ソードアート・オンライン IF(アイエフ)   作:イノウエ・ミウ

18 / 95
今週のSAO、マジで最高だった。おかげで、モチベーションが上がり、早く投稿することができました。

第七層ボス攻略です。


ep.15 第七層ボス攻略

第七層迷宮区ボス部屋前

迷宮区を難なく突破したハルト達、攻略組はついにボス部屋の目の前にたどり着いた。

 

「ALS、準備完了や!」

 

「DKBもいつでも行ける。号令頼んだぞ、リーダー」

 

キバオウとリンド、二人のギルドリーダーから準備完了の合図を聞いたハルトは、目の前の扉に立ち

 

「行こう!」

 

と言いながら、扉に手をかけようとしたら

 

’ギィーーー’

 

扉が勝手に開いた。

呆然としていたハルト達であったが、気を取り直して攻略組全員が一斉に部屋の奥になだれ込んだ。

ボス部屋の中は天井に夜空が浮かび上がっているが、壁の背景には石造りの柱などが立っており、どこか中世ヨーロッパのコロシアムを感じさせるような雰囲気だった。

その雰囲気に誰もが飲まれていると、部屋の中心が突如光り出し、それはたちまち姿を変えた。

どこか、トロールを思わせるそいつは、緑の巨体に、太っているように見える体は全て筋肉であり、その筋力で右手に巨大な片手棍を軽々と持ちながら、間抜けそうな顔で佇んでいる。

その巨大トロールの上に、いつも通りボスの名前が表示される。

《トール・ジ・アノーイング・トロール》。それがこの巨大トロールの名前だ。

ボスの迫力に後方にいる攻略組が圧倒される中、ハルトはHPバーの隣にあるボスの弱点のタイプを確認すると、クイックチェンジで武器を片手棍に変え

 

「総員!戦闘開始!打ち合わせ通り、タンク隊は前に出て、ボスの攻撃を受け止めながらヘイトを集めて!その隙にアタッカーが攻撃!」

 

『おおっ!!』

 

ハルトの指示に従い、散らばる攻略組。

こちらの存在に気付いた《トール・ジ・アノーイング・トロール》は正面にいるハルトを含む複数のプレイヤーに向けて、巨大な片手棍を振り上げたが

 

「カズヤ!」

 

「応!」

 

タンク隊のトウガとカズヤが振り下ろされた棍を盾で防いだ。

 

「オラァッよ!」

 

「ヤァ!」

 

その隙にザントが両手剣で《トール・ジ・アノーイング・トロール》の巨体を斬る。

それに続いて、アスナもレイピアで巨体を突き刺す。

強力な攻撃を食らった《トール・ジ・アノーイング・トロール》はヘイトを二人に向け、二人目掛けて棍を振り下ろしたが

 

「回避ッ!」

 

「へッ、遅ぇ!」

 

食らったらひとたまりもない攻撃を、軽々と回避し続ける二人。

 

「ALS!攻撃開始や!」

 

「DKB!前に出るぞ!」

 

そこにキバオウ率いるALSのアタッカー達が前に出て、《トール・ジ・アノーイング・トロール》に攻撃していく。更にリンド率いるDKBのアタッカー達も攻撃に参加する。

再生する隙も与えない連携攻撃を次々と食らっていく《トール・ジ・アノーイング・トロール》はこの状況を何とかしようと、薙ぎ払うかのように横から棍を振るが

 

「させるかよ!」

 

「みんなはやらせない!」

 

タンク隊のエギルとリーテンに防がれた。

攻略は順調だった。

タンク隊が《トール・ジ・アノーイング・トロール》の攻撃を受け止めて、その隙にアタッカーが攻撃しつつ、回避に専念。

リーダーが一人しかいないことで、皆、ハルトの指示に文句を言うことなく、素早く行動していて、着実にダメージを与えていった。

すると、《トール・ジ・アノーイング・トロール》のHPが半分になったところで、《トール・ジ・アノーイング・トロール》は突然、雄叫びを上げた。

何事かと、攻略組が警戒しながら見ていると、《トール・ジ・アノーイング・トロール》の体が真っ赤に染められ、HPバーの横に攻撃力上昇のバフが付与されていた。

 

「!?気を付けて!攻撃力上昇のバフが付与されている!タンク隊は引き続き攻撃を受け止めて!ただし、攻撃力が上がっているはずだから、HPが半分以下になったら他の人と交代して回復に専念!その隙アタッカーは回避に専念しながら攻撃!」

