ソードアート・オンライン IF(アイエフ) 作:イノウエ・ミウ
プログレッシブキャラが登場します。
山を下り、《自然洞窟》を抜けたハルトは、トウガがメッセージで送ったフィールドボスの攻略が行われる場所に向かっていた。
攻略が行われる場所に何とかたどり着いたが、周りの雰囲気が殺伐としていた。
何事かと思いつつ、ハルトは端っこにいた「紅の狼」のリーダートウガに話しかける。
「ねぇ、トウガ。なんか攻略組の人たち凄い殺伐としているけど、何があったの?」
「!?・・・久しぶりだな、ハルト。そのことを話す前に、お前は今の攻略組がどんな状況か知ってるか?」
トウガの質問に対し、首を横に振るハルト。
ここ数日、武器の熟練度を鍛えてり、<体術>を手に入るクエストをしていたハルトとコハルは、攻略組の情報については何も知らないでいた。
「落ち着いて聞け。今、攻略組は二つのグループに分断しているんだ」
「えぇ!?」
トウガの言葉を聞いて驚くハルト。
彼の話によれば、ディアベルが抜けた後、攻略組はリンドの「ドラゴンナイツ」とキバオウの「アインクラッド解放隊」の二つに分かれてしまい、その二派は互いにいがみ合っているという。
「なるほど、だからあんな殺伐とした空気に・・・しかし、どうしてこんなことに?」
「それは俺たちにも分からない。ただ、一つだけ言えることがある。このままこの流れが続くと、必ずボス攻略で多数の死者が出かねないことだ」
「たく・・・くだらない意地を張る暇があるなら、少しは連携を取れるようにしやがれってんだ」
トウガが最悪の未来を予想し、その隣でソウゴが攻略組に対して悪態付く。
「とにかく、今は目の前のフィールドボスからだ。攻略組以外は取り巻きの蜂を担当することになっているが、注意しながら取り組んでいこう」
そう言いながら、トウガ達は攻略組の方へ向かっていった。
ハルトも攻略組の方に向かおうとしたその時、攻略組から少し離れた場所に座っている一人の少女に目が入った。
彼女は第一層のボス攻略でキリトと共にボス攻略に貢献した少女であり、名前は確かアスナと言った。
「確か、アスナ・・・さん、だっけ?」
「!? 君は確か、一層のボス攻略の時にパーティーを組んだ・・・」
ハルトに声を掛けられ、振り向くアスナ。
ハルトの顔を見たアスナは思い出したかのような表情をした後、ハルトに話しかける。
「久しぶりね。ボス攻略の時はキリト君共々お世話になったわ。後、呼び捨てでいいわよ。ところで、あなたの隣いた・・・コハルだっけ?あの子は来てないの?」
「えぇっと・・・コハルは今、別の用事があって、ここには来れなかったんだ」
アスナの質問に戸惑いながらも返すハルト。
戸惑っているハルトを見たアスナは、多少怪しんだが、特に追求したりすることはせず、もう一つの質問を投げる。
「それで、ハルト君。私に何か用?」
「いや・・・その・・・もし、パーティーを組む人がいなければ、僕とパーティーを組んでくれないかなぁなんて・・・ほら!僕らは取り巻き担当だし、パーティーを組むのに丁度いいかなぁと思って・・・」
この世界に来てまともに話した女子はコハルしかいないハルトは、他の女子と話すことに少し緊張していた。
緊張しながらも話しかけた目的を話すハルトを見て、アスナは特に嫌な顔をせず、口を開いた。
「いいわよ、一人よりも二人で戦った方が効率いいと思うし・・・その前に」
アスナは喋りながら、草木に手を突っ込み、何か引っ張り出した。
「覗き見した罰として、この人も加えても構わないかしら?」
「ちょっ!いつの間に気づいたんだ・・・」
アスナに引っ張り出されたキリトは困惑しながらアスナを見ていた。
『!? ビーター・・・』
引っ張り出されたキリトを見て、一気に周りから敵意の視線がキリトに向けられた。
アスナはそんな視線を気にともせず、リンドに向かって喋る。
