聖なる力で敵を蹴散らしていきたいと思います。 作:テンペストランス
そうして何をするか考えながら歩いていると見知った顔が立ち止まっているのを見かけた。
「クロムじゃん、何してんの?」
「げっ、レティシアか……」
「げっとはなんだ」
彼の名はクロム、簡単に言えばゴツい大盾使いである。
実際には彼はこのゲームでもかなりの上位に食い込むほどのトッププレイヤーなのだが、そんなことを知らない咲良ことレティシアの中ではゴツい大盾使い以外の印象はなかった。
「で、こんなとこでつっ立ってなにしてんの?」
「いやそれはだな……」
と、クロムが説明をしようとしたときにレティシアは見た。
見てしまった。
クロムの後ろにいる小さい少女の姿を
少女は見るからに初期装備であり、手には大盾を持っている。
クロムの体格も相まって余計小さく見える少女はゴツいクロムとはかなりミスマッチだった。
というかレティシアには初心者の少女をだます誘拐現場にしか見えなかった。
何も言わずに素早く通報ボタンのウインドウを出したところでクロムが慌てて止める。
「待て待て待て!静かに通報しようとするな!」
「クロム……そんなことをするやつだったとは……」
「何で俺が悪いことしてるみたいになってんの?!」
「なんと言おうと誘拐はだめ。相手が初心者の分さらにたちが悪い」
「ちげえよ!お前の中で俺はどういう印象なんだ?!この子がかっこいい大盾が欲しいって言ってるからイズの所に連れていってやるだけだよ!」
そんなことを騒いでいると誘拐されかけている少女がレティシアに話しかけてきた。
「えっと、私からお願いしたので誘拐ではないですよ」
「それならいいんだけど君もこんなむさ苦しいやつにホイホイ着いていっちゃダメよ?」
「むさ苦しくて悪かったな」
全然むさ苦しくなんかないですよ!と必死のフォローをする少女を見ながら自分の装備もそろそろメンテナンスをしなければいけないことを思い出す。
「そろそろ装備のメンテしないとだし私も行くわ」
「こんなむさ苦しいのと一緒でいいのか?」
「悪かったって、もう言わないから」
と言うことで一緒にイズの店まで行く途中にまだ少女の名前を聞いていないことに気づく。
「まだ名前聞いてなかったね。私の名前はレティシア、クロムの友人みたいなもんよ」
「私はメイプルです!よろしくお願いします」
「友人……?」
友人にしては扱いが酷くないか?と疑問を感じているクロムを尻目に3人はイズの店にたどり着いた。
そして店の中でイズにまで不審者扱いをされてクロムはゴツい容姿について少し真剣に悩むこととなった……。
クロム踏んだり蹴ったり回でした