ソードアート・オンライン IF(アイエフ)   作:イノウエ・ミウ

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七層編です。
ユウキやリーファがいないため、SAOIFと内容が若干変化しています。



ep.13 謎の吟遊詩人

六層での激闘を制したハルト達は七層へ降りた立った。

辺りは木々が生い茂ており、空を見上げると雨が降り注いでいた。

 

「随分と雨が降るね」

 

「SAOの中って雨に降られて風邪をひいたりするのかな?」

 

「うーん、体温の低下で状態異常になることなんてなかったし、心配ないと思うよ」

 

そもそも、SAO内で風邪を引くことなんてあるのか。

そんな風に思っていると、声を掛けられる。

 

「よう、久しぶりだな。第六層のボス攻略では大活躍だったそうじゃないか」

 

「エギルさん!こんにちは。大活躍だったなんて、そんなことないですよ。何もかも上手くいった訳じゃないですし・・・」

 

こちらに声を掛けてきたエギルに返事したコハルだったが、表情を暗くする。

ハルトもまた、背中に背負っている片手直剣に手を当てながら、暗い表情をしていた。

 

「ああ、聞いたぜ。色々あったみたいだな。だが、お前らはよく戦った。それは誇っていい事実だ」

 

表情を暗くした二人にエギルがフォローを入れる。

ここで、第六層のボス攻略で何があったのか説明しよう。

六層の攻略を順調に進めていたハルト達は、エルフクエストの報酬に《精霊錫》というアイテムを手に入れた。

その《精霊錫》を使ってハルトは、一緒にクエストを攻略したリズベットに剣の作成を依頼し、ハルトは新しい剣を手に入れた。

新しい剣でボス攻略に挑んだハルト達は、何とか六層のボスを攻略をしたが、一つ問題が発生した。

なんと、ALSの例の男(オレ、俺知ってる!の人)が、自分たちがボス攻略に苦戦したのは、五層の時にフラッグを渡さなかったハルト達のせいだっと文句をいい、ハルトに対しても、倒せたのもハルトがレア武器を手に入れたからだろ、特別な報酬を貰っていい気になりやがってっと言い、ハルトを非難した。

当然、アスナやコハルは反論したが、男は言いがかリを超えるような発言を次々とし、場はヒートアップしていった。

そんな時、キリトが自身の持っている《精霊錫》を攻略組に渡すと提案し、更に次の七層のボス攻略にキリトは参加しないということでこの場は丸く収まった。

だが、場を収めるためにキリトを犠牲にしてしまったハルト、コハル、アスナはやるせない気持ちのまま、ボス部屋を出た。

 

「どんなことがあっても、お前たちはお前たちの信じる道を選んだんだ。なら、前を見ろ。その剣を作った奴だって、お前たちをこんな風にさせるために作ったわけじゃないんだから」

 

「・・・ありがとう、エギルさん」

 

エギルの気遣いに礼を言うハルト。すると、新たに声を掛けられる。

 

「どちらにせよ、今のALSとDKBの関係はあまり良くないんだ」

 

声がした方を向くと、五層のボス攻略で共に戦ったDKBの幹部、シヴァタであった。

 

「シヴァタ!久しぶり」

 

「ああ、第五層のボス攻略以来だな」

 

「私もいますよ」

 

「その声はリーテンさん!でも、どこに?」

 

シヴァタに続いてリーテンの声が聞こえたが、姿が見えず、コハルが疑問の声を出すと

 

「ここです!いくら二人が大きいからといって、影に隠れるほど小さいつもりはありませんよ!」

 

二人の後ろからリーテンがひょっこり現れた。

久しぶりに再会した友達に喜ぶハルトとコハルであったが、すぐさま、シヴァタの言っていたことについて聞く。

 

「ところでシヴァタ。ALSとDKBの関係が良くないってどういうこと?確かに第六層のボス攻略の後にもめたけど」

 

「ああそうだな。お前たち、第六層のエルフクエストで手に入る《精霊錫》てアイテムは知っているよな?」

 

シヴァタの質問に頷くハルト。自身の剣を作る際に素材として使ったから、忘れるはずがない。

そして、キリトが二つのギルドの衝突を抑えるため、譲ったことも・・・

 

「実はそのアイテムはある条件を満たさないと手に入らないアイテムでな。しかも、一度クエストをクリアすると、同じクエストを受けることができないから、二度手に入らないんだ。だから、キリトが譲った《精霊錫》はとても貴重なアイテムで、どう使うか二つのギルドで話し合ったけど、結構揉めちまってよ・・・」

 

「そもそも、二つのギルドが一つのアイテムを分け合うのは無理がありますからね」

 

「しかも、インゴットしようにも、七層のNPC鍛冶屋だと扱えねぇみたいでな」

 

シヴァタの説明にリーテンとエギルが付け足すように喋った。

 

「NPCじゃ扱えないってことは、プレイヤーの鍛冶屋なら可能ってこと?実際、リズベットはこの剣を作ることができたし・・・」

 

「え!?リズベットさんが!?」

 

「ほう、その剣はスミスの嬢ちゃんが作ったのか・・・腕を上げたな」

 

ハルトから発せられたリズベットの言葉に反応したリーテンとエギル。二人共、リズベットと面識があるのだろうか。

そんなことを思っている中、リーテンが「ですが」と話し始める。

 

