ソードアート・オンライン IF(アイエフ)   作:イノウエ・ミウ

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今週遂に劇場版SAOプログレッシブ冥き夕闇のスケルツォが公開されました。
この話が投稿される頃には、作者も映画を見終えているでしょう。ちなみに、ネタバレ防止のため、映画の感想は次の話に書きます。


ep.47 決して変わることのない想い

それは、突然とした出来事だった。

最新階層の攻略を終え、泊まっている宿屋に帰ろうとした時、ふとアスナから聞かれた。

 

「ねぇ、コハル。ずっと気になってたんだけど・・・ハルト君とはいつ結婚するの?」

 

「ふぇ!?」

 

突然とんでもないことを聞いてきた親友に、コハルは思わず顔を赤くする。

そんなコハルを微笑ましく見ながらアスナは言葉を続ける。

 

「ごめんね。突然こんなこと聞いて。でもね、もし迷ってるなら、思い切って結婚した方がいいと思うの。これから先、戦いはもっと過酷になっていくわ。どうなるかなんて、誰にも分からない。だからこそ、後悔しないように想いはちゃんと伝えないと」

 

「・・・でも、結婚って言っても、あくまでシステム的にだし、実感が湧かないっていうか・・・」

 

SAOの結婚はあくまでシステムとして成り立つものであり、実際に夫婦になるわけではない。そう分かっているからこそ、コハルは複雑な気持ちで悩んでいたが、ふと思ったことをアスナに告げた。

 

「ていうか、そう言うアスナも、いつキリトさんと結婚するの?」

 

「な、なんでいきなり私が結婚することになるのよ!しかも、そこでどうしてキリト君の名前が出てくるのよ!?」

 

コハルから思わぬ反撃をくらい、今度はアスナが顔を赤くする番になった。

その後、二人の会話は徐々にヒートアップしていき、挙句の果てにお互いの恥ずかしいところを言い合ったりなど、最早本来の話から脱線していた。

やがて、二人は同時にため息をつく。そして、お互いに顔を見合わせ、吹き出すように笑い出した。

ひとしきり笑った後、コハルはぽつりと言った。

 

「・・・ありがとね、アスナ」

 

その一言を聞き、アスナは優しく微笑みながら親友に激励を送った。

 

「うん、頑張ってね!」

 

 

 

 

一方、ハルトもまた、キリトに結婚の話題について振られていた。

 

「ところでハルト。コハルとはもう結婚したのか?」

 

「え?」

 

普段のキリトからは想像できないストレートな質問に、思考が停止するハルト。

 

「その様子だと、まだ結婚してないみたいだな。これから攻略はよりいっそう厳しくなると思うし、結婚すれば、互いのストレージを共有できるから、何かと便利になると思うぞ」

 

「・・・なんて言うか、君の考える結婚には、もっとロマンチックさとかは無いのかい?」

 

相変わらず平常運転のキリトを見て、あ、いつも通りだ、と心の中で安堵しながらも、ハルトは呆れるように返す。

それに対して、キリトは特に気にすることなく言葉を続ける。

 

「SAOの結婚なんてそんなもんだろ?あくまでシステム的に結婚するだけだし、実際に夫婦になるわけじゃないからな」

 

「それはまぁ・・・そうなのかもしれないけど・・・」

 

案外的を得ている言葉に、ハルトは強く反論できなかった。

キリトの言う通り、SAO(この世界)ではハルト達プレイヤーはあくまでもデータ上の存在に過ぎない。

仮にコハルと結婚したとしても、所詮はデータ上の繋がりでしかなく、そこに本物の愛という感情があるとは言えない。

 

「(でも、結婚か・・・)」

 

だからといって、それが嫌というわけではなく、寧ろ彼女と結婚できたら幸せだと思う自分がいることに気づき、ハルトは少しだけ恥ずかしくなった。

それらの思いが積み重なった結果、ハルトはゆっくりと自分の考えを言った。

 

「・・・とりあえず、考えておくよ」

 