 

《トール・ジ・アノーイング・トロール》に変化が起きても、冷静に状況を見極めながら指示を出すハルトとそれに従う攻略組。

先程と同じように、タンクが攻撃を受け止めて、その隙にアタッカーが攻撃してダメージを与えていく。

攻撃パターンは先程と変わらなかったが、攻撃力が上がった分、タンク隊の消耗が激しい。

攻撃を受け続けてHPが半分以下になったトウガとカズヤは他のタンク隊にタンクを任せると、仲間たちのところに戻った。

 

「状況はどうだ?」

 

「まずまずだ。俺たちが攻撃を防いでいる間、アタッカーが攻撃し続けているが、この調子だとボスを倒しきる前にタンクが全滅し兼ねない」

 

ソウゴの問いに、回復しながら冷静に状況を分析しているトウガ。

この調子で行けば、タンクの回復が間に合わない。そうなれば、ボスのヘイトがアタッカーに向く。

軽装備のアタッカーが攻撃力が上がった《トール・ジ・アノーイング・トロール》の攻撃を食らえば、どうなるか分かったもんじゃない。

 

「(タンクが全滅する前に、何とか強力なソードスキルで削り切りたいところだが、今のままじゃあ無理だ。後二人、いや、一人でもいいから、強力なアタッカーが欲しいところだが・・・)」

 

そんなことを考えていると

 

「もういいんじゃないか?」

 

ソウゴが隣から話しかけてきた。

 

「いいって何がだ?」

 

「惚けんなよ。お前、そろそろあっち側に立ちたいって思ってんだろ?」

 

すっぽかしているトウガを、ソウゴは真剣な表情で問う。

その問いにトウガは無言であったが、ソウゴは言葉を続ける。

 

「お前がタンクになったのも、俺たちのためだってことは、みんな分かっている。けどよ、自惚れるつもりはねぇが、もう、みんながお前に守ってもらうほど弱くねぇことは、この場で誰よりも俺たちのことを見てきたお前が一番理解しているはずだ」

 

「・・・」

 

ソウゴの言葉に、トウガは何も返せずにいた。

すると、カズヤが大声を出した。

 

「だぁー!もう、しゃらくせぇ!いいから行きやがれってんだ!タンクなら、もう、俺一人で十分だ!お前言ったよな?SAOは遊びじゃねぇって。けどよ、ゲームではあるだろ?だったら、お前自身のやりてぇことをやんねぇでどうするんだ!?」

 

「カズヤ・・・」

 

真剣な表情で自身に問いかけるように喋ったカズヤを静かに見るトウガ。

そこにレイスとコノハも喋り出す。

 

「行ってくださいトウガさん!俺たちがこうして戦えるようになったのも、トウガさんのおかげっす!」

 

「僕らはもう大丈夫。君にたくさんの勇気を貰ったから」

 

「だから!」とコノハは息を吸って大声で叫んだ。

 

「行って、リーダー!君が僕らを助けてくれたように、今度は僕らが!君のなすべきことを果たすために、全力で君をサポートする!」

 

「!?」

 

コノハの言葉にハッとしたトウガはソウゴ達に笑みを浮かべると

 

「ありがとう、みんな」

 

お礼を言いながら、ハルトの方へ走っていった。

仲間たちに見送られながらトウガは、指揮に集中しているハルトに声を掛ける。

 

「ハルト、一ついいか?」

 

トウガに声を掛けられ、《トール・ジ・アノーイング・トロール》の方を警戒しながら、振り向くハルト。

すると、彼からハルトにとって、理解できない一言が伝えられた。

 

「今から俺はタンクを捨てる」

 

「え?」

 

タンクであるトウガがタンクを捨てる。

その意味が分からず、問いだそうとしたハルトだったが、トウガはクイックチェンジで持っている武器を剣と盾から、短剣のみに変えると、《トール・ジ・アノーイング・トロール》に向かって飛び出した。

 

「ちょっ、トウガ!?」

 

ハルトが驚きの声を上げる中、トウガは真っ直ぐ《トール・ジ・アノーイング・トロール》の方に近づいていき

 

「ハッ!」

 

