ソードアート・オンライン IF(アイエフ)   作:イノウエ・ミウ

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最近短期バイトを始めたが、めっちゃ忙しかったり、店長がウザ過ぎてマジストレス。これもある意味社会勉強の一つというべきか・・・厄介なものだな、生きるというのは(byケネス)。
前回の感想でサチはどうしたのか?と質問されたので、簡潔に書いてみました。
場面は倒れたユイを教会に連れて行った後の出来事になります。


ユイを教会の一室にあるベットに寝かして、心配そうな表情で見守るキリトとアスナの下に、一人の人物が訪ねてきた。

「久しぶりだね。キリト」

「!? 君は・・・サチ、なのか?」

「うん、今はここでサーシャさんのお手伝いをしてるんだ」

「そうか・・・」

気まずい空気が二人の間に流れる。

「サチ、俺は・・・」

「良いんだよ、キリト。確かに、あの時の出来事は辛かったし、もしかしたら、私も死んでたかもしれない。でも、私は生きている。あの出来事があったからこそ、今の私がここにいる。だからね、キリトも死なないでね。絶対生きて、このゲームをクリアしてね」

「サチ・・・あぁ、約束する。必ずこのゲームを終わらせる。お前や黒猫団の皆の想いも背負って・・・」

二人の話を聞いてたアスナがサチに話しかける。

「えっと・・・サチさん、だったよね?あなたのことは前にキリト君から聞いたわ。それに、二十七層の攻略で一度会ってるよね」

「・・・覚えてくれてたんですか?」

「勿論よ。あの時はあなたのおかげで最悪の事態を避けることができたわ。ありがとう」

「そ、そんな・・・私はそんなに大したことしてないですよ」

アスナにお礼を言われて、照れくさそうにするサチ。

「あの・・・アスナさん。キリトはとても強くて、優しい人だけど、誰かを守るために色々無茶もするから、きちんと隣にいて支えてあげてください。よろしくお願いします」

「フフッ、任されました。それと、私のことは呼び捨てで構わないわ。私もサチって呼ぶから」

「うん、よろしくね、アスナ」




こんな感じのやり取りをしてました。二人のわだかまりも無事解けて、アスナとも友達になったサチでした。
それでは引き続き本編をどうぞ。


ep.56 アルカナシステム

あの後、キバオウからシンカーがいるダンジョンについて聞かされた。

この《黒鉄宮》には更に地下があり、そこは巨大なダンジョンになっているとのこと。βテストの時には、そのダンジョンは存在しておらず、元βテスターであるハルトとコハルとキリトの三人は驚いていた(ディアベルは既に知っていたのか驚いていなかった)。

ユリエール曰く、このダンジョンは上層攻略の進み具合によって解放されていくタイプだと推測され、キバオウはこのダンジョンを独占しようとしてたが、モンスターがどれも六十層クラスしかおらず、レベルも装備も低い軍では、殆ど狩りはできなかったとのこと。

そんなことを話している内に、一同は入口に辿り着いた。

 

「ここが入口ですが・・・」

 

ユリエールは不安気な顔でユイとナエを見る。

キバオウの下に行く際、最初はサーシャの教会に預けておこうと考えていたが、二人はそれを拒否して、更に一緒に付いていくと言ったのだ。

始めは反対してたハルト達も、二人の意思の強さに負けてしまい、彼女たちも連れていくことにし、このままダンジョンにも付いていくことになった。

 

「ユイ、怖くないよ!」

 

「ナエも平気です!」

 

ユリエールの視線に気づいたユイとナエは、大丈夫と言わんばかりの顔で言った。

 

「大丈夫ですよ。この子たち見た目よりずっとしっかりしてますから」

 

「子供とは思えない程にね」

 

アスナはユイの手を掴みながら言い、その横でコハルがナエの頭を優しく撫でながら言う。

 

「うん、将来はきっといい剣士になる」

 

「剣士になる前提なんだ・・・」

 

親馬鹿みたいに笑って言うキリトに、ハルトは苦笑いする。

 

「大丈夫そうですね」

 

「そうみたいですね。では、行きましょう」

 

ディアベルの言葉を聞いて、ユリエールは野暮だったかと思い、ダンジョンへと案内した。

 

 

 

 

「ウォォォォォォ!」

 

「ハァァァァァァ!」

 

「ダァァァァァァ!」

 

