今現在、その方向で、書いているところです。
ひとまずは4回戦、開始します。
ヘリオスside
「これで1対1、1分けですね。次の方は?」
「4回戦、私が相手をしよう・・・」
高橋先生は淡々と作業を進める。自分のクラスが負けても気にならないのかと思うが、それは些細なる問題だと判断し前に出る。
「「ヘリオス!?」」
Fクラスの奴らが、慌てだしているな・・・ 教科選択権は其方にあるだろうに・・・
「ちっ! ここであいつが出てくるとはな・・・ ヘリオスは試召戦争に無関心そうだったから油断していた・・・」
いや・・・ 私も興味があったのだが点数が多すぎて、参加すると誰も勝てなくなるといわれてしまったから自粛していただけなんだが・・・
今回は1勝すればそれで終わりだから4回戦で参加させてもらうが、試召戦争に出るのは今回限りの方がいいかもしれんな・・・
しかし・・・ 誰も出てこないな。 確かに負けるとわかっている戦いには誰も参加したくはないだろうが、流石にそろそろ出てきてもらわんと困るな・・・
「おい! 貴様ら、誰が出るのかさっさと決めたらどうだ!!」
・・・・・・つい怒鳴ってしまったな。 誰も出さずに、あるいは適当な誰かを捨て駒として試合を流す気か? いや、それは出来んな。
ここで私を勝者とするわけにはいかんだろう・・・ そんなことをしたならこの瞬間、Fクラスに勝利の目は無くなってしまうのだから。 それではあの男が出るまでもなくFクラスはちゃぶ台以下の環境になるのだからクラスではもう代表面は出来なくなってしまうであろう・・・
さあ、いったいどうする?・・・
ヘリオスside end
「くそっ! あの野郎これを狙って居やがったな!」
実際には最初からこの作戦を狙って居たわけではないのだが、これまでの戦いから即座にこの策を思いつき、工藤に頼み、試召戦争への参加に踏み切ったのである。
雄二にとっても誤算であった。 ヘリオスの事は明久達からある程度聞いていて、異常な程点数が高いが、それゆえに試召戦争への参加には消極的だったと聞いていたので、その情報を信じ、ヘリオスの方は計算に入れていなかった。
しかし、このままでは終われない。 このまま4回戦でほとんど決着がついてしまえば、仮に最終戦で勝ったとしても引き分けの延長戦になるだろう。
そうなれば、残りのまともな戦力がテティスだけの状態では、確実に勝てるとはいいがたかった。
「・・・俺に任せろ!」
「「ムッツリーニ!!」」
ここで、土屋がヘリオスに対して挑戦すると言い出した。 だが、相手は大図書館と言ってもいい学園の図書室の蔵書のほぼすべてを読破したというほどの天才である。 あまりにも絶望的過ぎるとしか言いようの無いこの勝負でなぜ、彼が出てきたのだろうか?
