ソードアート・オンライン IF(アイエフ)   作:イノウエ・ミウ

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ep.45 断たれぬ絆

ラフィン・コフィン討伐戦から三日後。

アインクラッド第五十層にあるエギルの店の二階の部屋に、複数のプレイヤーが集まっていた。

 

「そっか。やっぱり、トウガはまだ立ち直れてないんだね・・・」

 

ソウゴから一通り説明を聞いたハルトは暗い顔で呟いた。

その隣で、コハルが暗い顔をしながら口を開く。

 

「あの時のトウガさん。とても怖かったよ。まるで人が変わったかのように、あんな方法で大勢の人を殺して・・・普段のトウガさんからはとても考えられません」

 

「あいつは俺の思ってた以上に、憎しみを抱えていた。それをあいつの傍に居ながら気づけなかったとは、我ながら情けねぇぜ」

 

「ソウゴ・・・」

 

悔いてる様子で喋るソウゴを、リズベットが心配そうな顔で見る。

今この部屋にいるのは、トウガとソウゴが去った後の出来事をソウゴに聞きに来たハルトとコハル、二人をここに呼び出したソウゴ。そして、たまたまエギルの店で素材を買いに来てたリズベットの四人だ。

ソウゴの話によると、討伐戦の後、トウガはギルドホームには戻らず、この間から取っていた宿の部屋に何日も閉じこもっている。食事こそは取っているが、その目に覇気は感じられず、何日も部屋の外に出ていないという。

 

「今はそっとするしかねぇだろうな。何せ、トウガにとってカズヤは、俺たちよりも遥かに特別な存在だったからな」

 

「特別な存在ですか?トウガさん、カズヤさんとそんなに仲が良かったんですか?」

 

「紅の狼」は幼馴染五人で結成しているからか、あまり喧嘩したことがなく、チームワークもバッチリ。だからこそ、五人の間にある絆に差は無く、五人平等だと思っていた。

故にトウガとカズヤ、この二人が他の三人よりも深い絆で結ばれていることにコハルは疑問を抱いた。

そんなコハルの疑問に、ソウゴが少し間をおいてから答える。

 

「・・・確かに、俺らはいつも五人一緒だった。だが、俺やコノハとレイスをいつも引っ張ってたのは、トウガかカズヤの二人だった。少なくとも、あの二人の間には、俺ら以上の絆で結ばれていただろうな。だからこそ、カズヤの死はあいつにとってドデケェショックだったと同時に、殺した奴(ザザ)に対しての憎しみはでかかっただろうな。けど、手下は殺せたが、肝心のカズヤを殺した奴を殺せなかった今、あいつは残った怒りや憎しみを何に向ければいいのか、分からなくなってるのかもしれねぇな」

 

そう言って、どこか悲しげに目を伏せるソウゴ。それに対して、ハルト達は何も言えずにいた。

しばらくして、ハルトとコハルは用事があるため、二人に一言言って部屋を出た。

すると、二人が部屋から出たのを見計らって、リズベットがソウゴに問い掛ける。

 

「んで、結局大丈夫なの?」

 

「大丈夫・・・とは言えねぇな。さっきも言ったが、トウガは一向に部屋から出る気はねぇし――」

 

「違うわよ。あたしが言いたいのはあんた自身のことよ」

 

「俺だと?」

 

「そうよ・・・あんた、平気そうにしてるみたいだけど、相当我慢してるじゃない。オレンジプレイヤーを・・・人を殺しちゃった事、結構キテるんでしょ?」

 

「・・・・・・」

 

ソウゴもまた、あの討伐戦でラフコフのプレイヤーを数名殺害していた。

カズヤの敵討ちと言えば聞こえはいいかもしれないが、自分が人を殺したことは紛れもない事実であり、ソウゴ自身にも深い罪悪感を与えているが、ソウゴはそれを一切表に出さず、普段通りに振る舞っていた。

リーダーであるトウガがあんな状態である今、自分までもが折れるわけにはいかなかった。そうしないと、ギルドの仲間や友人たちに要らぬ心配を掛けてしまうから。

故にソウゴは自分の本心を押し殺して、いつも通りの自分を振る舞っていた。

そんなソウゴの強がりを見抜いたリズベットは、真剣な表情でソウゴに問う。

 