「もし、鍛冶屋のプレイヤーが《精霊錫》を使って、武器を作るのを失敗したら、そのプレイヤーは二つのギルドから責められることになります」

 

「成功したらしたらで、どっちのギルドが使うかで揉めちまうしな。状況は最悪だ」

 

シヴァタが悪態づきながら喋った。

失敗しても成功しても二つのギルドの仲を修復するのはほぼ不可能な状況であった。

 

「そこで解決するのがコルだ」

 

「「コル?」」

 

エギルの言葉に二人が疑問を漏らす中、リーテンが説明する。

 

「話し合いの結果、二つのギルドが共同でオークションを開催して、それで手に入ったお金を山分けしようということになったんです」

 

「《精霊錫》の他に二つのギルドで余っている武器や装備も一緒に売り出すから、たくさんのコルが手に入るぜ」

 

「勿論、目玉商品は《精霊錫》だが、さっきシヴァタが言った通り、特定の条件を満たさないと手に入らない貴重なアイテムだから、白熱すると思うぜ」

 

三人の説明に納得したかのように頷いたハルトとコハル。

 

「正直、いきさつを考えると複雑ですけど、オークションが盛り上がるのはいいことですよね?」

 

「それは勿論。お金がたくさん入りますし、二つのギルドにとってもいいことだと思います。でも、キリトから奪い取った物を当然のようにするのは良くないと思います。だから、私は正々堂々とオークションを勝ち取って、《精霊錫》をキリトさんにお返ししたいと思っています」

 

「けどよ、ALSのりっちゃんが表立って動くのはマズいし、DKBの俺も同じだ」

 

「そこで、代理人として俺が出ることにしたんだ」

 

そう言って前に出るエギル。

ある程度は理解した二人だったが、一つだけ不安要素があった。

 

「エギルさんがオークションに出るのは分かりました。でも、目玉商品なら、きっと高価が付きますよね?そんな大金、準備できているんですか?」

 

コハルの質問は最もだ。

目玉商品ということは、それなりの値段が来るはずだ。

たとえ、《精霊錫》を狙っていたとしても、買えなければ意味がない。

コハルの質問にリーテンが答える。

 

「そこら辺は大丈夫です。返還に賛同してくれた私とシヴァの仲間から資金を工面しました。後はエギルさんが出資してくれるみたいです」

 

「まあ、俺はそろそろ商売人を始めるつもりでな。その第一歩として《精霊錫》を競り落としたっていう実績を手に入れるために、キリトに返す前に二週間くらいレンタルさせて貰うことで取引しただけだ」

 

「・・・ちゃっかりしてるね」

 

出資してくれたと聞いて、いいとこあるじゃんと思っていたハルトの目が呆れに変わった。

 

「とまぁ、この二人とはこういう事情で一緒に行動しててな。どうだ?お前らにも見返りを用意するから、資金集めに手伝って欲しいんだが」

 

エギルの申し出に断る理由なんてなかった。

キリトは自身を犠牲にしてまで、自分を助けてくれた。なら、今度は自分がキリトを助ける番だ。

エギルの申し出に頷くと、エギルは一つ依頼した。

 

「それじゃあ、ここいらに出るエネミーからドロップする素材を20個ぐらい集めてくれ。俺たちもその間、クエストで資金を集めているからよ。頼んだぜ」

 

 

 

 

フィールドに出た二人はしばらくエネミーを狩って、素材集めをしていた。

 

「13、14、15・・・後、5つだよコハル」

 

「うん・・・」

 

どこかぎこちない様子で返事するコハル。

先程から、元気がない様子のコハルにハルトが声を掛ける。

 

「どうして二つのギルドは仲良くできないんだろう。そう思っているコハルの気持ち、少し分かるよ。でも、エギルさんも言ってたけど、今は前に進まないと」

 

「うん、分かっている。でもね、最近思うんだ。あの人たちは、この世界に囚われていることを忘れてしまっているんじゃないかって・・・」

 

コハルの言葉にハルトは、返すことができなかった。

最近の攻略組の行動はどこか過激なところが多い。

ALSはギルドフラッグを独占しようと、DKBに内緒でボス攻略に挑んだり、DKBにも最近、他のプレイヤーに過激な行動をする輩が増えているとシヴァタから聞いている。

今回のことも、キリトから奪い取った上、どちらが《精霊錫》を手に入れるのか揉めてしまい、最終的にはオークションという形で収まったが、未だに仲は良くない。

そんな両ギルドの関係で悩んでいると新たに声を掛けられる。

 

「よぉ、久しぶりだな」

 

「!?ザントさん!五層以来ですね!」

 

二人に声を掛けた人物、ザントは二人の方に歩み寄ってきた。

ザントに反応したコハルやそれを見ていたハルトも少し表情が緩んだが

 

「どうしたんだぁ?馬鹿みてぇに考えているような顔してよぉ?」

 

ザントの言葉に思わず、下に俯いてしまうハルトとコハル。

やがて、顔を上げた二人は、ザントにある程度の出来事を話した。

 

「なるほどなぁ、俺が参加してねぇ時に・・・ただの馬鹿かと思ってたが、多少の知恵はあるようだなぁそいつ」

 

