ソードアート・オンライン IF(アイエフ) 作:イノウエ・ミウ
「いや、おま誰っ!?(可愛い)」
ということで、今やSAOIF毎年恒例のスイカパニック(サマーイベント一年目)編です。
時系列は十一層攻略後ぐらいです。
春が過ぎ、夏がやってきたこの頃、アインクラッドでは夏専用のビーチエリアが開放されていた。
「キリト君!もうちょっと右!」
「こ、この辺か?」
「ぐぬぬ・・・」
目隠しをしながら棒を持って歩くキリトにアスナが指示をする。
ビーチエリアに来たハルト達は知り合いを集めてスイカ割りをしていた。
「キリト君!頑張って!」
「頑張ってください!キリトさん!」
「よし!これでどうだ!?」
サチとシリカの声援を受けながらキリトは思いっきり棒を振った。
しかし、棒はスイカに当たらず、思いっきり地面を叩いた。
「ああ~惜しい!もうちょっとで命中したのに・・・」
「いくらキリト君でも、SAOで目隠しして私たちの声だけを頼りにスイカを割るのは難しかったみたいね」
「いやぁ~アハハ・・・」
「ぐぬぬぬぬ・・・!」
コハルが悔しそうな表情をしてる中、アスナは喋りながらキリトの方に歩み寄り、それに対して苦笑いで返すキリト。
「それじゃあ、次は僕の番だね。キリトに悪いけど、一発で当ててみせるよ」
「あら、頼もしいわね。まっ、頑張りなさいよ」
そう言いながら、ハルトはキリトから棒を受け取った。
リズベットの声援を受けながら、ハルトは棒を持って指定の位置に向かおうとしたその時
「納得いかねーーー!!!」
今までの様子を苦虫を嚙み潰したような表情で睨み付けていたクラインが大声で叫んだ。
突然の大声に全員がクラインの方を向いた。
「い、いきなりなんだよ、クライン・・・」
「そうよ、ビックリしたじゃない!」
「なんで・・・」
キリトとアスナが突然の大声について問うが、クラインは小さく喋りながら俯くと
「なんで、水着じゃねぇんだ!!!浜辺でスイカ割りときたら普通は水着だろ!!!」
顔を上げながら大声でそう叫んだ。
下心まる出しの言葉に、ハルト達は呆れながらクラインを見た。
「もう少しオブラートに包んでくれないか、クライン」
「そうよ、せっかくエギルさんがこのスイカを仕入れてくれたんだし、みんなでスイカ割りで遊べたらそれでいいじゃない」
呆れながらクラインに向かって喋るキリトとアスナ。
その隣でリズベット達が
「でも、これだけ広い浜辺に来たんだし、水着を着ないと勿体無いわね」
「そうだね・・・この中で水着装備を持っている人っている?」
「私は・・・持ってないかな」
「同じくです・・・お二人は持っているんですか?」
「私たちも持ってないよね。せっかく来たんだから着てみたいけど・・・」
そんな会話をしていると
「それなら、打って付けのクエストがあるゾ」
そう言いながら、声を掛けてきたのはアルゴだった。
「マジか!その情報を売ってくれ、アルゴ!」
アルゴの言葉に反応したクラインはクエストの情報についてアルゴに聞き出した。
「ンー本来ならそこそこの金額で売る情報だけど、いつもお前たちには情報を集めてもらっているから特別に安くしとくヨ」
「やったー!アルゴさん、早速その情報について教えてくれますか?」
コハルの言葉に、アルゴは「ゴホンっ!」と咳払いするとクエストについて話した。
アルゴの情報によると、この先にいるNPCに話しかけるとクエストを受注することができると。
詳しい内容は明かされてないが、報酬として手に入る水着装備は水場で重みを感じにくくなり、防御力も割とあるらしいとのこと。
クラインやハルト達は勿論、攻略重視のキリトも今後の攻略に役に立つかもしれないっとのことでこのクエストを受けることにした。
ある程度、予定が決まったところでクラインがハルト達に向けて声を上げる。
「おっしゃあ!みんなで水着を手に入れようぜ!」
「そうと決まれば早速そのNPCの所に行きましょう!」
