ソードアート・オンライン IF(アイエフ)   作:イノウエ・ミウ

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お気づきかもしれませんが、タイトルとあらすじを少し変えました。
今まで黙ってましたが、タイトルのIFは、IF(イフ)ではなく、IF(アイエフ)と読みます。別に公式が「ソードアート・オンライン IF(イフ)」を出したから、色々誤解されないよう付け足したわけではありませんからね!
初期の頃書いたあらすじを改めて見て、よくあんなあらすじを4年も載せてたなと思いました(笑)。
今回からフェアリィ・ダンス編です。果たして何年で完結するだろうか・・・
それではどうぞ!


フェアリィ・ダンス編
プロローグ 目覚めぬパートナー


白木の揺り椅子がかたん、かたんと音を立てながら揺れる。

林の中に存在する一件のログハウス。自然の中に囲まれて、近くにある湖を吹き通る爽やかな風。

その風に吹かれながら、揺り椅子に座る少女は穏やかに寝息を立てる。

隣には彼が座っている。茶色の髪に黒い瞳を持ち、誰よりも優しく、いつも自分を支えてくれるパートナーが。

彼の腕が少女の頭を包み、その手が優しく撫でてくれる。その温かさに、少女は微かに笑みを浮かべる。

自然に囲まれたこの場所で、大切な人と過ごす幸せな毎日。

そんな日常がこれからもずっと続いていく。そう思っていた・・・

 

 

 

 

ふと目を開けたら、先程までの景色が噓のように崩れていた。

木々が生い茂る自然の光景が一切無くなり、鋼鉄に囲まれた部屋の中で、少女の視線の先には、彼とその友が魔王と思わしき何かと戦っていた。

二人は多彩な連携で魔王に攻撃していくが、魔王は持っている十字盾で防ぎながら、隙を付いて剣で反撃する。

彼らを助けようと、少女は体を動かそうとするが、体は金縛りにあったかのように動かすことができない。

目の前で大切な人が死闘を繰り広げているのに、助けに行けないことに、少女の心は悔しさでいっぱいになる。

 

「いっけぇーーーーーー!!」

 

戦いは終盤を迎え、彼は友の剣が壊れたタイミングで手に持った槍を魔王に向けて投げた。

その槍は、魔王の持っていた十字盾を貫き、そのまま魔王も貫こうとしたが、それを予期していたのか魔王は迫る槍を当たる寸前のタイミングで躱すと、猛スピードで彼に迫り、剣を振り下ろした。

 

ザシュ!

 

斬られた彼は、そのまま地面に倒れて、ピクリと動かなくなった。

動かなくなった彼の体は、徐々に青白くなっていき、この世界から消えようとしていた。

少女は咄嗟に手を伸ばそうとしたが、その手が届くことはなく、彼はパリンッと儚い音と共に消えていった。

 

「あぁ・・・あああ・・・!」

 

自分の大切な人が目の前で死んだ。それに対して、何もできなかった無力な自分。

様々な負の感情が重なり合い、少女は自分の心が壊れていくのを感じた。

 

「いやぁぁぁぁぁぁ!!」

 

その叫び声が誰から発せられたものなのか。それすらも分からないまま、少女の意識は途切れていった。

 

 

 

 

「はっ!」

 

意識が戻る感覚が瞬時に襲い掛かり、少女は一瞬で目を覚ます。

 

「ハァ、ハァ、ハァ・・・・」

 

少しずつ意識が覚醒していくのを感じながら、少女は呼吸を整える。

体中汗をかいており、着ているパジャマが濡れている。余程の悪夢だったのだろうか、顔色は優れない。

周りを見れば、六畳くらいの部屋に机や本棚、小さい頃から使っているアップライトピアノが置かれており、ここが自分の部屋だと認識するのに、そう時間はかからなかった。

ベットに置いてるデジタル時計を見ると、2025年の1月12日の日曜日と表示されている。

病院で目覚めたあの日、現実世界に帰ってきてから、既に二ヶ月が経とうとしていた。

けれども、帰ってきて尚、少女の心が晴れることはなかった。

自分は帰ってきた。あの世界から。

しかし、いつも隣にいて支えてくれた彼は・・・

 

「ハルト・・・」

 

あの浮遊城で共に過ごしたパートナーの名を呟きながら、本田小春は静かに涙を流した。

 