両手剣の熟練度上げのために、六層のボス攻略に参加していなかったザントは、その時の出来事を聞いて、その出来事を引き起こした例の男に対して、自分がいない時に問題を起こしたことに笑みを浮かべながら賞賛していた。

 

「んで、キリトから奪い取った《精霊錫》ってアイテムを猿共から取り返すために、てめえらはコルを稼いでいるっと」

 

「ま、まぁ、そんな感じです」

 

若干トゲのある言い方に少し戸惑いつつ、言葉を返したハルト。

すると、コハルがザントに懇願する。

 

「あの!私たち《精霊錫》を必ず取り返せないといけないんです。力を貸してくれませんか?」

 

「てめぇらにか?力を貸して、俺に何の得があるんだ?」

 

ザントの言葉に言葉を詰まらせるコハル。

報酬になりそうなアイテムは持ってないし、コルも自分たちの持ち金が今のところ少ないため、大した金額を出すこともできない。

けれども、コハルは真剣な表情で頭を下げると再度、懇願した。

 

「身勝手なお願いだと分かっています。大したお礼も出すことはできません。けど、六層の時、私たちはキリトさんに守られました。だから!《精霊錫》を必ず取り返して、六層の時に守ってくれたキリトさんに恩返しがしたいんです!お願いします!」

 

「僕からもお願いします」

 

コハルに続いてハルトも頭を下げる。

それを見たザントは、「はぁー」とため息を吐くと

 

「仕方ねえ。手を貸してやるよ」

 

「!?ありがとうございます!」

 

ザントの肯定の言葉にコハルは、笑顔になりながらお礼を言った。

それに対してザントは

 

「勘違いするなよ。その《精霊錫》ってアイテム、よほどレアなんだろ。雑魚共に渡すぐらいなら、強ぇ奴に渡した方が攻略が進むと思ったからだ」

 

どこかツンデレみたいな発言をして、それに対して笑顔で返すハルトとコハルであった。

そんな二人の様子をよそに先に進もうとしたザントだったが

 

「さてと、そんじゃあ、早速行こうかぁ・・・といきてぇところだが・・・」

 

ふいに両手剣を取り出し

 

「出てこいよ。盗み聞きとは随分と趣味が悪ぃことしやがって」

 

近くの木に向かって、剣を向けながら喋った。

すると、木の影から一人の男が姿を現した。

 

「驚いたよ。気配は隠していたつもりなんだけど」

 

赤い髪に整った顔つきで絵に描いたイケメンのような青年だった。

 

「あのーあなたは?」

 

「僕はリュール。吟遊詩人さ」

 

「詩人だぁ?ただの詩人がそんな高い<隠蔽>スキルを持っているわけねぇだろ」

 

リュールと名乗る青年に未だに警戒しながら、真面目な表情で問うザント。

そんなザントに対してリュールは、表情を変えずに喋り始める。

 

「なぁーに、僕は臆病だからね。不要な戦いを避けるために<隠蔽>スキルを極めているだけだよ。君たちのことは知っているよ、ハルトにコハル。そして、噂の《狂剣士(きょうけんし)》君」

 

「「《狂剣士》?」」

 

《狂剣士》の言葉に疑問に思った二人は、ザントの方を向くと

 

「下の雑魚共が勝手に付けた二つ名だ。別になんて呼ばれようが興味ねぇよ」

 

興味なさそうな雰囲気で答えた。

しかし、未だに剣を降ろすことなく、更に問いだす。

 

「んで、隠れることしか能のねぇてめえは、何でこいつら二人の名前を知ってんだ?」

 

ザントの質問は最もだ。

自分たちは彼と会うのは始めてで、名前すらも教えていない。

それなのに、何故、彼は自分たちの名前を知っているのだろうか。

そんな疑問が頭に浮かぶ中、リュールが答える。

 

「君たちの活躍は下で結構聞いているからね。特にハルトとコハル。二人の顔は写真でも見たことあるから、すぐに分かったよ」

 

「写真!?そんなものがあるんですか!?」

 

リュールの言葉にコハルが、驚きながら反応する。

デスゲームが始まってから、写真を取ったことは一度もなかったから、写真が出回っているという事実にハルトも反応はしなかったが、内心は驚いていた。

そんな二人を他所にザントは、笑みを浮かべながら思い出したかのように喋った。

 

「そう言えば、何回か俺の後ろをつけてる馬鹿がいたな。まぁ、捕まえて、少しばかりOHANASHIしてやったら、面白れぇ表情をしながら逃げていったがな」

 

「・・・なるほど。君の写真がなかった理由が分かったよ・・・」

 

ザントの言葉を聞いて、少しドン引きしながらも納得したリュールは、咳払いしながら続きを喋る。

 

「とにかく、君たちには熱狂的なファンがいて、静止画を残すことができる《記録結晶》で隠し撮りされてた君たちの顔を見たから、僕は君たちのことを知っていたんだ」

 

リュールの説明に納得した二人だが、表情は未だにすぐれない。

 

「・・・隠し撮りされているなんて、気分が良くないです・・・」

 

「ボスを倒して人気者になるのは嫌なのかい?世界を救ったヒーローとして賛辞を浴びたくないのかい?」

 

「くっだらね。雑魚共に賞賛されても、一ミリも嬉しかねぇよ」

 