クラインの言葉に賛同するかのようにリズベットも声を上げながらクエストNPCの所に向かおうとしたが、アルゴに呼び止められる。
「まあ、待テ。未知のクエストだから助っ人も呼んだんダ」
「助っ人?」
キリトが助っ人について問いだそうとしたその時
「おーい!」
「あ!シロコイさん!」
シロコイが手を振りながらこちらに駆け寄ってきた。
それに対して、コハルが笑顔で反応した。
「えぇっと・・・お知り合いですか?」
一方、シロコイと初めて会うシリカはコハルに自分と同じくらいの身長の少年について聞く。
「うん、シロコイさんって言って最前線で活躍しているソロプレイヤーだよ」
「へぇー、凄いねシロコイ君。年はあたしとそんなに変わらないのにレイス君と同じ攻略組なんだ」
「シリカちゃん!シロコイさんは19歳だよ!」
「え!?ご、ごめんなさい!」
「ハハハ・・・慣れているから大丈夫だ」
低身長で同い年だと思い込んでいたシリカは慌てて謝罪した。
それに対して、シロコイはどこか悲哀に満ちた表情で返すのであった。
「助っ人はシロコイだけか?」
「いや、もう一人いるゾ」
キリトの質問にアルゴが答えたその時
「おい、どういうことだぁ?」
聞き覚えのある男の低い声が聞こえ、振り向くと不機嫌な様子のザントと相棒のラピードがいた。
「アルゴ、俺は攻略に関する大事なクエストだから手伝ってくれって言われて来たんだが・・・それがこんなくだらねぇクエストとはどういう事だぁ!」
「「ひっ!?」」
ザントの強面とその不機嫌な様子から放たれる威圧感に恐怖するサチとシリカ。
最前線に来てない二人にとって、初めて見るザントの強面はそこいらのエネミーよりおっかなかった。
不機嫌な様子のザントをよそに平然と話し始めるアルゴ。
「別に嘘は言ってないゾ。クエストの報酬で手に入る水着は今後の攻略に使えるかもしれないから取っておいて損はしないサ。それに季節限定クエストもバカにできないゼ。何せボス級のエネミーとも戦ったりできるしナ」
アルゴの言葉に、「何?」と言いながら考え込むザント。
しばらく考え込んでいたが、辺りを見渡すとゆっくりと口を開いた。
「・・・強ぇ奴と戦えるんだったらクエストを受けてやっても構わねぇ。だがな、条件がある」
そう言うと、ザントはリズベットとその隣にいるサチとシリカの方を見て
「そこの鍛冶屋はまだいい・・・だが、その隣にいる女二人は俺と行動するな。はっきり言って邪魔だ」
「「え・・・?」」
容赦なく邪魔者扱いされて思わず声を出すサチとシリカ。
「ちょっと!なんでサチとシリカを連れていったらダメなのよ!?」
「決まってんだろ。そこの二人、如何にも行きたくねぇって顔をしていやがるからだ」
「「!?」」
リズベットの問いに答えたザントのサチとシリカを連れて行けない理由を聞いたハルト達は驚いた表情でサチとシリカを見た。
対するサチとシリカは図星だったのか、何も言い返せずに黙って俯いていた。
「ザントさん。確かに二人は私たちと違ってレベルも低いし足を引っ張るかもしれません。でも、だからと言って、何も二人を邪魔者扱いすることは」
「アホか。わざわざ役立たずを連れて何になるってんだ?クエストを受けるか受けないか。そんな判断すらもできねぇ中途半端な奴を連れたところでお荷物になるだけだろうが」
二人を庇おうとしたアスナの言葉をザントは容赦なく切り捨てる。
「まっ、俺と組みたけりゃそれ相応の強さを持つことだな。中途半端な雑魚を連れるくらいなら、一人でクエストを受けた方がマシだ」
何もかも中途半端な奴は必要ない。そう言いながら去ろうとするザント。
そんなザントの言葉を聞いていたサチとシリカは
「私、お留守番してる・・・」
「あたしもです・・・このメンバーの中で戦うのはちょっと・・・」
「ちょっと、二人共!?」
二人共、ザントの言葉を聞いてすっかり自信を無くしていた。
