IS (インフィニット・ストラトス) 〜男達の運命〜   作:konsome

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第十二話 拡がる歪み

如月仁のラボのとある一室

 

そこに一人の男が携帯電話を片手に誰かと通話していた

 

部屋にはその男以外の人間はいない

 

男は部屋の外の気配に気をつけながら通話を続ける

 

「ああ、スーパーコーディネーターの一人キラ・ヤマトは如月仁が回収した。もう一人はそちらが回収できたようだな…」

 

『ええ、他にもスーパーコーディネーターではない子達も何人か回収したわ』

 

「そうか……『大天使』の建造率は?」

 

『だいたい80%程度よ。あと一月もすれば完成するわ』

 

「了解、引き続き作業を頼む。それと、あのデータは参照したか?」

 

『ええ、MSコアの設計データ。俄かには信じがたいけど、これさえあれば戦力も底上げされるはずよ。このMSコアをベースにGAT-Xシリーズの開発も『大天使』の建造と並行して行うわ』

 

「助かります…いつもありがとうございます。ラミアス艦長…」

 

『ふふっ…まだ艦長じゃないわよ』

 

「いずれそうなるのですから特に変わらないでしょう」

 

『それもそうね…じゃあ通信を終わるわね』

 

「わかりました」

 

その言葉を最後に通話が終わる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日…私立藍越学園

 

「ほらっ、じっとしろって…」

 

「いてっ!いいから俺にかまうなって」

 

「大丈夫なの?シン…?」

 

「大丈夫だから俺にかまうな」

 

俺こと如月仁とレイ、アレルヤの三人で藍越学園の屋上に行くと先客としてシン、カガリ、藍田綾(あいだ あや)の三人がいた

 

「よっ!どうしたこんなところで?」

 

俺が声をかけると三人が振り向く

 

「あっ!如月!」

 

カガリが三人の中でもっとも早く反応した

 

「…?シン、どうした?その怪我」

 

「……別に、アンタには関係ないだろ…」

 

「シン!如月は心配してくれてるんだぞ!」

 

カガリがシンに怒鳴りつけるがシンはさらにふてくされたように

 

「だから関係ないって言ってんだろ!お前らも俺にあまりかかわらないほうが良い…カガリも藍田も…俺みたいになってしまうぞ」

 

「シン…」

 

「シン君…」

 

「なんか訳ありみたいだな…話してみてくれないか?」

 

俺は三人の内情に深く踏み込んでみる

 

「シンは……苛められてるんだよ…男を…良く思っていない奴らに…」

 

「カガリ…!」

 

シンがカガリを睨む

 

そこで昼休み終了のチャイムが鳴った

 

「あ…」

 

「おっとチャイムが鳴ったようだな…カガリと藍田は先に教室に戻れ。俺達とシンは少し話があるからな」

 

「あ…ああ。じゃあ先に戻ってるよ。」

 

カガリと藍田が立ち上がり、屋上の出口に向かう

 

「そうだ…カガリ」

 

俺が呼び止めるとカガリが振り向く

 

「どうした如月?」

 

「シンの傷の手当をするのはいいが、中途半端な救いはやめろよ。…壊れることができないからな…」

 

「え…?それって…?」

 

「ほら、いいから、行った行った」

 

「え…!ちょっ!うわっ!」

 

俺はカガリを屋上から追い出して、シン、アレルヤ、レイのほうへ向く

 

「……話ってなんだよ…?」

 

シンが俺を睨んでくる

 

飛鳥慎(あすか しん)…いや、シン・アスカ。」

 

「…なんでその名前を…!?」

 

「すまないが、お前のことは少し調べさせてもらった」

 

「…アンタ…なにもんだ…!!」

 

「飛鳥慎…本名、シン・アスカ。年齢16歳。一流会社勤務の父親と専業主婦で何事もそつなくこなす母親と妹の三人暮らしで何不自由ない幸せな家庭だったが、家族は数年前他界。父親は女尊男卑の影響で会社を突然解雇され家族を養うために身を粉にして働いた結果、『過労死』。妹はその数日後、父親の死を信じられず町をふらついているところ、『交通事故』で死亡。母親は度重なる二人の死に耐え切れず『自殺』…それで、一人生き残ったお前は保険金で生活している状況」

