第1問
料理の為に火にかける鍋を制作する際、重量が軽いのでマグネシウムを材料に選んだのだが、料理を始めると問題が発生した。 この時の問題点とマグネシウムの代わりに用いるべき金属の例を一つ上げなさい。
姫路瑞樹・霧島翔子・グレイの答え
問題点……マグネシウムは炎にかけると激しく酵素と反応する為危険であるという点。
合金の例……ジュラルミン
教師のコメント
正解です。合金なので『鉄』ではダメと言う引っ掛け問題なのですが、姫路さん達は引っかからなかったようですね。
アトラスの答え
合金の例……鉄
教師のコメント
物の見事に引っかかってしまいましたね。
『合金』でないといけませんので今回は不正解です。
次は気を付けるようにしてください。
土屋康太の答え
問題点……ガス代を払っていなかった事
教師のコメント
そこは問題ではありません。
吉井明久・島田葉月・テティス・シャルナクの答え
合金の例……未来合金!(←すごく強いです!!)
教師のコメント
すごく強いと言われましても……
シャルナクの答え2
問題点……嘗テ、マグネシウムノ鍋ヲ使ッテシマッタ事ガ原因デ、目ヲ潰シタ仲間ガイタ事
教師のコメント
冗談……ですよね?
そんな悲しい目をしないでください……
ヘリオスの答え
合金の例+説教「愚かなる間違い!合金ならば『ジュラルミン』ではなく『ステンレス』が最適なのだ!
そもそもジュラルミンでは塩分に弱いが故に料理には全く向かん!
それ以前に、マグネシウムなんて物を鍋に使ったら間違い無く家が消える程の大火災に発展するぞ!
そういった一般的観点からも見た形で問題を出さんか!」
教師のコメント
ウワァァァァァ、ゴメンなさい!
今後は気を付けますので、学園長にだけは言わないでください…
「ちょっとヘリオス、あんた一体どうやってクリアしてきた訳!?」
「些細なる問題…… あの試練は別に外から本を持ってこなくても攻略できたというだけの事だ」
さも当然のようにいうヘリオスだが、肝心な攻略法については全然教えようとしない。
「あれ~? まるで本当はこの試練の攻略法を知っていたかのような口ぶりだけど?」
「……それより、一つだけしか持っていないようにも見えるけど、二つは取ってこなかった?」
「俺タチデ独占シテモ良カッタノダガ、流石ニ不公平スギルト思ッテソノママ出テ来タノダ」
『あれ? 優子、グレイ達がもう出て来たみたいだぜ?』
図書室に入ってから三分しか経っていないのにもかかわらず、姫路達3人は図書カードの入った封筒を持って出て来た。
「あれ? 皆さんなんでまだこんなところで止まっているんですか?」
「姫路さん!」
「図書室の試練を速攻で解いたのか!?」
「瑞樹、本当にすごいわね!」
「きれいなお姉ちゃんも本当に速かったです! 風のお兄ちゃんみたいでした!!」
あまりの速さに雄二と美波の二人も驚いている。
「あら? 姫路さんも早かったわね。 実は何か隠し玉でもあったのかしら?」
「隠し玉? 私はそんなものは持っていませんけど……」
「「え?」」
「……瑞樹、もしかしてこういう事?」
翔子は出た後に気が付いた攻略法で当たっているかを、瑞樹にだけ聞こえるように耳元で呟く。
「ええ、それで間違いありません。 霧島さんは気が付いていたんですか?」
「外に出た後に気が付いた。 でもその時はもう優子が引っ掛け問題でクリアしていたから……」
「代表、一体どういう事ですか! あれ以外にも攻略法があったの!?」
「代表が気付いたのが外に出てからだから…… それまで思いつかなかったっていう事だよね?」
優子が気が付かなかった攻略法がいったいどういう物なのか、翔子と瑞樹の口から語られる。
「……『セリヌンティウスを身代りにして妹の結婚式に出席するメロスの心情を答えよ』みたいな、どちらがより深くその小説を読み込んでいるかの深読み対決」
「流石に7人掛りと言うのは非常に厳しかったですね。 通してもらうのに三問もかかってしまいました」
「三問? たったそれだけで!?」
「はい、むしろ問題だったのは賭けに出す物の方で……」
「私達、余計な物は持ってこなかったから、どれを出すべきか迷ってしまってね」
『瑞樹さんが自分の衣服を賭けに出そうとした時は本当にびっくりしたよ』
「瑞樹姉ちゃんが自分の服を賭けに出そうとしたもんだから、慌ててボクと試験管の皆で止めに入ったんだよ」
「本当に驚いたわ…… 試験管の中には気絶させてでも止めようとしていたぐらいだからね……」
この話だけだと少々やり過ぎにも聞こえるかもしれないが、明久と言う前例があったことを考えると試験管の気持ちも分かるかもしれない……
「姫路さん、貴方Fクラスにいる内に思考回路まで本当にFクラスのバカ共と同じになったの!?」
「Fクラスの皆さんの事を悪く言わないでください! 確かにFクラスの皆は成績は悪いですけど、決して屑なんかじゃありません!!」
『おい、このねーちゃん逆ギレしやがったぞ!!』
Fクラスをバカにされて本気で怒り出した瑞樹。
まさかここにもとんでもない事をしでかす娘がいるとは思わなかった優子は口喧嘩の末に「もういいわ……」と言って諦め、モデルAと共に向こうで落ち込んでしまった。
