ソードアート・オンライン IF(アイエフ)   作:イノウエ・ミウ

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トウガの容姿って一夏とキリトを合わせた感じなんだけど、その容姿で最近思い浮かんだキャラが「精霊幻想記」のリオ君だった。


ハイ魂(ハイスクールD×D 銀ノ魂を宿し侍)でのリハビリによってスランプを乗り越え、ようやく投稿できました。
今回はサチのケア回です。


ep.36 生きるということ

翌日、コノハはレイス、そしてサチを連れて《はじまりの街》へやって来た。

目的は心傷ついたサチをとある場所に連れてきて、生きる気力を取り戻すためである。

しばらく歩き、目的地である教会の前に立つと、コノハは扉をノックする。すると、そう時間が経たずに扉が開かれた。

 

「こんにちは、サーシャさん」

 

「こんにちはっす!」

 

「いらっしゃい、コノハ君、レイス君」

 

挨拶する二人を、教会の主であるサーシャは笑顔で出迎えた。

 

「それで、確かサチさんだっけ?」

 

「は、はい。合っています」

 

サーシャは二人の後ろにいたサチに声を掛けると、険しい顔で言った。

 

「事情はコノハ君から聞いてるわ・・・辛いでしょう?」

 

「・・・はい」

 

「こんな場所でも、あなたが少しでも元気になってくれたら嬉しいわ。ここは、そういう子供たちを保護する場所だから」

 

そう言うと、サーシャは三人を教会の中に入れた。

中に入ったコノハ達を真っ先に出迎えたのは、年長の子供たちだった。

 

「あ!兄ちゃん達いらっしゃい!」

 

「久しぶり!今度はどんな所を冒険してきたの?」

 

「また上の層の話聞かせてよ!」

 

ギン、ミナ、ケインの三人がコノハとレイスの方に近づきながら元気よく話しかける。

 

「そう急がなくても、話なら後でいっぱい聞かせてあげるよ。とりあえず、他の皆も呼んできてくれるかな?」

 

「「「はーい!」」」

 

コノハがそう言うと、子供たちは奥の部屋の方へ走っていった。

一方、状況がいまいち吞み込めてないサチは、入口の方で呆然と突っ立ていた。そんな彼女の隣でサーシャが説明する。

 

「ここにいる子たちは皆、このゲームが始まってから精神的な問題を抱えていた子たちばかりなの。それを私が保護して、この教会でお世話しているんです」

 

「そ、そうなんですか・・・皆、私より年下なのに、たくましいですね」

 

そう言いながら、少しだけ下に俯くサチ。

そんな彼女を気にしつつも、コノハ達は奥の部屋に入る。

 

「お帰り!お兄ちゃん達!」

 

「また鬼ごっこで遊ぼう!」

 

「何かお土産ある?コノハお兄ちゃん」

 

部屋に入ったコノハ達に、子供たちが寄ってかかる。

コノハは子供たちの勢いに押されながらも、一人一人対応していると、一人の少年がサチの存在に気づいた。

 

「あれ?お姉ちゃん誰?」

 

「このお姉ちゃんはサチお姉ちゃん。ここに来たお客さんだよ。ほら、きちんと挨拶して」

 

「うん!よろしく!サチお姉ちゃん!」

 

「よ、よろしくね・・・」

 

サチはおどおどしながらも、少年に挨拶を返した。

すると、少年が突如閃いた顔をしながら周りにいる子供たちに向かって言った。

 

「そうだ!俺たちで教会の中を案内してあげようよ!」

 

「いいねそれ!ほら!お姉ちゃん、こっちだよ!」

 

「え、えぇっと・・・」

 

子供たちの勢いに押され、サチはたじろいでしまう。

そこに、コノハが声を掛ける。

 

「行ってあげて。子供たちも案内する気満々だし」

 

「う、うん・・・じゃあ、お願いするね」

 

「やったー!それじゃあ、早速案内するね!」

 

子供たちは喜びながらサチの手を引き、彼女と一緒に部屋を出ていった。

その様子を微笑みながら見守っていたコノハに、サーシャが声を掛ける。

 

「あの子、辛いでしょうね。今まで一緒だった仲間を失って、一人ぼっちになってしまって・・・」

 

「はい。だからこそ、あの子たちと触れ合って、それが少しでも彼女の生きる原動力になってほしいです」

 

戸惑いながらもまんざらでもない様子で子供たちに案内されるサチを見ながら、コノハは呟くのであった。

 

 

 

 

その日の夜、サチは眠れないでいた。

 

『あ"ぁ!?』

 

『ぐわぁーーー!!』

 

『グハッ!?』

 