<ミスティ・エッジ>で攻撃しながら、《トール・ジ・アノーイング・トロール》の後ろへ移動した。

驚異的な速さで体を切り刻まれた《トール・ジ・アノーイング・トロール》は一瞬、何が起きたのか分からない的な表情をしていたが、後ろを向き、自身を斬ったと思わしき人物を見つけると、後ろにいるトウガ目掛けて巨大な片手棍を持っていない左手で拳を振り下ろしたが

 

「遅い」

 

拳がトウガに当たる直前にトウガはジャンプして躱し、更に《トール・ジ・アノーイング・トロール》の拳が振り下ろされた腕に足を着地させると、またジャンプして、今度は《トール・ジ・アノーイング・トロール》の体に目掛けて跳び、空中で<スライス>を発動させて、その巨体を切り刻んだ。

二度も自身の体に傷を付けられた《トール・ジ・アノーイング・トロール》はその人物を憎らし気に見ながら攻撃するも、トウガはその驚異的なスピードで全て回避しながら攻撃していき、着実にダメージを与えていった。

 

「す、凄い・・・」

 

「なんか、いつものトウガさんと違うね・・・」

 

普段知っているタンクのトウガと違って、素早い動きで敵の攻撃を回避しながら強力なソードスキルを何発も撃っているトウガの戦闘スタイルに圧倒されていたハルトとコハル。

 

「あれが、トウガ本来の戦闘スタイルだ」

 

呆然と見ている二人に、ソウゴがハルトの隣でそう呟いた。

 

「本来の戦闘スタイル?」

 

「ああ。あいつは昔からどのゲームでも、指示を出しながら、攻撃して素早く攻撃を躱す、ヒット&アウェイスタイルなんだが、SAOがデスゲームだと分かって以降、俺たちがSAOに慣れるまで、タンクをしてたんだ」

 

「元々は俺がタンク役だったけどよ、どうも上手くいかなくてな。そしたら、ある日、あいつが俺が慣れるまで、自分がタンクをやるって言ってきたんだよ。当然、最初はみんな止めたけどよ、いざやってみたら、マジでタンクをしていやがるから、すげぇよ、あいつは」

 

ソウゴの隣でカズヤも自慢げにトウガを評価する。

 

「けど、私たちと一緒に行動した時もトウガさんはずっとタンクでしたよね?なのに、あそこまで、短剣の熟練度が高いということは・・・」

 

「コハルの想像通りだ。あいつは普段は片手直剣と盾の熟練度を上げていたが、密かに短剣の熟練度も上げてたんだ」

 

それを聞いたハルトとコハルは驚いた。

武器の熟練度を上げることが容易でないことは、自分たちだって実際に経験している。

しかし、ソウゴの話が本当なら、ただでさえ、タンクのスキルが高いというのに、それ以上に短剣の熟練度を、トウガは自分たちの知らない所で上げていたことになる。

トウガの新たな事実に驚いていると、カズヤが頭に手を当てながら話し出す。

 

「まあ、要するに・・・アタッカーになった時のあいつは、マジで強ぇぜ」

 

自分たちのリーダーを自慢げに語ったカズヤは、《トール・ジ・アノーイング・トロール》の方を見る。

向こうでは、攻略組が奮戦している中、トウガが跳んで、《トール・ジ・アノーイング・トロール》の顔面に短剣を突き刺した。

すると、《トール・ジ・アノーイング・トロール》が突然動きを止めた。

 

「動きを止めたで!」

 

「今だハルト!《滅却の結晶》を使え!」

 

トウガの叫び声に応じて、ハルトはストレージから《滅却の結晶》を取り出し

 

「いっけーーー!」

 

《トール・ジ・アノーイング・トロール》に《滅却の結晶》を掲げると、《滅却の結晶》が光り出し、その光を浴びた《トール・ジ・アノーイング・トロール》は雄叫びを上げながら苦しみ出した。

 

「総員、一斉攻撃!」

 

『うおぉーーー!!!』

 

ハルトの掛け声に続いて、攻略組は一斉に《トール・ジ・アノーイング・トロール》に攻撃した。

全方位から強烈なソードスキルを食らった《トール・ジ・アノーイング・トロール》は、床に膝を付けた。HPバーを見てみるとゲージがどんどん減っていく。

 

「やったか?」

 

キバオウが小さく呟く。他のプレイヤー達もHPが減っていく《トール・ジ・アノーイング・トロール》を安堵の表情で見ていたが

 

「ゴオォーーー!」

 