「・・・挑む教科は保健体育だ」
「ムッツリーニ、待・・・」
「・・・大丈夫だ。 死ぬつもりで行くわけじゃない」
雄二がムッツリーニを止めようとするが、そのまま、ヘリオスの前に出て行ってしまったムッツリーニ。
「では科目は何にしますか?」
「・・・保健体育」
アトラス同様ムッツリーニも自身の最強科目を選択する。
だが、勝ち目があるかは誰もわからない・・・
「美しき覚悟・・・ 友の為に命を捨てるか・・・」
ヘリオスがこの世界に来て初めて、純粋に人を称賛する言葉を送った。 まるで、その光景はウロボロスでの最終決戦のようでもあった。
「・・・死ぬつもりはないといったはずだ。 それに・・・」
この会話の間で召喚獣が召喚され、お互いの点数が表示されるが・・・
「保健体育の方は俺の方がよく知って・・・」
Fクラス 土屋康太 vs Aクラス ヘリオス
保健体育 697点 vs 1300点
「「・・・・・・・・・」」
さっきまでのムッツリーニのカッコイイセリフはいったい何だったのだろうか? あまりにもひどすぎる点数差にヘリオスも含む全員が黙ってしまう・・・
ムッツリーニの点数ですら次元が違う点数と言ってもいいのに、ヘリオスはいったいどんな回答の仕方をすればこんな点数が取れるのかと言う、天才と言う言葉すらが陳腐に思えるその点数そのものが、もはやチート同然でもあった。
「ふざけんなァァァァ! さすがにAクラスと言ってもあの点数はありえねえだろ!」
「どんなチートを使いやがったァァァァ!」
「そうじゃなかったらどんなウイルスを送り込みやがった! アアン!! それとも呪いでも掛けたかコラァァァ!?」
「いくら何でもその点数は無いでしょ!?」
「ヘリオス君、一体どういうことなのか説明してくれないか? 流石にこの点数はちょっと異常だよ・・・」
味方であるはずのAクラスからも声が上がる。 それもそのはず、本来Aクラス代表の霧島でも400点台、主任の高橋先生や鉄人ですら800点台後半が限界なのに、1000点越えなんてどう考えてもとれるはずがないと思うのが普通の反応である。
「些細なる問題・・・ お前たちのその疑問は別の人間に説明してもらった方がいいだろう・・・」
ヘリオスがそう言って、見た先は高橋先生であった。
「私の口から言っても信じられないでしょうから、説明をお願いできますか?」
「ええ、彼の点数はシステムのバグやウイルス感染などの異常ではありません。 彼は自力で解答用紙14枚~20枚相当の問題を解き、一部のケアレスミスを除き、すべての問題が正解でした。」
ここまで来たら、学力が云々のレベルではない、ここで重要になるのはヘリオスの筆記速度である。 彼は教師すら遥かに凌ぐ速度で一気に問題を読み、そして一瞬で解答を書き上げたことになる。
「それでも、まだおかしいって! それだけで1000点台を超えるなんて思わ・・・」
それでもまだ認められない一部の生徒が抗議をまだ続けるが、それも想定の範囲内だったのか、ヘリオスはため息をつき、そのトリックについて説明する。
「おい貴様。 貴様はテストの時に書きあげた回答用紙の枚数は何枚だ?」
「?? いきなりなに言って・・・」
「いいから答えろ・・・」
「・・・3枚だよ! それが一体・・・ はっ!?」
どうやら抗議していた生徒も気が付いたようだった。
「そうだ・・・ 私が書いた解答用紙の枚数は14枚から20枚。 それらすべての問題に解答を記入したと誰が言った?」
「でも、そんなことが出来るなら、Fクラス程度の学力でも、ちょっと勉強しただけで200点越えまでなら楽勝になるんじゃ・・・」
「おいおい、いったいどういう事だよ!? お前らだけで話を進めるんじゃねぇよ!」
Aクラスの皆はヘリオスの言いたいことが理解できたようであったが、Fクラスの大半は理解が出来ていないようだった。
「つまり、数学でいうなら証明問題のような時間のかかる問題の回答を極力避け、単純な計算問題や速攻で読み解ける選択問題を早く解いていったんだ! ヘリオスの奴は元々の知識に加えて、筆記速度・解答の効率化の三つを同時にやってのけた結果、1000点越えなんて言う点数をたたき出したんだ!」