「そうか。まっ、応援してるぜ。なんだかんだ言って、お前ら二人は初めて会った時からずっと二人でいるし、お似合いだと思うぜ」

 

そう言い残して、去っていくキリトを見て、ハルトは何とも言えない気持ちになっていた。

コハルの事は好きだ。願わくば彼女と共にこれからの人生を歩んでいきたい。

しかし、先日のハルファスとの戦いで、ハルファスが言っていた言葉が頭によぎる。

 

『お前は自分の罪を知らない。お前が生まれた理由も、お前自身の存在意義すらもな』

 

今の家に引き取られたのは6歳の頃だ。それ以前の記憶がハルトには無い。どこで産まれたのかもそうだが、今の家に引き取られるまでの間、誰とどこで過ごしていたのかも。

もし、ハルファスが言ってた通り、自分がたくさんの人の命を奪った最低な人間だった場合、果たして彼女は、今のままでいてくれるのだろうか。

そんな不安が残ったまま、ハルトは帰路へ付くのであった。

 

 

 

 

翌日、ハルト達の下にアルゴから一つの依頼が届いた。

内容は第四十七層に突如現れた塔について調べて欲しいとのこと。

アルゴによると、その塔の最上階には多くの花々が咲き誇る屋上庭園が存在している。そこにある花の一つ一つには様々な意味を持ち、贈った相手へ想いを伝える事ができると言われているらしい。

しかし、彼女の予想では、この塔の難易度はかなり高いらしく、中層のプレイヤーに調査させたら、最悪死ぬ恐れがあるため、二人に依頼して来た。

それを聞いたハルトは、その依頼を受けることにした。

装備やアイテムの確認をして、準備を終えたところで出発しようとするハルト。

 

「じゃあ、そろそろ行こうか」

 

「待って、ハルト」

 

しかし、出発しようとするハルトをコハルが呼び止めた。

 

「あのね・・・きっとこれから先、攻略はもっと激しいものになると思うの。もしかしたら、このゲームをクリアするまで生き残れないかもしれないし、途中で折れてしまうかもしれない。だけど・・・私はこの先に続く未来を信じていきたい。その気持ちを捨てたくない。だから――」

 

「コハル」

 

コハルの言葉を遮るように、ハルトが彼女の名前を呼んだ。

彼女が言おうとしている事は察した。けれど、それに対しての答えが、まだ出ていなかったからだ。

 

「その答えは、今はまだ待ってくれないかな?僕が何者なのか、それが分かったら、必ず伝えるから」

 

「・・・分かった。待ってるから」

 

そう言って、コハルは少しだけ寂しそうに笑った。

宿屋を出て、気まずい雰囲気を残しながらも、二人は転移門へ歩いていく。

転移門の前に立ったハルトとコハルは、それぞれ別のことを思っていた。

ハルトは果たして自分はコハルに相応しい存在であるかを。

一方で、コハルはハルトが自分のことを受け入れてくれるかどうかを。

それぞれの想いを抱きながら、二人は転移門に飛び込んだ。

 

 

 

 

転移してからしばらく歩いた後、二人が辿り着いた先は、巨大な塔だった。

塔の高さに圧倒されながらも入口の扉を開けて中に入ると、そこには一つの転移碑が置いてあった。

 

「どうやら、これで転移しながら上まで登るみたいだね」

 

そう言って、ハルトは転移碑に触れた。

次の瞬間、二人の体は青い光に包まれて、その場から消えた。

光が収まると、二人は広い部屋の中にいた。

すると、二人がここに来たのがトリガーであるかのように、ミミックが部屋中にポップし出した。

 

「敵が来た。行こう!」

 

「うん!」

 

二人は武器を構え、戦闘を開始した。

その後、出現したミミックを全て倒した二人は、いくつかの転移碑で転移したりしながら、塔を攻略していた。

しかし、進んでいくにつれて、敵の強さも上がっていき、苦戦する場面が増えてきた。

 