アスナとリズベットは去ろうとしているザントの背中を睨み、コハルがシリカとサチを何とか呼び止めようと必死に考えていた。
場の雰囲気が悪くなり、事の発端の原因であるアルゴが仲裁しようと前に出たが
「待て、ザント」
「・・・あぁ?」
シロコイがザントを呼び止めた。
ザントは立ち止まり不機嫌な様子でシロコイに振り向く中、シロコイは真剣な表情で喋り出した。
「お前が弱者を嫌っているのは分かる。強者であるお前にとって弱者は邪魔でしかないのかもしれない。けどな、弱者を助けることもまた強者の務めなんじゃないか?」
「・・・俺は強者だから救いようのねぇ弱者のために戦えってか?」
「そこまで言わないさ。でも、お前が言う弱者のために戦うこととプレイヤー同士助け合いながら戦うことは同じではないだろ?」
「・・・・・・」
シロコイの言葉に黙り込むザント。
「それに、ここは俺らにとって現実であると同時にゲームの世界でもあるんだ。確かにここにいるメンバーは強者と弱者に分かれている。でも、せっかくのイベントなんだ。強い弱い関係なく楽しまないとだめだろ?」
そう言いながら、シロコイはシリカとサチの方を見た。
二人共、先程よりかは自信を持ったが、それでもまだ、行くかどうか迷っていた。
そこにキリトもフォローに入る。
「大丈夫だ。これだけの人数がいれば、何があってもカバーできる。心配しなくていい」
キリトのフォローによって、サチとシリカは真剣な表情になり
「・・・ありがとう。足を引っ張らないように頑張るね!」
「はい!日々のレベル上げの成果を見せないと!」
そう決意するのであった。
二人の決意を聞いてハルト達は笑顔で応える中、シロコイはザントにお前はどうするんだ的な表情を向けた。
それに気付いたザントは「はぁ~」とため息をつくと
「・・・足だけは引っ張るんじゃねぇぞ」
サチとシリカの同行を許可した。
そんな不器用な主にラピードは目をつむり、やれやれと首を横に振るのであった。
アルゴの情報通り、少し歩いた先にいたNPCからクエストを受注したハルト達。
NPCによると、大昔にこの浜辺を荒らしていた海賊を《浜辺の精霊》が壊滅させ、それ以来、《浜辺の精霊》はこの浜辺にいる人間を海賊と勘違いして襲い掛かってくるのだという。
NPCは最後に波打ち際には近づくなと警告し、それを聞いたハルト達は波打ち際に行けば《浜辺の精霊》と戦えると推理し、波打ち際に向かった。
「波打ち際に来たのはいいが・・・特に何もないな」
波打ち際に到着したが、何も起きないことにシロコイが周りを見渡しながら警戒していると
「!?・・・これは!?」
「モンスターがポップするわ!」
「総員、戦闘準備!」
ハルト達の周りに突如エネミーが出現する光が複数現れた。
キリトの掛け声と共に各々がそれぞれの武器を構えて迎え撃とうとしていると光が消え、そこに現れたのは・・・
「って・・・ええっ!?」
「これって・・・」
「スイカ!?」
光の中から現れたのはスイカだった。勿論、ただのスイカではなく、大きさはそれぞれ違っているが、全てのスイカには顔らしきものがついていた。
予想だにしなかった《浜辺の精霊》の正体にキリト、アスナ、ハルトが声を上げながら驚いたが、スイカ軍団はハルト達を見つけると一斉に襲い掛かってきた。
「みんな、手分けして倒そう!」
キリトの指示に従い、ハルト達は散開して迎え撃つ。
スイカ自体はそこまで強くなく、攻略組であるハルト達は勿論
「ヤァーーー!」
「えい!」
中層プレイヤーであるサチとシリカでも容易に倒せる相手だった。
ある程度倒したところで辺りを見渡すと、スイカ達はいつの間にか一ヶ所に集まっていた。
「よし、一ヶ所に集まったし、一気に決めるか」
そう言うと、シロコイは弓を構えながら後ろに跳び
「よっと!」
<サマー・イエーガー>で集まっていたスイカの軍団を射抜いた。
「ふぅー、ひとまず片付いたみたいだが・・・」
