召喚した絶剣が世界最強 作:焼肉定食
ステータスの測定が行われた翌日和人とユウキは王宮の医療院に来ていた
「うん。身体検査は病気も一つ見つからない。人型の魔物って可能性もあったが解析の結果ちゃんとした人間であることには違いはないよ。」
「……そうですか。ありがとうございました。」
「ありがとうございました。」
と和人は医者の元でユウキの身体検査の結果を聞いていた。
ユウキが心配そうだったので一旦健康診断を受けてしっかり安全面をしっかり確認した方がいいと判断したのだ。
「……よかった。健康体な体なんだ。」
「まぁ一安心だろ。とりあえずどうする?今から訓練に向かっても遅いだろうし。」
「そういや和人は魔法の適正ってどうだったの?」
ユウキが健康診断を行なっている間和人たちのクラスメイトは魔法の適正検査を受けていた。
「俺は闇と身体強化かな。身体強化はケットシー。闇はユウキの影響があると思う。契約魔法も使い所によったら結構チートなんだよなぁ?」
「契約魔法?」
「ユウキは召喚獣扱いだから元々契約していると判断されているけど。俺ハジメと契約魔法でコレクトを結んだ。そしたら技能共有が発動して俺も錬成、ハジメは闇と身体強化が使えるようになった。」
「へ?それって契約魔法を結んだ相手の魔法を使えるってこと?」
「いや。俺の手に片手剣技能やハジメに精霊化が追加されていたからな。つーかこれよく考えたら魔物の技能まで共有できるんだろ?」
「……うわぁ。それって僕がステータスチートだとしたらカズはスキルチートなんだ。」
「教会には内緒だぞ。いったら面倒くさいことになるしクラスメイトでも信用できる人間しか話さないようにしているから。」
和人の能力は即ちステータスは共有することができその恩恵は全ての人間で受けることができる点だ。
これをハジメは錬成師で技能も少し。ステータスの恩恵を受けることになる。
「それってボクに教えてもよかったの?」
「だからユウキにも恩恵があるんだよ。ステータスを見たらすぐわかることだからな。使えるものは使わないといけないし。ユウキはこの先どうしていくのか分からないからな。」
「……どういうこと?」
「ん?ユウキは自由に生きろってことだよ。戦争なんかする必要がないし地球に帰るまで自由に暮らしていいってことだよ。」
「ふぇ?」
ユウキがキョトンとしてしまう。和人の言っていることが一瞬理解ができなかった。
「俺が勝手に呼び出しておいてしかも俺より年下の少女に戦争って行為をやらせるわけにはいかないだろ?一応教会の権力を見極めるためにしばらくは一緒に行動してもらいたいけど基本的に俺自身戦争に参加するつもりはないしな。」
「そうなの?」
「つーか人を殺したこともない人間に人を殺せなんて無理だろ。戦争っていうのは人を殺す行為だ。ここはゲームじゃない。現実だ。」
人を殺すことになるっていうことはすぐに気づいた。いや、ハジメとの会話ですぐに気づかざるを得なかったとも言わなければならない。
ハジメは生きることを優先していることは見てとれた。
ハジメも和人も戦争って行為に元々反対している。
何よりも教会を信じられないといったことが関係しているのだが、それを抜いてもこの世界のために何かするという考えは持っていなかった。
「それならやっぱり大迷宮ってところが怪しいのかな?」
「そうだと思う。昨日の座学でこの世界では攻略者はいないしな。しばらくしたら抜け出して攻略しにいくだけの力をつけようって思っているかな。」
「それなら僕も付き合っていいかな?ボクはこっちの世界も色々見て回りたいけど。カズがいる方が楽しそうだし。」
「……へ?」
和人が今度はキョトンとする番だった
「僕はカズの側にいるの楽しいんだ。多分カズにとってはもしかしたら物語の人間ってずっと思っているのかもしれないし。それに危険なところに召喚したって後悔してるでしょ?」
「……」
つい足を止め和人はユウキを見てしまう。図星だった。
物語の人間であることも確かだし、和人はユウキが本当は何をしたかったのかも知っている。原作の通りの願いであるなら平和な学校生活を送りたかったことも。
「でもねカズ。僕はカズがいなかったらここにいるどころか死んじゃっているんだよ。」
どこか寂しそうなユウキ。その声和人は目を奪われる。
儚げだけどこれからの希望を抱いている。そんな目を向けられると何かむず痒い
「確かに平和な世界が良かったって思うけどそれでも僕はカズに召喚されてよかったって思うんだ〜。それに…カズってお父さんに似ているんだ。」
「お父さん?」
「うん。優しくて、僕とお姉ちゃんのことを第一に考えてくれて。だからどこか安心するんだ。」
確かそんな設定はあったか?と一瞬考える和人だったが首を横に振る。
昨日の夜決めたことだった。
もうキャラとしてのユウキではなくちゃんとした紺野木綿季という少女として扱うんだと
「……そっか。」
「だから。ボクのわがまま。もしカズが嫌っていうんならボクは」
「それはないから安心しろ。つーか元いた世界に連れて帰るって言っているのにそんなこというわけないだろ?」
「……そう?」
「あぁ。……ただ年下の少女に守られるようになるっていうのが嫌なだけ。片手剣スキルは持っているとしても実力ではユウキだからな。剣技っておそらくソードスキルのことだと思うからそう考えるとやっぱり片手剣を伸ばしていったほうがいいのか?後はケットシーって確か他の種族よりも目が良かったはずだから弓矢でも覚えようかな。ハジメに頼んで銃を作ってもらうことも考えようかな?……俺も少しはユウキの役に立ちたいし。」