「くっ!なんて強さだ。アルゴの予想通り、中層のプレイヤーに調査を任せないで正解だった」

 

もし、攻略組以外のプレイヤーがこの塔の調査に来ていたら、恐らく死んでいただろう。それほどまでに、この塔のモンスター達は強かった。

そして、問題はそれだけじゃなかった。

 

「!? ハルト!」

 

「なっ!」

 

自分の横からモンスターが接近しているのに気づかず、ギリギリのタイミングで攻撃を防ぐハルト。コハルの声がなければ、今頃大ダメージを負っていた。

何とか敵を倒して、ひと段落ついた所で、コハルは心配そうな表情でハルトに話しかける。

 

「ねぇ、やっぱり無理してない?」

 

「え?」

 

「だって、さっきからハルト、敵の攻撃に対して反応が遅れてるよ・・・それも、段々増えてるし・・・」

 

コハルの言うように、ハルトの動きは最初と比べて明らかに鈍っていた。

その原因は分かっている。

 

「やっぱり、あの時言われたこと。まだ気にしてる?」

 

「・・・・・・」

 

コハルの言葉を聞いて、ハルトは黙り込む。

彼女の言っていることは図星であり、先日ハルファスに言われた言葉が頭から離れないでいた。

ハルファスの言葉が正しかった場合、ハルトが今までやってきた事は全て無意味なものになってしまう。

もし、自分が罪人だった場合、自分はコハルと一緒に居てはいけない。一緒に居ることで、彼女を傷つけてしまう可能性があるからだ。

それに、自分が罪人だと知ったら、コハルはきっとショックを受けるに違いない。もし、自分が犯罪者なら、彼女は自分を許せないかもしれない。

そんな不安がハルトの心に残り続けていた。

 

「ハルト」

 

「・・・何?」

 

「私はハルトの事が好きだよ」

 

突然の告白に驚くハルト。

そんな彼に、コハルは真剣な表情で彼に問う。

 

「あなたはどうなの?私のこと・・・好き?」

 

その問いは、ハルファスとの戦いの後、彼女が聞いてきたことだ。

あの時は、心に余裕を持ち、疲れが溜まっていたのもあって、素直に好きと伝えることができた。

しかし、今は状況が違う。

コハルの事が好きだという気持ちに変わりはない。けれど、本当にそれで良いのかと疑問が残る。

それはハルトにとって、とても重要なことだった。

コハルと共にこれからの人生を歩んでいくためにも、今の自分について知る必要がある。

 

「・・・ありがとう。僕のことを好きって言ってくれて。だけど、ごめん。今はまだ、本当の気持ちでそれに答えることはできない」

 

そう言いながら、ハルトはコハルの顔を見ないまま先へ進んだ。

コハルはそんなハルトの後ろ姿を潤んだ瞳で見つめながら彼に付いていく。

やがて、二人は巨大な扉の前に辿り着いた。

 

「どうやら、ここがボス部屋みたいだね」

 

「・・・そうだね」

 

二人はお互いの顔を見ることなく会話をする。まるで、お互いに相手の顔を見ることを恐れているかのように。

 

「・・・行こう」

 

ハルトは扉を開けて中に入る。

広い部屋の中には、巨大なびっくり箱が置いてあった。

二人は警戒しながら、巨大びっくり箱に近づくと、箱の蓋が勢い良く開き、中から四本の手を持った魔人が飛び出してきた。

 

「来るよ!」

 

「うん!」

 

二人は武器を構えて戦闘態勢に入った。

そんな二人に向けて魔人は拳を振るうが、二人はそれぞれ左右に分かれて避ける。

その後、魔人の攻撃を二人で捌きながら、隙を伺っていたが、中々チャンスが見つからない。

このままではジリ貧だと思ったその時、コハルの攻撃が敵の体勢を大きく崩した。

 

「今だよ!」

 

この機を逃すまいと、コハルはハルトに追撃を掛けるよう声を掛けるが、ハルトはその場から動こうとしない。それどころか、《フォルネウス》を構えたまま暗い顔で固まっていた。