キリトとハルトとディアベルは叫び声を上げながら、前にいるカエル型モンスターの大群を斬りまくる。

そんな、三人をアスナとコハルはやれやれと言わんばかりに呆れ、そんな彼女たちに抑えられながらユイとナエは興奮し、ユリエールは彼らの暴れっぷりに唖然としている。

 

「あの、なんかすみません・・・」

 

ユリエールは戦闘を任せっぱなしな事に謝った。

 

「いいえ、気にしないで下さい」

 

「あれはもう、ゲーマー特有の病気ですから」

 

そんなユリエールに、アスナとコハルは気にしない様に言う。

 

「それより、シンカーさんの位置はどうなってます?」

 

コハルからの質問に、ユリエールはマップを開いて答える。

 

「シンカーはこの位置から動いていません。おそらく、ここが安全地帯だと思います。そこまで行けば、《転移結晶》が使えます」

 

アスナとコハルにマップを見せながら説明するユリエール。

 

「いやー、戦った戦った!」

 

「見事な戦いぶりだったよ。流石、最前線で戦うトッププレイヤーだ」

 

「過大評価し過ぎだよ。ディアベル」

 

ユリエールの話が終わると同時に、キリト達が一仕事終えたと言わんばかりの様子で戻って来る。

 

「すみません」

 

「いや、好きで戦ってるんだし、アイテムも出るから」

 

「へぇー、何か良い物でも出たの?」

 

「あぁ!」

 

そう言ってキリトは、ストレージからある物を取り出してオブジェクト化する。

それはグロテスクのような形をした謎の塊だった。

それを見て、アスナとコハルは顔色を悪くする。

 

「な、なにそれ・・・?」

 

「なんか、ホラー映画に出てきそうな塊みたいですけど・・・」

 

「《スカベンジトードの肉》。ゲテモノ程美味いって言うからな。アスナ、後で調理してくれよ」

 

キリトが出した謎の塊は、先程戦ったカエル型モンスターの肉のようだ。

 

「ぜ、絶対嫌ぁぁぁぁぁぁ!!」

 

アスナは悲鳴を上げながら、キリトが持っていた肉を即座に奪って放り投げた。

 

パリンっ!

 

「あぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ポリゴン状に四散した肉を見て、キリトは情けない声を上げる。

負けじとキリトは次々と《スカベンジトードの肉》を出していくが、その度にアスナが閃光の早さで肉を放り投げて破棄していく。

そんな二人のやり取りをコハルは呆れ顔で、ハルトは苦笑いで見守る。

 

「何をやっているんだか・・・」

 

「アハハ・・・まぁ、仲が良さそうで何よりだね」

 

「本当にそう思うよ。初めて出会ったあの頃と比べて、君たちは随分と変わったな」

 

「色んな経験をしてきたから。楽しいことも、辛いことも・・・」

 

「そうか・・・」

 

ハルトの言葉に、ディアベルは嬉しそうに微笑んだ。

すると、キリトとアスナのやり取りを啞然と見守っていたユリエールが笑い出した。

 

「お姉ちゃん、初めて笑った!」

 

ユリエールの笑いにユイが反応した。

嬉しそうにするユイを見て、ユリエールは優しく微笑み、ハルト達やユイの声に反応して動きを止めたキリトとアスナも笑みを浮かべた。

 

 

 

 

その後、順調にモンスターを倒していき、ハルト達は安全地帯の近くまで辿り着いた。

 

「安全地帯よ!」

 

アスナが奥にある部屋を見つめながら声を上げる。

その隣で<索敵>スキルを発動させたキリトが口を開いた。

 

「奥にプレイヤーがいる」

 

「!? シンカー!」

 

キリトが言うや否やユリエールは走り出した。

 

「ユリエール!」

 

ユリエールの声に気づき、シンカーと思しき人物が安全地帯の入り口から顔を出した。

 

「シンカー!」

 

手を振りながら、ユリエールは嬉しそうに近づいていく。

しかし、ユリエールは気づいてなかった。こちらに向かって叫んでいるシンカーの顔が焦っていることに。

 

「来ちゃダメだ!その通路は――!」

 

シンカーがもう一度叫んだ直後、後を追っていたハルト達は、通路の横からユリエールに迫っている存在に気がついた。

 

「ダメ!ユリエールさん戻って!」

 

「キリトさん!」

 

「あぁ!」

 

アスナが叫び、ディアベルとキリトが我先に走り出す。

通路から現れた謎の存在は、手に持っている鎌をユリエールに向けて振り下ろす。

 

キンっ!