「ハッ!・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

眠ろうとすると、散っていた仲間たちの姿が浮かび上がり、彼女の眠りを拒んでいた。

一向に覚めぬ悪夢にうなされていると、ふと部屋の扉が開いた。

 

「お邪魔するよ」

 

そう言いながら、部屋に入ってきたのはコノハだった。

サチは何も言わずに黙ったまま顔を俯かせる。そんな彼女の下に歩みながらコノハは口を開いた。

 

「様子が気になって、見に来たけど・・・やっぱり、眠れない?」

 

「うん・・・」

 

しばらくの間、お互い黙っていたが、ふとサチが口を開いた。

 

「私ね、ずっと思ってたんだ。なんで私はこの世界に来ちゃったんだろうって。私みたいな弱虫が来たところで、何の役にも立たない。ただ皆に迷惑を掛けるだけなのにって・・・」

 

「・・・・・・」

 

サチの呟きをコノハは黙って聞く。

 

「ここに連れて来た理由だって、私が最前線で戦えないから、迷惑だと思って連れて来たんだよね?」

 

その言葉に、コノハは一瞬だけ目を見開いたが、その直後に少し怒った顔で言った。

 

「それ、本気で言ってるなら僕怒るよ?」

 

予想外の言葉に、サチはきょとんとした顔になる。

 

「初めからそのつもりなら、僕は君をここになんか連れて来てないよ。君をここに連れて来たのは、君と同じような思いをしてる子達と触れ合って、見つけて欲しいって思ったんだ。今の君がこの世界でしたいことを」

 

「そんなの・・・もう無いよ」

 

「そんなことはない。生きている内は、やりたいことなんていくらでも見つかるよ」

 

そう言いながら、コノハはベットに腰を掛けた。

 

「別に、最前線で戦うことだけが戦いじゃないと思う。大切なのは、この世界で自分は何がしたいか・・・そう言った自分自身の意思を持ち続けること。この世界と戦うって事は、この世界で生きることそのものなんだと思うんだ。ここにいる子供たちは、それを知っている・・・いや、それを当たり前だと思って生きている」

 

「自分のしたいことが、この世界で生きること・・・それじゃあ、コノハのしたいことは何?」

 

「僕のしたいこと?それは・・・紅の狼の皆と一緒に、毎日楽しく過ごしたいんだ。リアルでも、仮想世界でも・・・そのためなら、僕はいくらだって強くなれる。ここで過ごした出来事全てが、僕の生きる理由だから」

 

そう言いながら、清々しい表情で語るコノハを見て、サチは彼のことを眩しく思えた。

彼は幼馴染である仲間たちと過ごし、そのために強くなることが彼の生きる理由であると言った。でも、自分には一緒に過ごしてきた仲間たちはもういない。一人ぼっちになった自分に、生きる理由なんて見つかるのだろうか。

そうは思いながらも口には出さず、俯いたままでいると、コノハがサチに問う。

 

「明日、子供たちと一緒にフィールドに出るんだよね?」

 

「う、うん・・・」

 

「そこで子供たちが戦う姿を見ながら、どうか見つけて欲しいんだ。今の君がこの世界で何がしたいのか・・・」

 

その言葉に、サチは少し迷いながらも頷いた。

それを見たコノハは、安心した様子でベットを立った。

 

「それじゃあ、僕もそろそろ寝るから」

 

「ま、待って!」

 

部屋に出ようとしたコノハを慌てて呼び止めるサチ。

呼び止められたコノハがこちらに振り向くと、彼女は少し恥ずかしそうにしながらゆっくりと言った。

 

「その・・・一つお願いがあるんだけど・・・一緒に寝てもいいかな?」

 

「えぇ!?」

 

「ごめんね。でも、今は・・・一人だと怖いから・・・」

 

サチのお願いに一瞬驚きつつも、その後の言葉を聞いて、コノハは思いとどまる。仲間を失い、一人になった孤独は、そう簡単に乗り越えられるものではない。

結果、コノハは少し恥ずかしそうにしながらも、彼女の隣で寝ることにした。

 

 

 

 

翌日、フィールドに向かったサチ達は、フィールドにいるエネミーと交戦していた。

 

「ヤァーーー!」

 

ギンの一撃がネペントを切り裂き、ポリゴン状に四散させる。

「やったー!」と喜びながら大はしゃぎする子供たちを見て、サチはふと頭に浮かんだ疑問を子供たちに投げかける。

 

「えっと・・・君たちは戦ったりすることが怖くないの?もしかしたら、死んじゃうかもしれないのに・・・」

 

サチの問いに、子供たちは少し考え込みながら答える。

 