どこか小馬鹿にしながら、興味なさそうに吐くザント。

そんなザントに少し顔を歪めたリュールは、ハルトの方を見るとハルトは、真剣な表情で答える。

 

「・・・一つ言いますけど、僕らは誰かに褒めて貰うために戦っているわけじゃない。後悔しないために戦っているんだ」

 

ハルトの真剣な答えにリュールは、「へえー」と笑みを浮かべると

 

「・・・君たちなら、僕の期待に答えられそうだ。・・・これからの活躍を楽しみにしているよ。それじゃ、また会おう。・・・すぐにね」

 

そう言いながら、森の奥へと消えていった。

 

「何だったんだ、あいつ・・・」

 

どこか気に入らない表情でそう吐くザント。

その隣でコハルが、ショックを受けたような表情で喋る。

 

「私たちの写真が知らない人たちに出回っているなんて・・・」

 

「リアルだったら、犯罪だよ、全く・・・」

 

ハルトもまた、隠し撮りされているという事実に怒りを感じていた。

いくら、ゲームの中といい、やっていい事と悪い事がある。

二人が隠し撮りのことに悩んでいる中、ザントが話しかける。

 

「今はとりあえず、目の前のことに集中しろ。隠し撮りなんてしてる馬鹿なんざ、後でいくらでもボコれるだろ」

 

そう言いながら、先に進むザント。

それを見た二人も、今はオークションに勝つべく、クエストを再開するのであった。

 

 

 

 

「なるほど、そんなことが・・・」

 

エギル達と合流したハルトは先程の出来事を話した。

 

「女の子の写真を隠し撮りして見せびらかすなんて、人として信じられません!もし、見かけたら抗議します!」

 

女子であるリーテンは、隠し撮りされているという事実に腹を立てていた。

 

「とりあえず、今はオークションに集中しようぜ。集めたアイテムを換金してくるから、少し待ってくれ」

 

ひとまず、オークションに専念することにしたエギルは、渡されたアイテムを換金するべく、NPCの所に向かった。

しばらくすると、エギルが戻ってきて、手に入れたコルを見せた。

 

「やっぱり、これだけの人数がいると、効率がいいですね!これなら、《精霊錫》を競り落とせそうですね」

 

手に入れたコルの金額に喜ぶリーテンに対して、エギルはあまり浮かない表情で返す。

 

「それで上手くいけばいいんだが、今回のALSとDKBの共同開催を甘く見ない方がいいぜ」

 

「共同開催だと何か問題があるんですか?」

 

コハルの質問にエギルは、腕を組みながら答える。

 

「今回のオークション。NPCでも扱えない《精霊錫》を公平に扱えないから、開催された。だが、プレイヤーの中には、十分な鍛冶スキルを持っている奴もいるはずだ。《精霊錫》を手に入れた奴がボス攻略までに強力な武器を手に入れないって保証はどこにもない」

 

「そうか!今回のオークションはALSとDKBは参加してはいけないってルールがないから、もし、どちらかのプレイヤーが手に入れて強力な武器を作成できたら、そのギルドは有利になってしまう」

 

「それに、共同開催だからな。たとえ、大量のコルをつぎ込んでも、どちらかに所属していれば、半額は戻ってくるから、みんな、かなりつぎ込んでくると思うぜ」

 

エギルの説明に補足するハルトとシヴァタ。

二人の説明を聞き、リーテンが浮かない表情で喋る。

 

「実は、今のALSの状況はあまり良くないんです。五層でギルドフラッグを手に入れることができなかったのは、最精鋭部隊が弱腰だからって批難する人たちがいて・・・」

 

「まさか・・・強引に奪い取るべきだって意見が・・・」

 

コハルの言葉に頷くリーテン。

その横でシヴァタが付け足すように喋る。

 

「DKBも似たような考えの奴らがいっぱいいやがる。特に第五層でALSに出し抜かれたことで、今回のオークションはガチでくると思うぜ。《精霊錫》を競り落としてALSを出し抜こうって理由でな・・・」

 

「マジかよ・・・SAOがゲームである以上、トッププレイヤーやトップギルドになりたいって気持ちはゲーマーの本能とはいえ、流石に限度を超えてるぞ」

 

「フロアボスを倒すことよりも、相手より上に立つことを目標になっているんですね・・・」

 

リーテンの言葉で場は一気に沈黙と化したが

 

「くっだらね」

 

それを破るかのようにザントが喋った。

 

「結局はまともに戦いもしねぇ雑魚共がイキがってるだけじゃねか。マジでくだらねぇー。つか、オークションなんていらねぇだろ。その雑魚共がいる限り、二つのギルドが仲良しごっこの関係になるなんざ百パーセントありえねぇだろ」

 

どこか憐れんでいる感じで喋るザントにリーテンが、焦りながら話しかける。

 

「で、でも!ザントさんは手伝ってくれたじゃないですか!」

 

「勘違いするなよ。お前らのためでも、あの雑魚共のためじゃねぇ。あいつらを図に乗らせれば、この先の攻略なんて一生できなくなるからな。ましてや、人のアイテムを奪っておいて、自滅し合っている救いようのねぇ馬鹿集団を助けるなんざ反吐が出る」

 

相変わらず攻略組を馬鹿にしながら喋るザントにシヴァタが反応する

 

