ソードアート・オンライン IF(アイエフ)   作:イノウエ・ミウ

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・ちょっとした小話
先日ホロライブのEXPO2025に行って来ました!
ホロリス(ホロライブのリスナーの略称)の皆さんと話せて、一緒にライブで盛り上がったりと最高の2日間を過ごしました。
ホロライブやSAOに限らず、同じ趣味で色んな人と繋がれるのは実に良いことだと実感しました。


小話はこれくらいにして、本編の続きです。
今回はタイトル通り、《スイルベーン》からの旅立ちまで描写します。


ep.7 新たな冒険への旅立ち

翌日、いつも通り学校へ行き、剣道の練習を終えた雪斗と直葉は校舎の外を歩いていたが、何処かぎこちない雰囲気だった。

普段は話しながら歩く仲である二人だが、雪斗は変わらず無表情のまま、直葉は顔を下に向けて気まずそうに歩いている。

昨日あんなことがあり、仲違いしたまま別れたのだから無理もないだろう。

どうにか会話を広げようとする直葉だが、昨日のこともあって中々話題を出せずにいた。

そんな状態のまま歩いていると、ふと二人に・・・というより、直葉に声を掛ける者がいた。

 

「リーファちゃん!」

 

その声を聞いた途端、直葉は先程までの暗い顔から一転して、しかめっ面で声を掛けてきた男子生徒に言葉を返した。

 

「・・・こっちではその名前で呼ばないでっていつも言ってるでしょ長田くん」

 

「ご、ごめん、直――「'ギロッ'」き、桐ヶ谷さん!今日中に話しておきたいことがあって朝からここで待ってたんだ。直――「このっ!」き、桐ヶ谷さんと・・・時枝くんに」

 

「・・・はぁー。それで、何の用なの?」

 

おずおずと説明するレコンこと長田に、竹刀ケースに手をかけていた直葉はため息をつきながら待っていた理由を聞く。

 

「シグルド達が今日の午後からまた狩りに行こうって」

 

「今日もなのか?シグルドめ、昨日限りの合同パーティのはずだっただろ」

 

「うっ、なんでも昨日やられた分の失敗を取り返そうとしているみたいでさ。今日はサラマンダーがあまり出ない場所に行くみたいなんだ」

 

「悪いんだけど、あたしはしばらく参加できないから」

 

長田の説明を聞いていた直葉は、参加できないことを伝えると長田は分かりやすく驚いた。

 

「えぇ!な、なんで!?」

 

「ちょっと《アルン》まで出かけることにしたから」

 

「そういうことだ。今日は俺とお前の二人だけで行くぞ」

 

「えー、セツ――じゃなくて、時枝くんだけ・・・」

 

「露骨に嫌そうな顔してるな」

 

嫌そうな顔で自身を見る長田に、雪斗は無表情で指摘する。

そんな長田だったが、再度慌てた様子で直葉に問い詰める。

 

「あ、いや、そうじゃなくて、なんで世界樹なんかに!?ま、まさか、昨日のスプリガンと・・・!?」

 

「あー、うん、まぁね。道案内することになったの」

 

「な、何考えてんのさリ――「'ギロッ'」・・・まさか桐ヶ谷さん、あんな怪しい男とあんな遠くで――」

 

「妙な想像しないでよね!」

 

「うっ!」

 

直葉は顔を若干赤くさせながら衝動的に竹刀ケースを長田の腹にどついた。

腹を抑えながらその場に蹲る長田を見て、ハッと我に返った直葉は、半ば強引に話を切り上げた。

 

「とにかく!そういうわけだから、シグルド達にはよろしく言っておいてね!それじゃあ!」

 

そう言い残して、さっさと立ち去っていった。

 

「うぅ・・・リーファちゃん・・・」

 

「(長田、哀れな奴・・・)」

 

涙目で立ち去る直葉を見つめる長田に憐れみを抱きながら雪斗もその場から立ち去った。

そして、前を歩く直葉に追いついたところで声を掛ける。

 

「それで、本当に行くつもりなのか?」

 

