ソードアート・オンライン IF(アイエフ)   作:イノウエ・ミウ

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何とか間に合いました。これが今年最後の投稿です。


ep.3 アスナの行方

病院を出た後、小春は気がついたら自分の家に着いていた。どんな気持ちで帰ったのかは覚えてない。

家の中に入ると、すぐさま自分の部屋のベットに倒れ込んだ。

 

「(私は・・・どうしたらいいの?)」

 

今日は色々なことがありすぎた。

パートナーの弟が彼の事を恨んでいること、SAOで友達になった少女が自分のパートナー同様未だに目覚めず、更には婚約者を名乗る男と一方的な結婚をする。

こんなにも大変なことが次々と起きているのに、何もできない自分に無力を感じ、小春は涙を流した。

こんな時、ハルトがいれば、自分に寄り添い、助けてくれるのだが、彼は今ここにはいない。

 

「ハルト・・・助けてよ・・・!」

 

それでも、小春はパートナーに助けを求めた。

例え来ないと分かっていても、今の彼女には、それしかすることができなかった。

 

 

 

 

それから何をしてたのか覚えてないが、次に彼女の意識が戻ったのは、次の日の朝だった。

 

「あれ?私・・・」

 

寝起きで鈍くなっている思考を働かせながら、小春は昨日の事を思い出す。

 

「そっか・・・私、いつの間にか寝ちゃってたんだね・・・」

 

思い出した小春は、ベッドから体を起こし、伸びをする。

ふと机の上に置いといたスマホに視線を向けると、画面にメールが受信された報せが表示されていた。

 

「ん?和人さんから・・・?」

 

確認すると、和人からメールが届いていた。

メールを見ると、写真の添付ファイルが付いている。

何だろうと思いながら開いてみると、大きな鳥籠のようなものが写っていた。

よく見ると、その鳥籠の中には人がいて、その人物を見た小春は驚愕の表情となる。

 

「え?アスナ!?」

 

写真を何度見返して確認するが、そこに写る人物は間違いなくアスナだった。

しかし、写真に写っているアスナは、どう見ても現実世界にいるようには思えなかった。

服装もリアルでの格好ではなければ、SAOの時の装備を付けているわけでもない。白いドレスを着て、鳥籠の中にいる様は、まるで囚われのお姫様のようだ。

極めつけは、耳が尖っており、背中に透明な羽の様なものが伸びていた。

 

「これはいったい・・・?」

 

困惑する小春だったが、和人のメールには写真の他にも地図が表示されており、東京の台東区御徒町にある店がマーキングされていた。

ここに来いって意味なのだろうか。小春はひとまず家を出て、マーキングされた場所に向かった。

 

 

 

 

「ここで・・・いいんだよね?」

 

和人から指定された店の前に立ち止まる小春。扉に付けられた店の飾り看板には《Dicey Cafe(ダイシーカフェ)》と書かれていた。

扉を開けて中に入ると、和人ともう一人、見知った顔がいた。

 

「あなたは・・・エギルさん!」

 

「おう、コハル!久しぶりだな。リアルでは初めましてだな。アンドリュー・ギルバート・ミルズだ。よろしく」

 

「本田小春です。よろしくお願いします、アンドリューさん」

 

カウンターの席に座り、エギルことアンドリューと握手したところで、和人が話しかけてきた。

 

「無事に着いたみたいだな」

 

「和人さん。どうして、この店に呼んだんですか?」

 

「ここは俺の店でな。ここの方が色々話しやすいからキリトに場所を提供したんだ」

 

「そうだったんですね」

 

「エギル。そんな事よりさっきの写真について説明してくれ」

 

和人は先程小春に送った写真の事について聞き出した。

それを見た小春は、あの写真はアンドリューが見つけたものだと察した。

 

「あの写真、アンドリューさんが見つけたんですか?」

 

「あぁ、そうだ。だが、写真の前に、まずはこれの説明からだな」

 

そう言って、アンドリューはゲームソフトのパッケージを置いた。

 

「これはゲームか?」

 

「アミュスフィア。ナーヴギアの後継機で、俺たちが向こう側にいる間に発売されたんだ」

 

