ソードアート・オンライン IF(アイエフ)   作:イノウエ・ミウ

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前回の投稿で低評価(星3)を付けられてしまった・・・普段は気にしないけど、いざ付けられると、やはりくるものがあります・・・
さて、気を取り直して、今回の話はラフコフ討伐前の会議です。


ep.43 ラフィン・コフィン討伐戦前会議

「ラフィン・コフィン」通称ラフコフ。

そのギルドは、2024年の元日に結成を宣言し、それ以来多くのプレイヤーを恐怖に陥れた最悪の殺人ギルドである。

彼らの主な目的は、SAOを攻略することではない。SAOの攻略を邪魔することであり、そのためなら、人の命を奪うことすらも平気で行う。

彼らがまだギルドとして活動してない頃は、攻略組を中心に狙っていき、最悪の事態こそは避けられたが、彼らの毒牙に掛かって散った者は少なくない。

そして、日が経つに連れて、勢力はどんどん拡大していき、攻略組だけでなく、中層や下層にいる者達までも狙われるようになった。

アインクラッド全体に広がっていく悪夢に、多くの者達が恐怖するのであった。

だが、その悪夢も終わりが近づこうとしていた。

きっかけは、ある一人のプレイヤーがラフコフのアジトを情報屋に密告したことだ。

それを聞いた情報屋は、同じ情報屋の仲間たちを集めながら、そのプレイヤーが密告した場所について念入りに調べ、ついに、ラフコフのアジトを見つけることができた。

そして、ラフコフ討伐の為の会議が今日、「血盟騎士団」と「聖竜連合」を始めとした攻略組によって開かれようとしていた。

 

 

 

 

とある層にある大きな建物。

その建物の廊下を歩いている二人のプレイヤー、ハルトとコハルは歩きながら会話していた。

 

「聞いたコハル?今回の討伐作戦、攻略組だけでも50人以上は参加するらしいよ」

 

「うん、皆それだけラフコフを危険だと思っている証拠だね」

 

「・・・コハル、もう一度確認するけど、本当に君も参加するの?」

 

「心配しないで。怖くないって言えば噓になるけど、これ以上ラフコフの犯罪で犠牲者が増えるのを見過ごすことなんてできないから」

 

決意を固めながら歩くコハルを見て、ハルトはこれ以上何も言わなかった。

すると、会議室の入口で見覚えのある二人に出くわした。

 

「トウガ、それにソウゴ・・・」

 

「ハルト達か、久しぶりだな・・・」

 

「紅の狼」のリーダーであるトウガとメンバーの一人であるソウゴ。二人にとっては、久しぶりの再会だった。

しかし、久しぶりの再会にも関わらず、四人の表情は優れない。沈黙が続く中、最初に口を開いたのはコハルだった。

 

「ここに来たってことは、お二人も参加を?」

 

「あぁ、そうだ」

 

「コノハさんとレイス君は?」

 

「・・・二人は優しすぎる。この作戦に参加したら、きっと心が壊れるかもしれない。本当は俺一人で行くつもりだったんだが・・・」

 

「流石にこいつ一人で背負わすわけにはいかねぇだろ。だから、俺も一緒に地獄へ落ちてやるって話だ。まっ、連中が大人しく降伏してくりゃ、それに越したはねぇがな」

 

トウガに続いて口を開くソウゴだが、淡々と喋るその顔の裏に激しい怨恨を感じた。

理由はハルト達も分かっていた。つい先日、「紅の狼」のメンバーであるカズヤが、ラフコフの魔の手にかかり、死亡した。

そして、トウガ達はその敵討ちの為に今回の作戦に参加しようとしていることも。

そんなのは間違っている。そう言いたかったハルトだが、小さい頃から共に過ごしてきた幼馴染を殺されたトウガ達の気持ちを思うと、言いたくても言えなかった。

 

「お前たちの言いたいことは分かる・・・カズヤの事だろ?」

 

「「!?」」

 

二人の顔を見て察したトウガは、真剣な表情で言う。

 

「あいつはちょっとうるさくて、暑苦しいと思ったこともあったが、とても良い奴だった。こんな俺とも、あいつは友達になってくれた」

 

「だったら――」

 

「だが、こうでもしない限り、大切な仲間を殺された俺たちの怒りが収まらないんだ・・・!ラフコフを討つ。この命に変えても・・・!」

 

「悪ぃがもう、理屈だけじゃ俺たちは止まれねぇんだよ。例えカズヤが、それを望んでいなくてもな」

 

そう言い残すと、二人は会議が行われる部屋へと入る。その背中には悲哀と憎悪が漂っていた。

そんな二人に、ハルト達は何て声をかけていいのか分からず、その場で黙り込んでいたが、二人の後に続いて部屋に入った。

二人が部屋に入ると、既に多くのプレイヤーが集まっていた。

「血盟騎士団」と「聖竜連合」の二大ギルドに、「風林火山」などの攻略組に属するギルド。そして、ハルトにコハル、キリトやザントを始めとするソロプレイヤー数人。

部屋に入ってから5分程待っていると、今回の討伐戦のリーダーを務める「聖竜連合」のシュミットが、集まっているプレイヤーの前に出た。

 