「・・・えぇ。あたしはあの人達を助けてやりたい。そう思ったの」

 

昨日と変わらず、決心した様子で話す直葉。

自転車が置いてある駐輪場まで歩きながら、二人は会話を続ける。

 

「理由はあたしにも分からないわ。でも、なんとなく放っておけなかったの。特にあのスプリガン、キリト君はお兄ちゃんに似てたから・・・」

 

「そう言えば、直葉にも兄がいたんだったな」

 

「うん、SAO事件に巻き込まれて、何とか生きて戻ってきてくれたけど、お兄ちゃんの大事な人が今も眠ったままなの。そう言えば、雪斗くんのお兄さんも・・・」

 

「あぁ、今も病院のベッドで眠っている」

 

「そう、なんだ・・・それでね。お兄ちゃん、そのことでちょっと心に傷を負っちゃってね。その時のお兄ちゃんと同じ雰囲気をキリト君やコハルから感じたの」

 

あの日の夜、自身の前で涙を見せた和人の姿を思い出しながら直葉は語る。

 

「だからなのかも、しれないね。あたしはお兄ちゃんと同じような想いをキリト君たちにさせたくない」

 

「・・・好きなんだな。お兄さんのこと」

 

「はぁ!?べ、別にそんなんじゃないから!あたしはあたしのやりたいことをしてるだけだからね!それじゃあ!」

 

顔を赤らませながら、直葉は自転車に乗り込むと、そのまま去っていった。

 

「自分のやりたいこと、か。兄さん、こんな時あんたなら・・・いや、考えるまでもないな」

 

雪斗の小さな呟きは、冷たい風と共に流れていった。

 

 

 

 

そして帰宅後、直葉改めリーファはキリトとコハルと合流し、武器屋で装備を整えた後に《スイルベーン》の《風の塔》に来ていた。

ちなみに、コハルは昨日の初期装備から一転して、大きなフード付きの袖の無い黄緑色の上着の下に緑のインナー、腕には黄緑色のアームカバーに白の手袋、下は茶色のブーツの下に黄緑色のソックスを履いている。武器も細剣の他に短剣を買い、SAOと同じようなスタイルになっていた。

キリトもまた、初期装備からSAOで着てたような黒いコートを身に纏い、武器は彼の背と同じくらいの大きさの黒い大剣だった。キリト曰く、俺の理想の重い剣がこれしかなかったとのこと。

 

「なんで、塔に?」

 

「長距離を飛ぶ時は塔のてっぺんから飛ぶと高度が稼げるの」

 

「なるほど・・・ムムム」

 

昨日塔に激突したことを思い出し、複雑な顔をするキリト。

 

「さぁ、行きましょう!」

 

「ほらキリトさん。中に入りますよ」

 

そんなキリトの背を押して、リーファとコハルは塔の中に入ると、前の方から声を掛けられた。

 

「待っていたぞ」

 

「セツナ君!」

 

視線の先にはロビー中央にあるエレベーターに背中を預けているセツナが腕を組みながらリーファ達に視線を向けていた。

予想だにしなかった人物の登場を前に、リーファがここにいる理由を問う。

 

「待っていたって・・・どういうこと?」

 

「俺も行く」

 

「え?」

 

「俺もお前たちと一緒に行くってことだ。世界樹へ」

 

セツナの言葉に、目を丸くするキリト達。

 

「いいのか?そりゃ、案内してくれるのは嬉しいが・・・」

 

「昨日のこと、あのまま有耶無耶にしてしまうのは、こっちもスッキリしないからな。あんた達の馬鹿げた夢、それがどんな結末になるのか見届けさせてもらうよ。それとも、俺は必要はないか?」

 

「いいえそんな!セツナさんがいてくれたら心強いです!」

 

コハルが嬉しそうに言い、キリトも微笑を浮かべた。

一方、リーファは疑心暗鬼な目でセツナを見る。

 

「どういうことなの?昨日まであんなに否定的だったのに・・・」

 

「お前と同じだ。俺は俺のやりたいことをする。それに、俺の兄さんならお前と同じ選択をしたと思うからな」

 

