ソードアート・オンライン IF(アイエフ)   作:イノウエ・ミウ

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アンコールイベントでニシダさんのカッコよさに見惚れながら書きました。
第五層編です。



ep.10 遺跡の奥の少女

三層、四層での激闘を超え、第五層へたどり着いたハルトとコハル。

転移門の周りを見渡して見ると、今までのフロアと違い、辺りは薄暗く、所々に石造りの建物が建ってある。

 

「なんか、今までのフロアとは随分違う雰囲気だね」

 

「うん。薄暗いってだけじゃない。辺りにある石造りの建物。遺跡っぽいものが結構ある」

 

辺りを見渡しながら、五層の印象を喋るハルト達。

 

「そりゃ五層のテーマは《遺跡》。忘れられた都だからナ」

 

聞き覚えのある声を掛けられ、振り向くとアルゴがいた。

 

「やっぱり、アルゴさんか。一度情報屋から忍者にでも転職したらどうです?」

 

「その予定はないナ。忍者にはいい思い出ないしナ。さて、いきなりだけど調査の手伝いを頼めないカ?」

 

「ホントにいきなりですね。まぁ、いいけど」

 

会ってすぐに依頼をするアルゴのマイペースさに呆れながらも、依頼を受けるハルト。

ハルト達が依頼を受けることを確認したアルゴは、ストレージから二つのブルーベリータルトを取り出すと、ハルト達に渡した。

 

「これは・・・ブルーベリータルトかな?甘酸っぱくて美味しいです」

 

コハルがタルトを食べながら、タルトの感想を言う。

二人がタルトを食べきったところで、アルゴが口を開く。

 

「それじゃあ、辺りを見渡してみナ」

 

言われるがまま辺りを見渡す二人。

すると、今まで見えてなかった光っているものが、あちこちにあった。

ハルトは身近に落ちていた光っているものを拾う。

 

「これは・・・銅貨?」

 

「そいつは《カルルコイン》。銅貨は10コル相当だけど、銀貨や金貨、宝石なども拾えるゾ」

 

「宝石・・・」

 

宝石が拾えると聞いた瞬間、コハルから笑みが浮かんだ。

 

「五層は忘れられた都ということもあって、そこら辺に小さい遺物がたくさん落ちてるんダ」

 

「成程」と納得したように頷く二人。

しかし、コハルがある疑問をアルゴに言う。

 

「でも、さっきまで何も見えなかったのに、どうして急に光り出したんでしょうか?」

 

「それは、お前たちがさっき食べたブルーベリータルトのおかげダ。さっき食べたブルーベリータルトには、遺物を発見できるバフ効果があるんダ」

 

アルゴの説明を聞いて、納得したコハル。

 

「それで依頼なんだけど、二人にはバフの効果が切れるまで、遺物拾いをして欲しいんダ。そして、手に入った遺物をオレッチに報告してくれ。報酬はこの情報料のチャラに、拾った遺物が丸ごと手に入るでどうダ?」

 

「そんな美味しい話があるの・・・?」

 

アルゴの提案に若干警戒しながら言うハルト。

アルゴはこれでも一流の情報屋だ。しかし、いくらなんでも情報をタダにする上、拾った遺物を全部自分たちの物にできるなんて、サービスにしては結構多すぎる。

ハルトの警戒心を感じたのか、アルゴは笑いながら言う。

 

「ニャハハハ!ハル坊はそうじゃないとナ!βテストの時もこのフィールドに遺物はたくさんあったんダ。けど、近くのフィールドでは、価値の安い物しか拾えなかったんダ。逆に奥のフィールドだと、高価な遺物が拾えるから・・・」

 

「エネミーがあちこちにいる中で遺物拾いをしろと?」

 

「正解ダ!まっ、お前らのレベルなら、このフィールドのエネミーは楽勝だロ?タルトの代金は負けといてやるから頼んだゾ」

 

そう言うと、アルゴは去っていった。

 

「やろう、ハルト!」

 

「こ、コハルが燃えている・・・」

 

いつもより元気強く喋るコハルに、若干ドン引きするハルト。

 

「だって!宝石だよ!宝石!キラキラしたものって見てるだけで楽しいでしょ?さぁ!行こう!」

 

そう言いながら、コハルは早足でフィールドを捜索し始めた。

男である自分にとって、キラキラしたものを見ても、そこまで楽しめないよと心の中で思いながらも、ハルトはコハルの後を付いていった。

 