「蜂担当一人追加。あなた達がきちんと戦っている間は、フィールドボスには手を出させないわ」
アスナの言葉を聞いたリンドは、憎らし気にキリトを見たが
「・・・余計なことはするなよ」
そう言いながら、去っていった。
リンドが去っても、周りから敵意の視線で見られている中、キリトが話しかける。
「その・・・ごめん。やっぱり、小心者の俺が君たちと組むのは・・・」
「見くびらないで」
キリトの謝罪を制止させるアスナ。
「他人にどう思われようとも、あなたの仲間と思われるのが嫌だったら最初から引きずりだそうとしないわ。あなたがSAOのプロなら、こっちは心理戦のプロよ。顔色を読むくらい朝飯前だわ」
キリトとに向かって堂々と話すアスナ。そこにハルトも話しかける。
「周りから悪のビーターて言われても、僕にとってキリト。君は一緒にこのゲームのクリアを目指している仲間であって友達だ。それを忘れないでくれ」
堂々と友達宣言をしたハルトを見て、キリトは微笑みながら
「ありがとう。二人共」
自身を受け入れてくれた二人に感謝した。
「ところで、攻略組の中に見ない顔がいくつかあるな?」
キリトは攻略組に混ざっている五人組を見ながら話す。
「確か・・・最近、前線で見かけるようになったギルドらしいわ。レベルはそんなに高くないけど、装備が良くて硬いのよね。いいタンクになると思うわ」
アスナが五人組について説明する。
説明を聞いてたハルトは少し興味を持ちながら五人組を見た。
ここ数日、攻略組に関する情報を知らなかったハルトだが、自分たちの知らないところで新しい戦力。しかも、タンクの役が増えることは非常に喜ばしいことだと思う。
ハルトは五人組を見終えると、アスナに彼らの名を聞いた。
「ねぇ、アスナ。あの人たちのギルド名って知ってる?」
すると、アスナは少し戸惑いながら質問に答えた。
「れ、レジェンド・ブレイブス・・・」
「「ぶふっ」」
ギルド名を聞いたハルトとキリトは思わず吹きかけた。
「確かメンバーは・・・ベオウルフさん、クーフーリンさん・・・あ、あそこにいるのがリーダーのオルランドさんよ」
次から次へと出てくる伝説の勇者の名前に、笑いを耐えながらハルト達はオルランドを見た。
彼は武器の強化を依頼してたらしく、強化に成功したのか鍛冶屋の背中を嬉しそうな表情で叩いていた。
一通りのやり取りを見ていたハルトだが、ふと疑問に思った。オルランドではなく、彼の武器を強化した鍛冶屋に。
「あの鍛冶屋。見た感じNPCじゃないけど、もしかしてプレイヤー?」
「あぁ、ここ最近プレイヤーの鍛冶屋が現れたんだ。中々いい腕をしてると評判らしいぜ」
ハルトの疑問に答えるキリト。
鍛冶屋はオルランドに差し出された手を握り返しながらネズハと名乗った。
オルランドが成功したのを見たからなのか、プレイヤー達が次から次へと強化の依頼を申し込んでいた。
「大人気だね」
「そうだな。よく考えたら、上客捕まえれるチャンスだもんな。危険をおしても最前線に来るか」
ハルトとキリトがネズハに対しての印象を述べていると、キバオウから攻略を始める合図が出た。
プレイヤー達はそれに従い、フィールドに向かっていく中、ネズハは一人座っていた。
「鍛冶屋のお兄さんは参加しないのか?」
「えぇ、僕、戦闘は苦手でして・・・」
キリトの質問に申し訳なさそうな表情で答えるネズハ。
「すみません。皆さん命懸けで戦っているのに・・・」
「仕方ないですよ。こんな状況だからこそ、自分にできることを精一杯やりましょう」
「それに、鍛冶屋だって立派な戦力さ。今度、俺の剣も強化してくれ」
ネズハに対してフォローするハルトとキリト。
ネズハは笑みを浮かべていたが、一瞬暗い表情をしたことに二人は気づかなかった。
「はぁーーー!」
ハルトが<シューティングスター>を蜂に向けて放つと、蜂はポリゴン状に四散した。
「これで17!」
「やるな!ハルト。俺も17だ!」
ハルトを見ながら、蜂を倒していくキリト。