「「えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!」」
雄二の説明を受け、ようやく理解したFクラスであったが、あまりにも滅茶苦茶な理論に驚愕していた。
「・・・くっ! そんな方法で点を取ってお前は、それで勝ったって本気で誇れるのか!?」
珍しくムッツリーニが狼狽している。 それもそうである。 一つの自信のあった分野に正面から挑み、それなりに高得点をたたき出したという自負があるなか、まさかそんな反則すれすれの攻略法を利用して異常な点数をたたきだし、Aクラスにいる男に勝てないことが認められないのだ。
だが・・・ ヘリオスは・・・
「貴様はムッツリーニと言ったか? 簡単に言って見せたが、この攻略法にも問題点がある。」
「・・・なに?」
その問題点をヘリオスが説明する。
1.元となる知識がないと、やはり簡単な問題すら解くことが不可能なこと。
2.確実に速攻で解くことが可能な問題を見つけ出す、速読力がある事。
3.その問題を速攻で解くだけの頭の回転がないと、むしろ遅くなってしまう事。
である。
「今では、その点数配分のバランスが修正されているからもう使えない方法でもあるがな」
そして、高橋先生が捕捉を加える。
「ちなみにヘリオス君の点数ですが、こちらの方で調べたところ、最高で1900点ほどになっていましたが、こちらの方でリミッターを掛けさせてもらい、どうにかAクラスと教員全員で抑えられる点数にさせてもらっています。」
「「こいつそんなことしなくても普通に教師並みの点数がとれんじゃねぇか!!」」
ヘリオスに総ツッコミが飛び交うが、ヘリオスは適当に聞き流す。
お話はそれぐらいにして、試合を始めたいのである・・・
「そろそろ始めますよ。 試合開始!」
「はあああああああああ!」
まず、先手を取ったのはヘリオスの召喚獣であった。 一気に間合いを詰め、瞬時に決着を付ける気のようであった。
元々、スピードに特化したヘリオスの召喚獣ではあるが、その点数の高さも相まって目にも映らない速度で長刀を構え、突っ込んでくる。
「・・・加速!」
あまりの速さにムッツリーニは召喚獣に腕輪を使わせた。 彼の召喚獣の腕輪の特性は「速度向上」。
ヘリオスの召喚獣の攻撃が当たる前に発動が間に合った為、ヘリオスの攻撃を上回る速度でその一撃を回避し、反撃に移る。
「風よ!巻き上がれ!」
ヘリオスも腕輪を発動。 膨大な点数を消費させ、自身を中心に大型の竜巻を巻き起こした。
ムッツリーニの召喚獣は竜巻の範囲から離れ、ひとまず間合いを取り・・・
「・・・加速」
もう1度加速を発動させ、一気に間合いを詰めるムッツリーニの召喚獣。
ヘリオスが何をたくらんでいるかはわからない。 しかし、点数はヘリオスの方が圧倒的に上なのである。
相手の狙いがわからない以上、ここは相手に何もさせることなく一気に決着を付けるために瞬時に切りかかる。
「おろかなる選択・・・ この風の障壁をそんな程度で敗れると思っているのか・・・」
ヘリオスの言った通りだった。 ヘリオスと同じくスピードに特化しているムッツリーニの召喚獣の力では、ヘリオスが作った竜巻を突破することは不可能であった。
ムッツリーニはどうにか、突破できないかと考えていたが、特に思いつくことのないまま1分が過ぎた後、いきなり竜巻を消したヘリオスの召喚獣。
「・・・どういうつもりだ?」
「些細なる問題・・・ このまま決着と言う訳にもいかんだろう? 点数も近くなったこともあるし、これでようやく公平な戦いができるだろう?」
Fクラス 土屋康太 vs Aクラス ヘリオス
保健体育 423点 vs 443点
ヘリオスがあの竜巻を使ってその中に閉じこもっていたのは点数を一気に消費させ、ムッツリーニと点数上において互角に戻すためであった。