 

鎌が当たる寸前でディアベルが盾で鎌を受け止め、キリトが右手でユリエールの体を抱きかかえて彼女を後ろに避難させた。

攻撃を防がれたモンスターは一度下がり、鎌を持ち直してディアベルを見下ろす。

その正体は巨大な死神のような姿をしていた。

 

「ユリエールさん、この子達を連れて安全地帯へ退避してください」

 

「あのモンスターは私たちが相手します」

 

「分かりました。さぁ、こちらへ」

 

アスナとコハルに言われて、ユリエールはユイとナエを連れて、シンカーがいる安全地帯へ退避する。

ユリエールが退避したのを確認した二人は、それぞれの武器を抜いて、死神と向き合うキリト達の後ろへ来る。

すると、キリトが険しい顔をしながら口を開いた。

 

「二人共、今すぐ安全地帯にいるユイ達と一緒に《転移結晶》で脱出しろ」

 

「え?」

 

「こいつのデータが見えない!俺の<識別>スキルでもデータが見えないとなると、多分九十層クラスのモンスターだ!」

 

アスナとコハルはキリトの言葉を聞いて驚くが、ふと視線をユイとナエの方に向けると、意を決した顔でユリエール達に向かって叫んだ。

 

「ユイちゃんとナエちゃんを頼みます!先に四人で脱出してください!」

 

「いけない、そんな――」

 

「早く!」

 

ユリエールの言葉を遮り、二人は武器を構えてそれぞれのパートナーの隣に立つ。

その瞬間、死神は手に持った巨大な鎌をキリトに向けて振り下ろす。

キリトは両手の剣を交差させ、そこにアスナが細剣を重ねて鎌を受け止めようとする。

しかし、死神の攻撃を予想以上に強く、キリトとアスナの体を容易く吹き飛ばした。

 

「キリト!アスナ!」

 

「来るよ、ハルト!」

 

キリト達を吹き飛ばした死神は、今度はハルトに狙いを定めて攻撃する。

 

「防ぐのが駄目なら・・・!」

 

先程の攻撃で正面から防御するのは難しいと判断したハルトは、《フォルネウス》で鎌を受け流し、その隙を付いて<バックドラフト>で攻撃する。

しかし、死神のHPは少ししか削れてなかった。

 

「くっ!硬すぎる・・・!」

 

悪態付くハルトに、死神の鎌が振り下ろされる。

 

「させない!」

 

隙を付いた攻撃に防御もできず、鎌がハルトに直撃する瞬間、コハルが間に入って攻撃を受け止めようとする。

しかし、短剣では巨大な鎌を完全に受け止めることはできず、コハルはハルト共々吹き飛ばされる。

 

「くっ!(かなりマズいな、この状況・・・!)」

 

あっという間にピンチに追い込まれた状況に、ディアベルは頭を悩ませる

キリトとアスナの防御をやすやすと崩した攻撃力に、ハルトの攻撃を受けてもビクともしない防御力。恐らく、自分一人が突撃したところで、四人のように返り討ちに合うだけだろう。

どうにか打開策はないか考えてたその時、突如ユイが死神の前に出た。

 

「馬鹿!早く逃げろ!」

 

倒れているキリトが声を上げる。

その間にも、死神が鎌を振り上げ、ユイに向けて振り下ろそうとする。

 

「大丈夫だよ。パパ、ママ」

 

ユイがそう言いながら手を前に出した瞬間、振り下ろされた鎌がユイの手前で止まり、激しい音と共に弾かれた。

見ると、ユイの前には紫色の壁のようなものが存在して、その壁には『Immortal object』と記載されていた。

それを見た全員が驚いた。そのシステムタグは不死属性。本来、プレイヤーが持つはずのないものだからだ。

その後の出来事は一瞬だった。

ユイは宙に浮かび、巨大な赤い剣を生み出すと、その剣を死神に向けて振り下ろした。

死神は鎌の柄で剣を受け止めたが、剣から生まれた炎が死神の体を包み込み、火球となって消滅した。

あれほど苦戦したモンスターを一瞬で倒したユイに誰もが言葉を失う中、ナエは周りに聞こえない小さな声で悲しそうに呟いた。

 