「ねぇ、ソウゴ。前にあたしに言ってたわよね?抱えているものは出せる時に出した方がいいって。今がその時なんじゃないの?」

 

「それは・・・」

 

「ソウゴが抱えているもの、あたしが聞いたところで、どうにもならないのは分かってるわ。でも、誤魔化さないでよ。あたしも、ハルト達も、皆ソウゴの味方なんだから。少しくらい誰かに頼ったって、バチは当たらないはずよ」

 

真剣な表情で語るリズベットを見て、ソウゴは観念して自分の本心を話した。

 

「・・・昔、親父が言ってたんだ。料理人とって手は命より重いもんだ。何があっても絶対に汚すなってな。けど、トウガと初めて出会ったあの日に俺はその掟を破っちまった」

 

思い出すはトウガと初めて出会った家庭科の調理実習の時。ソウゴは食べ物を粗末にした者に怒り、その手を血で汚してしまった。

それ以来、ソウゴは自分の手を汚さぬよう、彼なりに努力してきた。特に、トウガや「紅の狼」の仲間たちとの出会いは、今まで孤高に生きてきたソウゴを変える一つのきっかけであったと言えるだろう。

 

「あいつらと出会って、この世界でお前やハルト達と出会って、少しは変わったと思ってたが・・・駄目だな。あの頃から俺は何一つ変わっちゃいなかった。結局俺の手は薄汚れたままだった・・・」

 

自分の両手を見つめて弱々しく呟くソウゴ。

そんなソウゴを見て、リズベットは優しく微笑みながらそっと彼の手を握った。

 

「・・・何すんだよ?」

 

「大丈夫。ソウゴの手はこんなにも温かい。きっと、あんたにだって温かくて優しい心を持ってるわ。だから、ソウゴが気に病む必要なんてないの。それにね――」

 

リズベットは一旦言葉を区切ると、満面の笑みを浮かべながらこう告げた。

 

「もし、自分の手が汚れていると思うなら、これから綺麗にしていけばいいだけじゃない。確かに、あんたは誰かの命を奪った。だったら、その分誰かを幸せにしなさい。そして、いつか現実世界に帰れたら、ソウゴがその手で大勢の人達を救ったことを誇ればいいのよ。それでも、辛くなったら・・・」

 

そう言いながら、リズベットは両手をソウゴの頭に回し、自身の胸に抱き寄せた

 

「あたしがこうしてあげるから。それで少しでも気が楽になるのなら、いくらでも貸してあげるわよ」

 

「!?」

 

突然の抱擁に驚くソウゴ。だが、不思議とその抱擁はとても温かく、心地良いと感じられた。

リズベットの胸から僅かに響く鼓動を感じながら、ソウゴはゆっくりと口を開く。

 

「・・・ハラスメント防止コードで訴えるぞ?」

 

「いや、普通逆でしょ。いいから黙って身を委ねてなさい」

 

「お前って、普段から男に対してこんなことしてんのか?」

 

「なわけないでしょ。今回だけよ。こんなことするのは。あたしの寛大な心に感謝しなさい」

 

優しく微笑むリズベットに、「うっせぇ・・・」と小さな声で呟くソウゴだが、抱擁に関しては抵抗することなく、リズベットが持つ温もりに身を委ね続けた。

涙を見せなかったのは、せめてもの意地だった。

 

 

 

 

「さてと、これからどうしたもんかね」

 

リズベットと別れた後、ソウゴはこれからの方針について色々と考えていた。

今現在、トウガは引きこもっていて、ギルドホームには帰れない状態。こんな状態で攻略に赴くのはまず無理だろう。

更に、数日前にコノハから《はじまりの街》のサーシャの教会にいたレイスがギルドホームに帰りたいと言い出したとメッセージが来た。

しかし、自分たちよりも先にレイスに帰られると、彼に黙ってラフコフ討伐戦に参加しに行った事がバレてしまう恐れがある。

何とかコノハが頑張って、サーシャの教会に滞在する日にちを延ばしているが、そろそろ限界が近づき、明日にはギルドホームに戻ると、つい先ほどコノハから連絡が来た。

トウガもそうだがレイスのことも何とかしないとならない。やるべき事が多い事実に、ソウゴは「はぁ~」とため息を付いた。

 