「おい、流石に言い過ぎなんじゃないか。確かに今回の一連の原因は俺たち攻略組にあるけど、あいつらだって好きであんなことをした訳じゃ・・・」

 

「ああ。馬鹿を馬鹿て言って何が悪ぃんだ?救いようのねぇ奴らを擁護したところで、それは結局、てめえの自己満足だろうが」

 

「な!?」

 

「俺はな、'個'では弱ぇくせに'団'になると、自分は強い団に所属している。だから、強いなんて言う奴が死ぬほど嫌いなんだよ。てめえらはどうなんだ?弱ぇくせに口だけはいっちょ前の雑魚が自分の前に現れてみろ。反吐が出るだろ?」

 

『・・・・・・』

 

ザントの言葉に何も言い返せずにいると

 

「そこまでにしておけ。この世界には色んな人間がいて、全員が同じ考えを持っているわけじゃないんだ」

 

エギルがザントを止めた。エギルを見たザントは、これ以上は話す必要ない的な顔で黙り込んだ。

ザントが喋るの止めたのを確認するとエギルは、ハルト達の方を向いて喋り始める。

 

「みんな、それぞれ思うところはあるかもしれない。けどよ、少なくとも同じ目的でここにいるのは確かだ。なら、喧嘩する暇があるなら、オークションに向けて少しでもコルを稼ぐ。そうだろ?」

 

エギルの言葉に頷くハルト達。

 

「それじゃあ、行動再開と行こうぜ。俺たちはもっと効率のいいクエストがないか調べてくるから、お前らは引き続き同じクエストをやっておいてくれ」

 

エギルの言葉を最後にハルト達は、行動を再開した。

 

 

 

 

「これで、全部だね」

 

「エギルさんに報告しよう」

 

一通り素材を集めたハルト達。

エギル達のところに向かおうとしたその時、誰かが言い争っている声が聞こえた。

声の正体はALSの男とDKBの女であった。

 

「ALSとDKBの人が喧嘩しているよ。どうしたんだろう・・・」

 

コハルがそんな疑問を言うと

 

「大変なことになりました・・・」

 

リーテンが困ったような顔をしながら呟いた。隣にいるシヴァタやエギルも同様だった。

 

「何が起きたの?」

 

「はい。実はあの人たち、アルゴさんの攻略本を買ったんです」

 

「アルゴはコルさえ払えば、情報を渡すからな・・・」

 

ハルトの問いにリーテンとシヴァタが困ったように答える。

この調子でいけば、この辺の狩り場は攻略組に独占されるとのこと。

 

「仕方ねぇ、この辺のクエストは諦めて、別の場所を探すしかねぇな」

 

エギルが渋々言う。

下手に攻略組と騒ぎを起こせば、攻略どころか最悪、攻略組を敵に回してしまうかもしれない。

そう考えたハルト達は移動しようとしたが

 

「あれ?ザントさんは?」

 

コハルがザントがいないことに気付き、それに気付いたハルト達も辺りを見渡していると

 

「おい、邪魔だ雑魚共」

 

「「!?」」

 

いつの間にか、言い争っていたALSとDKBのプレイヤーのところにいて、場所を退くように威圧していた。

殺気をも含まれている威圧に二人共、ビクッとなったが、すぐにDKBの女が言い返す。

 

「な、何なのよあんた!いきなり出てきておいて、邪魔だなんて!私は・・・」

 

「おい、馬鹿!こいつ《狂剣士》だ!」

 

「!?」

 

ザントに文句を言っていたプレイヤーだったが、隣にいたALSのプレイヤーから放たれた《狂剣士》の言葉に言葉を止める。

女は第二層のボス攻略に参加していなかったため、噂でしか聞いていないが、《狂剣士》とは言葉通り狂ったような戦いをする剣士であり、平然とプレイヤーを斬るという。

そんな、危険人物に等しい剣士が今、目の前いる。しかも、殺気を出して。

さっきまで、威勢よく喋っていた女は、恐怖ですっかり固まってしまった。男の方も同じように固まっている。

そんな彼らにザントは更に殺気を出し

 

「ここは、フィールドだ。戦う気もなく、ただ、ベラベラとうるせぇ雑音を流し続けてんじゃねよ。これ以上、雑音を流し続けるつもりってなら」

 

そう言いながら、背中の両手剣に手をかけ

 

「この場でエネミーごとてめぇらをぶった斬ってやろうか!あぁ!」

 

「「ヒイイイーーー!!」」

 

先程まで喧嘩していた男女は、恐怖で逃げ出した。

 

「チッ、口だけの雑魚が・・・」

 

逃げていく様子を眺めながら吐くザント。

すると、一部始終見ていたハルト達が近づいてき、エギルが戸惑った表情でザントに話しかける。

 

「おい、ザント。流石にそれはマズイだろ。下手に攻略組と揉め事を起こしたら・・・」

 

「さっきも言っただろ。俺は弱ぇくせに、口だけはいっちょ前の奴は嫌いだって。あんな雑魚共にイキられるぐらいなら、この場で消した方がマシだ」

 

「ザントさん・・・」

 

ザントの言葉に不安そうな表情で見るコハル。

そんなコハルの様子にザントは、舌打ちすると歩き始めた。

 