「うーん、確かに初めて《はじまりの街》の外に出た時は、怖いって感じたけど・・・」

 

「先生が私たちを拾ってから、色んなお友達ができて、皆と一緒に遊んだり、外でモンスターを倒したりして」

 

「今じゃあ、毎日がとても楽しいよ」

 

「そう、なんだ・・・」

 

楽しそうに答える子供たちの姿を見て、サチは少しだけ顔を俯かせる。

そうこうしているうちに、サチ達はいつの間にか森林に入っていた。

森の中を順調に進んでいき、木々が少ない平地に出たその時、トラブルは突然起こった。

 

「ゴガァァァァ!!」

 

サチ達の前に現れたのは、滅多に現れることのないフィールドボス、《ジャイアント・アントロサウルス》だった。

子供たちは先程までの楽しそうな様子から一転して、《ジャイアント・アントロサウルス》の巨体を前にパニックになっていた。

 

「皆離れて!」

 

咄嗟にサチが前に出て、子供たちを守ろうとする。

 

「!?」

 

だが、槍を構えて、《ジャイアント・アントロサウルス》の正面に立ったサチの脳裏に、ふと二十七層で散っていった仲間たちの姿が浮かんだ。自分の目の前にいる《ジャイアント・アントロサウルス》が、あの時仲間たちを瞬く間に葬った《タロス・ザ・クロスギガス》の姿と重なった。

 

「(怖い・・・!足が動かない・・・!)」

 

その悪夢が、あの時に身に染みた恐怖が、彼女の体を制止させていた。

そうしてる間にも、目の前の脅威は着実に近づいて来ており、《ジャイアント・アントロサウルス》が彼女の前に立ったその時だった。

 

「やめろ!サチお姉ちゃんに近づくな!」

 

二人の間にギンが前に出て、まるでサチを庇うかのように、彼女の目の前に背中を見せ、《ジャイアント・アントロサウルス》に向けて剣を構えた。

ギンの足は震えているが、彼は決して引く様子がなく《ジャイアント・アントロサウルス》相手に正面から見据える。

 

「お姉ちゃんはとっても優しいんだよ!いじめちゃダメ!」

 

「そうだ!これ以上、お姉ちゃんをいじめたら許さないぞ!」

 

ケインとミナも勇敢に前に出て、サチを守ろうとする。

三人共、自分よりも大きい相手に対して、震えながらも勇敢に立っていた。

 

「(私、何やってるんだろ・・・?)」

 

自分よりも幼い子供たちが、怯えながらも自分を守ろうとしている光景に、サチは自身の情けなさを感じた。彼らは今、目の前に迫っている恐怖にも、勇敢に立ち向かおうとしている。なのに、自分はただ震えてばかりで、年端も行かない彼らに守られている。

何故、自分はこんなにも弱虫なんだろう。戦うことすらもできず、子供たちに守られている自分に、この世界で生きていく価値があるのだろうか。

そんなことを思ったサチだったが、ふとサチの脳裏に、昨日コノハが言っていた言葉が聞こえてきた。

 

『別に、最前線で戦うことだけが戦いじゃないと思う。大切なのは、この世界で自分は何がしたいか・・・そう言った自分自身の意思を持ち続けること。この世界と戦うって事は、この世界で生きることそのものなんだと思うんだ』

 

違う。価値なんて無くてもいい。今自分はここで生きている。そして、自分と同じように怖い思いをしている子供たちと出会い、何もかも無くした無価値な自分を、仲間として受け入れてくれた。

ならば、こんなにも弱虫な自分を受け入れてくれた子供たちの為に、今自分ができることがあるとしたらただ一つ。

その直後、止まっていたサチの足が再び動き出した。

 

「ヤァーーー!」

 

叫び声と共に振られた槍は、《ジャイアント・アントロサウルス》の両足を掠めた。

怯んだ《ジャイアント・アントロサウルス》は反撃にサチ目掛けて拳を振るうが、サチは上に跳んで躱し、そこから槍を振り下ろす。

 

「これで終わり!」

 

止めに槍を《ジャイアント・アントロサウルス》の腹に突き刺すと、《ジャイアント・アントロサウルス》はポリゴン状に四散した。

見事《ジャイアント・アントロサウルス》を倒したサチを、子供たちは暫し呆然としていたが、一斉に彼女に詰め寄る。

 

「スッゲー!サチお姉ちゃんカッケー!」

 

「ねぇねぇお姉ちゃん、今のどうやってやったの!?」

 

「教えて、サチお姉ちゃん!」

 