「じゃあ、このゲームはSAOと同じVRMMOなんですか?」

 

小春の言葉に頷くアンドリュー。一方、和人はパッケージを眺めたまま黙っている。

ゲームのタイトルは、英語で《ALfheim Online》と書かれていた。

 

「アルヴヘイムと発音するらしい。妖精の国っていう意味だとさ」

 

「妖精・・・」

 

アンドリューの説明を聞きながら、小春もパッケージに目を移した。

イラストには背中に妖精のような羽を生やした男女二人が夜の満月を見上げていた。

パッケージを一通り見終えた和人がアンドリューに問い掛ける。

 

「妖精・・・もしかして、まったり系か?」

 

「いや、そうでもなさそだぜ。どスキル制、プレイヤースキル重視、PK推奨」

 

「どスキル制?なんだそれ?」

 

「レベルが存在せず、各種スキルが反復使用で上昇するだけで、戦闘は全てプレイヤーの運動能力に依存する」

 

和人の質問に答えると、今度は小春から質問させる。

 

「PK推奨ってどういう意味ですか?随分物騒ですね」

 

「プレイヤーはキャラメイクで色んな種族を選べるが、違う種族間ならキルもありなんだとさ」

 

「そりゃあ、ハードだな」

 

「ソードスキルは無いが、魔法があるSAOって言ったところだな。けど、こいつが今大人気なんだと。理由は飛べるからだ」

 

「飛べる?」

 

その言葉に疑問を浮かべる和人と小春。

 

「妖精だから羽がある。フライト・エンジンとやらを搭載してて、慣れると自由に飛び回れる」

 

「へぇー、それは凄いな。羽はどうやって動かすんだ?」

 

「さぁな。だが、相当難しいらしい」

 

「そりゃあそうさ。人間には存在しない羽を動かすんだ。背中の筋肉を使うのかな?それとも――」

 

「和人さん、羽についてはその辺にして、そろそろ本題に入りましょう?」

 

燃え上がりそうになった和人のゲーマー魂を小春が鎮火させた。

我に返った和人は、コーヒーを飲んで心を落ち着かせると、このゲームと写真の関連性について聞き出した。

 

「それでエギル、このゲームとあの写真に何の関係があるんだ?」

 

アンドリューはカウンターの下に手をやり、二枚の写真を出した。

 

「似てるだろ?」

 

「はい、少しブレてますけど、顔も体もアスナにそっくりです」

 

「早く教えてくれ。これはどこなんだ?」

 

「ゲームの中だよ。アルブヘイム・オンラインのな」

 

そう言って、アンドリューはパッケージを裏返した。

ゲームの内容や画面写真が細かく配置されており、中央には世界の俯瞰図と思われるイラストがある。

アンドリューはその俯瞰図の中心に描かれている一本の大樹を指差した。

 

「世界樹と言うそうだ、プレイヤーは9つの種族に別れて、どの種族が一番最初にこの樹の上にある城に辿り着くのか競ってるんだと」

 

「飛んでいけばいいじゃないか?」

 

「それがそうもいかない。飛行には滞空時間ってのがあって、無限には飛べないらしい。んで、体格順に5人のプレイヤーがロケット式で飛んでみた」

 

「それはまた・・・凄いと言うべきなんでしょうか・・・」

 

「馬鹿だけど頭良いなそいつ」

 

どう反応すればいいのか困惑する小春に対して、和人は素直に感心した。

 

「それでも、ギリギリ到着できなかったみたいだが、5人目のプレイヤーが証拠にしようと何枚かの写真を撮った。その一枚に奇妙な物が写り込んでいた。枝にぶら下がっている巨大な鳥籠がな」

 

「鳥籠・・・」

 

「そいつを解像度ギリギリまで引き伸ばしたのが、これってわけだ」

 

「でも、なんでアスナが・・・」

 

疑問に思いながらも、和人はもう一度パッケージをよく見る。

すると、小春がある部分に気づいた。

 

「和人さん!このメーカーって!」

 

「レクト・プログレス・・・」

 