「お前らとは、一旦別れた方がいい。俺と一緒にいたんじゃ、お前らに迷惑がかかる。この辺のクエストは俺がやっといてやるよ。お前らは別の方法でコルを集めておけ」

 

そう言いながら、ザントは去っていった。

 

『・・・・・・』

 

残ったハルト達はザントが去っていった方向を黙って見続けていたが

 

「なるほど、噂通りの狂いっぷりだね」

 

『!?』

 

新たに聞こえてきた声に反応し、振り向くと先程の青年、リュールがいた。

 

「やぁ、騒がしいと思って来てみれば、早速の再会だね」

 

「あなたはさっきの・・・リュールさん」

 

「あなたが隠し撮りしていた人ですか?」

 

こちらに話しかけてきたリュールに普通に対応するコハルに対し、先程の隠し撮りのこともあってか、警戒心を持ちながら問いかけるリーテン。

 

「誤解しないでくれ。僕はその写真を見たことがあるだけだよ。それに、いくら僕がロマンを追い求める人間でも、会ったことのないプレイヤーの隠し撮りなんてできないよ」

 

どこか軽い感じで答えるリュール。

そんなリュールの態度がお気に召さなかったのか、エギルが少し怒気を含んだ表情で話しかける。

 

「・・・見ての通り、この辺りは殺気立った連中が多い。観光のつもりならやめておいたほうがいいぞ」

 

「ご忠告、感謝するよ。でも、僕は安全地帯から見学する観光客と違って、このフィールドを一人で回れるくらいのレベルはある。それに、多少のリスクを背負わないと見れない物もあるしね」

 

エギルの怒気を浴びても、変わらない様子で答えたリュールは、何か思い出したかのように話題を変え始める。

 

「ところで、君たちは今、コルが必要なんだよね?それなら、いい情報があるよ。《立ち枯れの森》であるクエストを受けることができるエルフの賢者がいるんだ」

 

「エルフの賢者・・・ということは、エルフクエストに関係が」

 

「なるほど、君たちは六層までのエルフクエストを進めているのか。だったら、行ってみた方がいいと思うよ。そのクエストで手に入る《探求者の証》は売れば、結構なコルになると聞いている」

 

「あくまでもβテストの情報だけどね」。そう言いながら、笑みを浮かべるリュール。

そんなリュールに未だに今度はシヴァタが、警戒心を持ちながら聞き出す。

 

「・・・随分と俺らにとって都合がいい情報だな。でもよ、それはβテストの情報で、あんたもただ聞いただけだろ。実際にそのクエストがあるって確証はあるのかよ?」

 

「ないね。でも、君たちに嘘をついて、僕になんの得があるんだい?むしろ、こうして君たちに協力することが僕自身のためでもあるんだ」

 

「何?」

 

僕自身のためっと聞いて更に警戒するシヴァタ。

すると、リュールは両手を広げて語り出す。

 

「君たち二人にはさっき言ったけど、僕は吟遊詩人。いつか本物の勇者をこの目で見て、その活躍を人々に伝える。それが僕の夢なのさ」

 

「・・・あなたは、このデスゲームでも夢を持っているんですね」

 

リュールの言葉に口を開いたのは、リーテンであった。

 

「不服かい?」

 

「いいえ、私にも、タンクになりたいって夢がありまして、それを叶えることができた自分を誇りに思っています。このデスゲームで夢や目標を持つことは、この世界を生きる上で大切なことだと、私は思っています」

 

真面目な表情で夢を持つことは大事だと語るリーテンだが、「ですが」っと喋るとリュールに問いだす。

 

「あなたにとって『本物の勇者』とは、どんな人ですか?」

 

「そうだね・・・逆に聞くけど、今、この七層でみんなを勇気付けられるカリスマ性のある人はいるのかい?」

 

リュールからの質問にハルト達は答えられずにいた。

五層の時に一人だけ、それが可能であろうプレイヤーがいたが、彼は今現在、行方不明になっており、どこにいるのか分からない。

質問に答えられずにいると、リュールは少し落胆した表情になると

 

「やれやれ、君たちは勇者になる気があるのかい?」

 

「おい、いい加減にしろ。俺たちをからかって遊びたいなら、他所でやれ」

 

エギルがかなり怒気を含んだ表情で喋った。

 

「ふざけているように見えたなら謝るよ。何せ夢の話なんて普段は他人にしないからね。でもね、僕は、今、最前線で戦っている君たちの勇姿を下の層にいる人たちに伝えたい。そのためには、記録よりも実際に見たという記憶が欲しいんだ。ここで生きている人たちの軌跡をね。その物語の中心には、最前線でボスを倒し続けて、このゲームをクリアしてくれる英雄が必要なんだ。だから、今、最前線で戦っている君たちは、僕にとって勇者候補なのさ」

 

謝りながらも、自身の夢を語るリュールに誰も文句は言わなかった。

自身の夢を語り終えたリュールは、改めてハルト達の方を見て喋り出す。

 

「これが、君たちに情報を与えることで僕が得られる利益さ」

 

「・・・どうします、ハルトさん」

 

リーテンが信じるかどうか、ハルトに問いだす。

リュールの話を黙って聞いていたハルトは悩んだ。

彼が吟遊詩人というのは間違いないし、彼が自分自身のために情報を伝えたのも事実だろう。

けれど、彼の目的が本当にそれだけなのかってなると不明だ。

悩んだが、現状手がかりがない以上、彼の情報を信じるしかないと考えたハルトは周りを見ながら答える。

 