あっという間に子供たちに囲まれたサチは、戸惑いながらも彼らに、ここに来て以来見せることのなかったとびっきりの笑顔を向けた。その笑顔には既に恐怖は無く、あったのは新しい決意だった。

この子たちを守り、この世界が終わる最後まで、自分らしく胸を張って生きよう。そう決意するサチであった。

 

 

 

 

翌日、コノハとレイスはサーシャと子供たち。そして、ここでサーシャの手伝いをすることにしたサチに見送られていた。

 

「それじゃあ、サーシャさん。彼女のことをよろしくお願いします」

 

「えぇ、サチさんは責任を持ってうちの教会で預けるわ。だから、二人は気にしないで行ってらっしゃい。それと、体に気をつけることと無茶はしないこと。いいわね?」

 

「はい、またいつか必ず来ます」

 

「絶対元気な姿で来るっす。だから、楽しみにしてください」

 

「フフッ、よろしい」

 

二人に向かって微笑むと、サーシャは後ろに下がった。

代わりにサチが前に出て、意を決した顔で言う。

 

「私、頑張るから!辛いことがあっても、頑張ってこの世界で生きるから!だから、二人共絶対に死なないでね!」

 

「ありがとう、約束するよ」

 

「勿論っす!」

 

二人の返事を聞いて、サチは満足気に微笑むと、コノハの近くに歩み寄った。

そして、そのまま彼の顔に自分の顔を近づけ・・・コノハの頬にキスした。

頬とはいえ、突然キスされたことに驚くコノハをよそに、サチは少し恥ずかしそうにしながら小さい声で言った。

 

「・・・約束だから」

 

「う、うん・・・」

 

顔を赤らめながら何とか返事すると、サチは満足気に微笑みながらサーシャ達の所へ戻った。

呆然としていたコノハだったが、しばらく経つと我に返り、レイスに声を掛ける。

 

「そ、それじゃあ、行こうか!」

 

「は、はいっす!」

 

コノハに声を掛けられ、レイスも我に返る。

二人が「転移!」と言うと、二人の体は光に包まれて、そのまま二十層へ向かうのであった。

ちなみに、帰路に着く途中でコノハはレイスに、別れた時に起きた最後の出来事はトウガ達には絶対に言わないよう、念入りに忠告するのであった。




・連れてきた場所
コノハが連れて来た場所はサーシャの教会でした。実は十四層でコノハとサーシャに関わりを持たせたのは、このためであった。

・《ジャイアント・アントロサウルス》
劇場版プログレッシブで登場した青い奴。名前は裏攻略本(特典)に英語で書かれています。(ちなみに、英語で"Giant Anthrosaur"と書かれていた)

・頬にキス
最初は口にしようかと思ったんですが、サチはこういうのには少し初心な所がありそうなので、ランクダウンさせました。


(今更だが)劇場版SAOプログレッシブの感想
見る前:オリキャラなんていらんやろ
見た後:ミトいいわ~


ミト良かったわ~。正直、見る前はオリキャラいらないだろと思っていましたが、映画見た後は、すっかりミトの魅力に取り込まれてしまいました。来年の「冥き夕闇のスケルツォ」にもミトが登場するのか気になります!(ついでに、リーテンとシヴァタの声優も)
さて、話は本編に戻りますが、以上がサチの結末となりました。
彼女はサーシャと一緒に子供たちの面倒を見ることになりました。サチって案外こういう子供たちと一緒に遊んだり、教えたりする職が似合っていると思うんですよね。
さて、これにてサチの話は一件落着・・・と言うとでも思ったかぁーーーーーー!!
忘れていませんか皆さん。もう一人、心に傷を負った人物がいることを。そう!我らが原作主人公キリトさん!
次回!彼のケア回をなります。原作ではサチの手紙で立ち直った彼ですが、この小説では果たしてどうなるのか!?お楽しみに。


・ちょっとした㊙話その1
実は赤鼻のトナカイの話が予想以上に進まず、先にシリカの話を書き終えてしまった。そのため、次回が更新されたら、すぐに次の話が更新されると思ってください。


・ちょっとした㊙話その2
アインクラッド編SAOIFルートで、本家SAOIFの六十一層の話が神すぎたため、原作ルートを執筆していると共に、一足早く六十一層の話を執筆を進めている(ただし、SAOIFルートは原作ルートが終わった後に投稿する予定のため、公開は大分先になる。なるべく早く公開できるよう、原作ルートの執筆頑張らないと!)。
また、SAOIFルートでリーファ、シノン、ユウキの登場が確定しました。更新していく中で彼女たちも登場する予定(フラグを立てる相手も既に決定済み)ですので、逐次更新をお楽しみに。
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