「よっ、待ってたゾ」

 

すると、歩いていた視線の先に、アルゴが待ち構えていたかのように立っていた。

 

「アルゴじゃねぇか。待ってたって、俺のことか?」

 

「まぁナ。というより、トウガに渡したい物があったんだが、ハル坊たちから事情を聞いたら、とても渡せる様子じゃなさそうだったからナ。お前に渡すことにしたんだヨ」

 

「そうかい。まっ、懸命な判断だな」

 

ソウゴがそう言うと、アルゴはストレージから一枚の手紙を取り出し、ソウゴに渡す。

 

「こいつは・・・手紙か?誰からのだ?」

 

「・・・こいつは、ある男からずっと預かっていたんダ。もし、自分に何かあったら、この手紙をトウガに渡してくれっテ」

 

アルゴの言葉を聞いて、ますます疑問を抱くソウゴだが、手紙を裏返しにした途端、紙に書かれていた人物の名前に目を見開いた。

その手紙は生前に残したカズヤからの手紙だった。

 

 

 

 

「紅の狼」がSAOにダイブする数日前。

 

『俺はさ、統夜。お前がリーダーになるべきだと思うんだ』

 

当時は世界初のフルダイブ型VRMMOの発表に世間は大いに盛り上がっていた。当然、統夜(トウガ)たち五人も、SAOをプレイすることを楽しみにしており、和真(カズヤ)の家でSAOの話題に花を咲かせていた。

そんな中、五人のギルドを作る中で、誰がリーダーになるのか話していたら、不意に和真がそう言ってきた。

何故自分がリーダーなのか理由を問う統夜に、和真はこう答えた。

 

『だってよ、お前って頭良いし、運動もできるだろ。その上、普段からめっちゃ落ち着いてるし、いざ困った時に皆を引っ張ってくれそうな気がしてよ』

 

『それだったら、和真にだって皆を引っ張っていける才能はあると思うぞ。お前のその前向きな性格に、俺たちは何度も救われている。そういう奴こそがリーダーになるべきだ』

 

『いやいや、俺は馬鹿だから、お前らにああだこうだ的確に指示することなんてできねぇよ。それによぉ・・・俺は思うんだ。統夜、お前はいずれSAOでいっちばん強ぇプレイヤーになれる。そうなりゃ、一番のお前が率いる俺たちのギルドはもう向かうところ敵なしってモンよぉ!』

 

『俺がか?流石にそれはないだろう・・・』

 

『いいや、絶対なるね。俺が保証するぜ』

 

そう言って、親指をグッと立てながらサムズアップする和真に、統夜は小さく微笑んだ。

本当は強い弱い関係なく、仮想世界でも五人でいつも通りの日常を過ごせればいいと思っていた統夜だったが、SAOのトップギルドになり、いつもと少し違った日常を五人で過ごすのも悪くない。そう思っていた。

 

「・・・・・・」

 

それも今はもう過去の話だ。

現在、トウガは中層にある宿の部屋で、一人覇気のない様子で座り込んでいた。

あの日以降、毎日ソウゴが部屋にやって来て、彼が作った食事が置かれ、それを食べる。それ以外では、基本的に部屋から出ることなく、機能を停止したロボットのように過ごしている。

ここ最近はまともな睡眠すらも取っていない。ベッドの上で横になってもすぐに目が覚めるからだ。

目を瞑れば、嫌でもあの時の光景を思い出す。

カズヤが死んだ。そして、自分は敵討ちの為に数人の人間の命を奪った。その事実は、想像以上に彼の心に深い傷を与えていた。

もう二度とあんな思いはしたくない。しかし、また同じ思いをしてしまうかもしれない。

ソウゴが、コノハが、レイスが、自分の周りにいる人達が殺され、その度に自分は復讐の鬼と化して、誰かの命を奪うかもしれない。その恐怖が彼を蝕んでいた。

 

「(カズヤ・・・俺はどうすればいい?)」

 

