ソードアート・オンライン IF(アイエフ)   作:イノウエ・ミウ

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2018年6月、スキルレコードにウェディングコハルが登場した時の作者

「ゴフッ!」

2019年6月、イベントストーリーでウェディングコハルの一枚絵を見た時の作者

「グハッ!」

ということで、毎年、作者を殺してきたストーリー。ブライダルイベント(一年目)編です。

時系列としては、九層の攻略が終わった後です。



サプライズ・ウェディング

六月の花嫁ことジューンブライド。

それは六月に結婚式を挙げると、一生涯にわたって幸せな結婚生活を送ることができるという。正に女子にとって憧れのウェディングである。

それにちなんで、ここアインクラッドでも、六月にウェディングに関するイベント。ブライダルイベントが行われていた。

 

「見てハルト!あそこに白いドレスを着た美人さんがいるよ!」

 

コハルもまた女子ゆえか、このイベントにテンション高く参加していた。

コハルが指を指した先には白いドレスを着た女性が立っている。

 

「上に!マークがある。ということは、あの人がクエスト専用NPCかな?」

 

「ジュリーって書いてあるよ。あの人の名前みたい。クエストを受けたら、私たちも結婚式に参加できるのかな?行ってみようよ!」

 

「あ!?待ってコハル!」

 

クエストNPCの下にダッシュで向かうコハルを慌てて追いかけるハルト

NPCの女性に近づいたコハルはそのまま話しかける。

 

「あ、あの!ご結婚おめでとうございます!」

 

女性は純白のウェディングドレスを着ていて、花嫁だと思ったコハルは少し緊張気味にお祝いの言葉をかけた。

しかし、女性はコハルのお祝いの言葉に反応せず、その場に泣き崩れた。

 

「ううっ・・・助けて・・・私、もうダメかも・・・」

 

「ど、どうしたんですか!?」

 

突然、泣き出した女性に、コハルは慌てながらも泣き出した理由を問う。

 

「私、今日の式に出られないの・・・」

 

「なんでですか!?ジュリーさんは花嫁さんなんですよね?」

 

「ええ・・・でも、今日になって彼の様子がおかしくなって・・・」

 

「彼?・・・もしかして、新郎のことですか?」

 

ハルトの質問にコクリと頷いたジュリー。

その隣でコハルが不安そうな表情で問いだす。

 

「でも、そうなると式はどうなるんですか?」

 

「・・・式自体はもう中止にできないのよ・・・だから、私の代わりに花嫁として出てくれる人を探しているわ。ただし、条件があって・・・強い冒険者であること。それを満たせる花嫁代理を探してくれないかしら?」

 

強い冒険者を探して欲しい。それも花嫁代理ということは女性限定だろう。

ハルトがそんなことを思っている中、コハルが更に問いだす。

 

「あの、式が中止になったら、ジュリーさんの婚約も破棄されるんですか?」

 

「いいえ、私は彼と入籍するつもりよ。彼とは幼馴染で、今まで辛いことや苦しいことが何回もあったけど、全部乗り越えてきたわ。私は何があっても彼を愛し続けるって決めたから」

 

「そこまで強い思いが・・・」

 

ジュリーの思いを真剣な表情で聞いたコハル。

 

「花嫁代理として強い冒険者を連れてきて」

 

「分かりました!」

 

クエストを受注した二人は、情報を整理すべく、広場に向かった。

 

「どう思うコハル?一応クエストは進んだみたいだけど・・・」

 

「うん。なんでジュリーさんは相手のことを愛しているのに、式に出られないんだろう・・・」

 

「やっぱりそう思うよね。さっきの話に式に出られない理由は話してなかったし、明らかに不自然なんだ・・・何か裏があると思う」

 

クエストについて、色々と考察し合う二人だが、中々いい答えが見つからない。

やがて、痺れを切らしたコハルがパンッと両手を叩き

 

「とにかく!クエストが始まったから、強い冒険者を探そう!・・・強い冒険者ってことはプレイヤーの中から探せってことかな?・・・」

 