「お兄さんって・・・」

 

「ただのお人好しだ。憎たらしいくらいにな・・・」

 

そう語るセツナは笑っていたが、どこか悲哀に満ちているのをリーファは感じとった。

リーファが何か喋る前に、セツナが口を開く。

 

「というわけで、俺もお前たちと一緒に行く。何か異論はあるか?」

 

「いや、あたしは特にないけど・・・大丈夫なの?その、シグルド達の事とか・・・」

 

リーファ自身は特に反対するつもりはなかったが、彼女の中に一つ懸念があり、それについて聞こうとしたその時、後ろからセツナを呼び止める声が聞こえた。

 

「セツナ!」

 

振り向くと、長身のシルフがこちらに向かって走ってきた。彼の後ろには同じシルフのプレイヤーが二人程ついていた。

シグルドはセツナの前に立つと、不機嫌な様子で口を開く。

 

「どういうつもりだセツナ。今日は俺たちと狩り行くはずだ。それをいきなり断るなんて・・・勝手が過ぎるぞ」

 

「どういうつもりも何も、合同パーティは昨日だけのものだったはずだ。それなのに、こっちの意向を無視して、合同での狩りをいきなり進めているそっちこそ勝手をしてるんじゃないか」

 

セツナの反論に、シグルドは「うっ」と顔を顰める。

セツナの横にいるリーファが、シグルドがここにいる理由を問う。

 

「えーと、セツナ君。もしかしてだけど、シグルド達に何も説明してない?」

 

「いや、用事があるから俺とリーファは狩りに行けないことをメッセージで伝えた。だが、あの様子だと納得してないみたいだな。こうして、わざわざ俺のことを追っていたようだな。こいつらしいと言えばらしいが・・・」

 

セツナの説明を聞いて、リーファは目を細くさせる。

シグルドはシルフの中でもかなりの実力者であり、更に政治的な面でも優秀で、領主であるサクヤの側近を任せられており、シルフでも彼を慕う者も多い。

その反面、性格は非常に傲慢且つ独善的で、とある出来事もあって、リーファはシグルドに嫌悪に近い感情を抱いている。

以前、セツナとシグルドの合同パーティを組む際に、シグルドがこんな事を言ってきたのだ。

 

『俺のパーティにリーファとレコンを入れろ。お前みたいな協調性のない男には不要だ』

 

この提案をリーファはとてもではないが受け入れることはできなかった。

セツナのパーティはフリーな所が多く、基本自由に行動していいし、何か用事があればすぐに抜けることができる。

リーファは束縛されるのを嫌っているため、このスタンスは非常にありがたい。何より、リアルだと同じ学校の仲間であるセツナ(ついでにレコン)と一緒に過ごすのは、リーファにとってそれほど悪くない時間だった。

それがいきなり脅かされることになり、リーファの中に激しい拒否感がうずいていた。

そして、セツナもまた、シグルドの提案を頑として受け入れなかった。

シグルドも頑なに引く様子もなく、最終的に1対1のデュエルで決めることになった。

結果はセツナの勝ち。リーファとレコンはそのままセツナのパーティに残留することになった。

しかし、それ以降もこうして合同パーティという名目でシグルドはリーファとレコン・・・いや、リーファのみに目を付けている。

優秀な剣士であるリーファは自分のような立場の高い者の下で仕えるべきだと言っているが、本音はシルフの中でもアイドルみたいな存在であるリーファを自分の手の中に収めたいという野望をシグルドは持っていた。

そのシグルドの本性にリーファは薄々気づいており、セツナもまた彼の本性に気づいているため、こちらに異議を唱える彼を軽くあしらう。

 

「俺は領主の側近だ。ただの一プレイヤーでしかないお前より上の立場にいるんだぞ。大人しく指示に従え!」

 

「確かに、立場で見たらお前は俺より上だ。だが、忘れたわけではないだろうな。俺はサクヤから領主を含む上位プレイヤーの命令に対して、拒否することができる権限を貰っている。サクヤの側近であるお前の指示だろうと、それに従うか従わないか、決めるのは俺だ」