「それがあなたの答えなのですね。ユイ」

 

 

 

 

その後、シンカーとユリエール、ディアベルの三人を先に帰らせて、ハルト達六人は安全地帯に残っていた。

安全地帯は周りが白で囲まれた部屋となっていて、部屋の中央に黒い石机が置いてある。

そこでハルト達はユイの話を聞いた。

彼女の正体は、精神に問題を抱えたプレイヤーをケアするために作られたメンタルヘルス・カウンセリングプログラムの試作一号だった。

SAOの正式サービスが始まった日、彼女はSAOを支えるシステム、カーディナルからプレイヤーの干渉を禁止されてしまい、システムの内部からプレイヤーの精神状態を毎日モニタリングしてた。

そんなある日、いつものようにモニタリングしてると、他のプレイヤーとは比較的異なるメンタルパラメータを持つ四人のプレイヤー、正確には男女二組のペアを見つけた。

その四人はハルトとコハル。そして、キリトとアスナだった。

ユイは最初、どちらのコンビと接触しようか悩んでいたが、ハルトとコハルが自分と見た目が同じくらいの少女と一緒に暮らしているのを見て、キリトとアスナの方を選んだ。

 

「それが・・・二十二層の森、なんだよね?」

 

アスナの言葉に、ユイはコクリと頷く。

 

「森の中でお二人の姿を見た時、凄く嬉しかった・・・おかしいですよね。そんなこと、思えるはずないのに・・・わたし、ただのプログラムなのに・・・」

 

瞳に涙を溢れさせながら、ユイは口を噤んでしまう。

そんなユイを見て、アスナは両手を胸に当てながら口を開いた。

 

「ユイちゃん、あなたは本物の知性を持っているんだね」

 

「・・・私には分かりません。私が、どうなってしまったのか・・・」

 

首を横に振って答えるユイに、キリトが近づく。

 

「ユイはもう、システムに操られるだけのプログラムじゃない。だから、自分の望みを言葉にできるはずだよ。ユイの望みはなんだい?」

 

「私は・・・私は・・・ずっと一緒に居たいです。パパ・・・ママ・・・」

 

ユイは二人に向けて両手を広げる。

 

「ずっと一緒だよ。ユイちゃん」

 

「あぁ、ユイは俺達の子供だ」

 

アスナは泣きながらユイを抱きしめた。遅れてキリトもユイとアスナを抱きしめる。

二人の腕に包まれたユイだが、ふと暗い顔で口を開いた。

 

「もう、遅いんです」

 

「え?」

 

「遅い?」

 

困惑するキリトとアスナに向けて、ユイは黒い石机に手を置きながら説明する。

 

「これはGMがシステムに緊急アクセスするために設置されたコンソールです。これを使って、さっきのモンスターは消去したんですが、同時に今私のプログラムがチェックされています。カーディナルは私を異物と判断し、私はすぐに消去されてしまうでしょう」

 

「そんな・・・!」

 

「何とかならないのかよ!?」

 

ユイから告げられた残酷な事実に悲痛な声を上げるアスナとキリト。

その時、予想だにしない人物から声が上がった。

 

「私に任せてください」

 

そう言って、今までの話を表情を変えずに聞いてたナエは、ユイの前に立つと、何やら呟き出した。

 

「システム・アンロック、プログラム・アクティベーション・コード・ローディング・・・ローディング完了、ログイン・メインシステム」

 

ナエが言っていたのは、何かのシステムコールだった。

 

「これは・・・何らかのシステムにアクセスしているのか?」

 

「なんで、ナエちゃんが・・・?」

 

突然システムコールを唱えだしたナエに、困惑するハルト達。

そうしてる間にも、ナエはシステムコールを唱え続ける。

 

「アクセス・コンプリート、コード名《プロト0(ゼロ)》、ジェネレート・スリーブモード、対象プログラム・《Yui》」

 

「!? まさかカーディナルのメインシステムにアクセスしているのですか!?」

 

ユイがそのシステムコールの正体に気づくと、丁度システムコールを終えたナエがユイの方を見る。

 

「・・・ユイ、今からあなたのプログラムの機能を一時的に停止させて、カーディナルとの接続を断ちます。こうすれば、カーディナルはあなたを既に消去されたものだと判断し、あなたに手を出せなくなるでしょう」

 

「待って!まさかあなたは――!」

 