「これで、全部・・・でしょうか?」
「なんか思ったよりあっけなかった気がする」
周りにいたスイカ軍団を倒したが、あまりにもあっけなく倒せたことに疑問を抱くシロコイ、シリカ、サチ。
ハルト達もまた、あっけなく終わったことに疑問を抱いていた。
「たく、もう終わりかよ。つまんねえ」
「まあ、あたし達の力が凄かったってことじゃない?これで水着装備が手に入るんだし儲けものね!」
一方、つまらなそうな表情をしているザントと楽に終えたことに喜ぶリズベット。しかし、その横でクラインが不安そうな表情で二人に話しかける。
「でもよ、まだクエストクリアのエフェクトも表示されてなけりゃ報酬の水着もストレージに格納されてないんだぜ」
クラインがそう言った直後
ズシーン、ズシーン
「ん?なんか急に暗くなったぞ?」
「ひっ!クライン!上・・・上、見て!」
「あぁ?上だって・・・いっ!?」
地響きと共にクラインの上に影が差し込んだ。
クラインは何が起きたのか分からなかったが、リズベットの言葉に従い上を見上げると
「ウォォォン!!」
そこには全身スイカ色の巨大なエネミーがいた。
手足が丸く、先程のスイカと同じような顔をしているそいつは、まじまじとクラインを見つめていると、丸い右手を振り上げて
「うおっ!?あっぶね!」
クライン目掛けて振り下ろしたが、クラインはギリギリ回避した。
「コハル!」
「任せて!」
いち早く状況を掴んだハルトは目の前のボスを倒すべく、コハルに声を掛け、彼女と共に巨大スイカに接近した。
二人に気付いた巨大スイカは二人に向かって殴り掛かったが、巨大な手を二人は跳んで躱すと
「ハァーーー!」
「ヤァーーー!」
持っている武器で巨大スイカの体を斬った。
「俺たちも行くぞ!」
そこにキリト達も参戦しようと巨大スイカに近づいたが、キリト達に気付いた巨大スイカは頭を下げると何かがガトリングみたいに飛び出したきた。
「キャ!?」
「スイカ!?」
突然の攻撃に小さく悲鳴を上げるサチと飛び出てきた玉の正体が粉々になったスイカの破片であること驚くリズベット。
遠距離攻撃を受け一旦下がるキリト達。
「スイカの種じゃなくてスイカが飛び出るなんて聞いたことがないわね」
「食べ物を粗末にするなんて、罰当たりにも程があるぞ」
アスナとキリトがそう言いながらも、冷静に巨大スイカを分析した。
遠距離攻撃を使うのは驚いたが、巨大な手と遠距離攻撃に気を付ければ、倒せない相手ではない。そう判断したアスナはキリトの方を見た。
彼も同じことを考えていたのか、こちらの視線に気付くと頷きながら、みんなに向かって声を上げた。
「ボスの拳に気を付ければ苦戦する相手じゃない!もし、ボスがしゃがんだら遠距離攻撃が来るから回避に専念!」
『了解!』
キリトの指示にハルト達は返事一つで応えながら、巨大スイカを迎え撃つ。
巨大スイカはキリトの推測通り、拳で殴るか遠距離攻撃の二つしかしてこなかった。
初めは翻弄されてたサチやシリカも徐々に対応できるようになり、順調に攻撃していった。
そして、巨大スイカのHPが1/4以下になったところで
「一気に決めるわ!」
アスナが仕留めべく巨大スイカに接近した。
近づいてくるアスナを見て巨大スイカは遠距離攻撃の体勢になるが
「させるかよ!」
シロコイが矢を放ち巨大スイカの目の部分に当たり、巨大スイカは目を押さえながら怯んだ。
その隙にアスナが
「ヤァーーー!」
<ココナツ・パラダイス>で巨大スイカに攻撃した。
HPはゼロにならなかったものの、アスナは巨大スイカに迫っているザントに「スイッチ!」と言うとザントは
「さぁ、スイカ割りの時間だぁ!」
笑みを浮かべながら、両手剣ソードスキル<ロスト・ブルースカイ>のモーションを発動させた。ザントはこちらに気付き、迫りくる巨大スイカ目掛けて大太刀を上に放り投げた。
「ヴォ!?」