そう言いながら、コハルは花嫁代理を探すべくフィールドを回るのであった。

 

「・・・(ジィー)」

 

ハルトが自身を見つめていることに気付かないまま。

 

 

 

 

花嫁代理を探すために、イベント専用フィールドを歩き回っていたハルトとコハル。

その途中、何人か知り合いにも会い、花嫁代理をやらないか頼んだが

 

・アスナの場合

「そうね・・・手伝ってあげたいけど、今、別のクエストをやっているところだから、すぐにはできないわ。それに、花嫁代理になるということは、相手の人と・・・」

 

 

 

 

・サチ&リズベットの場合

「うーん、ウェディングドレスには興味あるけど、今から仕立てを頼まれている装備の素材集めをしに行かなくちゃいけないの」

 

「私も仲間が戻ってきた時に、ここにいないと心配させちゃうと思うから・・・ごめんね」

 

 

 

 

・アルゴ&???の場合

「ごめんなさい。今のあたしじゃ力不足かと・・・」

 

「オレッチも情報屋の仕事があるから無理だナ」

 

 

 

 

・「紅の狼」の場合

「花嫁をやれ以前に俺ら'男'だからな。嫁もクソもないからな」

 

「・・・コノハかレイスを女装させれば、ワンチャン・・・」

 

「「嫌だからね(っすよ)!?」」

 

 

 

 

それぞれ事情や理由があったため、断られてしまった。

 

「うーん、中々花嫁代理が見つからないね。どうしよう・・・」

 

花嫁代理が見つからず、途方に暮れるコハル。

そんなコハルをよそに、ハルトはコハルをジィーと見つめていた。

 

「・・・もう見つけたよ」

 

「え!?誰?」

 

ハルトが花嫁代理を見つけたと言い、コハルは驚きながらも誰なのか聞く。

すると、ハルトは指を上げると

 

「ここにいる」

 

コハルに突き刺した。

 

「え!?も、もしかして私!?」

 

一方、花嫁代理に指名されたコハルは慌てたが

 

「うーん、でも、もう時間がないし・・・やるしかないか・・・」

 

冷静に状況を考えた後、すんなりと引き受けた。

花嫁代理が見つかったところで、ハルトは動き出すと

 

「それじゃあ、花嫁代理も決まったし、早速ジュリーさんに報告しよう」

 

「うん・・・ウェディングドレスかぁ・・・」

 

ジュリーの所に向かい、コハルもそれに続くが、憧れのウェディングドレスを自分が着ることに、少し思いにふけていた。

 

 

 

 

「ジュリーさん!花嫁代理、見つかりました!」

 

「!?本当ですか!?」

 

「はい!・・・私が花嫁代理になります!」

 

ジュリーの前に出て、コハルが力強く宣言した。

 

「そう、あなたが・・・ごめんなさい。こんな形でウェディングドレスを着ることになって・・・本当は避けたかったでしょう?」

 

「いえ、お困りのようですし、私でよければ力になります」

 

申し訳なさそうに謝るジュリーに、気にしてないような感じで喋るコハル。

 

「それじゃあ、準備ができたら声を掛けてちょうだい。式場まで案内するわ」

 

そう言った後、ジュリーは喋らなくなり、クエストの進行状況を見ると、"花嫁代理として結婚式に参加せよ"と書いてあった。

 

「ねぇ、ハルト。やっぱり、このクエストの内容、不自然だと思うの。ジュリーさんが花嫁代理を探している理由を頑なに教えないわけ・・・ハルトはどう思う?」

 

「そうだね。少なくとも、新郎に何かあったのは間違いないと思う。でも、様子がおかしくなったってだけで、新郎のこともまだ謎だらけの所があるし・・・」

 

クエストを進める前に、もう一度、クエストの考察をし始めたハルトとコハルだったが、やはり、いい答えや考えは出てこない。

そんな二人にある人物が話しかけてきた。

 

「やあ、ハルトにコハル。ちょっといいか?」

 