「18」
その隣では、アスナが<シューティングスター>で蜂を倒し、アスナの倒した数は18となった。
そんなアスナの様子に、キリトは悔しそうな表情をしたが、ハルトは彼女のスキルの高さに驚かされた。
「(同じ<シューティングスター>なのに、威力が違いすぎる。彼女の細剣の熟練度はどれだけ高いんだ・・・)」
アスナの技術の高さに、少し感心しながらもハルトは蜂退治に専念する。
すると、キリトが<体術>を使って、蜂を一体倒した。
その様子を見ていたアスナが、二人の方に近づき、話しかける。
「ねぇ、二人共知っている?少し先の街のレストランにあるケーキについて」
「あぁ、高いけどめちゃくちゃ美味いやつか。何、奢ってくれるのか?」
「えぇ・・・倒した数が一番少なかった人がね!」
そう言いながら、次々と蜂を倒していくアスナ。
それを見た二人も、あんな高いケーキを一人で払うのは嫌だと思いながら、次々と蜂を倒していった。
しばらく倒していると、一体の蜂がフィールドのボスである巨大な牛に針を刺した。
その途端、牛は刺された痛みによるせいなのか、突如暴れ始めた。
攻略組のプレイヤー達は突然暴れた牛に対処することができず、あちこち動き回っている。
それを見かねたキリトは、二人に話しかける。
「二人共!勝負はお預けだ!牛行くぞ!」
キリトの言葉を聞いた二人は一度攻略組の方を見て、パニックになっているを確認したら、蜂を倒すのを中断してキリトと共に牛の方に向かった。
攻略組は突然の出来事にパニックになっていたが、複数の人物だけが堂々と暴れている牛の正面に立っていた。
その人物たちは「レジェンド・ブレイブス」の面々だった。
彼らは襲ってくる牛の攻撃を正面から受け止めた。
「グッジョブ!スイッチ!」
「かたじけない!」
その隙にキリト達が牛に攻撃し、こちらにヘイトを向かせた。
こちらに迫ってくる牛を前にキリトが話しかける。
「いいか二人共。あいつの弱点は頭だ。だが、今は頭を狙わず前足を攻撃してダウンさせてくれ。その隙に俺が頭を攻撃して仕留める」
「「了解!」」
キリトの指示に従い行動を開始するハルトとアスナ。
牛が正面から突進してくるのを回避して、左右からレイピアで攻撃する。
牛のHPは削れ、動きは鈍ったが
「くっ!?」
「ブレた!?ごめんなさい!」
ダウンまでには至らなかった。
ダウンできなかったことを謝罪するアスナに対し、キリトは「大丈夫」と言いながら、牛目掛けてジャンプした。
「だめよ!それじゃあ届かない!」
アスナが悲鳴に似たような声を上げたが、空中にいるキリトは剣を前に突き出すと
「うおーーー!」
空中で<レイジ・スパイク>を発動させ、牛の頭に剣を突き刺した。
頭を刺された牛は、そのまま断末魔に似た悲鳴を上げながらポリゴン状に四散した。
キリトのしたことを呆然と見ていた二人に、キリトは笑みを浮かべる。
「空中ソードスキル。<体術>を応用したスキルだ」
呆然している二人に説明しながら、キリトはストレージを開き、ボスのLBについて確認し始めた。
その時、一体の蜂がキリトに迫ってきた。
キリト自身にはダメージはなかったが、蜂の攻撃によりキリトが持っていた剣が弾き飛ばさた。
「あ、ああっ!?」
アスナが懸命に追いかけたが、剣は近くにあった谷に落ちていった。
「どうすのよ!?剣、落ちたわよ!」
「まぁ、大丈夫。ちゃんと回収するから」
落ち着いている様子のキリトに向けて、どうやって!?って顔をするアスナ。
それに対し、今度はハルトがキリトに話しかける。
「もしかして、《全アイテムオブジェクト化》コマンドを使うの?」
「あぁ、そうだよ。でも、ここじゃ人も多いし、例のレストランで使うよ」
自分にとって訳の分からない会話をする二人を見ていたアスナは、多少納得していなかったが、納得したかのように口を開く。