空中で縦に回転した大太刀の刃に斬り上げられ怯む巨大スイカ。
その隙にザントは上に飛び、大太刀を掴んで構えると
「ぶった切るっ!」
そのまま一気に巨大スイカの体を上から斬り下した。
巨大スイカが雄叫びを上げながらポリゴン状に四散していく中、ザントは大太刀をしまい
「へっ、つまらねぇもんを斬っちまったな」
何故かドヤ顔になりながらそう呟くのであった。
そんなザントの様子をハルト達は後ろで見ながら思った。
何だかんだ言って一番楽しんでいるのはこいつじゃね?、と。
クエストをクリアし、無事に水着装備を手に入れたハルト達は元の場所に戻った。
「それじゃあ、みなさーん!早速、水着装備を装備してみましょう~!」
「生き生きしてんなクラインの奴」
「ええ、あんな笑顔のクラインさんは初めて見たわ」
「「アハハ・・・」」
テンションが高く言葉もおかしくなっているクラインを見て呆れるキリトとアスナ、苦笑いするハルトとコハル。
「さて、それじゃあ、俺たちも装備しようぜ」
キリトの言葉に頷いたハルト達はストレージを開いて水着を装備するのであった。
「みんな元気だなぁ~クエストの後だってのに、あんなにはしゃいでさ」
そう言いながら、黒の海パンを履いているキリトは向こうではしゃいでいる女性陣を見た。
「何言ってやがるキリの字。見ろ、この絶景を」
「確かに絶景って言えば絶景だね」
「ただ、女共が馬鹿騒ぎしてるだけだろ」
赤い海パンを履いているクラインがテンション高く喋り、その横で緑の海パンを履いているハルトがクラインに共感するかのように頷くが、キリトと同じく黒の海パンに、上には黒の半袖ラッシュガードをファスナーを閉めないで着ているザントは興味なさそうに喋った。
夏の海を水着で駆け回る少女たちの姿は正に絵になる光景であるが、そう言うのに興味がないザントにとっては退屈な時間に過ぎなかった。
するとそこに、緑の水着に緑と白のミニパレオを腰に巻いてセミロングストレートの髪を後ろに束ねたコハルと白の水着に白のミニパレオを腰に巻いてロングヘアを後ろに束ねているアスナがやって来た。
「ねぇ、ハルト!せっかく水着に着替えたんだし、私たちも海で遊ぼうよ!」
「キリト君、今、向こうの浜辺でビーチバレーをしているんだけど、人数が足りないから一緒に来てくれる?」
そう言いながら、コハルとアスナはそれぞれのパートナーの手を掴んだ。
「うわぁ!?コハル落ち着いて!」
「おい、アスナ!?分かったから引っ張るな!」
手を掴まれた二人は慌てながらそれぞれの場所に移動する。
ハルトとキリトはそれぞれのパートナーに連れていかれるのであった。
「はぁ~いいよなぁ、若いってのは・・・」
一人取り残されたクラインは悲哀に満ちた表情で隣にいるザントに話しかけた。
対するザントは興味なさそうに浜辺で遊んでいるハルト達を見ていた。
「たく、何が楽しくてあんなにはしゃいでやがるのやら・・・」
「おいおい、あんな絶景を見ても何にもときめかないなんてよう・・・ハッ!まさか、お前ってそっちの趣味が「(シャキン)」はい、何でもありません」
首筋に大太刀を当てられたクラインは冷や汗をかきながら否定した。
無言で大太刀を鞘に収めたザントは水着に着替えて以降、黙って立ち続けているシロコイの方を見る。
そこにいたのは・・・オレンジの海パンに浮き輪を持っているシロコイだった。
「いや、なんでだよ!!」
しばらく無言で立ち続けていたシロコイだったが、ザントの目線に気付くと持っていた浮き輪を地面に放り投げた。
「どうしたんだ?黙ったり騒いだり忙しい奴だな」
「うるせぇーーー!なんで俺だけ浮き輪付きなんだよ!あれか!?俺は低身長の子供だからサービスで浮き輪付きってか!?そんなサービスいらねぇんだよ!後、俺は一応は子供だけど後一年で大人なんだよ!分かったか!?この野郎!」
「誰に向かって言ってんだよ・・・」