「行くよ。今の僕らには、他に手がかりがない以上、それに賭けるしかない」

 

「そうだね、少しでも可能性があるのなら、私もそれに賭けたい」

 

ハルトに続いて、コハルも決意する。

それを見たエギルは、仕方ない的な表情をすると

 

「分かったよ。俺らは別の方法で稼ぐ手段を探しているから、そっちの方は頼んでいいか?」

 

「はい!」

 

「任せて。必ず、成果を上げて来ます」

 

エギルの言葉に決意を固めて返した二人。

それを見たリュールは、笑みを浮かべるとエギルに話しかける。

 

「それなら、君たちにはいくつか効率のいいクエストを紹介するよ」

 

「ホントか!?」

 

リュールの言葉にエギルが反応する。

その後ろで、シヴァタとリーテンが二人に話しかける。

 

「俺たちはここであいつの話を聞いている。お前たちは先に行ってくれ」

 

「私たちもきちんと稼ぎますので、しばらくしたら合流しましょう」

 

「分かった。それじゃあ、僕らは行くよ」

 

「また後で会いましょう。エギルさんもまた後で」

 

二人に挨拶し、エギルにも声を掛けたハルトとコハルは、《立ち枯れの森》に向かおうとしたが

 

「期待しているよ。僕の中では、君たちも勇者候補だからね」

 

リュールが声を掛けきた。

それに対して、コハルは苦笑いし、ハルトに至っては無視していた。

四人と別れて、しばらくたった頃、ハルトが口を開いた。

 

「・・・僕、あの人のことは好きになれない」

 

「ハハハ・・・私も・・・」

 

リュールに対して、低い評価を下しながら、《立ち枯れの森》にへと向かうのであった。

 

 

 

 

第七層《立ち枯れの森》

先程の緑が生い茂るフィールドと違い、辺りは枯れ木ばかりで、名前通りのフィールドであった。

そんな、フィールドを進んでいくと、誰かの話し声が聞こえてきた。

 

「・・・ちゅうわけや。フロアボスの参加は控えてくれんか」

 

「ああ、構わない。俺もそのつもりで宣言したしな」

 

声の主はキバオウで、彼はキリトとアスナにキリトのフロアボスの参加を控えて欲しいと頼んでいた。

キリトも第六層で宣言したことだから、特に慌てることなく承諾したが、隣にいるアスナが不機嫌に喋る。

 

「それで、私たちに何の用?まさか、私たちが第七層のクエストをするのも、止めて欲しいって言うつもりじゃないでしょうね?」

 

「ワイもそこまで言わん。ただ、五層の時、ジブンらが抜け駆けしてくれたせいで、一部の連中が動揺しとるんや。中には、強硬路線を取るための新しいギルドを作ろちゅう動きも出とる」

 

「呆れた・・・何のために戦っているのよ・・・」

 

キバオウの言葉にアスナが、呆れたように返した。

 

「返す言葉もないわ。ワイら攻略組の目的はあくまでも百層の突破や。ここいらで、ワイらの力を合わせて、結束を取り戻さないと、一生百層にたどり着けられん」

 

「そんなの勝手な言い分だわ」

 

「いや、あんたらが確実にボスを倒してくれるなら、俺は構わないさ」

 

未だにキバオウを非難するアスナをキリトが制止した。

 

「フロアボスは一人では、絶対に攻略できない。そのためには、みんなを引っ張ってくれる強いリーダーが必要なんだ。いてくれるだけで安心できる、そんなリーダーが」

 

「・・・ワイはALSのリーダーや。少なくとも、あいつらに対しては、責任がある。せやから・・・」

 

キバオウの言葉にキリトは分かっているという感じで頷くと、アスナの方を見る。

 

「アスナ。君もボス攻略に必要な人間だ。だから、これ以上は俺に付き合う必要は・・・」

 

「だとしても、今はあなたと一緒に行く。クエストだって、まだ途中だし、中途半端にはできないわ」

 

アスナの決意を聞いて、キリトはやれやれといった感じで微笑んだ。

 

「とりま、クエストはやるなとは言わんから、ジブンらはジブンらで行動しといてくれ。・・・一つ言わせてくれんか。六層の時、本来ならワイがあの場を収めるべきだったのに、何もできなくてすまんかった」

 

そう言いながら、キバオウは去っていき、キリトとアスナもどこかに行ってしまった。

三人がいた場所を黙って見続けるハルトとコハル。

 

「・・・リーテンさんも言ってたけど、今のALSは大分追い込まれているみたいだね・・・」

 

「うん。それこそ、他人を傷つけることも厭わないくらいに・・・」

 

三人の会話を聞いて、今のALSの現状を改めて思い知ったハルトとコハル。

しばらく、沈黙が続いたが、コハルが口を開いた。

 

「でも、こんなのは絶対に間違ってるよ。人を傷つけてまで、攻略を優先するなんて・・・」

 

「そうだね。だから、必ずオークションは勝ってみせる」

 

そう決意した二人の下に声が掛けられる。

 

「久しぶりだな、お前たち」

 

声を掛けられ、振り向くと「紅の狼」の面々がいた。

 