今は亡き友に、答えの出ない問いを何度も繰り返しながら、トウガはただじっと時間が過ぎるのを待っていた。

その時、部屋の扉が開いた。

 

「よう、相変わらず飯だけはちゃんと食ってるみたいだな」

 

そう言いながら、ソウゴが部屋に入って来て、空になっている皿やグラスが置かれているトレイを見つめる。

トウガが部屋に引きこもる様になってから、ソウゴは引きこもる彼に対して何も文句は言わず、毎日トウガの食事を作っては、こうして部屋を訪れて食事を渡し、食べ終わった食器を回収している。

なので、今回も食器を回収しにきたとトウガは思っていたが、ソウゴは予想に反してズボンのポケットから一枚の手紙を取り出した。

 

「さっき、アルゴに会って、手紙を渡された。お前宛だ」

 

「手紙だと・・・?」

 

「あぁ・・・カズヤからだ」

 

「!?」

 

カズヤからの手紙に、トウガは驚きながら、手紙を受け取った。

少しの間手紙を見つめていたトウガだったが、やがてゆっくりと立ち上がった。

 

「・・・少し外に出る。心配しなくても、そう遠くに行かないさ」

 

「分かった・・・あまり遠くに行くんじゃねぇぞ」

 

「・・・分かっている」

 

そう言うと、トウガは部屋を出て、そのまま宿の外に出た。

そして、街中を歩きながら、ソウゴから渡された手紙の便箋を開けて、手紙の内容を一通り目に通した。

 

『拝啓、トウガ様へ・・・って、こんな堅苦しいのは無しだな。でも、一瞬お前誰だよって思っただろ?まぁ、前置きはこの辺にして・・・よう、トウガ!この手紙を読んでいるってことは、たぶん俺がもうこの世にいないってことだ。そして、お前が酷く落ち込んでいることも容易に想像がつくぜ。けどよぉ、そんなこと気にすんなって!俺が死んだのは多分俺がドジったせいだし、お前が罪悪感を感じる必要なんかこれっぽっちもないんだぜ?寧ろ、お前には感謝してんだ。お前のおかげで俺はSAOの世界で生きる楽しみを知ることができた。おかげで毎日が退屈しねぇ日常だった。トウガ、俺はお前という生涯で最高の親友と出会うことができて、本当に幸せだった。だからよぉ・・・お前は俺の分まで生きて、必ずあいつらと一緒にSAO一のギルドになってくれ。それが、俺からの最後の願いだ。心配しなくても大丈夫だ。例え、離れ離れになっちまっても、俺たち五人の絆は絶対に断たれはしねぇからよ。それとな、もし俺が死んだら、今以上にレイスを気に掛けてくんねぇか?レイスは・・・いや、連弥は俺たちの仲間だけど、同時に弟みたいだなって思う時があるんだよ。だから、もし俺が死んだら、お前や総司、翔斗の三人であいつを守ってくれ。連弥はまだまだ弱虫で素直すぎる奴だけど、俺たちの弟だ。よろしく頼む・・・それじゃ、これで本当にお別れだな。後は頼んだぜ!俺たちのリーダー!』

 

手紙の内容はこれで全部だった。

 

「カズ、ヤ・・・!」

 

トウガは顔に涙を流しながら泣いていた。

いつの間にか、街のはずれにある海が良く見える丘の上に移動しており、その顔は誰にも見られることはなかったが、トウガは人目など気にせず泣き続けていた。

しばらく泣き続けていたトウガは、目元の涙を全て拭った。

そして、彼は決心する。もう二度と大切な仲間たちを失わせはしない。カズヤが望んでいたSAOで一番のギルドになるという夢を成し遂げると。

決意を新たにしたトウガは、その場から立ち去った。その足取りはとても軽く、迷いのないものだった。

 

 

 

 

翌日、トウガとソウゴは自分たちのギルドホームに戻ろうとしていた。

カズヤの手紙を読んだ後、すぐさまソウゴと合流し、ギルドホームに戻ることを決意したトウガ。

ソウゴもまた、先程まで死んでいたトウガの瞳に光が戻っていたから、特に反論はしなかった。寧ろ、いつものトウガが戻ってきた事に安堵し、彼を呼び戻してくれたカズヤに心の中で感謝した。