あくまでヘリオスがあの異常な点数をたたき出したのは、文月学園特有のテスト形式の問題点を指摘し、改善を求める為であり、その目的も達成させられている今、もうこの点数で挑む意味がなくなったのだから、後は訂正する予定だったが、それに間に合わず、このままの点数で参加する事にしてしまった。
もともとそれ抜きで学年主任レベルの点数が取れるのだが、流石に道徳的に汚い手を使って取った点数で勝っても意味がないと思ったヘリオスは、敢えて、ムッツリーニの点数に合わせたのである。
これで点数はほぼ互角。 さっきの竜巻の中で、大まかな操作方法を確認し終えた為、操作技術の差もほとんどないと見たヘリオスはここで閉じこもっていた竜巻の中から出てきたのである。
「つまり・・・」
「・・・これからが本番」
二人の間にこれ以上の会話は無かった。 両者の神速の域に達した召喚獣どうしをぶつけ合う。
あまりにも速すぎる戦いを目で追えるものはほぼ皆無であった。
それもそのはず、2秒の間にお互いが17連撃以上の攻撃を放っていたのだから、一般人に目で見て追うなんて言うのは無理と言う物である。
どうにかシャルナクとテティスの二人は見えていたが、周りにその場で解説するのは無理だった。
「プラズマサイクロンV!」
一度間合いが離れた時にヘリオスがプラズマサイクロンVを放つ。 二つの竜巻がムッツリーニの召喚獣に襲い掛かるが・・・
「・・・加速!」
ムッツリーニは加速を発動させ、竜巻の隙間を通り抜けるように回避し、一気に小太刀の攻撃を叩き込む。
腕輪発動の硬直により、1秒だけ動けなくなるヘリオスの召喚獣であったが、スピード戦において、1秒と言うのはあまりにも長い硬直時間であった。 どうにか長刀を構えたヘリオスの召喚獣であったが、かなりいい連撃をもらってしまい、一気に点数を削られる。
Fクラス 土屋康太 vs Aクラス ヘリオス
保健体育 274点 vs 162点
「・・・何が起こったの?」
「分からないです。」
「一瞬、竜巻が飛んで、その一瞬の間にヘリオスの召喚獣が切られたところはどうにか分かったけど・・・」
「あとで、この試合の映像が取れていたら、DVDにでもコピーしてもらって見直してみるか?」
「「無理でしょ」」
この激しい攻防の時間、わずか7秒! 映像の記録があったとしても超スロー再生にしてから見ない限り、その攻防の過程を見るなんて言うのは不可能である。
「プラズマサイクロンV!」
「・・・加速!」
二人は腕輪を同時に発動。 プラズマサイクロンVを放ち、ムッツリーニは逆にそれを回避。
後ろを取る事に成功したムッツリーニの召喚獣は、そのままとどめを刺す・・・
「プラズマサイクロンH!」
「なっ!」
・・・・・・はずだった。 腕輪を発動させ、技後硬直で動けないはずのヘリオスの召喚獣が、再び腕輪を発動させ、相手を吹き飛ばした。
ゼロ距離で竜巻を叩き付けられ、吹き飛ばされたムッツリーニの召喚獣は、そのまますべての点を失い、消滅した。
これには勝ちを確信したAクラスの面々。 だが、ヘリオスの顔もどこか悔しそうだ。
「恥ずべき誤算・・・ まさか、私の攻撃とほぼ同時にカウンターを当てていたとは・・・」
ヘリオスの召喚獣をよく見ていると、胸部に大きく斬られた跡があり、上の点数表示が0点となっていた・・・
「4回戦、両クラス勝者なしとみなし、引き分けとします。 これで1対1・2分です」
高橋先生の表情に若干の変化が見えた。 まさかFクラスがここまで戦うなんて思ってもいなかったのだろう。
「元々はこの学園の問題点を徹底追及するための材料として戦っていただけだ・・・ だが、私は土屋康太と言う男に負けたのではない。 敵の小さな天命に、そして己の慢心に負けたのだ! 敵に負けたなど! 私は断じて認めない!」
やはりと言うべきか・・・ 己の賢者と愚者の定義が変わったとは言っても、プライドは相変わらず高いヘリオスは「敵」に負けたとは認めなかった。
明久に出会う前のころに比べ、自分の慢心を認めるだけましではあるが、プライドが高いのは相変わらずであった。