「気づいたようですね。でも、もう遅いです。おやすみ、ユイ・・・」

 

ナエがそう言うと、ユイの体は眩い光に包まれて、光が止むと同時に彼女の体は白い石に変化していた。

ナエはその石を拾うと、キリトに渡した。

 

「キリトさん、こちらを」

 

「これは・・・石?」

 

「この石はユイそのものです。今のユイは完全にカウンセリングシステムとしての機能を停止しています。人間でいうところの仮死状態と言ったところです」

 

「仮死・・・それじゃあ、さっきのは?」

 

「カーディナルの内部からユイのプログラムを停止して、彼女とカーディナルとの接続を切り離しました。その石は、切り離したユイ本体をオブジェクト化したものです」

 

「えっと・・・つまり、ユイちゃんは無事なのね?」

 

「はい。今は眠っていますが、リアルの方でプログラムを展開したら、ユイは再起動されます」

 

ナエがそう言うと、アスナは「良かった・・・」と安堵しながら膝から崩れ落ちた。

しかし、他の三人は安心することはできず、コハルが険しい顔でナエに問う。

 

「ナエちゃん、どうしてそんなことができたの?これじゃまるで・・・」

 

「・・・その話は、少し移動してからしましょう。ただし、この先はハルトさんとコハルさん、お二人だけで来てください」

 

「二人だけ?どうしてだ?」

 

キリトの問いに、ナエは申し訳なさそうに答える。

 

「申し訳ございません。私の正体はあまり他のプレイヤーに知られるわけにはいかないのです。だけど、長い時間を一緒に過ごしてきたお二人だからこそ、私の真実をお話したい。そう思っています・・・」

 

「・・・分かった。行こう、コハル」

 

「うん」

 

「おい、本当に行って大丈夫なのかよ・・・?」

 

キリトが心配そうな表情でハルトに問う。

 

「それは分からない。でも、大丈夫だと思う。ナエはユイを助けてくれたから」

 

「・・・そうか。気をつけろよ」

 

キリトとアスナに見送られながら、ハルトとコハルはナエと一緒に安全地帯の奥にあった隠し通路を通っていった。

 

 

 

 

隠し通路の先にあったのは、二人にとって奇妙な光景だった。

 

「ここは・・・?」

 

二人の目の前に映っているのは、いくつものウィンドウが部屋のあちこちに表示されている空間。

ウィンドウには、プログラムのようなものが表示されていて、まるでSAOという世界の内側に入り込んでいるような感じだった。

呆然とする二人をよそに、ナエは二人に向けて口を開いた。

 

「ここは、アインクラッドの最下層。アインクラッドを支えるカーディナルの中枢とも言える場所。そして・・・私が産まれた場所です」

 

「え?」

 

その事実に、コハルは思わず声を漏らす。ハルトも驚愕の表情でナエを見つめる。

ナエはそのまま歩き出し、モノリスのような黒い物体の前で二人に背を向けてまま立ち止まった。

 

「ナエちゃん、あなたはいったい・・・何者なの?」

 

コハルの問いに対し、ナエはゆっくりとハルト達の方を向いて真剣な様子で、しかし何処か悲し気な顔をしながら答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私はカーディナルシステムのプログラムの一つ。アインクラッド全ての存在に疑似的な生命活動を与えることを使命としたバックアッププログラム。アルカナシステムが作り上げた監視プログラム、リトルアルカナのプロトタイプです」




・アルカナシステム
SAOIFにおける全ての元凶。SAOIFでアインクラッドが七十五層以降も続いているのも大体こいつのせい。

・リトルアルカナ
アルカナシステムにより作り出された監視AI。(SAOIFの設定では)アインクラッドで死んでしまったプレイヤーのデータを基に作られており、主であるアルカナシステムの命令を遂行する為の存在である。ただし、ナエはプレイヤーのデータを基に作られておらず、アルカナシステム本体が独自に作り上げたプロトタイプ且つオリジナルのリトルアルカナである。この設定は、SAOIFルートでも反映させる予定。


遂に判明しました。ナエちゃんの正体はアルカナシステムが作り出したプロトタイプのリトルアルカナでした。自身の正体を知った彼女は今後どうするのか!?
次回、ナエちゃん編完結!お楽しみに。


・ちょっとした小話
ガンゲイル・オンライン2期決定おめでとうございます!レンやピトさんと再び会えるのを楽しみにしています。
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