「いや!?再生したぞ!」

 

見る見るうちに減ってきていた《トール・ジ・アノーイング・トロール》のHPが突然増えた。いや、回復し始めた。

 

「そんな!無敵状態は解除したはずなのに」

 

リーテンが悲鳴に似たような声を上げる中、《トール・ジ・アノーイング・トロール》は棍を上に振り上げた。

 

「マズい!大技が来るわよ!」

 

アスナが攻略組の面々に向かって叫ぶが、《トール・ジ・アノーイング・トロール》は振り上げた棍をDKBの面々に向けて振り下ろした。

 

『うわぁーーー!!』

 

未だに攻撃力上昇バフが付与されている強力な攻撃を食らったDKBの大半が吹き飛ばされ、大ダメージを食らったプレイヤーも少なくはなかった。

 

「くそ!DKBの陣形が崩された!」

 

「誰かフォローしないと!」

 

エギルとコハルが声を上げる中、ハルトは焦りつつも冷静さを保ちながら攻略組に指示する。

 

「重装備のタンクはすぐに倒れた人たちのカバーを!」

 

「私が行きます!」

 

ハルトの指示に真っ先に答えたリーテンが前に出た。

《トール・ジ・アノーイング・トロール》がもう一度、棍を振り上げて、倒れているリンドやシヴァタを含むDKBの主力部隊に攻撃しようとしたが

 

「させるかーーー!」

 

リーテンが盾で《トール・ジ・アノーイング・トロール》の攻撃を防いだ。

 

「皆さん!今のうちに体制を立て直してください!」

 

「よし!DKBは倒れている仲間の回復を!その間、ALSはDKBの人たちが回復し終えるまでボスの注意を引き付けて!もう一度、削り切る!」

 

「よ、よし!みんなの回復を急げ!主力部隊が回復しだい加勢するぞ!」

 

「よっしゃー!行くでALS!もういっぺん削り切ってやらぁ!」

 

ハルトの指示に従い、再度《トール・ジ・アノーイング・トロール》に攻撃し始めた攻略組。

そんな中、トウガは別のことを考えていた。

 

「(あのボス・・・キズメルは無敵状態を解除するために《滅却の結晶》が必要だと言っていたが、解除しても再生能力がある以上、削り切れない・・・何かあるはずだ。無敵状態の他に再生能力も解除する何かが・・・まさか!?)」

 

《トール・ジ・アノーイング・トロール》について考察していたトウガは、何か閃いたようだが

 

「ボスの動きが止まった!」

 

ハルトの言葉に我に返り、様子を見てみると先程と同じように動きを止めた《トール・ジ・アノーイング・トロール》の姿があった。

 

「今だアスナ!《滅却の結晶》を!」

 

「了解!」

 

アスナが《滅却の結晶》をストレージから出す中、トウガは迷っていた。

 

「(どうする・・・もし、俺の想像通りなら、このままだと、失敗する・・・アスナが《滅却の結晶》を使うタイミングであれを使えば、あのボスを倒せるはずだ・・・だが、もし、そうじゃなかったら・・・)」

 

自身の考察が合っているのかどうか。その瀬戸際にトウガは悩んでいたが

 

「!?」

 

突如、後ろから声が聞こえた。しかし、振り向いても誰もいない。

だが、その声は聞き覚えのある声で、はっきりとこう言った。

 

「今、お前の考えていることは、俺の知っていることと同じだ」と。

 

その言葉を聞いたトウガは、笑みを浮かべると、ストレージを開いた。

一方、アスナはストレージから《滅却の結晶》を取り出し

 

「これでどう!」

 

《トール・ジ・アノーイング・トロール》に《滅却の結晶》を掲げると、先程と同様、《滅却の結晶》は光り出し、《トール・ジ・アノーイング・トロール》は苦しみ出した。

これを見たハルトは先程と同様、いや、もっと強力なソードスキルで攻略組全員で攻撃し続けようと考えた。

 

「よし!総員、こう「まだ、するな!」・・・え?」

 

だからこそ、トウガが指示を制止させた意図が読めなかった。

ハルトを制止させたトウガは、そのまま《トール・ジ・アノーイング・トロール》に近づいた。左手に《滅却の結晶》を持ちながら

 

「これでどうだ!?」

 