 

「貴様・・・!領主のお気に入りだからといって、いい気になるなよ!」

 

「俺は事実を言っただけだ。シグルド、それでも納得いかないのなら・・・こいつで決めるか?」

 

そう言って、セツナが腰にある刀に手を当てると、シグルドは更に顔を顰めた。

それもそのはず。彼はデュエルでセツナに一回も勝ったことがないのだから。

前のデュエルやそれ以降でも、セツナとデュエルすることは何回かあったが、彼の化物染みた剣術を前に、シグルドはいつも敗北している。

領主の側近という立場におり、シルフでもそれなりに慕われているため、総合的な評価ならシグルドの方が高いだろうが、実力だけならセツナの方が上だ。

大きな地位と名誉を手に入れたシグルド。しかし、'シルフ最強の剣士'。その称号だけは未だ掴めずいるのだ。

 

「お前が前にやろうとしてたやり方だ。そう言えば、あれから何回も戦っているがお前が俺に勝てたことは一度もなかったな。それでもやるのなら、俺は別に構わない。また同じ敗北を味合わせるだけで済むからな」

 

「セツナ・・・!」

 

シグルドは怒りと悔しさ混じりの顔でセツナを見ていたが、そこに今までの会話を後ろで聞いてたコハルが声を上げた。

 

「待ってください!」

 

この場にいる者達は当然声を上げたコハルに視線を向ける中、コハルはシグルドに向けて口を開いた。

 

「セツナさん達に世界樹の案内を頼んだのは私たちです。これ以上、セツナさん達を責めないでください」

 

「そうか貴様らか・・・貴様らのせいで――」

 

「だけど、あなたは間違っています!仲間を自分の都合のいいように利用するなんて、そんな考え間違っています!」

 

「コハルの言う通りだ。他のプレイヤーをあんたの大事な剣や鎧みたいにロックしておくことはできないぜ」

 

「な、何ぃ!?」

 

コハルとキリトの言葉に、シグルドは顔を赤く染めて憤怒の表情で叫んだ。

 

「無名のシルフに屑漁りのスプリガンがつけあがるなよ!どうせ貴様ら、領地を追放されたレネゲイドだろうが!」

 

「失礼なこと言わないで!キリト君とコハルはあたし達の仲間よ!」

 

「なっ!?」

 

予想していなかったリーファからの援護射撃に、シグルドは驚愕の表情となる。

言葉の意味を問い詰めようとしたところで、セツナが前に出て制止した。

 

「そこら辺にしておけシグルド。仲間かどうかはともかく、俺らは'こいつらに頼まれて'世界樹を案内することにしたんだ。これ以上、俺たちに嚙みついてもお前が恥をかくだけだ」

 

あくまでコハル達から依頼を受けたから案内する。そうすることで、裏切りではなく人助けとして周りに認知させるのがセツナの考えだ。

そんなセツナの真意に気づいていないシグルドは激情しかけるが、ふと周りを見ると続々と野次馬が集まって一連の流れを見ている。

これ以上騒ぎを大きくするのは良くないと冷静に判断したシグルドは、セツナに一言問う。

 

「セツナ・・・貴様も《脱領者(レネゲイド)》になるつもりか?」

 

脱領者(レネゲイド)》、領地を捨てたプレイヤーのことだ。

 

「そんなつもりはない。だが、金輪際お前との合同パーティには参加しないことだけ告げてやる。勿論、リーファやレコンもな。俺たちはお前の都合のいい道具にはならない」

 

「・・・今に見ていろよセツナ。いつか必ず、貴様のその顔を絶望で歪ませてやる・・・!」

 

「そうか。精々頑張るんだな」

 

表情を変えることなく語るセツナを憎らし気に見つめながら、シグルドは部下たちを連れてその場から離れるのであった。

 

 

 

 

「つまらないものを見せてしまったな」

 

「いや、大丈夫さ。ただ、ああいう奴はどのゲームにもいるんだな」

 

「ごめんね。妙なことに巻き込んじゃって」

 

「リーファさんが謝ることじゃありません。あの人の考えは間違っていますから」

 