 

「……アンタは…アンタって人はぁ!俺のことを調べて何がしたいんだ!のうのうと生き残ってる俺を嗤うっていうのか!?」

 

激昂したシンは俺に殴りかかってくるが俺はその拳を掴んでシンの目を見据えた

 

「違う…俺はそんなことを言いたいんじゃない。あとお前、コーディネーターだろ?」

 

「……!なんで…そんなことまで…!」

 

「ちょいと独自の情報網でね…」

 

「知ってどうするんだ?言いふらすのか?」

 

「とんでもない…そこにいるレイもコーディネーターだからな」

 

「…え?そ、そうなのか?レイ」

 

シンの問いに屋上のフェンスにもたれ掛かって腕を組んでいたレイが答える

 

「ああ、そうだ。俺とは違ってお前は優しくて慈悲深い研究員ばかりの研究所で生み出されたコーディネーターのようだがな」

 

「レイとは違って…?」

 

「俺は…女達への復讐にとりつかれた研究員によって女達への復讐をするために生み出された、戦闘用コーディネーターだ」

 

「そんな…!」

 

自身とは違う壮絶なるレイの出自にシンが戦慄く

 

「そんでそこにいるアレルヤって奴もコーディネーターじゃあないが、女達への復讐をさせるように人体実験を受け続けた『超兵』だ」

 

レイと同じくフェンスにもたれ掛かっていたアレルヤが小さく手を上げて会釈する

 

「そんな…なんで…じゃあお前はなんなんだ!?」

 

シンのその言葉にレイとアレルヤが少し反応する

 

こいつらも少なからず気になっているようだな…まあいい、教えてやるか…

 

「そうだな…俺は…『歪み』だ」

 

「「「え……?」」」

 

「それって…どういうことだ___」

 

シンが言い終わるよりも前に俺の待機状態のMSである指輪(リング)から甲高いブザー音が鳴り響く

 

「な、なんだ!?」

 

全員が俺のほうを見る

 

この音は特時にのみ使用される緊急用通信回線の音だ

 

俺はすぐさま空中ディスプレイを展開して通信に応じる

 

『如月仁!聞こえているか!?応答しろ!』

 

空中ディスプレイに写しだされたのは焦ったティエリアの顔だった

 

「どうした?ティエリア」

 

『早く国際連絡通信を開け!』

 

国際連絡通信は緊急時、災害時などに用いられるものである。個人でも見ることは可能だが放送される時間帯は唐突であるため個人で見ることはあまりなく公共機関の場合、テレビや機器の画面に有無を言わさず表示されるため、そちらで見ることのほうが多い

 

「わ、わかったよ」

 

『すまない…』

 

俺は別の空中ディスプレイをだして国際連絡通信を開く

 

俺だけでなく、レイもアレルヤもそしてシンもディスプレイを覗き込む

 

そこに映し出されていたのは一人の女性であった

 

『唐突な放送で申し訳ありません』

 

女性が頭を少し下げる

 

『先日未明、国際IS委員会直属の研究機関がISコアの量産に成功しました』

 

「な……!」

 

全員が表情が驚愕の表情に変わる

 

『そして今日は、このISコア量産化の立役者であり研究機関への最大の出資者であるムルタ・アズラエル氏にお越しいただきました!アズラエル氏は女性権利団体『ブルーコスモス』の盟主であり、国際IS委員会の議員の一人でもあります!それではアズラエル氏へのインタビューです!」

 

空中ディスプレイがアズラエルの顔を映し出す

 

この世界ではアズラエルは女のようだ…キモ、吐き気がする

 

『どうも、ムルタ・アズラエルです。このたびはISコアの量産成功おめでとうございます。私が今回、出資した理由としては全世界の女性達のためであり我が『ブルーコスモス』の掲げる理念、男達のいない青き清浄なる世界の実現の為に出資させていただきました。現在、ISコアの量産は順調に進んでおり、二年後を目処にISの市販を開始し三年後には各種サービスなどを合わせての全女性のIS所持を実現させることをここに宣言させていただきます。そして我々『ブルーコスモス』は全世界の男達との全面戦争の開始を布告させていただきます!手始めに男達の反女性テロリストの撲滅を宣言します!ちゃっちゃとやって終わらせましょう男達を…青き清浄なる世界の為に』