「キリト!どうかしたの?」

 

声を掛けてきた人物。キリトに反応したハルト。

 

「いや、アスナからあの花嫁のクエストを受けていると聞いてな。ちょっとアドバイスをしておこうと思ってな」

 

「「アドバイス?」」

 

「ああ。詳しい話は歩きながらしよう。ついてくれ」

 

そう言いながら、歩き出したキリト。

ハルトとコハルもアドバイスと聞いて、クエストクリアのヒントになると思い、キリトについて行った。

 

 

 

 

キリトが向かった先は、ごく普通の平原のフィールドだった。

キリトの話によれば、ここら辺に期間限定で出現するエネミー、《クリーミー・カウ》からドロップされる投擲アイテム、《純白のクリームパイ》がクエスト攻略に役立つということだ。

それを聞いた二人は、早速、そこら辺の《クリーミー・カウ》を倒していき、《純白のクリームパイ》を手に入れた。

そして、ジュリーがいる場所へ戻ってきた。

 

「いよいよだね」

 

「うん・・・やっぱり、緊張するな。ウェディングドレスなんて、もっと先の将来で着ると思ってたし・・・」

 

「それだけじゃないよね?」

 

未だに緊張しているコハルだが、ハルトは他にも緊張している理由があると更に問いだす。

 

「うん・・・ジュリーさんの気持ちを思うと、本当にこれで良かったのかなって・・・ジュリーさんがアインクラッドの住人・・・NPCだってことは分かっている。それでも、私はジュリーさんに幸せになってもらいたい」

 

「・・・コハルの気持ちは分かるよ。でも、今は目の前のことに集中しよう。それに、クエストはまだ終わってないし、もしかしたら、ジュリーさんが幸せになれる方法も見つかるはず」

 

そう言いながら、ハルトはコハルの肩を叩くと、コハルは「そうだね」と言い

 

「それじゃあ、ジュリーさんに話しかけよう」

 

決意に満ちた表情でジュリーに話しかけた。

 

「ありがとう、二人共。さあ、結婚式会場へ向かいましょう」

 

話しかけられたジュリーは、早速、二人をフィールドの奥にある式場へ案内した。

式場の中は、本格的な教会であり、奥には立派なチャペルがあった。

 

「ここが結婚式場・・・町の教会みたいだね」

 

コハルが辺りを見渡しながら、式場の印象を喋る。

 

「それじゃあ、コハルは着換えの準備があるから、私についてきて」

 

「分かりました。・・・じゃあ、行ってくるね!」

 

ジュリーに言われ、コハルはウェディングドレスに着替えるべく、ジュリーと共に別室へ向かった。

式場にはハルト一人が残されたが

 

「よっ、いよいよだな。このクエストはここからが本番なんだ」

 

ついてきたキリトがハルトに話しかけた。

 

「単刀直入に言うと、誓いのキス直前で結婚式を止めるんだ」

 

「・・・え?」

 

結婚式を止める。一般のプレイヤーなら、普通に考えたらそこに反応するだろう。

しかし、ハルトにはそれ以上の衝撃的な言葉が聞こえた。

 

「誓いの・・・キス?」

 

ハルトは花嫁代理にコハルを指名した自身の行動を後悔した。

 

「(そうだった!忘れてたぁーーー!結婚式といえば、これがあったんだぁーーー!いや、でも、あくまで花嫁代理だし、誓いのキスまでは流石にしないはず・・・でも、もし本当に誓いのキスをすることになったら・・・ってなんで僕はこんなに悩んでいるんだ!?そもそも、コハルとはそういう関係じゃないし!そう!パートナー!コハルとはパートナーの関係!・・・ってそもそもパートナーの関係って・・・)」

 

「お、おい!ハルト!大丈夫か!?」

 

「ハッ!」

 

頭を抱えながら首を振り続けていたハルトに、キリトが心配の声を掛けた。

キリトの声に気付いたハルトはハッとした表情になると、すぐに落ち着いて、キリトに続きを促した。

 