 

 

 

「見てハルト!宝石だよ!キラキラしてて、凄く綺麗・・・」

 

「う、うん、そうだね・・・」

 

遺物拾いにすっかり夢中になっているコハル。今まで見たこともないコハルの笑顔に、ハルトは戸惑いながらも喋る。

すると、そこに一人の男が声を掛けた。

 

「よぉ!オメェら、久しぶりだな!」

 

声を掛けられ、振り向くと、《はじまりの街》で一緒にキリトから戦い方を教わり、デスゲームの始まりと同時にはぐれて以降、会うことがなかったクラインがいた。

 

「クラインさん!お久しぶりです!」

 

「久しぶりです。あの後、行方が分からなかったけど、無事だったんですね」

 

「おうよ!あの後、一緒にプレイしてた仲間たちと合流しようとしてな。悪かったな。何の連絡もなくて」

 

申し訳なそうな表情で喋るクラインに対して、気にしないでと首を振りながら言う二人。

何気ない会話をしていた三人だが、突然クラインが真剣な表情で言う。

 

「・・・ところで、知ってるか?このフロアには出るらしいぞ・・・」

 

ハルトはクラインの「出る」の意味が分からず、少し悩んだが、少し不気味な雰囲気を持つこの層から一つの答えを導き出した。

 

「もしかして、オバケ?」

 

「クラインさんはオバケが苦手なんですか?」

 

「いや、そういうわけじゃねぇ。モンスターなら攻撃すれば倒せるだろ。でもよ、本物が出たら、倒せるかどうか分からねぇだろ」

 

クラインの言葉を聞いて、顔をしかめるハルト。

このSAOで倒せないエネミーが現れるとなると、そいつはよっぽど強いのか。或いはシステム的バクなのか。

どちらにせよ、詳しく調べる必要があると思ったハルトは、クラインに幽霊についての情報を聞いてみる。

 

「実際に見たって奴の情報なんだけどよ。暗い顔をした男がこっちを見たと思ったら、急に姿を消したって震えながら話してたんだ」

 

「暗い男の人?モンスターと間違えたんじゃ・・・」

 

コハルの言葉をクラインは、首を横に振りながら否定する。

 

「あいつは俺たちのギルド風林火山とはライバルみたいなギルドのリーダーだ。今更、アンデッド如きにビビりはしねぇよ」

 

アンデッドではないとすると、暗い男の正体はNPC。或いはプレイヤーだろうか。

しかし、NPCなら幽霊みたいなのはいるかもしれないからまだ分かるが、プレイヤーとなると、そのプレイヤーはどんな方法で消えるのかが疑問に残る。

コハルとクラインが話している横で、ハルトがそんなことを考えていると、声を掛けられた。

 

「その情報。詳しく聞かせてくれないカ?」

 

「うお!?なんだ情報屋じゃねか」

 

後ろからアルゴに声を掛けられ、驚くクライン。

アルゴの登場に驚きながらも、クラインはさっき話したことをアルゴにも話した。

 

「成程、調査するには充分な情報だナ」

 

「幽霊がいるかどうか調べるんですか?」

 

一通り聞いて、納得したかのように頷いたアルゴに幽霊について調査するのか質問するコハル。

 

「違うヨ。幽霊の存在がこのフロアを攻略する鍵になるかもしれないんダ」

 

「!? どういうことだぁ?」

 

幽霊が何故五層を攻略する鍵になるのか。

そう思いながら、クラインはアルゴに問い掛ける。

 

「二人は知っているだロ。エルフクエストを通して、エルフにはマントで姿を隠す奴がいることを」

 

「そうか!幽霊が消えた理由は、何らかの姿を隠せるアイテムを装備しているからか!」

 

アルゴの言葉で、プレイヤーが姿を消す方法を知り、納得したかのように喋るハルト。

二人は三層にいた時にエルフクエストを受けた。

そのクエストで出会ったエルフ、キズメルと共にエルフの戦争に巻き込まれてしまう。

クエストを攻略していく中、二人は姿を消すことができるマントを装備したエルフと戦い、苦戦を強いられたが、何とか勝利することができた。

そのこともあってか、ハルトは幽霊は何らかのアイテムを使って、他のプレイヤーに見つかる前に姿を消したという結論に至った。

しかし、アルゴはハルトのその結論に、少し微妙な顔をしながら口を開く。

 