 

「な…何なんだこれは…」

 

全員が驚愕の状況からいまだ抜け出されずにいた

 

そんな中ティエリアが話しかけてくる

 

『こんな馬鹿げたこと…万死に値する!』

 

「くそ!なんだってんだよ!」

 

俺は悪態をついた

 

『とりあえず今の放送でIS学園側でも少しパニックになっているようだから、通信はここで切るぞ』

 

「あ…ああ、そうだな」

 

空中ディスプレイが消えたと同時にヴェーダからメッセージが入る

 

「…な…!はやすぎるだろ!」

 

レイとアレルヤにもメッセージウィンドウを見せる

 

「「……!」」

 

ヴェーダから送られてきたメッセージ…それは『ブルーコスモス』直属のIS部隊による反女性側勢力の殲滅作戦がもうすぐ決行されることであった

 

だが、問題なのはその作戦に使われるISの数だ

 

「………70機…!」

 

「奴らめ…!出し惜しみはしないってか…!」

 

「どうする?仁?」

 

アレルヤが聞いてくる

 

「どうするも、いくしかないだろ」

 

俺は即答した

 

「そうだね、仁…」

 

「ああ、俺達が…俺達が止めるしかないんだ…行くぞ、仁」

 

「ちょ、ちょっと待てよ!行くってなんだよ!」

 

シンが声を張り上げて誰もが思う疑問を口にする

 

「シン…お前は…力が、世界と戦うことが出来る力が欲しいか…?」

 

俺はシンの目を見据えて言う

 

シンの目が見開かれる

 

「…!欲しいさ…だけど、いくら願っても手に入らないんだよ!力は!」

 

「そうか…なら俺と、俺達と来い。お前が願うものがここにはある」

 

そう言って俺は懐から一つの指輪(リング)を取り出す

 

「それは…?」

 

「これは…力だ、お前が最も欲しいと、願ったものだ」

 

「これが……力?」

 

「そうだ、これを、MS『インパルス』をお前に託す」

 

「『インパルス』…MSって…?」

 

「男でも、女と…ISと戦えるものだ」

 

「………」

 

シンが恐る恐る俺から受け取った待機状態の『インパルス』のリングを指にはめる

 

リングが指の付け根まではまるとシンは力強く目を瞑り、見開く

 

それを確認した俺はレイとアレルヤ、シンに声をかける

 

「…行くぞ…!」

 

「ああ」

 

「わかったよ」

 

「シン…」

 

「わかってるよ、()

 

「シン…!」

 

 

 

「如月仁!ガンダムヘビーアームズカスタムEW!」

 

俺の身体にガンダムヘビーアームズカスタムEWが

 

「レイ・ザ・バレル!プロヴィデンス!」

 

レイの身体にプロヴィデンスが

 

「アレルヤ・ハプティズム!ガンダムキュリオス!」

 

アレルヤの身体にキュリオスが

 

それぞれがつけているリングが光、身に纏われる

 

そして…

 

「シン・アスカ!インパルス!」

 

シンの右手の人差し指にはめられたリングが光、シンの身体にインパルスが纏う

 

出撃()る!」

 

「発進する!」

 

「目標へ飛翔する!」

 

「行きます!」

 

藍越学園の屋上から四機のMSが飛び立った

 

「行くぞ!目的地はアフリカだ!」

 

「「「了解!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




混沌とする物語、暴走するキャラクター。PCと見詰め合う作者の心とは…?

次回
IS(インフィニット・ストラトス)~男達の運命~
第十三話 苦悩の日々
とにかくキーボードを叩け!作者!

嘘です、すみません…

本当の次回予告!どうぞ!


理想を、男達のいない青き清浄なる世界を。そう言って引き金を引くことしか出来ない者達を前にして彼らは何を思い、何を討つのか?
次回
IS(インフィニット・ストラトス)~男達の運命~
第十三話 大規模戦闘

混迷なる世界を切り開け!インパルス!
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