちゃんの代わりご苦労さん」
「い、いえ....それよりも、このドレス似合ってますか....?」///
アスタルテはどこか俯きがちにそう聞いてきた。
「ん? よく似合ってると思うぞ。明るい色の服着てるのあまり見ないから新鮮な感じだな」
「っ! そ、そうですか....」///
そう言うと、アスタルテの頬は赤くなっていた。
「凪沙ちゃんもよく似合ってるぞ。ドレス姿、すごく可愛いな」
「あ、ありがとう....シュウ君もスーツ姿かっこいいよ」///
「そうか? あんまこういう服好きじゃなんだけどな....」
そう話していると、古城が近づいてきた。
「おい凪沙。お前そんなに料理を皿に取って食いきれるのか?」
「だ、大丈夫だよ! 珍しい料理ばっかりだったから今度家で作る時の参考にするの!」
「残すなよ」
「わかってるもん!」
そう言うと、凪沙ちゃんはこの場から離れて別の料理を取りに行った。凪沙ちゃんがこの場から
離れると、アスタルテも凪沙ちゃんについていくようにこの場から離れていった。すると、
二人と入れ替わるように一人の女がこっちに来て姫柊に抱き着いた。
「ゆっきな~! そのドレスすっごく似合ってるわ!」
「紗矢華さん!?」
姫柊に抱き着いたのは紗矢華だった。
「紗矢華....お前も来てたのか」
「そうよ。明日の警備の打ち合わせがあってね」
「....あの蛇使いは来てないのか」
俺は近くにヴァトラーの気配を感じなかったのでそう言った。
「えぇ....本国に戻って式典出席者を迎えに行ってるから」
「そうか....」
「(面倒は一つ消えたな....)」ふぅ
そう思いながら、俺は一つ息を吐いた。
「なら紗矢華....」
俺は紗矢華の耳元に近づき周りに聞こえないぐらいの声でこう言った。
「多分このパーティーにテロリストが来る。主犯はジャコウネコの獣人だ」
「っ! それ本当なの?」
「あぁ。なっちゃんの確認も入ってる」
「....わかった。警戒しておくわ」
「あぁ」
そう言って、俺は紗矢華から離れた。すると、紗矢華は何故か俺に近づいてきて俺の前に
立った。
「どうした?」
「その....私のドレス似合ってる?」
「ドレス? ....よく似合ってると思うぞ。紗矢華に合ってる色だしな」
「ほ、本当!? な、ならしっかり選んだ甲斐があったわ....」///
そう言いながら、紗矢華は頬を赤らめていた。そして、少し紗矢華と話していると....
「終夜!」
「お兄さん! 雪菜ちゃん!」
フロアの王族が集まっている所からリアと叶瀬に俺達は呼ばれた。
「来てくれて嬉しかったですお兄さん、雪菜ちゃん」
「意外と似合ってますね終夜」
「スーツなんて柄じゃないんだがな....」
「でしょうね。....それよりも、私のドレスはどうです?」
「よく似合ってる。あれだな、本当の姫様みたいだな」
「みたいじゃなくて事実です。....というか、並んでみると結婚式みたいですね」
「....あんま余計なこと言うな。後ろでお前の父親が俺を睨んでる」
リアの背後ではリアの父親が俺の事を殺意を持った目で睨んでいた。
「あらあら。でも、二人ともお似合いですよ」
「王妃さんまで....頼むから面倒になることは言わないで....!」
そう言って言葉を続けようとした時、俺の眼は虹色に光り、頭の中にある未来が見えた。
「(来るな....)」
「姫柊、紗矢華、警戒態勢。十秒後に襲撃が来る。
そう言いながら、俺は左腕に丸い盾、右手に巨大な剣、エルビウムバスターを装備した。
そして、俺はこの場所から少し離れた窓に向かって跳び、エルビウムバスターを振り下ろした。
すると、振り下ろしたタイミングで一体のカブトみたいな魔獣がバスターの下に粉砕されて
いた。そして、俺の目の前の窓ガラスはこのカブトによって破壊されていた。俺の目の前に
ある割れた窓ガラスの向こうには大量のカブトが飛んでいた。
「姫柊! 紗矢華! 二人は王族の護衛を! アルディギアのSPは客の避難を急げ!」
そう叫んだと同時に、カブトの魔獣はフロアの中に突っ込んで来た。魔獣を見た客はパニックを
起こしながらフロアの入口の方に走り出した。
「行かせるか!」
俺は客に近づこうとした魔獣を頭から叩き潰した。姫柊と紗矢華も王族に近づこうとする
魔獣を斬り伏せており、古城もリア達に近づこうとした魔獣を雷を纏った拳で叩き落していた。
「古城! お前は外で戦え! 外ならぶっ放しても問題ねぇ!」
「わかった!」
俺の声が聞こえたのか古城は割れた窓から外に飛び降りて行った。
「とっとと全部潰れろ!」
俺がそう叫びながらバスターを地面に叩きつけると、魔獣の足元から魔力で出来た黒い剣が
現れた。その剣はフロアにいたすべての魔獣に突き刺さり魔獣を消滅させた。
「(フロアはOK、外も古城がいるから問題ないな....)」
「姫柊! 紗矢華! 後は頼むぞ! 俺は避難通路の方を見てくる!」
そう言って、俺は後の事を二人に任せて避難通路の方に向かった。