「そ、それでだな。式を止めるためには、さっき手に入れた《純白のクリームパイ》を使うんだ。だから、ストレージから出して準備しておくといい」

 

キリトの説明を聞いたハルトは頷いた。

そうこうしているうちに、式場にはいつの間に人が集まっていた。

 

「そろそろ始まるな。俺たちも座ろうぜ」

 

「う、うん」

 

ハルトとキリトは最前列に座った。

しばらく、時間が経つと、式場入り口の扉が開き、そこから現れたのはタキシードを着た新郎と

 

「!」

 

純白のウェディングドレスに身を包んだコハルであった。

前の方にスカートがないため、足元が見えており、頭には顔が覆い被さるほどのベールを被っていた。

そんな普段と違うコハルに、ハルトは先程のモヤモヤなんかすっかり忘れて見惚れていた。

花嫁と化したコハルはハルト達に気が付くと、コクリと頷いたが、奥へ進んでいった。

やがて、二人は神父の所に到着して、誓いの言葉が始まろうとしていた。

 

「さあ、式を止めるのはもうすぐだぞ」

 

キリトに声を掛けられ、ハルトは何故かフロアボスなみの緊張感を持っていた。

 

「(そうだ。もし、《純白のクリームパイ》を当てれなかったらコハルはあの人と・・・いや、別にコハルが誰とキスしようが僕には関係ないことだし・・・関係ない・・・)」

 

未だに心の中のモヤモヤと格闘しているハルトをよそに、神父が誓いの言葉を喋り出した。

 

「病める時も、健やかな時も、共に助け合い、愛し合うことを誓いますか?」

 

「はい、誓います」

 

誓いの言葉に応えるコハル。

それを聞いた神父は誓いのキスの言葉を喋り出す。

 

「それでは、誓いのキスを・・・」

 

「今だ!ハルト!」

 

キリトの言葉と共に、決意に満ちた表情をしたハルトがストレージから取り出した《純白のクリームパイ》を

 

「ヤァーーー!(関係なくない!)」

 

新郎に向けて、力いっぱい投げつけた。

投げつけられた《純白のクリームパイ》は、そのまま真っ直ぐに進み

 

「!」

 

見事、新郎の顔面に当たった。

突然、《純白のクリームパイ》が新郎の顔面に当たったことで、コハルは驚いたが、ハルトがまるでコハルを新郎から守るかのように新郎の前に立ちふさがり

 

「悪いけど、彼女は僕のパートナーだから。そう簡単に渡すつもりはないよ」

 

新郎に向けてそう宣言した。

一方、《純白のクリームパイ》を顔面に当てられた新郎は

 

「ヴヴヴ・・・」

 

突然、苦しみだした次の瞬間

 

「ヴァァァン!!!」

 

雄叫びと共に姿をモンスターに変えた。

 

「グッジョブ、ハルト!作戦は成功だ!」

 

新郎がモンスターに姿を変えたことで、どうすればいいのか分からないハルトの下に駆けつけたキリトが状況を説明し始める。

 

「新郎はあのモンスターに取りつかれていたんだ!倒して正気を取り戻すんだ!」

 

「!?・・・なるほど・・・こんなモンスターになっていれば、そりぁ、恐ろしくて教えたくもないか・・・」

 

キリトの説明にジュリーが花嫁代理を探している理由を言わなかったわけを知ったハルトは、ひとまず、あのモンスターを倒すべく、ストレージからレイピアを取り出す。

 

「ハルト!どういうこと!?」

 

そこにコハルが駆けつけた。ただし、ウェディングドレス姿ではなく、いつもの装備で

 

「新郎さんがモンスターになっちゃった!衣装もいつの間にか解除されちゃったの!」

 

「説明は後!今は新郎を追いかけよう!」

 

コハルの問いを軽く流しながら、ハルトは式場から出た。

コハルも慌てながら外に出て、キリトも出ようとしたが

 