「分かったわ。その代わりに色々なことを話してもらうから・・・ケーキを食べながら、ね?」
やたら、腹黒い笑みを浮かべてアスナに、二人は何も言わず、街のレストランに向かった。
ちなみに賭けは、一位はアスナだったが、キリトとハルトの倒した数が同じだったため、半分ずつ支払う形になった。
レストランに着いたら、キリトは一通り説明をした。
《全アイテムオブジェクト化》。手順はややこしいが、使えば自分が持っている全てのアイテムをストレージから取り出すことができるコマンド。たとえ武器を無くしても、このコマンドを使えば、自分の手元に全アイテムごと武器がオブジェクト化される。
キリトはそれを使い、無事に剣を自分の手元に取り戻した。
その説明の最中、アスナが自分の剣と分かれるのは嫌だ。という展開になったが、武器の継承をすれば、その剣の魂は新しい剣に引き継がれると説明したら、納得してもらえた。
一通り説明し終えたら、三人はレストランを出た。
ちなみにケーキは最初はアスナが9/10、キリトとハルトで1/10という配分になっていたが、それに対して、二人は猛抗議。蹴られながらも(キリトのみ)何とか二人で1/4は貰えた。
「おいしかった・・・」
「βテストの時よりうまかったな」
「うん、そうだね」
レストランを出たアスナは幸せそうな表情になっており、その隣で二人がβテストの時と味が違うことを話し合っていた。
その後、ケーキを食べたことによって付けられた《幸運値上昇》のバフをどう活用するか相談した結果、アスナの武器の強化に使うこと決めた三人は街の広場にいるであろうSAO初のプレイヤー鍛冶屋ネズハの下に向かった。
「こんばんは!」
「!? い、いらっしゃい!お買い物ですか?それともメンテですか?」
「武器の強化をお願いします!素材は上限まで!」
バフの時間が切れる前に強化しようと、焦りながらも強化を依頼するアスナ。
対するネズハは、アスナの勢いに押されながらも、一通りの工程をこなしていく。
やがて、準備を終え、武器と素材を渡されたネズハは作業を始めた。
素材を炉に入れると炉が青白く光り、そこにオブジェクト化したレイピアを炉の上に置く。
しばらくの間見守っていた三人だが
「「!? あ、アスナ!?」」
アスナは左右にいたキリトとハルトの指を握りしめた。
突然の行動に二人が驚いている中、アスナが喋る。
「二人の幸運も貸して」
二人は何とも言えない気持ちのまま黙ってネズハの方を見た。
彼は炉と同じくらい青白くなったレイピアを持つと、石の台にレイピアを置き、左手で抑えながら右手に持っていたハンマーで叩き始めた。
ある程度の回数を叩き、台に置かれたレイピアが光り輝いたその瞬間
ぽきん
レイピアは儚い音を放ちながら、粉々に砕かれた。
「・・・ぽきん?」
その瞬間、アスナの世界が真っ黒に染まった。
「すみません!手数料はお返ししますので!」
突然、起きた出来事に何が起きたのか分からないまま、三人はただ呆然とこちらに謝り続けるネズハを見る。
しばらく呆然としていたが、いち早く回復したキリトがネズハに詰め寄る。
「待ってくれ!強化失敗した時のペナルティって数値が下がるだけじゃないか!武器が壊れるなんておかしい!説明してくれ!」
ネズハの胸ぐらを掴みながら、説明を要求するキリト。
呆然としていたハルトだったが、キリトがネズハの胸ぐらを掴んでいるのを見て、慌てながらも彼の肩に手を置いて落ち着かせると、ネズハの方を向いて冷静に言葉を発した。
「僕、元βテスターなんだけど、強化失敗した時のペナルティは武器の性能が下がるだけなんだ。これは、βテストの時に何回も試されていて検証済みなんだ」
βテストの話を出しつつも、ネズハに武器が壊れた理由を問う。
それを聞いたネズハは、視線を少し下に向けながら話す。
「その・・・正式版で、もう一つ追加されたんだと思います。前にも同じことがあって・・・確率は凄く低いとは思うんですけど・・・」