「では最終決戦を開始します。 最後の一人、どうぞ」
「・・・はい」
Aクラスからは、クラス代表の霧島翔子が、そしてFクラスからは当然、
「俺の出番だな」
坂本雄二が、代表として前に出る。
「教科はどうしますか?」
ここまで、最初の2戦以降引き分けで来ているこの戦いは、代表同士の対決にすべてが託されていた。
「教科は日本史、内容は小学生レベルで方式は100点満点の上限ありだ!」
これが、元々Aクラス戦で使う予定だった策の一つであった。 高校生が小学生レベルのテストで対決するというルール上、注意力と集中力の勝負になる為、これまでの戦いに比べて、最もFクラスに勝利の可能性が出てくる勝負であると言える。
それが分かったからか、Aクラスの皆がざわつきだした。
「分かりました。そうなると問題を用意しなくてはいけませんね。 少しこのまま待っていてください」
一度ノートパソコンを閉じ、高橋先生は教室を出ていく。
その間に明久とアトラスが復活し、保健室から戻ってきた。
「おい坂本、今どうなっている?」
「後は俺と翔子の対決だけだ。」
「っていう事はもしかして、僕が負けた後も・・・」
「ちなみに今までの記録あるよ? アキヒサも見る?」
そう言って、テティスがこれまでの試合の結果を記録していたノートを渡した。
ちょうど、その記録を見終わったころに高橋先生が戻ってきた。
「雄二、後は任せたよ」
ぐっっと雄二の手を握る明久。 この試合においてお互いやれることは全てやった。 後は雄二の勝負ですべてが決まる。
「ああ。任された」
その明久の手を力強く握り返した雄二。 そして、後から借りたのであろう最終戦の試験会場へと向かっていった。
これでいよいよ決着。 泣いても笑っても、試召戦争が終了する。
「皆さんはここでモニターを見ていてください」
高橋先生が機械を操作すると、壁のディスプレイには視聴覚室の様子が映し出された。
先に霧島が席に着き、続いて雄二がやってくる。
画面の向こうで日本史担当の飯田先生が問題用紙を裏返しのまま、二人の机に置いた。
『不正行為等は即失格になります。いいですね? ・・・・・・では、始めてください』
二人の手によって問題視が表にされる。
結果がわかるまでの間の小話です。
明久side
「吉井君、いよいよですね・・・・・・」
「そうだね。いよいよだね」
「これで、あの問題がなかったら坂本君は・・・・・・」
Fクラス陣営の中で固唾を飲んで見守る。 そんな中僕の元に、2回戦で戦った佐藤さんが、申し訳なさそうな顔をしてやってきた。
「あの・・・ 2回戦の時は申し訳ありませんでした!」
いきなり僕の前で頭を下げて誤ってくる佐藤さん。
一体何を謝っているのだろうか・・・ ああ! 最後の召喚獣の頭叩き潰した事か!? 僕は別に気にしていないのに・・・
「僕は別に気にしていないから大丈夫だよ? 佐藤さん。 あんなあっけない形で負けちゃったけど、これも勝負だったんだし気にしないで、頭を上げて。 ねっ?」
あの時の勝負は実際に気にする必要なんてなかった。 ほかの事に気を取られて、動けなかった自分が悪いのだから。
だけど、本当に優しい子なんだろう・・・ 本当に気にしているのだろうかなかなか頭を上げてくれないので、軽く頭を撫でてみた。
「ひゃん!?」
急に頭をなでられて、驚いた佐藤さんは少し後ろに飛び退いてしまった。
「もう、吉井君! 勝手に頭をなでないでください!」
「あはは、ごめんごめん。 でも、さっきより元気になってくれてよかった。」
佐藤さんがぽかんとしている・・・
「もし、どうしても気にするっていうなら、さっきのいたずらでチャラでいいよね? ほら、Aクラスの方に戻った方がいいんじゃない?」
「あ、あのちょっと・・・!」
そして、そのままAクラス陣営まで、手を引いて連れて行った。 あんまり長くこちら側に居ることで不審がられないかが心配だっていうのもあるしね・・・
でも、さっきまでAクラス側が騒がしかったな・・・ 一体何があったんだろう?