急に何処かに向けて叫び出したシロコイをザントは少しドン引きしながら見ていた。
そこにクラインがシロコイに近付き
「シロコイ・・・様になってるぜ!」
「やかましい!」
「ふべぇ!?」
シロコイはクラインをジャンピングアッパーで吹っ飛ばした。
「なんで俺だけ・・・」と未だブツブツ言い続けているシロコイを見ながらザントはめんどくさそうにため息をつくとラピードに、吹っ飛ばされたクラインの回収を頼んだ。
しばらくしたら、ラピードの上でのびているクラインが運び込まれた。
「おい起きろ。いつまでのびてんだ?」
「ううぅ・・・悪ぃな。助かったぜ」
「気にすんな。んで?俺らはこのままこいつらのお守りか?」
向こうで遊んでいるハルト達を見ながらクラインに聞く。
「まさか!この光景を記録しとかねぇと勿体無いだろ!」
「どうやって記録すんだよ?・・・心のシャッターでも切るってか?」
「へへっ、こんな事もあろうかとこれを用意しといたんだよ!」
そう言いながら、クラインがストレージから取り出したのは《記録結晶》だった。
「はぁ~、そんなんだからてめえは一人身なんだよ」
「やかましいわ!おめぇだって一人身だろうが!この日の為にストレージの奥底にしまっておいたんだよ。どうだ?おめぇも一枚記念に」
「興味ねぇ」
一言で断ったザントに愛想のねぇ奴だな的な表情を向けると、クラインは向こうで遊んでいるコハル達に声を掛ける。
「みなさ~ん!、写真を撮りますよ!」
クラインの言葉を聞いて、一斉に集まり出したコハル達(ハルトとキリトは遠慮した)は写真を撮るべく、それぞれ適当な場所に付いた。
コハル達が写真を撮る準備を完了するとクラインは元気よく喋った。
「はい!皆さんこっち向いて~いち、たす、いちは~?」
『にっ!』
その言葉と共に
パシャ!
夏の思い出の一枚が撮られるのであった。
・<サマー・イエーガー>
オリジナルスキル。SAOIFだと弓の星4。後ろに下がりながら右斜め、真ん中、左斜めと三方向に矢を放つソードスキル。攻撃範囲にビーチの絵が描かれる。スキルレコードのイメージ絵は昼の海を浮き輪を使って泳いでいる水着シロコイ(19歳)。
・<ココナツ・パラダイス>
細剣の星4スキル。サマー限定のスキルで高いダメージの他にクリティカルダメージを上げてくれる。サマー限定だから攻撃範囲にビーチの絵が描かれる。
・<ロスト・ブルースカイ>
オリジナルスキル。SAOIFだと両手剣の星4。両手剣を上に放り投げ、空中で掴むと一気に斬り下ろすソードスキル。こちらも攻撃範囲にビーチの絵が描かれる。スキルレコードのイメージ絵は夜のビーチの浜辺でラピードの背中に座り込んでいる水着ザント。
・男性陣の水着について
キリトとクラインは立ち絵と同じ水着。ハルトは緑の海パンのみ。ザントはアバターの黒い海パンに、上もアバターの黒の半袖ラッシュガードも着ています。シロコイはオレンジの海パンに浮き輪を着けています。
・女性陣の水着について
全員、スイカパニックの一枚絵へと同じ水着です。
SAO_UW23話を見て思ったこと
・何この子(アリス)、超可愛い
・キリトのお父さん以外とイケメン
・キリト、ユージオ、アリスで始まり、この三人で終わるアリシゼーションは神
夏休み終わったら投稿がめちゃくちゃ長くなった。
これからも投稿が遅れますが、どうか長々とお待ちして頂けると幸いです。
次回は一気に飛んで十四層編になります。
理由は十一~十二層ではあの団長が登場しますが特にイベントがない(十二層に至ってはリーファ関連が多すぎる)し、十三層ではあの二人が出ますが、後のオーディナルスケール編で書きたいと思っていますので、十四層にしました。
ということで、次回、十四層編。新キャラも出ます。
<オマケ>
プログレッシブアニメ化来たぁーーーーーー!!!
どこまでやるんだろうか?個人的に一番楽しみなのは二層のネズハと「レジェンド・ブレイブス」の話です。