「くっ!やっぱりか・・・俺はクエストを受けてないから、この先は力になれない!・・・頑張れよ」

 

式場から出れず、ハルトとコハルに激励の言葉を送った。

それを見たハルト達は目線で分かったっと答えながら新郎の所に向かった。

式場を出て、広場の所に新郎はいた。

しかし、人間の形はすっかりなく、巨大なゾンビ系エネミーと化していた。

そのエネミーの隣に《リグレット・アミー》と名前が描かれている。

 

「コハル!」

 

ハルトが声と共にレイピアを構える。コハルもハルトに名前を呼ばれて、それに応えるかのように短剣を構えた。

すると、こちらに気が付いた《リグレット・アミー》が二人に襲い掛かる。

 

「回避ッ!」

 

「う、うん!」

 

《リグレット・アミー》から振り下ろされた腕攻撃を難なく回避する二人。

すると、ある程度距離を取ったハルトを《リグレット・アミー》はジィーと見つめた次の瞬間

 

「!?ハルト危ない!」

 

「!?」

 

コハルの叫びと同時に、自身の足元に攻撃範囲の円が表示されていることに気付いた。

ハルトは慌てて円から出ようとしたが、その瞬間、下から紫の煙のようなものが吹き出し

 

「ガッ!?」

 

「ハルト!?」

 

煙攻撃をもろに食らったハルトは、その場に膝をついてしまった。

コハルが慌てて駆け寄り様子を見てみると、ハルトは苦しそうな表情をしており、HPの横には毒のデバフが付与されていた。

 

「これって・・・」

 

「おそらく、毒攻撃だ・・・解毒用のポーションを何個か持ってきておいて正解だったよ・・・」

 

そう言いながら、解毒用ポーションを飲むと、立ち上がり毒のデバフも消えていた。

立ち上がったハルトはこちらを見続けている《リグレット・アミー》を見て、隣にいるコハルに語りかける。

 

「さっきの煙攻撃の発動条件。おそらく、遠くにいると発動すると思うから、なるべく近づいて戦おう」

 

「う、うん」

 

ハルトの作戦に頷くコハル。

その後、作戦通りに《リグレット・アミー》に離れすぎないよう近くで戦い続けた結果、ハルトの読み通り煙攻撃はしてこなくなったが

 

「くっ!」

 

「しつこい!」

 

《リグレット・アミー》自体が弱いわけではない。

何回も続く腕攻撃に翻弄され続けているハルトとコハル。

このままだとマズいと思ったハルトは、一旦、《リグレット・アミー》の反応圏外まで離れ、対策をとった。

 

「このままだと埒が明かない・・・何とか隙を見つけて、強力なソードスキルを当てないと」

 

「それなんだけどさ・・・さっきの毒攻撃の時、ボスの動きが止まったんだ。それを上手く使えば・・・」

 

「!?それだ!」

 

ふと発言したコハルの言葉に、ハルトは大きく反応し、一つの作戦を立てた。

作戦はこうだ。まず、わざと《リグレット・アミー》の煙攻撃を発動させる。

その時に動きを止めた《リグレット・アミー》にソードスキルで攻撃し、ピヨったところを煙攻撃を回避したもう一人が止めを刺す。

しかし、この作戦は囮とラストアタックを上手く決めれるのかが鍵となる。

 

「私にやらせて」

 

だから、コハルがその役目をやりたいと言った時は、ハルトは慌てて拒否した。

 

「ダメだ!囮をやるということはその分、危険がある。万が一、失敗したら・・・」

 

「分かってる。でも、私はこれ以上、あなたを危険な目に合わせたくない!さっきあなたがダメージを食らった時、私は何もできなかった・・・あなたにもしものことがあった時、私が動けなかったら・・・あなたが死んでしまったら私は・・・」

 

「コハル・・・分かった。頼んだよ相棒!」

 

コハルの囮とラストアタックの役目を許可したハルトは、フィールドの横に動き出した。

その隙にコハルは《リグレット・アミー》の反応圏内に入った瞬間

 