このメーカー名を見た二人は、先日須郷が言っていた言葉を思い出す。

須郷は現在SAOサーバーを管理する立場にいる。そして、その須郷が勤めている会社が運営しているVRMMOで見つかったアスナと思わしき人物。

もしかしたら、レクトとALOには何か深い繋がりがあるのかもしれない。そう思うと、和人は怒りを感じた。

 

「エギル、このソフト貰っていいか?」

 

「構わないが・・・行く気なのか?」

 

「あぁ、この目で確かめる」

 

「そうか・・・コハルはどうする?」

 

「私も行きます。もしかしたら、ハルトやまだ目が覚めてない人達もこのゲームの中にいるかもしれませんし」

 

「そう言うと思って、何本か買っておいたぜ。お前やハルトなら、絶対に行くと思ってたからな」

 

アンドリューはカウンターの下から何個かのソフトを出した。そのうちの一個を小春は受け取る。

 

「俺は家に帰って、早速ログインしようと思う。コハルはどうするんだ?」

 

「当然、私もログインします。そこにアスナがいるなら一刻も早く助けなきゃ──って、その前にどうやってログインするんですか!?私、ゲーム機持ってないですよ!」

 

「た、確かに・・・ハードを買わないといけないな」

 

「でも、このアミュスフィアってハード、かなり高そうですよね。お金を用意するのに時間がかかりそう・・・」

 

小春が金銭面等の問題に懸念してると、アンドリューが口を開いた。

 

「それは大丈夫だ。こいつはナーヴギアで動くぞ。アミュスフィアはナーヴギアのセキュリティ強化版でしかないからな」

 

「そっか・・・よかった。それじゃあ、和人さん。一緒に行きましょう!」

 

「あぁ、アスナを助けよう」

 

「一応忠告しとくが、ナーヴギアは今でも安全とは限らねぇ。それでも、もう一度あれを被れるのか?」

 

こちらを気遣うような態度で問うアンドリューに、小春は真剣な表情で答えた。

 

「怖くないって言えば、噓になります。でも、大切な人達がそこにいる可能性が少しでもあるのなら、私は迷わずそこに行きます。伸ばさなければ、手は届きませんから」

 

「そうだな。それに、死んでもいいゲームなんて、ぬる過ぎるぜ」

 

「・・・そっか。必ずアスナを助け出せよ。アスナがいて、ハルトの奴も戻ってこなきゃ、俺たちのSAOは終わらねぇ」

 

「あぁ、いつかここでオフをやろう」

 

「楽しみにしてください」

 

アンドリューとオフ会の約束をして、二人は店を出る。

その後、和人と別れた小春は、家に戻ると、部屋の一番上の棚に置いてあるナーヴギアを手に取った。

 

「ナーヴギア・・・」

 

嘗てこれを被った時は、未知の仮想世界や大切なパートナーとの再会に想いを寄せて、ワクワクしながら被った。

だけど、今はそんな気持ちは一切ない。もしこれを被ったら、またあのデスゲームの世界に飛ばされるかもしれない。自分の命に関わるような事件に巻き込まれるかもしれない。

それでも、これを被った先に、友達や大切なパートナーがいる可能性が少しでもあるのなら・・・

 

「お願い、今だけ力を貸して」

 

決意を固めた小春は、ALOのソフトをセットすると、祈るようにナーヴギアを頭に被った。

 

「リンクスタート!」

 

そう言うと、小春の意識はゲームの中に飛び込んでいった。




ハルトやコハル、オリキャラ達のリアルでの呼び方は、基本的にリアルの名前で呼びます。プライバシーは大事ですので。
次回から本格的にフェアリィ・ダンス編に突入しますが、前に宣言した通り、ALOダイブまで書いたらハイ魂(「ハイスクールD×D 銀ノ魂を宿し侍」)の執筆を再開させるので、「ソードアート・オンライン IF(アイエフ)」はここで一旦休止します。
再開はハイ魂の第四章が終わってからを予定しておりますので、気長に待っていただけたら幸いです。
また、アンケートの結果とSAOIFルートに関しては、活動報告に書いてあるので、こちらのリンクからどうぞ。

SAOIFルート、一緒にするべきか分けるべきか

  • 分けるべきや!
  • 一緒でもええんやで!
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