そうして、ハルトやアスナ同様、《トール・ジ・アノーイング・トロール》に向けて《滅却の結晶》を掲げると、《滅却の結晶》は光り出し、その光を浴びた《トール・ジ・アノーイング・トロール》は特に変わらず、苦しんでいた。

 

「今だハルト!攻撃指示を!」

 

「う、うん。総員、一斉攻撃!」

 

『お、うおぉーーー!!!』

 

他の攻略組の面々も、トウガの奇行を呆然と見ていたが、リーダーの掛け声に我に返り、先程と同様《トール・ジ・アノーイング・トロール》に向かって一斉攻撃を仕掛けた。

攻撃を食らい続けた《トール・ジ・アノーイング・トロール》は、先程みたいに膝は付かなかったものの、怯んでおり、HPが回復することはなかった。

それを見たハルトは、一気に決めようと考えると、《トール・ジ・アノーイング・トロール》に向かって走りながら、隣を走っているトウガに声を掛ける。

 

「トウガ!僕があいつに刻印を付与させる!止めは任せた!」

 

「任せろ!」

 

トウガの返事を聞きながら、ハルトは《トール・ジ・アノーイング・トロール》目掛けて跳ぶと、片手棍を両手で握りしめ

 

「いっけーーー!!」

 

《トール・ジ・アノーイング・トロール》の頭目掛けて、<ウォータリング・フォール>で攻撃した。

頭を直接叩かれた《トール・ジ・アノーイング・トロール》は頭を抑えながら苦しみ出す。HPバーの隣に刻印のデバフが付いている状態で。

そして、ハルトが地面に着地すると同時に、トウガはそのままジャンプして《トール・ジ・アノーイング・トロール》に向かって跳ぶと

 

「終わりだ!!」

 

叫び声と共に空中で<ダーク・コンヴァージ>を発動させて、《トール・ジ・アノーイング・トロール》の体を斬った。

斬られた《トール・ジ・アノーイング・トロール》は雄叫びを上げていたが、トウガが着地すると同時にその体をポリゴン状に四散させた。

ボスが倒されてことで静寂と化したボス部屋。それと同時に攻略組の勝利の雄叫びが部屋中に鳴り響いた。

 

「ふぅー・・・」

 

無事にボスを倒してことで、ほっとしたようにため息を吐いたトウガ。

 

「お疲れ、トウガ」

 

そこにハルトや仲間たちが駆けつけてきて、彼らに気付いたトウガは、近づいていきハルトとハイタッチをした。

 

「コングラチュレーション。ナイス一撃だったぜトウガ。今回のMVPはお前だな。ただ、一つ聞きてぇんだけどよ、ボスが二回目の無敵状態になった時、どうしてお前はアスナの後に《滅却の結晶》を使ったんだ?」

 

トウガを賞賛したエギルだったが、トウガがしたことについて問いだす。

対するトウガは特に慌てることなく質問に答える。

 

「ああ、あのボスは確かに《滅却の結晶》を使えば、無敵状態は解除されたが、回復し出したから、無敵状態と同時に再生能力も解除する必要があると思ってな。だから、無敵状態が解除されたタイミングで《滅却の結晶》を使ったんだ」

 

「必要があると思ったって・・・大胆な奴だ、お前は」

 

咄嗟の判断でぶっつけ本番の行動をしたギルドリーダーにソウゴは呆れたように吐いた。

 

「・・・まぁ、俺と同じようにボスのからくりを知っていた奴が一人いたみたいだったしな」

 

「え?・・・誰もいませんけど?」

 

「いや、知らなくていいことだ・・・」

 

トウガは誰もいない空間に目を向けて、それに釣られて周りもトウガが見ている方を見たが、誰もいない。コハルが疑問の声を出したが、トウガは特に気にせず視線を元に戻した。

 

「それはそうと、何でトウガ君は《滅却の結晶》を持ってたの?それに、持っていたのなら、どうして攻略会議の時に言わなかったの?」

 

「ああ、オークション前にハルト達とエルフクエストをやっていたんだが、俺たちはハルト達と一緒に行動しただけで、パーティーを組んでいなかったんだ。そのせいで、システムは俺たちとハルト達はそれぞれ別々でクエストを攻略していると判断したみたいでな。ハルトが《滅却の結晶》をキズメルから貰った時に俺のストレージにもいつの間にか《滅却の結晶》が入っていたんだ。攻略会議で言わなかったのは、二つもあるなら、これは本当にヤバくなった時に使えばいいなと思って隠していただけさ。まさか、本当に使うことになるとは思っていなかったがな」