「確かにハル坊の言う通り、恐らく幽霊と思わしきプレイヤーは何らかのアイテムで姿を隠したんだと思うんダ。けどナ、姿を消せるアイテムはβテストだと第五層やそれ以降で手に入るって聞いたことがないんダ。もし、幽霊が誰も知らない方法で姿を消せるアイテムを手に入れたなら、そのアイテムはボス攻略の鍵になるかもしれないんダ」

 

アルゴは幽霊の存在が攻略の鍵になる理由を話した。

それを聞いたクラインは、テンションを上げながら喋る。

 

「そういうことなら、このクライン様に任せておけ!」

 

「期待しているヨ。そうだ!二人共、遺物はどうだったんダ?」

 

クラインに期待の言葉を送ったアルゴは、二人に依頼のことについて聞いた。

コハルは二人で拾った遺物をアルゴに見せた。

 

「成程ナ。鑑定NPCに見せてくるから、ちょっと待ってナ」

 

そう言うと、アルゴは近くにいた鑑定NPCの下に向かい、しばらくすると、戻ってきた。

 

「おまたせ!全部で13070コルダ。中々の成績だナ。一応全て換金することはできるけど、宝石とかはどうするんダ?」

 

アルゴにそう言われたハルトは少し考えた。

確かにこのまま換金してしまえば、それなりのコルが貰える。しかし、ハルトは先程見た一つの光景を思い出した。

それは、宝石を見つけた時のコハルの笑顔。今まで何回か笑顔を見たことはあるが、あんなに嬉しそうに笑っている笑顔をハルトは見たことがなかった。

悩みに悩んだ末、ハルトが出した答えは・・・

 

「・・・換金するのはコインだけにして、宝石はコハルにあげるよ」

 

「え!?」

 

ハルトの答えを聞いて驚いたコハルは、首を横に振りながら喋る。

 

「い、いいよ、持っていたって使い道はないし、換金した方が役に立つと思うし・・・ほ、本当にいいの?」

 

遠慮していたコハルだが、最後には貰っていいのかと聞いてくる。

そんなコハルに対して、ハルトは微笑むと右手に宝石を持ちながら、左手でコハルの右手を掴み、宝石を手のひらに乗せた。

 

「コハル、これを見つけた時、すごく嬉しそうだったよね。だから、きっとこの宝石を大切にしてくれると思うんだ。それに、宝石もコハルに大切にしてもらえると、きっと喜ぶと思うよ」

 

「ハルト・・・」

 

ハルトの言葉を聞き、コハルは自身の手に持ってある宝石を見て、もう一度ハルトを見ると、笑顔になり

 

「ありがとう。大切にするね」

 

そう言いながら、自身のストレージに宝石をしまった。

二人がいい雰囲気の中、この光景を一部始終見ていたアルゴとクラインは

 

「ヒュー、若いていいナ」

 

「ちきしょう、羨ましいぜハルトの奴・・・」

 

温かい目と羨望の目で見守っていた。

 

 

 

 

その後のアルゴの話によると、幽霊は主に二つの場所に出現するとの情報があり、ハルト達は幽霊が出現する場所の一つ。《荒廃の遺跡群》に存在するダンジョン《地下墓地》へ向かった。

《地下墓地》は名前の通り、どこかおどろおどろしい雰囲気が感じられる場所であり、アンデッド系のエネミーがそこら中にいた。

 

「はぁ!」

 

ハルトが片手棍で女性のアンデッドの頭を叩くと、アンデッドはポリゴン状に四散した。

この女性のアンデッドエネミーは姿を消し、プレイヤーの隙を付いて攻撃してくるが、攻撃する時にできる隙が大きいから、攻撃を上手く躱しさえすれば、容易に倒せるエネミーであった。

何体目かも分からない数を倒したハルトは片手棍をしまいながら、「ふぅー」と息を付く。

 

「幽霊さん、こんな危険な場所で何してるんだろう?」

 

隣で短剣をしまいながらコハルが喋った。

 

「おそらく、レベル上げなんじゃないかな。ここのエネミーは強いのばっかだし」

 

「もっと強くなりたいって思っている人なのかな。でも、尚更一人してはいけないと思うの。たった一人で頑張るのは、辛くて寂しいと思うし・・・」

 

コハルは下に俯きながら、不安そうな表情で言うと、ハルトの方を向いた。

 

「必ず見つけようね、ハルト!」

 

元気そうに言うコハルを見て、ハルトは笑みを浮かべながら頷いた。

一通り会話し、探索を再開しようとしたその時

 

キン!