会話しながらエレベーターで上に登り、最上部へ辿り着く。

 

「うぉ、凄い眺めだな・・・」

 

「空がこんなに広がって・・・手が届きそうですね」

 

そこからの眺めにキリトとコハルは心を奪われてしまう。

最上部の展望デッキには、無限に続く広大な大地と青空が広がっていた。

壮大な景色に見惚れていると、リーファとセツナが横に並び立つ。

 

「でしょ。この空を見てると、小っちゃく思えるよね。色んなことが」

 

「小さくか・・・」

 

リーファの言葉を聞きながら、セツナは一人思いふける。

自分が抱えている闇もこの無限に広がる空の前ではちっぽけなものなのだろう。

そんなことを思いながら空を眺めていると、後ろからエレベーターが開く音と人の足音が聞こえてきた。

 

「リーファちゃん!」

 

そう言って、飛び出して来たのはレコンだった。

 

「ひ、酷いよ。一言声を掛けてから出発してもいいじゃないか!」

 

「ごめーん、忘れてた」

 

リーファのあっさりとした謝罪に、レコンはがくりと肩を落とす。

それでもめげることはなく、真剣な表情でリーファの隣にいるセツナに向けて口を開いた。

 

「それでセツナ、合同パーティが解消されたって本当?」

 

「あぁ、メッセージで伝えた通りだ。俺たちはこれからこいつらを世界樹に案内する」

 

「あんたはどうするの?」

 

リーファの問いに、レコンは鞘から短剣を取ってその腕を上げながら答える。

 

「決まってるじゃない。この剣はリーファちゃんだけに捧げてるんだから」

 

「えー、別にいらない」

 

「うぅ・・・」

 

リーファの質素な言葉に、レコンはまともにダメージを受けてしまうが、再度真剣な表情になって言葉を続ける。

 

「まぁ、そういうわけだから僕も行くよ・・・と言いたいとこだけど、ちょっと気になることがあってね」

 

「気になること?」

 

「まだ確証はないけど、少し調べたいから僕はここに残るよ・・・セツナ」

 

名前を呼ばれたセツナはレコンに視線を向ける。

 

「シグルドはこれで終わる奴じゃない。必ず何か仕掛けると思うから気をつけてね」

 

「あぁ、分かってる」

 

「それとくれぐれもリーファちゃんに色目をおか――うっ!」

 

「余計なこと言うな!」

 

リーファがセツナに詰め寄ろうとしたレコンの足を踏んで黙らせる。

一瞬悲哀に満ちた顔をしたレコンだが、表情を戻して今度はキリトとコハルの方を見る。

 

「キリトさんにコハルさん。リーファちゃんはよくトラブルに飛び込んでく癖があるんで、気をつけてください」

 

「あぁ、分かった」

 

「忠告ありがとうございますレコンさん」

 

「それと、言っておきますけど彼女は僕の――フギャ!」

 

「だから余計なこと言わなくていいの!しばらく中立域にいると思うから、何かあったらメールでね。じゃあ!」

 

再度レコンの足を踏んだリーファはそう言い残すと、背に羽を出して飛び立つ。

セツナやキリト達も後に続き、リーファに追いつく。

 

「彼、リアルでも友達なんだって?」

 

「まぁ、一応ね」

 

「クラスメイトだ。元々俺やリーファはレコンにVRMMOを紹介されて、この世界に来たんだ。普段は俺とリーファとあいつの3人でパーティを組んでいる」

 

キリトの質問にリーファとセツナが答えると、後ろにいるコハルも口を開いた。

 

「あの人、リーファさんの事が好きなんですね。顔に出ていて分かりやすい人でした」

 

「はい。それで、リーファさんはあの人とセツナさん、どちらがお好きなんですか?」

 

「し、知らないわよ!」

 

ユイからの問いに、リーファは照れくさそうにしながらスピードを上げた。

その様子を見て、キリトとコハルはお互いの顔を見合わせながら微笑んだ。

 

「リーファさん、かなり恥ずかしそうにしてますね」

 