 

「ハルト!」

 

「!?」

 

再度コハルが大声で叫ぶと、ハルトは我に返って、慌てて攻撃を仕掛けるが、既に魔人は体勢を立て直しており、彼の攻撃はあっさり避けられてしまった。

その後も、ハルトの動きは明らかにおかしくなっていった。

敵の攻撃に対しての反応が遅れたり、動きが止まったりすることが増えていき、遂には敵の攻撃を受けてダメージを受けた。

 

「ハルト!しっかりして!!」

 

コハルの叫び声が響き渡る。しかし、ハルトには届かない。

 

「ぐっ!(・・・分からない)」

 

魔人の攻撃を受けた衝撃によって、吹き飛ばされるハルト。

何とか起き上がり、再び魔人に向かって走り出す。

 

「ウォォォォォォ!!(分からない・・・!)」

 

しかし、威勢よく吠えたのはいいものの、結局攻撃を当てることはできず、逆に敵の攻撃でダメージを負ってしまう。

再び吹き飛ばされ、ゆっくり立ち上がるハルトだが、その表情は焦燥感に満ち溢れていた。

 

「僕は・・・何者なんだ・・・?」

 

ただ、その答えのみを求めて、ハルトは戦い続けた。

そして、何発か攻撃を食らったところで、遂にハルトの動きが止まってしまった。

その瞬間、敵はハルトに向けて手を伸ばし、彼に向けて魔法攻撃を発動する準備を始めた。

ハルトは必死に体を起き上がらせて、回避しようとするが、次の瞬間、魔人から黒い魔力弾がハルトに向けて放たれた。

ここまでかと諦めかけ、目を瞑ったハルトだったが・・・

 

「させない!」

 

間一髪の所でコハルが間に合い、ハルトを突き飛ばす事で、彼を窮地から救うことに成功した。

だが、代わりにコハルが敵の攻撃を受ける事になってしまった。

 

「うっ・・・!」

 

なんとか耐えるコハルだが、受けた傷はかなり深いようで、HPも減っている。

 

「コハルぅーーー!!」

 

そんなコハルの姿が目に映ったハルトは、今までおかしかったのが噓かのように、素早い動きで彼女を抱えると、フィールドの安全圏に避難した。

 

「これを!」

 

ハルトは慌てた様子で彼女にポーションを飲ませて、HPを回復させる。

 

「ありがとう・・・」

 

HPが回復したコハルは、ハルトに礼を言うが、先程のやり取りのせいなのか、少し気まずい雰囲気になる二人。

 

「コハル、僕は・・・」

 

何か言おうとするハルトだったが、直後コハルは彼の口を自分の唇で塞いだ。

突然の出来事に驚くハルトだったが、やがて受け入れてコハルを抱き締めると、そのまましばらく抱き合っていた。

しばらくして、コハルの口がハルトから離れる。

 

「・・・これが私の気持ちだよ。仮想世界であっても、決して変わることのない私の本当の気持ち」

 

コハルの言葉を聞いたハルトは、悲しげな表情を浮かべて俯いた。

 

「ごめん。でも、本当に分からないんだ。僕が何をしたのか、どんな罪を犯したのか」

 

ハルトの言う通り、彼自身は何も覚えていないのだ。

自分が一体どんな存在なのかすらも。

 

「私はそんなハルトも含めて好きだよ」

 

そう言って、コハルはハルトの手を優しく握ると、自分の胸にそっと当てた。

 

「私じゃ駄目かな?ハルトのことを一番理解している私が一緒に居ても、迷惑かな?」

 

「そんなことない。寧ろ、嬉しいくらいだ。だけど・・・」

 

「だけど?」

 

「コハルを幸せにしてあげられるか不安で仕方がないんだ」

 

そう言いながら、ハルトは自分の胸の内をコハルに話す。

 

