ソードアート・オンライン IF(アイエフ) 作:イノウエ・ミウ
何卒宜しくお願い致します。
※注意書き
・男主人公の名前はあくまで作者オリジナル(公式がデフォルト名発表しても変えない)
・オリキャラと原作キャラのカップリングあり(ただし、キリアスはそのままで)
・あくまでSAOのIFストーリーであって、まんまSAOIFの話ではない。よって、本家SAOIFに登場するリーファ、シノンらはしばらく登場しない
以上のことで不快に思われる方はご覧にならないことをお勧めします。
プロローグ βテストでの出会い
ソードアート・オンライン βテスト版最終日。
この日、多くのプレイヤーが迷宮区に入り込んでいた。βテスターの少年、ハルトもその一人だった。
別のVRゲームのリアルの姿をしたアバターをそのままコンバートしたため、現実世界と同じ顔をしている茶髪で黒い瞳を持つ彼は、βテスト最終日ということもあって、迷宮区を攻略していた。
「だいぶ奥まで来たな」
最初の頃は、初めてのVRMMOに苦戦したがβテストを通して、迷宮区のエネミーをソロで倒せるくらいまで上達したハルトは、呟きながら持っていた剣を収めた。
「(時間ももうないし、攻略はこの辺しておこう)」
βテストの時間は残りわずかとなり、残りの攻略は正式版で行おうと考えたハルトは来た道を戻ろうとすると
「あの!」
「ん?」
突然声を掛けられ、振り向くと、黒髪で翠色の瞳の少女がこちらを見ながら立っていた。
「はじめまして。私、コハルっていいます。突然で申し訳ないんですけど、私VRMMOにまだ慣れてなくて、最終日だから迷宮区に来て、何とかここまで来れたんですけど、中々上手くいかなくて、気づいたら、道に迷ってしまって・・・もしよろしければ、戦い方を教えてくれませんか?」
コハルの言葉にハルトは考えたが、迷宮区はもうほとんど攻略し、外に出ようと思ってたため、戻るついでに教えればいいかと結論付け、再びコハルの方を向いた。
「別に構わないよ。後、敬語もいらないから。僕はハルト。よろしく、コハル」
「っ!・・・よろしく!ハルト!」
「あ痛っ!」
迷宮区から出る最中、ハルトはコハルに戦い方を教えていたが、予想以上に動けず、本日何度目か分からない尻餅を付いたコハルにハルトは「はぁ~」とため息を出す。
「いい、ソードスキルで大事なのはモーション。例えるなら体制を整えて武器にスキルが溜まったのを感じて、一気に放つ」
そう言いながらハルトはコハルが戦っていたコボルトを剣で切り裂くとコボルトはそのまま四散した。
「ほら、簡単でしょ」
「いや、そう簡単にできないよ!」
特に苦戦することなくコボルトを倒したハルトに思わずツッコミをいれる。
「まぁ、外に出たらここよりも弱いエネミーでまた教えるから、さっさと外に出よう」
ハルトの言葉に従い、立ち上がるコハルだったが
「ん?・・・まずいな」
「え?」
突然呟いたのハルトの言葉に戸惑うコハルだが、周りを見れば、その意味を理解した。
二人の周りには先程のコボルトが複数いて、二人を囲むように立っていた。
「(どうする、僕一人なら隙をついて突破できるけど・・・)」
ハルトはどうすれば二人でこの状況を打破できるか考えた。
見捨てるという選択肢もあったが、まだ戦い方を教えてほしいというコハルの願いを果たしてないし、女子を見捨てて一人逃げるというのは性に合わない。
「来るよ!ハルト」
「くっ!」
考えている内にコボルト達が襲い掛かってきた。
ハルトは考えるのやめてコボルト達と戦おうと動いたが
「なっ!?」
目の前で起きた光景に思わず立ち止まった。
ハルトの目の前にいた3体のコボルト達が後ろから振られた大剣をくらい、そのままポリゴン状に四散したからだ。
ハルトはコボルトを倒した人物を見てみると、そこにはハルトよりも少し年上の黒髪で目つきが鋭い青年がいた。
突然起きた光景に呆然としていると残りのコボルト達が二人を無視して青年に襲い掛かった。
「あ、危ない!」
声を上げるコハルだが、青年は気にしてないと言わんばかりに、一体のコボルトの攻撃をかわし、ソードスキルを発動させた大剣を振るうと、複数のコボルトが切り裂かれ、ポリゴン状に四散した。
それらの行程を何回か行い、あっという間にコボルト達は全滅した。
「「・・・」」
呆然としている二人をよそに大剣を背中に仕舞い、何事もなかったかのように先に進んだが、コハルがお礼を言うべく、青年を呼び止める。
「あのっ!」
「・・・あぁ?」
コハルに呼び止められ、こちらに振り向く青年。
鋭い目つきに思わずビクッとなったコハルだがしっかりと青年を見てお礼を言った。
「助けてくれて、ありがとうございました!」
それに対して青年は、特に表情を変えることなく淡々と言う。
「助けたつもりはねぇ。コボルト共が道塞いで邪魔だったから倒して、ついでにお前らが助かった。そんだけだ」
そう言いながら、青年は迷宮区の奥に消えていった。
しばらくの間、青年が通っていった道を見ていたが、ハルトが口を開いた。
「また囲まれない内に外に出よう」
「う、うん」
二人は気を取り直して迷宮区の出口を目指すのであった。
迷宮区を出た二人は草原で初心者でも簡単に倒せるイノシシ型のエネミーと戦っていた。
迷宮区の時は尻餅ばっかりついていたコハルも、だいぶ戦えるようになっていた。
「コハル!そっちに行ったよ!」
「やぁ!」
コハルの短剣がイノシシを切りつけるとイノシシは四散した。
「やった!ねぇ、今の良かったよね!」
「そうだね。スイッチの仕組みも分かったみたいだし、弱いエネミーならきちんと戦えているね。後、尻餅付かなくなってきたかな」
「もう!それは言わないでよ」
そんな風なやり取りをしていると、アナウンスが流れた。βテスト終了のお知らせだった。
「ねぇ、ハルト」
「何?」
空は夕暮れで辺りが赤く染まる中コハルは呟いた。
「正式版でも一緒にプレイしてくれる?」
「うん、いいよ」
「本当!よかった」
そう言うと、コハルは夕暮れを背景にしながら、ハルトに背中を向け、顔をハルトの方に向けながら言った。
「またね」
その直後、ハルトの視界が真っ白に染まった。
ふと、目を覚ますとそこは自分の部屋だった。ベットから起き上がり窓の外を見る。仮想空間と同じ夕暮れの空だった。頭にかぶってたナーブギアを見ると、コハルの言葉を思い出した。
「またね、か・・・」
この時に感じた気持ちが何なのか、ハルトには分からなかった。だが、少なくとも悪い気分ではないということだけは理解した。
ハルトは夕食までに疲れを癒すため、もう一度ベットに寝転がった。
・ハルト
この小説の主人公。イメージはSAOIF男主人公。本家では公式サイトや漫画に描かれているのに名前やスキルどころかディアベルを助けるところしか一枚絵をもらえてない可哀想な人
・コハル
この小説及びSAOIFのヒロイン。アプリキャラにしては人気があり、SAOゲームファンクラブβeater's cafeで紹介かつ誕生日を祝われている。作者のSAO推しキャラ3位。
・大剣
SAOIFに実装されてない武器。
主人公の口調漫画だと俺系男子だけど、ゲームの選択肢だと俺系男子の口調がなさすぎるのでゲームに合わせて僕系男子にしてます。