すると、ギルドホームの入り口にレイスが仁王立ちしながらこちらを睨んでいるのが見えた。その後ろには、気まずそうな顔をしているコノハもいた。

 

「レイス・・・?」

 

自分たちを待っていたのか。そう思っていた二人だったが、直後に発せられたレイスの発言は、二人にとって予想だにしないものだった。

 

「・・・二人共、俺に言うことがあるんじゃないんすか?」

 

「!?」

 

思いもしなかったレイスの発言に、トウガは静かに驚き、ソウゴは話したのか?と言いたげな視線をコノハに向けた。

そのソウゴの視線に気づいたレイスが再び口を開く。

 

「言っときますけど、コノハさんは何も話してないっすよ。俺だって、詳しい事は分かんないっす。でも、二人がレベリングに行っていない事だけは分かるっす」

 

「・・・気づいてたのか?」

 

「馬鹿にしないでください。俺だって、紅の狼の一員なんすから」

 

「そうか・・・」

 

今までは自分やカズヤの言うことは決して疑うことなく、純粋に従っていたレイスが、こうして自分自身で考え、自分の噓を見抜くまで成長したことに、少しだけ嬉しく思いながらも、トウガはもう誤魔化すのは無理だと判断し、本当のことを全て明かした。

自分とソウゴがカズヤの敵討ちの為に、討伐戦に参加したこと。二人が人を殺したこと。レイスに噓を付いてたこと。全てを包み隠さず、正直に伝えた。

しかし、トウガの話を最後まで聞いたレイスは、怒り出すことなく、ただ黙って聞いていた。

 

「そうだったんすか・・・でも、何で俺には嘘ついたんすか?」

 

「それは・・・お前に人殺しをさせたくなかったからだ。お前は俺たちより年下だし、俺たちと違って心優しい。何より、これは俺自身の贖罪だ。それにお前を巻き込みたくはなかったんだ」

 

「・・・そうやって、俺の知らない所で戦って、仮にもし自分が死んだら、俺やコノハさんにごめんの一言もなく消えるつもりだったんすね?」

 

「違う!そんなつもりは――っ!?」

 

レイスの言葉を否定しようとしたトウガだが、言い終わる前にレイスが彼の服に掴みかかった。

 

「ふざけるな!俺はあんたが戦うなら一緒に戦いたかった!例え人を殺すことになっても、少しでも役に立てるよう頑張りたかった!なのに、勝手に行って、俺たちを置いてけぼりにして、死ぬ覚悟までして・・・!何が巻き込みたくないだ!噓をつかれたまま残された方の気持ちも考えろよ!それでもしカズヤさんの時みたいにまた勝手にいなくなったら、俺たちはどうすればいいんだよ・・・!」

 

トウガの服をギュッと掴みながら叫ぶレイスの目からは涙が流れていた。

その言葉を聞きながら、トウガは心の中で深く後悔していた。

カズヤの手紙に書いてあった自分たちにとってレイスは弟みたいな存在であるということ。カズヤがそう思っていたように、自分もレイスの事を同じように思っていたという事に気づかされたのだ。そして、レイスもまた、自分たちの事を兄のように思っていたということを。

だからこそ、トウガはレイスに対して謝罪の言葉を口にした。

 

「すまなかったレイス。お前たちのことを考えていたつもりだったのに、逆にお前を傷つけてしまった」

 

「トウガさんが俺やコノハさんを巻き込みたくなかったのも分かるっす!でも、俺にとって、紅の狼はもう一つの家族みたいなものなんすよ!だから・・・ちゃんと傍にいてよ!俺を一人にしないでよ・・・!」

 

泣きじゃくるレイスに、トウガはそっと抱き寄せながら問う。

 

「俺が・・・俺なんかがお前たちと一緒にいてもいいのか?こんなにも弱い俺が、お前たちと家族みたいに接していて良いのか・・・?」

 

「当たり前じゃないっすか!だから、これからもずっと一緒にいよう。トウガ兄ちゃん(・・・・)

 