「トウガさん!久しぶりです!」

 

「トウガ!五層のボス攻略以来だね」

 

「ああ、そうだな。ボス攻略の時は世話になったな」

 

久しぶりの再会に喜ぶハルトとコハル。

「紅の狼」の面々も、ザントと同じく、六層のボス攻略に参加していなかったため、あの出来事は知りもしない。

ところが、トウガは普通に挨拶したが、他の四人は挨拶はせず、不機嫌な様子であった。しかし、それらはハルト達二人にではなく、別の場所に向けているようであった。

 

「ところで、トウガ。他の四人はなんか不機嫌に見えるんだけど、どうしてなの?」

 

「ああ、実は・・・」

 

彼らの様子に気になったハルトは、トウガに聞くとトウガは、ここまでの経緯を話し始める。

第七層に来た「紅の狼」は、六層での遅れを取り戻すために、ちょうどいい狩り場を見つけて、そこでレベル上げやコル集めをしていた。

ところが、不意にALSの軍団がやってきて、ここはALSの狩り場だ。攻略組でない奴らはさっさと場を明け渡せっと要求してきた。

当然、そんな理不尽な要求を呑むはずもなく、トウガ達は否定し続いてが、向こう側も中々引かず、遂には鞘に手を当ててきた。

その行いを見て、流石にマズいと思ったトウガは、渋々狩り場を明け渡した。

ALSの横暴とも言える行いに、ソウゴとカズヤは未だに怒りを露わにしており、穏健派のコノハとレイスですら、不愉快な気持ちであった。

 

「ということなんだ」

 

「そんな・・・」

 

「事態はそこまで深刻になっているのか・・・」

 

「ん?何か知っているのか?」

 

ALSの横暴な行いについて、何か知っているような発言をした二人にトウガは問いかける。

二人は互いに顔を見合わせ、彼らになら話しても大丈夫だと思い、六層での出来事やオークションについて説明した。

すると、トウガは深刻な表情になった。

 

「そうか・・・最近、何もトラブルがないと思ってたら・・・」

 

「チッ、他人のアイテムを強引に奪っておいてこれか・・・口だけが達者の雑魚共が・・・」

 

呆れたように喋るトウガに対して、攻略組に暴言を吐くソウゴ。

他の三人も攻略組の強盗まがいの行為に怒りを露わにしていた。

 

「攻略組がそんなことをするなんて・・・」

 

「あいつら、ここから出る気あんのかよ・・・」

 

「卑怯っす!キリトさんが苦労して手に入れたアイテムを奪ったあげく、オークションの商品にするなんて!」

 

それぞれ、怒りや不安の声を出し、その様子を見て、ハルトとコハルも不安げな表情になる。

場はすっかり暗い雰囲気になっていた。

流石にこのままの雰囲気で話し続けるのは良くないと思ったトウガは、ひとまず、場の雰囲気を変えるべく、ハルト達に質問する。

 

「そう言えば、お前たちはどうしてこんなところにいるんだ?」

 

「あ、はい。実は私たち、あるNPCを探しているんです」

 

トウガの質問に答えるコハル。

それから、コハルはある程度の事をトウガ達に話した。

話しを聞いたトウガは、「なるほど」っと頷くと、ハルトがトウガに向かって

 

「良かったら、トウガ達も一緒に来ない?」

 

「何?」

 

ハルトの提案に少し考えたトウガだったが

 

「構わない。どうせ他にやることがないし、一緒にエルフクエストを進めるのも悪くない。お前たちもそれでいいよな?」

 

トウガが他の四人に聞くと、四人共頷いた。

トウガ達と一緒に行動できることに二人は、笑顔を浮かべ

 

「よろしくお願いします。トウガさん達がいてくれたら百人力です」

 

「それじゃあ、早速そのNPCの所に行こう。五人共、よろしく!」

 

「こちらこそ。期待に応えれるよう精進しよう」

 

先程までの暗い雰囲気はすっかり無くなり、ハルトとコハル、「紅の狼」の面々は森の奥へと進むのであった。




・六層での《精霊錫》の行方
SAOIFだとユウキの剣の作成に使われましたが、ユウキがいないので、主人公の片手直剣の作成に使われました。

・リズベットと面識があるリーテン
簡単に言えば、ep.11で書いてあった友達がリズベットです。

・ツンデレザント(イメージCV 岡本信彦)
岡本キャラってツンデレが多いよね。

・リュール
SAOIFのオリキャラ。吟遊詩人で、ミステリアスなキャラだが、知名度は低く、マテルと違って未だに星4スキルがない。イケメン、吟遊詩人・・・アイマスかな?

・《狂剣士》
ザントの二つ名。最初は《狂剣士》と書いてバーサーカーにしようとしたが、某閃光の二つ名と少し被るので、そのまま読ませた。


SAO_UW16話を見て思ったこと
・サトライザー・・・変態(わいせつ行為)、サイコパス
・柳井・・・変態(アドミちゃん)、サイコパス
・PoH・・・変態(ホモ)、サイコパス
全員、変態とサイコパスしかいねぇー


テストのため、執筆が遅れましたが、何とか書きました。
ユウキやリーファがいないため、SAOIFとの変更点とか、考えるのに結構苦戦しました。
次回、オークション開催です。
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