「これで全員集まったな・・・よし!改めて、今回のラフィン・コフィン討伐作戦を指揮することになったシュミットだ。よろしく頼む」

 

自己紹介を済ませると、シュミットは今回の討伐作戦について話を進めた。

最初に話題に挙がったのはラフコフのアジトについてだ。これに関しては、事前に情報屋が密告の内容を基に場所を特定しており、中層にある洞窟ダンジョンの奥地、そこの安全地帯を拠点にしている。

次にラフコフの中で特に注意すべき四人の人物について紹介された。

ラフコフのリーダーPoH。ヒースクリフと同じくらいの高いカリスマの持ち主で、その持ち前のカリスマ性を活かして、多くのプレイヤーを犯罪の道に引き込んだ。その上、戦闘の実力もトッププレイヤークラスで、攻略組でもまともに挑めば命は無いだろう。

最近では、《友切包丁(メイト・チョッパー)》というPKをするほど強化される特性を持つ武器を手に入れ、強さと狂気に磨きが掛かっている。

サブリーダーのハルファス。SAOプレイヤーの中でも数少ない《全属性使い(オールラウンダー)》の一人で、リーダーのPoHに引けを取らない強さを持つ。

何よりも、その容姿は髪と目の色以外がハルトと瓜二つだ。ハルファスの顔写真を見たハルトは、自分の鑑映しのような存在に思わず顔をしかめる。それに気づいたコハルがそっと彼の手を握ると、ハルトはコハルにしか聞こえない声で「ありがとう」と言った。

そして、ラフコフの幹部を務めるザザとジョニー・ブラック。どちらも攻略組に引けを取らない強さを持ち、よく二人で組んで行動している。

ザザの説明がされた瞬間、トウガは殺意の籠った目で不敵に笑うザザの写真を見つめていた。幸い、その目はソウゴ以外のプレイヤーには気づかれなかったが、隣でザザの写真を見つめるトウガの瞳には、カズヤを殺した男に対する殺意がハッキリと感じられた。

四人についての説明を終えた後、最後に今回の討伐戦の作戦内容についてシュミットから説明された。

作戦開始時間になったら、ラフコフのアジトに突入して、彼らに降伏を促す。その後は《回廊結晶》を使って、《黒鉄宮》へ連行するという算段だ。

 

「以上で本作戦の内容についての説明を終えるが・・・これらの説明を聞いて、何か質問のある者は?」

 

説明を終えたはシュミット、最後に質問が無いか辺りを見渡す。

すると、右手を軽く上げたトウガが、シュミットに問いかけた。

 

「奴らに降伏勧告するのは分かった。だが、奴らがそれに応じなかった場合はどうするんだ?」

 

トウガの質問に、場の空気が一気に重くなる。皆、それが何を意味するのか分かっているからだ。

トウガはそんな空気を気にともせずに言葉を続ける。

 

「ラフコフは他のオレンジギルドとは違う。殺人を楽しむレッドプレイヤーの集まりだ。もし、連中が降伏しないで、俺たちに襲い掛かったら、俺たちはどのように対処するんだ?まさか、黙って殺されろとは言わないだろうな?」

 

「・・・無論、その時はこちらも応戦するつもりだ。我々の実力を持って、できる限り奴らの戦意を削ぐつもりだ。それでも奴らが降伏しなかった場合は・・・」

 

その先の言葉をシュミットは言わなかった。不安をかき乱す必要はない。

その後、他に質問する者はいなく、明日のに作戦を開始することになって会議は終了した。

 

 

 

 

会議が終わった後、トウガとソウゴは主街区の宿屋にいた。

部屋の中でトウガは一人、装備やアイテムの確認をしたりと、討伐作戦の準備を黙々と進めていた。

そこに扉がノックされて、「入るぞ?」とソウゴの声が聞こえた。

「いいぞ」と言うと、扉が開かれて、ソウゴが部屋に入る。

すると、トウガはソウゴの背中に背負っている槍の存在に気づき、彼に問う。

 

「ソウゴ、その槍は?」

 

「この間ドロップしたやつだ。刀は全部、リズベット(俺の専属スミス)が作ったモンしかねぇからな。あいつが魂を込めて作ったモンを、あんな薄汚い野郎共の血で汚したくねぇ」

 

「そうか・・・」

 

「「・・・・・・」」

 

二人の間に沈黙が続く。

 

「・・・レイスには悪いことしちまったな」

 

「バレたら、後でみっちり怒られるだろうな・・・」

 

ソウゴの言葉に苦笑しながら、トウガは昨日の出来事を思い返した。

 

 

 

 

「なんでなんすか!」

 