 

突然、奥の方から金属音が聞こえた。

 

「!? 誰か戦っている!」

 

「もしかしたら、幽霊かもしれない。行こう!」

 

ハルトがそう言うと、二人は奥に向かって走り出す。

しばらく走っていると、広い部屋に出た。そこにいたのは・・・

 

「ヤァ!」

 

片手棍を振りながら、周りのエネミーを倒す全身鎧のプレイヤーと、短剣を構えながら、周りのエネミーに応戦している幼い少女がいた。

二人共中々の手練れだが、エネミーも集団で迫っていることもあり、苦戦を強いられている。

 

「あれは!?」

 

「行こう!」

 

そう言いながら、ハルトは走り出すと、鎧のプレイヤーの前にいたアンデッドのエネミーに向かって棍を振り下ろした。

突然現れたハルトに鎧のプレイヤーは声を上げる。

 

「き、君たちは?」

 

「手伝います!あなたはその子を守ってください!」

 

「助かる。そちらは任せたぞ!」

 

二人の加勢によって、周りのエネミーはあっという間に倒されていった。

エネミーがいなくなったところで、コハルが二人に話しかける。

 

「二人共、大丈夫ですか?」

 

コハルの心配の声に、鎧のプレイヤーは特に何ともない様子で返す。

 

「おかげさまで大丈夫だ。礼を言う・・・助けてもらった上に図々しい頼みですまないが、この子を安全な場所まで送り届けてくれないか?仲間と待ち合わせしてるけど、予定より大分過ぎてしまってな。心配していると思うんだ」

 

礼を言いながらも、二人に頼み事をする鎧のプレイヤー。

頭にメットを被っているからなのか、やたら低い声である。

 

「あなた達は仲間じゃないんですか?」

 

「ここでたまたま会っただけだよ。自己紹介がまだだったな。私はリーテン。あなた達は?」

 

リーテンと名乗ったプレイヤーに、名前を名乗るハルトとコハル。

二人の名前を聞くと、リーテンは納得したかのように頷きながら喋る。

 

「成程、噂に聞く二人組か・・・道理で強いわけだ」

 

「噂って・・・私たちの名前って、広まっているんですか?」

 

コハルの質問に対して、リーテンは首を横に振りながら答える。

 

「いや、私はALSに所属しているから知っている。一般プレイヤーにとっては、知名度は低いだろう」

 

そう言うと、リーテンは少女の方を向く。

 

「さて、君の名前は?」

 

「・・・マテル」

 

無表情のまま茶髪で髪型がサイドテールの少女、マテルは名乗った。

 

「マテル、今後はできるだけパーティーを組んで行動した方がいい。五層にいるってことは、それなりの実力があるのかもしれないけど、この世界で一人でいると、ピンチになった時に誰も助けることができない。いいね?」

 

マテルに向かって注意するように言うと、リーテンは再び二人の方を向いた。

 

「マテルちゃんのことはこちらに任せてください。リーテンさんもお気をつけて」

 

「ありがとう。いつかお礼をさせてください」

 

そう言いながら、リーテンは去っていった。

リーテンが去ったのを見届けると、ハルトとコハルはマテルの方を向いた。

 

「えっと・・・マテルちゃん。ここは危ないから、お姉さん達と街に戻ろう」

 

「問題ないの。囲まれなければどうにでもなるの」

 

マテルを連れていこうとしたコハルだったが、予想外の返事に戸惑いながらも言葉を続ける。

 

「・・・普通のゲームなら失敗してもいいけど、SAOはデスゲームなの。リーテンさんも言ってたけど、もし、リーテンさんや私たちがいなかったら、マテルちゃんはどうなってたか分からないんだよ」

 

「それが私を保護する理由?」

 

「え?」

 

またもや、予想外の言葉に固まってしまうコハル。

ハルトは二人のやり取りを聞きながら、マテルの方を向いた。

なんとなくだが、この子は前にキリトから聞いた迷宮区に三日間も籠っていた頃のアスナに似ている。

他の人の助けを借りず、ただ一人でひたすらに強くなろうとしている。

しかし、リーテンも言っていたが、SAOで一人でいることは危険すぎるので、ハルトも何らかのフォローを入れようと考えていると、マテルが口を開く。

 