「僕は生まれてから今の家に引き取られるまでの記憶がない。もし、ハルファスが言ってた通り、僕が昔大勢の人達を殺した殺人者だったら。もし、本当の僕が冷酷で非道な人間なら、君を傷つけるかもしれない。それが怖いんだ」

 

それらを全て話した後、ハルトはただひたすら地面を見つめていた。

そんな彼に、コハルは真剣な表情で口を開く。

 

「ハルトの気持ちは分かったよ。でも、私はハルトがどんな過去を持っていても受け入れるよ」

 

その一言に、ハルトは再び驚かされる。

 

「例えハルトが昔悪い事をしていたとしても、それでも私はハルトのことが好き。だって、私はあなたのパートナーだから」

 

コハルはハルトの手を握ると、優しく微笑みかけた。

 

「それに、私は知ってるから。ハルトが自分のことを分からなくても、ハルトはちゃんと誰かを助けている。ハルトは誰にでも優しくて、困っている人を放っておけない人だもん。きっと、ハルトがハルトである限り、ハルトはハルトのままでいると思う。だからね、もし記憶が戻ったら、私にも教えてね。ハルトの本当の姿を」

 

「コハル・・・」

 

ハルトは顔を上げてコハルの目を見る。

コハルの瞳は真っ直ぐにハルトのことを捉えていた。

 

「・・・そうだね。コハルの言う通りだ。僕は昔の僕を知らないし、過去の自分に戻ることはできない。でも、今の僕は僕のままでありたい。今のままの僕を受け入れてくれる人がいるのなら、その人とずっと共に歩んでいきたい。たとえ、その先に何があっても、僕はこの道を進んで行く。だから、コハル・・・これからも僕のパートナーでいてくれるかい?」

 

ハルトの問いに、コハルは満面の笑みを浮かべる。

 

「勿論!これからもよろしくね!」

 

コハルの返事を聞いて、嬉しそうに微笑んだハルトは、そのまま視線を魔人に向ける。

安全圏の外からこちらが来るのをジーっと待っている魔人を見据えながら、ハルトはコハルに声を掛ける。

 

「コハル・・・10秒だけ時間を稼いでくれないかな?」

 

「・・・分かった。10秒だね」

 

何の説明もない無茶なお願いだったが、コハルは理由を聞くことなく、魔人に攻撃を仕掛ける。

その間に、ハルトはストレージを開き、中の武器を整理しながら、'あるスキル'を発動する為の準備をしていた。

そして、言われた10秒が経ったところで、ハルトは走り出した。

 

「コハル!スイッチ!」

 

ハルトの声に従い、コハルは後ろに下がる。

《フォルネウス》を手に持ちながら、ハルトはソードスキル<ヴォーパル・ビート>を発動し、魔人にダメージを与える。

しかし、ハルトの攻撃はこれで終わりではなかった。

 

「コネクト!」

 

ハルトがそう叫んだ途端、彼の手持ちの武器が《フォルネウス》から槍《グリード》に切り替わった。

そして、手に持った《グリード》を構えて、ハルトは<ストーム・バウンサー>で魔人に攻撃する。

 

「もう一発!コネクト!」

 

更に今度は、《グリード》から斧《トワイライト》へ切り替わり、それと同時にハルトは地面を蹴って、高く跳んだ。

そのまま《トワイライト》を両手でしっかり持ち、斧のソードスキル<カイザー・ブロー>を発動させる。

 

「いっけぇーーーーーー!!」

 

勢い良く振り下ろされた《トワイライト》は、魔人の巨体を一刀両断した。

一刀両断された魔人は、そのままポリゴン状に四散した。

 

「凄いハルト!いつの間にこんな凄いスキルを覚えてたの!?」

 

「今のは僕のユニークスキル<コネクト>だよ。《全属性使い(オールラウンダー)》として、色々な武器を鍛えてたら、いつの間にかこのスキルが追加されてたんだ。解放条件は多分、あらゆる武器の熟練度を一定の数上げていることかな」

 