和人だって意地がある。男として実力はわかっていても、それでも女子に任せっぱなしっていうのは気がひける。
おそらく今すぐに追いつけるとは思わない。
でもできることは一杯あるという和人のユウキの足手まといにならないように振る舞うという決意の表れだった。
「うん。それじゃあ僕がカズの片手剣見繕ってあげる。」
「へ?」
「いいから。ほらいこ。」
「ちょっとユウキ。」
ユウキに手を引かれ和人は宝物庫の方へ向かう。
その二人の表情は、この世界に来てから初めて見せる笑顔であり、どこかユウキが子供っぽい表情が特徴的だった
「……なるほど。そんな過去があったんだ。」
「だから最初に健康診断を受けさせたんだね。」
「あぁ。」
と色々振り回されたその日の晩和人は恵里と鈴と話すため恵里の部屋に来ていた。
「紺野さんはそう言っていたけど体調は?」
「本当にいいみたいだぞ。一応日本にもどったら病院に行くつもりだけど恐らく問題はないと思っているな。」
「そっか。ならいいけど。」
「……珍しいね。和人がここまで女子関わりを持つなんて。」
鈴は和人が女子に気を許すことが少ないことを知っている。だからたとえ好きなアニメのキャラクターとはいえこんなに簡単に気を許すのは珍しいことを聞いていた。
「あいつ明るいのは元々だけどいきなり異世界にきて俺は鈴や恵里がいるからまだ話し相手や友達がいるんだけどあいつは本当に一人なんだぞ?」
「……あっ!」
「それに俺らよりも二つ年下で病気で死んだと思っていたらこのトータスに来て戦争しろって言われたんだ。ステータスは低いけどあいつだってお前らみたいに女子なんだぞ。」
「……そういえば紺野さんは結局どうするの?和人が様子見るの?」
「俺ばっかりは無理だろ。俺は少し特訓したいことがあるから。俺ばっかりはさすがにユウキもいやだと思うし。一応鈴と恵里に頼もうって思っていたけど。」
「私はいいよ。」
「鈴もいいよ。紺野さんと話してみたいって思っていたしね。」
「そっか。なら助かる。」
と和人は少し飲み物を飲むとそして二人に告げた
「大丈夫か?特に鈴。」
「ほへ?」
「…言わないと分からないのか?」
すると鈴の笑みが消える。和人と恵里の前でだけ出す本当の鈴だ。いつもの仮面はつけておらず笑顔だった鈴の笑顔は固まる
「……怖いんだろ?お前。」
すると思いっきり図星を突かれたのか鈴は驚いたように和人を見る。
「なんで。」
「なんでって幼馴染だろうが。ごまかしていることは知っているつーの。」
「……本当に和人って空気読めないよね。これから頑張ろうって時に。」
「弱いことをためているほうが問題だろうが。女子が無茶をするんじゃねーよ。泣きたいときはちゃんと泣け。」
「……うん。じゃあ借りていい。」
「…はいはい。」
と苦笑いして自分の膝をポンポンと叩く和人。その様子を見て鈴は和人の肩に顔を埋め泣き始める。
汚れることも気にせずそのまま顔を埋めると嗚咽を漏らす鈴の頭を撫でる。
鈴にとって和人は初めてできた友達だった。
幼稚園のころからほとんど同じクラスに入り、そしていつのまにか仲良くなった。
和人も鈴もいつからか分からない。
でも和人の前では鈴は本当の気持ちを隠さなかった。
どれだけ悪口をいおうとも罵りあってもそれは信頼の証なのだ。
そして数十分泣き終えると鈴は寝てしまった。
そうして少し鈴の頭を撫でながら、今度は恵里に問いただす
「恵里が何かを企んでいるんだ。」
「っ!」
恵里自身固まる。そうだ。和人は友達のことに関してだけはよく見ていることをすっかり忘れていた。
「違うか?」
「……やっぱり和人くんはなんでも知っているんだね。」
「なんでもはしらねぇよ。……ただお前らのことだけはお前らの両親よりもお前らのことを知っている自身はあるぞ。」
「……そっか。はぁ。それじゃあ隠し事できないね」
「……やめる気はないのか?」
「ううん。やる気がなくなっただけ。…どっちにしろ失敗すると思うしね」
するとそうかと和人は素っ気なさそうにしているが恵里は少し安心している風に感じている和人を見る
本当に私が言ったことを信じるんだ。
和人は鈴と同じで時々自分のことを見抜く発言をする。
鈴と違ってそれが意図的であることが和人の嫌いなところにあげられる
でも恵里自身そこが和人の好きなところでもあるのだ。
そして一度注意しただけで信じてくれるところも
「ねぇ。和人くんは紺野さんのこと好きなの?」
「ん?それは恋愛的な意味でってことか?」
「うん。そうだけど」
「……さぁ。分からん。恋愛なんてしたことがないし元々女子の嫌われ者だったもんで」
と和人はケラケラと笑う。本当に気にしてなさそうにただ笑っている。
「……まぁそれでも仲がいいってことは否定できないんじゃないか?結構オタクってステータスでも気にしないし逆にゲームが好きだからあんまり気にしないってことだ」
「そっか。ちょっと私も隣にいっていいかな」
「起こすなよ」
といい恵里が和人の隣に座ると和人は恵里の軽く頭を撫で始める。
「……お父さんみたいだね」
「それユウキにも言われた。……さっさと家に帰りたいなぁ」
「……私も当然いいよね」
と恵里はとある事情で和人の家に住んでいる。少し不安そうだったが
「俺も親父も母さんも認めているんだ。……生きてこの世界からでようぜ」
「うん。またいつもの日常に戻れればいいけど」
とのんびり泣き疲れている鈴を眺めながら恵里と和人はお互いに体を預ける。
結局三人はその場で寝てしまって三人で一晩を過ごすのであった