二十層にある「紅の狼」のギルドホームの一室で怒声が響いた。

声の主はレイス。その正面には、真剣な表情で彼を見下ろすトウガがいて、そんな二人をソウゴとコノハが部屋の隅で見守っていた。

レイスは普段なら絶対に見せないであろう怒りに満ちた顔でトウガに詰め寄る。

 

「なんで、ラフコフの討伐に俺たちは参加しないんすか!?」

 

数日前、攻略組がラフコフ討伐の為の人員を集めている報せは、最前線で活躍している「紅の狼」にも届いていた。それを見たレイスは、我先にと参加を表明した。

しかし、それに待ったをかけたのは、ギルドリーダーであるトウガだった。

トウガは仲間たちに、討伐作戦には参加しないと伝えた。それに対して、レイスは異議を唱えていた。

こちらを睨みつけるレイスに対して、トウガは冷静に彼を諭す。

 

「今回の討伐戦は今までと違う。相手はモンスターじゃなくて、同じ人間だ。下手すれば、俺たちは人を殺すことになるかもしれない」

 

「だったら尚更行くべきじゃないっすか!あいつらはカズヤさんを殺した!その仇を討たないと――」

 

「レイス!」

 

トウガの大声で、ビクッと体を震わせるレイス。

 

「仇を討つ。そう言えば聞こえはいいかもしれない。だが、それを理由にあいつらの命を奪えば、俺たちはあいつらと同じ人殺しだ」

 

「でも!カズヤさんは、あいつらに・・・!」

 

「分かってくれレイス。カズヤだって、自分の仇討ちの為に、俺たちが人殺しになることを望んでないんだ」

 

「うぅ・・・うわぁーーー!」

 

悲痛な顔で説得するトウガの言葉を受けて、レイスは大声で泣き叫んだ。

その後、レイスは心を落ち着かせる為に、明日はコノハと一緒にサーシャの所へ遊びに行くことになり、その間、トウガとソウゴは数日間上の層でレベリングすることになった。表向きは・・・

 

「コノハ、後は頼む」

 

レイスと別れた後、トウガは後ろにいるコノハに言った。

トウガは行くつもりなのだ。例え、この手を汚すことになっても、小さい頃から過ごしてきた幼馴染の仇を討ちに。

だけど、その復讐に幼いレイスを巻き込むつもりはなかった。これは自分が背負うべき'業'なのだから。

そのことはコノハにも分かっていた。

 

「分かってる。僕もなるべく勘付かれないよう気をつけるから」

 

「・・・すまない」

 

申し訳なさそうに謝ったトウガは、そのまま歩みを進めたその時、後ろからコノハに肩を掴まれた。

肩を掴む力が強くなっているのを感じ、気になったトウガは彼の方を見る。

 

「コノハ・・・?」

 

「・・・死んだら、許さないから・・・!」

 

顔は俯いて見えなかったが、その声は震えていて、自分たちを置いて仇討ちに向かう事への怒りと無事に帰って来て欲しいというコノハの想いを感じた。

トウガは一瞬驚いたが、困ったように微笑みながら返した。

 

「コノハ・・・お前、怒らすと怖いな・・・」

 

 

 

 

「意外だったよ。普段は内気であまり喋らないコノハに、あんな一面があったなんて」

 

「あいつ、たまに思い切ったことをしやがるからな。なんだかんだ言って、あいつも肝っ玉が据わってるぜ」

 

ギルドホームでの出来事を思い出しながら、お互い笑みを浮かべ合う。こんな風に軽口を言い合う事で、少しだけ気持ちが楽になった。

少しだけ会話したら、ソウゴは表情を引き締めて部屋を出た。トウガもまた、部屋を出ようとしたが、ふと手に持った《蒼天刃(そうてんじん)》を見た。

この間のクエストの報酬で手に入れた短剣。そう、カズヤが死んだ次の日に手に入れたその短剣は、ある意味カズヤの形見とも言える物だった。

 

「(行ってくる、カズヤ・・・)」

 

改めて決意を固めたトウガは、集合場所へ向かうべく部屋の扉を開けた。




・コハル、原作ルート初登場
仮にもこの作品のヒロインなのに、原作ルートがあまりにも原作通りに進むせいで再登場に時間が掛かってしまった・・・

・シュミット
元「黄金林檎」のメンバーで、ギルド解散後は「聖竜連合」に入って、ディフェンダー隊のリーダーを務めた。マイナーなキャラだが、圏内事件、ラフコフ討伐戦、更にスカルリーパー戦にも参戦と出番が多い分、他のマイナーキャラよりかは知名度はあるかも?

・《蒼天刃(そうてんじん)
イメージは、「グランブルーファンタジー」に登場する短剣《四天刃・蒼天》


原作キャラを初め、主人公にSAOIFヒロイン、オリキャラ達をも巻き込んだラフコフ討伐戦、果たしてどうなる!?
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