明久side end
ヘリオスside
「ヘリオス! いったいどういうつもりな訳!? 工藤さんが戦う予定だった相手と急に変わってくれって言うからわざわざ工藤さんがが変わってくれたのに、引き分け!? 説明しなさいよ!?」
「「そうだそうだ!!」」
どうも、あの4回戦の引き分けに納得がいかないのかAクラス中から詰め寄られているヘリオス。
しかし、当のヘリオスは涼しげな態度で聞いている。 それがさらにAクラスの皆の怒りをヒートアップさせているのだ。
「おろかなる問い・・・ あそこは別に負けさえしなければ、後は代表が勝てると踏んでいた。」
「どういう事だよ?」
納得がいかないのかヘリオスに聞いてくるAクラスの面々。
「分からんのならヒントをやる。 FクラスとAクラスの決定的な違いを考えてみろ。 それに気が付けば答えが出る」
「「はい?」」
全員分からないのか、ヘリオスの言葉にぽかんとしてしまう。 ヘリオスはそんなクラスメイト達をほ放っておき、Fクラス陣営にいる明久に謝りに行った佐藤を迎えに行くことにした。
ヘリオスside end
一方、ヘリオス達が学園で試召戦争をしていた時、エール達は・・・・・・
ZXAside
あれから、まずエール達がしたことは、活動拠点の確保とこの世界について知る事であった。
まず、仮の拠点として、どうにか雨風をしのげそうな場所を橋の下に見つけることに成功した。
次にこの場所についてであるが、エール達のいた世界ですらないという事は、すぐに調べが付いた。 そこまでは良かった。
問題はどうやって元の世界に帰るのかという事と、元の世界に帰るまでの間、どうやって食っていくのかという事であった。
まず、エール達をこの世界に飛ばしたこの腕輪は、ただのガラクタになっていた。 一応、モデルXとモデルAに解析できないか調べてもらったのだが、結局無駄に終わってしまった。
次に食べ物の問題だ。 ヴァンとエールとアッシュは人間である。 と、なってくると食事を取らないといけないのだが、この世界でもやはりお金の概念があるらしく、ヴァンたちの世界のお金は予想通りに使えないものであった。
今はどうにか、質屋なる中古品の転売を専門とする店をアッシュとグレイが調べてくれたおかげで、1・2週間くらいはどうにか食べていけるだけの資金はあるのだが、それだけでは限界がある。
そうなってくるとどこかで収入を得ないといけないのである。
今は、そういった今後の方針を決めるために、拠点の橋の下に集合している。
「やはり、あの少年から話を聞く必要があるんじゃ・・・」
ヴァンは吉井と言う少年を探し出すことが一番重要なんじゃないかと思っていたが・・・・・
「でも、今はあの子の手掛かりも無い以上、探し回っても簡単に見つかるとは思えないけど?」
手がかりもなく、一人の人間を探し出すなんてとても無理があった。 エールがヴァンの言葉を却下しようとした時。
「ちょっといいかしら? 朝、近くを散歩していた時に、あの人の変身を解いたときの服と似たような服を着た人たちが、同じ所に向かっていくのを見たわよ?」
アッシュがヴァンのフォローに回りだした。
アッシュが言うには「朝の7時~8時半位に、赤のロックマンに変身した人と同じ服をした人達が、一つの施設らしき場所に向かっていたのをグレイと一緒に見た」らしいのだが・・・
「それで、そこがどんな場所かわからなかった?」
『オイラが見てきたけど、確か放送で文月学園って言っていたぞ? あれってもしかして、学校ていうところなんじゃないのか?』
「ちょっと待って。 同じ服を着た人たちが全員その文月学園っていうところに行ったのよね?」
『ああ、オイラも隠れながら調べるのって本当に大変だったんだ・・・・ぞ?』
ここで、全員気が付いたようだった。 あのモデルZといた少年は確実にこの街で生活をしている。 学校に通っているという事はほぼ毎日、あの場所にいることは間違いなかった。 それならば、エール達の取る次の行動が決まった。
「皆、いったん適当に何か食べた後、すぐにその学園に行くわよ! 出入口全部を見張って、あの少年が出てきたら、急いで確保! その後、モデルZと共にこの世界について聞き出すよ!」
「「『分かった!』」」
ほかにもやるべきことはあるだろうが、ひとまずは赤のロックマンになった少年を見つけ出し、モデルZでロックマンになった経緯などを聞き出し、あわよくば元の世界に帰る手掛かりをつかめる可能性に賭け、エール達は文月学園に行くこととなった。
エール達がなんだか大変なことに・・・
話の展開からこの世界の人間との接点がまだない以上、むしろ自力で明久達への手掛かりをつかめただけでも奇跡だと思う事にしています。
ここから誰とどうつながるかは楽しみにしていてください。