「私は一人に慣れているから大丈夫。あなた達には関係ないことなの」

 

「・・・関係ならあるよ。私たちはもう、マテルちゃんと知り合っている。だからこそ、危ない目に合わせたくない」

 

「つまり、あなた達は私を保護して、生き延びさせた。という安心感を得たい。ということなの?」

 

マテルの言葉を聞いて、随分疑い深い子だなと思うハルト。

そんな疑い深いマテルの言葉に、コハルは先程と違って動じず、冷静になりながら返す。

 

「そうだね。マテルちゃんのためじゃなく、私たちが安心したいからかもしれないね」

 

予想外の言葉だったのか、無表情のマテルの目が少しだけ見開く。

そんな様子のマテルに対して、コハルは「でもね」と言葉を続ける。

 

「もし、自分の手の届く範囲にいる人を助けることができなかったら、私は自分を許せなくなる。そんな風に後悔したくないの」

 

コハルの言葉を聞いて、ハルトはあの日、目の前にいて助けることができなかったプレイヤーのことを思い出す。

きっと、コハルもあのプレイヤーを助けることができなかったことを後悔しているのだろう。だからこそ、今目の前にいる少女を助けたい。たとえ拒まれても、後悔はしたくないから。

マテルはそんなコハルの心情を感じたのか、「そう・・・」と小さく吐くと無表情に、けれども、コハルの目をしっかり見ながら喋る。

 

「あなたの考えは分かったの。だけど、一緒にはいけない」

 

「・・・どうして?信用できないから?」

 

考えを理解した上で断ったマテルにコハルは理由を聞く。

 

「あなた達が悪い人ではないのは分かったの。だけど、今の私にはここでするべきことがある・・・私のことを気にしてくれたのはありがとうなの。これを受け取って、私からのお礼なの」

 

そう言いながら、マテルはコハルにいくつかのアイテムやコルを渡した。

 

「お礼なんて・・・マテルちゃんもプレイヤーなんだから、大事にしないと」

 

「私がそれに見出した価値は、あなた達に渡すことなの。だから、あるべき場所に置いただけ」

 

そう言うと、マテルは後ろを向いた。

 

「・・・もう行くの。また、会えるかもしれないなの」

 

そう言いながら、マテルは歩いた。

その途中、マテルの姿が急に消えた。

 

「消えた!?」

 

「ううん、壁際に何か仕掛けがある」

 

そう言いながら、コハルは壁際に寄り、ハルトも後に続く。

正面からは壁にしか見えない場所に深い段差があった。おそらく、マテルはそこから下に飛び降りたのだろう。

 

「・・・マテルちゃん、独特っていうか変わった雰囲気の子だったよね」

 

「確かに落ち着いているようだったけど、何処か他人と距離を置いているような感じだったね」

 

「うん、けど、悪い子ではないと思うんだ。きちんと一人でいたい理由を話してくれて、お礼も言ってたし」

 

そう言いながら、コハルはマテルが飛び降りたと思われる深い段差を見つめる。

段差の奥にはマテルと思わしき足音が聞こえた。

しばらく、段差を見続けてた二人だが、探索を再開するべくハルトが口を開いた。

 

「取り敢えず、探索を再開しよう。幽霊は男だって聞いたし、もしかしたら、幽霊の他にも何か攻略の鍵になるものが見つかるかもしれない」

 

ハルトの言葉に頷くコハル。

予想外の出会いがあったが、二人は幽霊の正体を突き止めるべく、探索を再開した。




・忍者にいい思い出がないアルゴ
詳しくは、小説版プログレッシブへ。

・再び登場クライン
SAOIFだと、五層で再登場するので、この話でも再登場させました。

・キズメル
プログレッシブのキャラ。SAOIFにも登場するエルフであり、ストーリーにも結構絡んだりする。

・リーテン
プログレッシブのキャラ。全身鎧に覆われていて、見た感じ男っぽいが・・・

・マテル
SAOIFのオリキャラ。普段は無表情でミステリアスな雰囲気を持つ少女だが、プレミアと似たようなキャラのせいなのか、そんなにスキルレコードは出てない。


プレミアとマテルが似てると思うのは、作者だけだろうか・・・
五層編。ひとまず、書き終わりました。
次回、五層編続きです。
色んなキャラが登場し、あの男の再登場もあります。お楽しみに。
※投稿スピードについてお知らせがあります。詳しくは私のマイページにある活動報告一覧まで。
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