興奮気味に話しかけるコハルに、冷静に説明するハルト。

すると、部屋の奥にあった巨大な扉が開いた。

 

「行こう」

 

二人は扉を通り抜けて、先にあった階段を登っていく。

やがて、階段を登り切った先には、またもや巨大な扉があり、それを開けると、絶景が広がっていた。

 

「わぁー、凄い綺麗だね」

 

二人の視界には、それはもう美しく咲き誇る花々が映っていた。

辺り一面に咲く花々はとても美しく、更に夕焼けの光に照らされて、より一層幻想的な風景となっていた。

どうやら、ここがアルゴが言ってた屋上庭園のようだ。

幻想的な光景にコハルが見惚れる中、ハルトはある花を見つけると、その花が咲いている場所へ近づき、一本引っこ抜いた。

 

「やっと、手に入った・・・」

 

その黄色い花を見て、満足そうに微笑むと、ハルトはコハルの方を向いて彼女に話しかける。

 

「花の名前は《コトノハナ》。この花は嘗て人間とエルフが互いに想いを伝えるために、送り合っていた物なんだ。そして、この花の花言葉は'永久'。いつまでもあなたと一緒にいたいって意味を持つんだ」

 

「え・・・?」

 

ハルトの言葉を聞いたコハルは、顔を少しだけ赤くしながら驚く。ハルトの言っている事の意味が何となく理解できたからだ

そんな彼女の様子を見て、ハルトは優しく微笑む。

 

「コハル。僕はずっと不安だったんだ。自分が何者なのか。もし、それを知ってしまったら、僕という人間は今と違う存在になるかもしれない。でも、君はそんな僕を好きだって言ってくれた。パートナーって言ってくれた。そんな君だからこそ、この想いを伝える事ができる」

 

そう言って、ハルトは黄色い花束をコハルに差し出すと、真剣な表情で自分の想いを伝えた。

 

「僕も君が好きです。これから先、続いていく未来を君と一緒に過ごしたい。だから・・・コハル、僕と結婚してください」

 

コハルの返事は当然決まっていた。

 

「はい」

 

涙を流しながらも、コハルは最高の笑顔でその想いに応えるのであった。




・《グリード》、《トワイライト》
前回登場したルクスインテグラルシリーズの槍と斧。

・<ストーム・バウンサー>
槍の星4スキル。本来ならMODスキルなのだが、流石にそこまでは再現できないので、この小説ではそこそこ強いソードスキルという扱い。

・<カイザー・ブロー>
久しぶりに登場オリジナルソードスキル。SAOIFだと斧の星4MODスキルに値する。高く跳んだ後、一気に斧を振り下ろして相手を一刀両断する。

・ユニークスキル<コネクト>
ハルトのユニークスキル。本来ソードスキルを連続で発動する際、スキル発動後のクールタイムが存在し、次のスキルを発動するのに数秒のラグが生じるが、<コネクト>は最大3回までクールタイムを大幅に短縮し、連続でソードスキルを発動することができる。また、ソードスキル発動後、違う武器のソードスキルを発動させたい時に、自動で手元の武器をクイックチェンジで変えて、すぐさまその武器のソードスキルを発動することができる(例えば、片手直剣のソードスキル発動後、次は槍のソードスキルで攻撃したい時、クイックチェンジのワンタッチ操作をすることなく、手元の武器が槍に変わり、無駄な手間が無いまま槍のソードスキルを発動することができる)。そのため、非常に汎用性が高く、慣れるまで難しいユニークスキルになっている。
※SAOIFをやっている方ならご存知かもしれませんが、簡潔に言えばコネクトスキルです。この世界ではハルトのユニークスキルになっています。また、同じ武器のソードスキルじゃないと連結できないSAOIFのコネクトスキルと違って、それぞれ違う武器のソードスキルとも連結できるので、若干強くなっています。


ということで、遂にハルトとコハルがゴールインしました
次回は二人の結婚生活を書きます。更に新キャラの登場も!?
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