 

 

 

埼玉県所沢市の郊外に建つ最新鋭の総合病院。

本田小春はこの場所に毎日通っている。

いつも通り受付を済ませて、目的の病室に迷うことなく足を運ぶ。

病室に辿り着き、引き戸式の扉を開けて中に入る。

微かな生花の香りが身を包むのを感じながらも、奥にある最先端のフル介護型ベットまで歩み寄る。

そのベットの上には、一人の少年が眠っている。

男の子にしては伸びすぎている茶色い髪が枕の外にまで流れ、瘦せつつも薄っすらと見える筋肉が彼の逞しさを表している。

そして、頭にはナーヴギアを被っており、コードが繋がれている。彼の命を維持するための命綱と言えるだろう。肝心の電源は付いたままで、この少年が今も仮想世界に囚われているのを意味していた。

この少年こそ、SAOで小春と共に過ごしたパートナー、ハルトこと時枝春斗だった。

小春は悲し気な顔で、眠っている春斗の顔を見つめながら呟く。

 

「ハルト・・・あなたの心はどこにあるの・・・?」

 

その呟きに、春斗が答えることはない。

どうしようもない現実に打ちひしがれながら、彼の顔に手を触れようとしたその時

 

「誰だ?」

 

後ろから声を掛けられ、慌てて振り返ると、自分よりも少し年下な感じの茶色い髪の少年が立っていた。

少年は小春を険しい顔で睨み付けながら、彼女の下に歩み寄ってくる。

 

「見ない顔だな。ここは俺の兄さんの病室だが何の用だ?」

 

「え?兄さんって・・・」

 

「質問に答えろ。あんたは誰だ?何の用でここに入ってきた?」

 

「ほ、本田小春です!ここにはハルトの・・・あ、いえ、時枝春斗君のお見舞いに来ました!」

 

少年の圧に押されて、小春は勢いのまま答えた。

対して、少年は兄の知り合いということで年上だと判断したのか口調こそ敬語になったが、未だ険しい顔のまま更に問い掛ける。

 

「兄さんのお見舞い?ここ数年、兄さんのお見舞いに来てくれた人で、俺はあなたを見たことないが・・・本田さん、あなたは兄さんの何ですか?」

 

「私は・・・ハルトと一緒に過ごしてたの。SAOの中で二年間ずっと」

 

「何だと?ということは、あのSAO事件の生き残り、ですか?」

 

少年の結論に、小春はうんと頷いて肯定した。

少年が何か考える素振りを見せる中、小春は先程少年が言った兄という言葉を思い出し、少年を観察する。

茶色の髪に紺色の瞳、見た目こそクールな印象だが、どことなくハルトと似たような雰囲気を感じる。

 

「(そう言えば、前にハルトから弟がいるって聞いたことあったけど・・・まさか・・・!?)」

 

ふと彼女は思い出した。嘗てパートナーから弟がいる事を聞かされた事を。

そして今、目の前に彼に似た少年がいる。

 

「えっと・・・君は誰なのかな?さっき、弟って言ってたけど・・・」

 

半ば確信を付きながらも、小春は自分の予想が合ってるか確かめるべく、少年に問い掛けた。

少年は真剣な表情で自分の名前と春斗との関係を答えた。

 

「時枝雪斗。この人の・・・弟です」

 

これが、本田小春とSAOで彼女のパートナーだったハルトこと時枝春斗の弟、時枝雪斗との最初の出会いだった。




・時枝雪斗
ハルト(雪斗)の弟であり、この段階では中学3年生で15歳。
穏やかな兄とは違い、常にクールで、自身の名前にもある"雪"を彷彿とさせる少年。また、兄のことを嫌っており、憎しみに近い感情を抱いている。


ハルト(春斗)の弟、雪斗。今までは名前のみの登場でしたが、遂に本格的に登場しました。
フェアリィ・ダンス編では、彼とコハルがメインで進んでいきます。



<オマケ>
春斗(ハルト)の弟、雪斗のイラストを載せておきます。
・時枝雪斗(使用メーカー:香推男子)

【挿絵表示】

別バージョンもどうぞ(使用メーカー:はりねず版男子メーカー(2))

【挿絵表示】

SAOIFルート、一緒にするべきか分けるべきか

  • 分けるべきや!
  • 一緒でもええんやで!
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