「!?回避ッ!」

 

《リグレット・アミー》がこちらを見つめ、それと同時に足元に攻撃範囲の円が表示されたのを確認しながら、円から離れる。

その隙に動きを止めた《リグレット・アミー》を後ろに回り込んだハルトがレイピアで攻撃する。

《リグレット・アミー》はハルトの気配を感じ取ったのか、咄嗟に後ろを向きながら腕を振り下ろそうとしたが

 

「遅い!」

 

それよりも早く、ハルトの<セレリティ・ヒット>が《リグレット・アミー》の体を突き刺した。

強力なソードスキルにより、膝を付く《リグレット・アミー》。その隙を狙って

 

「これで終わり!」

 

今度はコハルが<デット・リーフ>で攻撃した。

二発もの強力なソードスキルを食らった《リグレット・アミー》は前から倒れるとポリゴン状に四散した。

その四散した場所から、一人の男が倒れていた。

 

「うう・・・こ、ここは?」

 

倒れていたのは新郎だった。

意識を取り戻した新郎の下にジュリーが駆け寄る。

 

「大丈夫!?」

 

「あれ?・・・もう式が始まっているのか!?いつの間に・・・」

 

「ああ、神様!・・・良かった、正気を取り戻したのね!」

 

正気を取り戻した新郎にジュリーは涙を流した。

その様子をハルトとコハル、駆け付けたキリトが見ていた。

 

「良かった・・・新郎さん、気を取り戻したみたいだよ」

 

「情報通り、あのモンスターは弱体化してたみたいだったな」

 

「ん?どういうこと?」

 

キリトの言葉にハルトが問いかける。

 

「あのモンスターは新郎が取り付いていたのは知っているだろ。もし、あのまま式が進めば、結婚式が中断されて、ボスとの強制戦闘になっていたんだ。しかも、攻撃力上昇のバフ付きで。でも、さっき誓いのキスの直前でハルトが式を止めたから、あのボスは弱体化したんだ」

 

「なるほど・・・つまり、あのまま止めてなかったら、僕たちは強い状態のあのボスと戦うことになったってこと?」

 

「そういうことだ。ちなみに、その中断のことなんだけど、誓いのキスの直前に新郎にベールをめくられて、それで花嫁代理がバレて結婚式が中断になるんだ。だから、コハルが誓いのキスをすることなんてなかったから安心していいぞハルト」

 

「な!?それを早く言ってくれ!」

 

「え!?ハルト・・・式の最中にそんな心配をしてくれたの?」

 

「あ、いや・・・それは・・・その・・・」

 

コハルの問いに、顔を赤くしながら口ごもってしまったハルト。その様子をキリトがニヤニヤしながら見守っていた。

やがて、二人はキリトと別れ、クエストを進めるのであった。

 

 

 

 

《リグレット・アミー》を倒した後、ジュリーはもう一度、結婚式をやり直すことになった。

ハルトとコハルもジュリーの結婚式に参加するのであった。

 

「次はブーケトスなの。コハルもぜひ、参加してちょうだい」

 

「ブーケトス!まるでドラマみたい!」

 

ブーケトスが行われると聞いて、テンションが上がるコハル。

ジュリーの周りには、他の式の出席者たちも、まだかまだかとブーケトスの時を待っていた。

 

「みんな、準備はいいかしら?行くわよー!えいっ!」

 

ジュリーは周りの様子を確認したら、持っていたブーケを力いっぱい上にあげた。

上に飛んだブーケは、重力によって少しずつ下に落ちてき

 

「あ!・・・」

 

コハルの手にすぽりと収まった。

 

「ナイスキャッチ、コハル!」

 

「アワワワ・・・受け取っちゃった・・・」

 

ブーケを偶然にもキャッチしたコハルは、ハルトの言葉や周りの歓声すら聞こえないくらい慌ててた。

顔を赤くしながら慌てているコハルの下にジュリーが微笑みながら近づいた。

 