そう言われると、キリトとハルトは引き下がった。
彼の言う通り、β版と正式版の違いはまだはっきりされてないことが多すぎる。もし、彼が言っていることが嘘ならば、彼は誰も知らないスキルで武器を壊したことになる。
「本当にすみませんでした!!」
ネズハの謝罪を最後に二人はこれ以上追求せず、未だ後ろで呆然としているアスナを連れて宿屋に向かった。
宿屋に着くとキリトは
「アスナを部屋まで連れていくから待っててくれ」
と言いながら、アスナと共に二階へ上がった。
しばらくすると、キリトが降りてきた。
「終わった?」
「あぁ・・・ハルト、ちょっとついてきてくれるか」
そう言うと、キリトは宿屋から出て、ハルトも慌ててキリトの後を追う。
二人が向かったのは、ひとけのない裏路地だった。
キリトが何故こんなところに連れてきたのか疑問に思っているハルトだが、後ろから声を掛けられる。
「よぉ、来たカ」
声がした方に振り向くと、アルゴが立っていた。
「アルゴ。前に依頼していたことなんだけど」
「ばっちりサ。この短時間で既に七件も武器が強化失敗で失われる事件が発生している」
「!? やっぱりか・・・」
アルゴの言葉に納得したかのように言うキリト。
それに対して、ハルトは状況が追いつけていなかった。
「ちょっと待って!つまり、アスナみたいに強化失敗で武器を失う事件が七つもあるってこと?けど、それっていくら低確率でも異常過ぎる!」
「そうダ。そもそも強化失敗のペナルティに武器が破壊されるなんて存在しないんだ。武器の強化で武器が破壊される条件はただ一つ。強化する武器の強化上限回数に達していることダ」
「「なっ!?」」
アルゴの言葉を聞いて驚く二人。
彼女の言っていることが本当なら、ネズハはあの強化の過程でアスナの武器を強化上限回数に達している武器とすり替えたことになる。
だが、彼は武器をすり替える素振りなんて一回もしていなかった。
そのことをアルゴに伝えると、彼女は真剣な表情で二人に問う。
「思い出すんダ。強化の最中にすり替えられるタイミングはなかったカ?」
「強化の最中・・・はっ!」
キリトが何か思い出したかのような顔をした途端、走り出した。
「ちょっ、キリト!?」
ハルトが慌てて追いかけようとしたが、その前にアルゴが再び声を掛ける。
「ちょっと待っタ!お前に頼みたいことがあるんダ」
アルゴに制止され、立ち止まるハルト。
アルゴはこちらを向きながら、真剣な表情で話す。
「オレッチが二層の調査をしていたのは知ってるよナ。その調査で二層のボスに関する情報が手に入ったんダ。その情報がある場所は<体術>が手に入る場所なんダ」
アルゴの話を聞いてハルトは驚いた。
なにせ、先日まで自分が時間を掛けて岩を壊した場所には、巨大な岩が複数と老人が一人いるだけで辺りにボスの情報らしきものはなかったはずだ。
「んで、頼みってのハ、明日オレッチと一緒にもう一度、<体術>が手に入る場所に来て、一緒に調査して欲しいんダ」
「・・・構わないよ。どの道、明日そこに行ってコハルを迎えにいくつもりだったし」
断る理由はなかったため、アルゴの頼みを承諾するハルト。
すると、彼女は笑みを浮かべ
「よろしくナ、ハル坊!」
「ハル坊!?」
キリトみたいに、独特なあだ名をハルトに付けた。
アルゴと話し終え、アスナの部屋に向かった二人。
そこで見た光景は・・・
「んんっ・・・!」
「はっ!」
顔中クリームまみれのアスナと、汗を大量に流しながらこちらを見ているキリト。
二人の間に何が起きたのか分からないが、どこからどう見ても事案案件だった。
「はワワ・・・」
「キリト・・・まさか、そんな趣味が・・・」
「違う!誤解だ!」
慌てるアルゴと、自身に変な趣味の持ち主と認識し始めたハルトの誤解を解こうとするキリト。