「!? あぁ・・・!約束だ。俺は絶対にお前たちを残して死なない。お前たちも必ず守ってみせる。これから先、何があっても、俺たち五人の絆は絶対に切れさせはしない」

 

そう言って、涙を流しながらレイスを力強く抱きしめるトウガ。そんな二人を見て、コノハもまた涙を流していた。ソウゴは後ろを向いていたが、顔の影に薄っすらとだが透明な雫が通っていた。

「紅の狼」。幼馴染五人で結成されたギルド。その絆はどんなことがあっても決して切れることはないだろう。

例えこの先、どんな困難が彼らに待ち受けようとも、断たれぬことのない絆がそこにあった。




・討伐戦時のソウゴ
トウガ程ではありませんが、ソウゴも討伐戦で怒りのままに戦い、ラフコフのプレイヤーを数名殺害しました。

・感情を高ぶらせるレイス
置いてけぼりされたことの怒り。自分の知らない所でまだ誰かがいなくなる恐怖。様々な感情が混ざり合った結果、いつもの口癖である~っすが無くなる程感情を高ぶらせました。口調の方もキレたらチンピラ口調になるトウガの影響により、若干荒くなっています。

・トウガ兄ちゃん
今までさん付けで呼んでいたトウガを'兄'として認識した瞬間です。同時にソウゴやコノハ、カズヤにも〇〇〇兄ちゃんと呼ぶようになりました。


紅の狼関連の話はこれで終わりです。
次回からは、というより、原作ルートはここからが本番です。今まで空気だったハルト&コハルをメインに進みます。
青眼の悪魔やユイの心などの原作の話は勿論、オリジナルストーリーもあるので、どうか彼らがSAOをクリアする最後までお付き合いください。


・ちょっとした小話その1
SAO、テイルズシリーズとのコラボおめでとう!SAOIFでもコラボイベントを楽しく遊ばせていただいております。
ちなみに、私の好きなテイルズキャラは、男性だとロイド、ユーリ、シグレ。女性だとカノンノシリーズ全員やベルベットです。


・ちょっとした小話その2
1の続きですが、もし「ソードアート・オンライン IF」のオリキャラ達がコラボ衣装のスキレコで登場したら、こんな感じになります。
・ハルト(SAOIF主人公):シング、またはアレン
・トウガ:ジュード(エクセリア版)、またはカイル
・ソウゴ:ガイ、またはセネル
・コノハ:ルカ、またはヒューバート
・カズヤ:ロニ、またはデゼル
・レイス:カロル、またはジーニアス
・ザント:ヴィシャス 、またはアイゼン
トウガとソウゴ、この二人の組み合わせの内一つ(カイルとセネル)は中の人繋がりです。また、同じ中の人繋がりで且つ性格も似ているコノハとエミルの組み合わせがない理由は、コノハの服装自体が既にエミルと似たような物(詳しくはep.41の後書きを)だからです。
他にも、このキャラはこのテイルズキャラの衣装が似合うと思うなどの意見がありましたら、感想欄にどうぞ。


※どうでもいい余談
上記に挙げられたアレンはテイルズオブリンク*1の主人公ですが、アレンも最初はデフォルト名が無く*2、SAOIF主人公と同じような扱いを受けてました(まぁ、それでも何回か一枚絵で登場してるから、4周年経っても未だに一枚絵が無いSAOIF主人公に比べたらマシなんですけどね)が、2周年辺りにアレンというデフォルト名が追加されて、そこから声優の追加、キービジュアルに載る、ガチャでの実装など主人公として目立つようになり、サービス終了してからも、他シリーズのアスタリアやレイズに参戦したりなど、きちんと一人のテイルズシリーズの主人公として扱われています。つまり、何が言いたいのかというと・・・SAOIFもアレンを見習って、SAOIF主人公の扱いを良くしてくれませんかね?

*1
テイルズシリーズのアプリゲームの一つ。サービス開始から4年近く提供していた。今も続いているアスタリアやレイズと比べたら少し劣るが、つい最近サービス終了したクレストリア(←約2年でサービス終了)やルミナリア(←約半年でサービス終了)に比べたら全然マシである

*2
元々リンク自体が主人公は君自身だ系のゲーム

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