「おめでとうコハル。あなたには特にお世話になったものね。受け取ってくれて嬉しいわ。きっとあなたにも素敵な人が現れると思うわ」

 

「ジュリーさん・・・ありがとうございます!」

 

ジュリーの言葉にコハルは力強く感謝した。

一方、素敵な人の部分でジュリーにチラ見されたハルトは、顔を赤くながら小さく驚いたが、ジュリーに微笑み返した。

すると、周りから「ハッピーウェディング!」と祝福の言葉が次々と聞こえてきた。

 

「コハル、僕たちも言おう!」

 

「そうだね!・・・せーのっ!」

 

「「ハッピーウェディング!!」」

 

 

 

 

その後、式は無事に終わり、ジュリーと別れたハルトとコハルは広場にいた。

 

「ねぇハルト。ブライダルイベント、最後はジュリーさんも新郎さんも凄く輝いていたよね?私もちょっとの間だったけど、ウェディングドレスを着られたから楽しかったな」

 

「そうだね。ジュリーさんもそうだけど、コハルのウェディングドレス姿とても可愛かったよ。でも、コハルが花嫁代理として結婚式に出た時は少し焦ったよ」

 

「焦った?」

 

ハルトの言葉に疑問に思うコハル。

 

「だって、あのまま式が進めば、コハルは誓いのキスをすることになったじゃん。その時、なんでだか分からないけど、少しモヤモヤしたんだ。それで、誓いのキスだけは絶対にさせない!って気持ちでパイを投げて、新郎に当たった時はホッとしたんだ。上手く新郎に当てれたことじゃなくて、コハルが誓いのキスをするのを防げたことに」

 

「ハルト・・・」

 

ハルトの思いをコハルは真剣な表情で聞いていたが、笑みを浮かべると

 

「実は私、式の途中で誓いのキスがあることに気付いたんだ。でも、式の途中だし、クエストに集中しなきゃって思って・・・」

 

コハルは一旦、言葉を止めて、「でもね」と言いながら言葉を続ける。

 

「不自然とキスされる実感は湧かなかったんだ・・・だって、ハルトが助けてくれるって信じてたから」

 

「コハル・・・ありがとう」

 

コハルの気持ちを聞いたハルトは、自分を信じてくれたパートナーに礼を言った。

そんな会話をしながら、イベント専用フィールドを歩き回っていると、でっかい金色の鐘が置いてあった。

 

「見てハルト!大きい鐘だね!」

 

「そうだね・・・せっかくだから、鳴らしてみようよ!」

 

ハルトの提案にコハルが頷いて賛成すると、二人は鐘の紐をそれぞれの手を重ね合わせるように持つと、力強く引いた。

 

「「ハッピーウェディング!!」」

 

二人の鳴らした幸せの鐘はフィールド中に響き渡るのであった。




・ジュリー
このイベントのみ登場するNPC。NPCの割には顔が整っていると作者は思う。

・???
謎のDEBANさん。

・コハルのドレス姿について
アバターの白いウェディングドレスに、顔が隠れるくらいのベールを被っています。

・<セレリティ・ヒット>
細剣の星4スキル。ブライダル限定スキルで、スイッチでのダメージを増やしてくれる。

・<デット・リーフ>
短剣の星4スキル。こちらもブライダル限定スキルで、単発攻撃のスキルでスイッチゲージの増加量を増やしてくれる。

・ブーケトスをキャッチしたコハル
なお、スキルレコードだと自身がブーケトスします。


SAO_UW19話を見て思ったこと
・ユウキ・・・ユージオ・・・お前ら最高
・黒の剣士、完全復活!
・PoHの木・・・なんかやだな


以上、ブライダルイベント(一年目)でした。
当時、このイベントでウェディングコハルの立ち絵がなかったのは、非常に残念だったけど、そんな我々の願望を翌年に叶えてくれた運営はマジ神。
次回は十層編となります。
新たなキャラやオリキャラのパワーアップなど、見どころ満載のストーリーを書いていきたいと思いますので、楽しみにしてください。
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