アスナの武器は壊れていなかったこと。武器を取り返すために《全アイテムオブジェクト化》コマンドを使い武器を取り返したこと。アスナを落ち着かせるために買った饅頭の中身がクリームだと知らず、勢い良く潰したらクリームが飛び出てクリームまみれになったこと。
一通り説明し終え、何とか誤解を解けたところで、アルゴがベットにうつ伏せになっているアスナを抱きしめながら話す。
「これからどうする?アーちゃんの剣が騙し取られた事実がある以上、被害が大きくなる前に公表すべきなんじゃないカ?」
「いや、ここは慎重にいった方がいいと思う。アスナみたいなことが複数起きているということは、彼は他のプレイヤーの武器も騙し取っているということになる」
アルゴの提案を否定するハルト。
そこにキリトもハルトをフォローするかのように話す。
「そうだな。奪った武器をそのままにしているならまだしも、換金とかしていると、その武器は永遠に失われることになる」
「そうなれば、武器を奪われたプレイヤーの怒りを抑えるのは難しいナ。このSAOではカーソルが緑のままだと、罰することはできないからナ」
「いや、あるだろ。カーソルが緑でも誰もが思いつく罰が」
キリトの言葉に場が一気に暗くなる。
ハルトとアルゴはキリトが言った罰のことを理解していたからだ。
「・・・PKカ」
暗い雰囲気の中、アルゴが罰の名を言う。
すると、三人の話を聞いてたのか、アスナが顔を上げ、怯えた表情を三人に向けた。
「・・・PKって・・・何?」
アスナの質問に、三人は顔を見合わせると、代表してキリトが答える。
「プレイヤーキル。プレイヤーがプレイヤーを殺すこと。つまり、ネズハを処刑することだよ」
キリトの言葉を聞いて、アスナは驚き、ベットから飛び上がる。
「そんな!だって、今のSAOでそんなことしたらそれって・・・人殺し・・・」
「そうだ。だから絶対に避けなきゃいけない」
「そのために、まずは真相を知らないと。彼の動機や詐欺のトリック。それらを知った上で、PKじゃない別の方法で償いをさせよう」
キリトとハルトがネズハを死なせずに事件を解決することを決意し、アルゴもそれに賛同した中、ただ一人アスナだけは浮かない顔をしていた。
「でも私、あの人が好きでこんなことをしているとは思えないの」
「確かに気弱そうな人だけど、彼の罪はもう確定していると思う。それとも、彼に対して、何か庇う理由があるのか?」
キリトの問いにアスナは答えなかったが、ストレージから一本のナイフらしきものを取り出した。
「アルゴさん。調査のついでにこれについて調べてくれないかしら?」
「これは・・・投擲用のナイフカ?」
何故そんなものを調べるのか。
三人はそう思いながらアスナを見ていたが、アスナは何も言わず、黙って投擲用のナイフを見続けていた。
・アスナのオリキャラ達の呼び方
基本的にザント以外は君付けで呼びます。(ザントみたいに年上にはさん付けで呼ぶ)
・リンド
プログレッシブのキャラでキリトを糾弾した(アニメだとキバオウのシーン)男。小説版及びSAOIFだと中々のイケメンだが、漫画版だと少しBS。
・「レジェンド・ブレイブス」
プログレッシブに登場するギルド。こちらも小説版と漫画版とで印象が変わるギルド(特にオルランド)。
・ネズハ
プログレッシブのキャラでSAO初のプレイヤー鍛冶屋でもあるが・・・
・<シューティングスター>
細剣の星3スキル。威力もそこそこで移動もできる。簡単にいえば、<レイジ・スパイク>の細剣版。
・強化失敗のペナルティ
SAOIFは強化失敗がないから凄くいいよね!(覚醒から目を逸らしながら)
・アルゴのオリキャラ達のあだ名
おそらく、ザント以外は○○坊、あるいは○ー坊になる。
・投擲用のナイフ
アスナがナイフを拾った時のエピソードは書くつもりはないので、知りたければプログレッシブ漫画版へ。
すげぇ文字数・・・
少し書きすぎた感はあるが、特に問題ないだろう。
次回で二層の話を終わらせ、ボス攻略に入りたいと思います。