 

「人生、何が起こるか分からないな」とどこ吹く風のように喋るトウガを、ハルト達は呆れた様子で見ていた。

 

「ハルト」

 

トウガに呆れていると、新たに声を掛けられ、振り向くとキバオウとリンドがいた。

 

「今日はお疲れ。犠牲者を出さずにボスを攻略できたのも君のおかげだ」

 

「ワイらを信じてオークションに参加してくれたプレイヤー達にも面目が立った・・・おおきにな」

 

そう言うと、今度はトウガの方に向いた。

タンクであるはずの自分がアタッカーになったことや自分たちの知らないところで《滅却の結晶》を持っていたことなどを追求するつもりなのかと、少し警戒するトウガであったが

 

「あんたにも礼を言わないとな。ありがとうトウガ。あの時、君が一発怒ってくれなかったら、どうなっていたか分からなかった」

 

「あんさんには聞きたいこともあるけど、攻略会議の時に場を収めたくれたし、あいつらにワイらが存在することの意味を思い出させてくれたから、聞かんことでチャラにするわ・・・おおきにな」

 

意外と素直にお礼を言われたため、当の本人は

 

「あんたら・・・お礼、言えたんだな」

 

「一言余計や!」

 

「それくらい言えるわ!」

 

もの凄く失礼な返事をしたために、二人からツッコまれるのであった。

ツッコミを入れた二人は「ゴホン」咳払いしながら気を取り直すと

 

「それじゃあ、俺たちは八層のアクティベートをしていくよ」

 

「先に上で待っとるわ」

 

そう言いながら、キバオウとリンドはそれぞれギルドの面々を引き連れて、八層に向かった。

ボス部屋に残ったのは、中立の人間のみとなった。

 

「みんなはこれからどうするの?」

 

ハルトがこれからどうするのかを周りに聞き出すと

 

「俺は町に戻る。アスナやエギルに貸した分のコルを取り戻す」

 

「俺たちも戻って、ボス攻略でドロップしたアイテムやコルの整理をする。特に今回はLAボーナスもあるから、はかどりそうだ」

 

「俺も戻るぜ。アスナから借りたインゴットを陳列して客寄せ集めに使うつもりだ」

 

「私も戻るわ。今日のボス戦の成果をキリト君やアルゴさんに報告するから」

 

「みんな戻るんだね・・・僕らはどうするコハル?」

 

周りが町に戻る中、コハルに町に戻るか、八層に向かうか聞くと

 

「私たちも戻ろうよ。今日のボス攻略でハルトも疲れてるでしょ?」

 

「そうだね。・・・リーダーはこれで勘弁して欲しいよ・・・」

 

どこか疲れている様子で、そう呟いたハルトは息を吸い、笑顔で周りを見た。

 

「帰ろうみんな!」

 

こうして、第七層の激闘を制した少年たちは、それぞれの場所へ戻るのであった。




・<ミスティ・エッジ>
短剣の星3スキル。星3故にガチャで手に入りやすく、短剣スキルが揃ってなければ、使うことがある。

・トウガ本来の戦闘スタイル
タンク役だと思っていたが、実はヒット&アウェイ系のアタッカーでした。

・<ウォータリング・フォール>
片手棍の星4スキル。強力な一撃に加えて、次に与えるダメージが二倍になる刻印というデバフを付与させることができる。

・<ダーク・コンヴァージ>
短剣の星4スキル。単発攻撃であるため、膠着も少ないが、敵の毒状態を解除してしまうというデメリットがある。

・ボスのからくりを知っていた奴
これに関しても、SAOIFで分かるので、ぜひ、皆さんでプレイして頂いて、確かめることをお勧めします。


SAO_UW18話を見て思ったこと
・ただこの一言です・・・SAO最高!!


ということで七層編は以上となります。
リーファがいない分、オリキャラでどう補っていくかで、苦戦しましたが、何とかボス戦まで書ききることができました。
さて、ここで番外編を書きたいと思いますが、アンケートの結果、バレンタインとブライダルがほぼ同じということで、次回はバレンタイン(一年目)の話でその次がブライダル(一年目)の話にします。
また、サマーイベントの話も、二つの番外編が終わった後に書く予定の十層編の後に書くつもりですので、楽しみにしてください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。