「女子には色々事情があるんだろうな。そう言えば、セツナはどう思っているんだ?リーファのこと」

 

キリトにそう聞かれたセツナは、数秒おいてから答えた。

 

「・・・特に思うことはない」

 

そう言うと、セツナもスピードを上げて、前にいるリーファと並んだ。

 

「あいつ、意外とシャイな奴かもしれないな」

 

「そうですね」

 

逃げるように飛んで行ったセツナを見て、苦笑するキリトとコハル。

ふと後ろを見ると、《スイルベーン》があっという間に遠ざかる。

この先にはまだ知らない世界が広がっている。初めてSAOにログインした時と同じようなワクワクを胸に、コハルは彼方の向こうへ飛び立った。

 

 

 

 

一方、場所は変わって、ここは現実世界にあるレクトの研究室。

この場所で角田プラタールは一人、未帰還者たちの生体管理を行っていた。

今も眠っている彼らが何らかの異常をきたしていないか管理する。それが医者であり、技術者でもあるプラタールの仕事だった。

 

「肉体的な異常は特にない。他のデータと比べてみても差はない。しかし、何なんだこのデータの変化は?どうして彼らの脳の周波数は一定時間ごとにこうも変わっているんだ?」

 

PCに写る未帰還者の生体データを見比べながら、プラタールは疑問を口にする。

彼が疑問に思っていることは、彼ら未帰還者たちの脳の周波数が一定時間ごとに変化しているのだ。

SAOは既にクリアされており、本来なら彼らの脳に仮想世界のデータ情報が伝達されることはなく、常に一定の周波数で保たれるはずなのだ。

 

「(不定期に訪れる周波数のずれ。いったいこの時間、彼らの脳に何が起きているというんだ・・・?)」

 

しかし、その数値にぶれがあるということは、その時間帯で彼らの脳に何らかのデータ情報が伝達されているのだ。

問題はそのデータがどこから来ているかだ。SAO無き今、そのデータ情報が送られる先はいったい・・・

そんな疑問を抱きながらPCを操作していると、ふと異常とも言える数値データを見つけた。

 

「ん?この値、かなり大きく反応しているな・・・そうだ!これをこうして、こうすれば・・・よし、これで発信元を辿れば・・・」

 

PCを操作し、ようやくデータの発信元を掴めたプラタールは、次の瞬間目を大きく見開いた。

 

「こ、これは・・・!?」

 

プラタールは思わず立ち上がり、画面を凝視する。

 

「なんてことだ・・・!こんな、こんな悪魔のようなことが行われているというのか・・・!?」

 

PCに写っている内容を一通り見終えたプラタールは、震えた声で呟いた。

プラタールが見たもの、果たしてその正体はいったい・・・!?




・コハルの装備
服装は「テイルズオブアライズ」に登場するリンウェルの服装(青の部分)を黄緑に変えた感じです。容姿はSAOと変りませんが、髪は黄緑色で耳の部分は尖っています。武器はSAO同様細剣と短剣2つの武器を使いこなします。
ちなみに、リンウェルの衣装自体はSAOIFのテイルズコラボで着ています。

・シグルド
ALOプレイヤーの一人。原作では領主の側近を任される程の実力者。この世界でも立場は原作のままだが、強さはセツナの方が上。領主に気に入られているセツナの事を気に入っておらず、敵意を抱いている。セツナもシグルドの敵意に感づいており、その内自分に何かしてくるのではないかと警戒している。


先の本編や後書きに書いてある通り、セツナはシルフの領主であるサクヤに気に入られています。また、ケットシーの領主にも気に入られているとのこと。
そして、領主二人に気に入られているセツナの横でムスッとした顔のリーファがいたとか。


なんだかんだ言って、セツナも兄と似てお人好しなところもあるみたいです。いや、この場合兄をリスペクトしているが正しいかもしれませんね。
何はともあれ、セツナも同行することになり、ようやく《翡翠の都(スイルベーン)》を出発したコハル達。
その一方でALOの闇を知ってしまった教授。真実を知った教授はこの後どのような行動を取るのか?
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