『しかし、あれは本当に頭のいい出題だったな』
「あ、モデルHもそう思った?」
『オレはまだチンプンカンプンなんだけどな』
「いや、モデルF! 明久でも説明されて理解できた攻略法を何でライブメタルのお前が理解できないんだ!?」
『モデルFのおバカっぷりは時々明久を超えるから不思議なのよね……』
『オイ、それじゃあオレが明久以下のバカみたいじゃねぇか!?』
「実際、アキヒサよりも低レベルだって言われても仕方のないことを言っていると思うよ?」
『拙者もそれを否定できん』
『そんなバカなぁぁっァァァァ……』
「ふん、そしてわたしと姫路がした出題こそが想定されている模範解答なのだ」
姫路チームと優子チームの会話に明久達が入ってくる。
それと同時に優子の落ち込む姿が見えたのだが……
「あれ? 木下さんは何で試練を突破した後なのになんで、床を向いているんですか?」
「恐らくは明らかな正攻法があったのにも関わらず、あんな引っ掛け問題を出した自分を恥じてしまっておるのじゃろう。 別に気にせんでもよいのではないか?」
酷い言い様だが、いつまでも落ち込んでいる人の事は気にしていられないので、皆はそのまま話を続ける。
その一方で、いきなり明久のケータイに電話が鳴りだす。
因みに着信音はバカテスBGM『たのしい学園生活』に設定されている。
(~~~~~~~~~ ~~~~ ~~~~~……)
「おい明久、電話鳴ってるぞ!」
「あ、本当だ。 ごめんちょっと電話に出て来る」
「ボクも付いて行くよ。 アキヒサだけじゃ不安だからね」
「あ、なら私も付いてますね。 召喚獣戦になったらどうなるか分かりませんし」
どうやら明久に電話のようだった。
だが、何かの罠の可能性も警戒してテティスと佐藤も付いて行くことに。
「ちょうどいいや。 ヘリオスから幾つか教えてもらった場所についてなんだけど、支給された地図の中にアルファベットが書かれている所と重なる場所があるんだよ。 ヘリオスはこれについて、どう思っているの?」
愛子が地図を出してそのアルファベットが書かれている部分について聞き出そうとしている。
その場所と言うのは
1.中央発電所 (H)
2.文月駅前商店街 (F)
3.文月市総合体育館 (L)
4.如月グランドパーク (P)
となっていた。
ちなみに、学園の図書室には(B)と書かれていた。
「些細なる問題…… これについては特に考える必要性は無い」
「一体どういうことですの?」
ヘリオスの言いたいことが分からない美春はヘリオスに疑問を投げかける。
「これについては情報が少なすぎて解釈のしようが無い。 図書室の(B)も単に難易度Bと言うだけかもしれんし(Book)とか言って本に関係する試練の場所ですと言いたいだけかもしれん」
「ただ、はっきりと言えるのは暗号が解けない連中を一つの目安として誘導させたり、なまじ問題文の暗号が解けた者を混乱させるためだけが目的だとわたしは踏んでいる」
「なら、変に考え込むのが一番危ないですね。 なら、みなさんは適当に指運で決めた後、先に進むべきだと思います」
「あの、一度断られているのにごめんなさいです…… やっぱりきれいなお姉ちゃん達も一緒に来てくれないですか? 葉月、なにか嫌な予感がするです」
ヘリオスと瑞樹の話を聞いて、何を思ったのか葉月ちゃんは一度断られた話をもう一度切り出してきた。
「それに、こうやって合流できたのも何かの縁だと思うですし」
「でも、葉月だっけ? ボクらが入ってもメンバーは6チームだぞ? 他のチームはどうするんだよ?」
葉月ちゃんの言う嫌な予感を信じて、一緒に連合を組みたい気持ちはグレイ達にもある。
しかし、姫路チームが入ったとしても、計6チームにもなってしまうこの連合では確実にチーム配分のバランスが崩れてしまうのである。
そして図書室と同様、特別なアルファベットが書かれている場所となると、確実に何かしらの試練がある可能性が高く、もしその試練の合格に手間取った場合、他のチームとの合流が出来なくなるのは明らかだった。
「仮にヘリオス達の連合に入るとしても、後2か所が1チームのみで挑んでしまう事になるから……」
「ソノ場所ニ向カッタ方ハ確実ニ不利ニナルナ」
仮に姫路チームが入った場合の戦力バランスがどうするかが決まらない。
このままではいたずらに時間を浪費してしまう事になる。
無駄に時間が過ぎていく中……
???side
一足遅れで、図書室に向かう3人の男子のチームがいた。
一人は美形かつ高身長なさわやかな感じのイケメンなのだが、一緒に連れている男子二人はソフトモヒカンと坊主頭、しかも不良のような粗暴な言動が目立つような二人組と言うアンバランスなチームである。
「おい、いったいどうしたんだよ?」
「いえ先程、姫路瑞樹嬢の声が聞こえたもので」
「姫路瑞樹? ああ、お前が入れ込んでる女か?」
「入れ込んでいるとは失礼な! 私は彼女を純粋に……」
「はいはい、分かったから早く図書室に行こうぜ。 早くしねえと景品盗られちまうぞ?」
もう図書室の景品が一連合に独占されているなんて思ってもいない、坊主頭の男子は無駄話をしていられないと、先に急ごうとする。
「でも、本当に感謝していますよ。 受験の時間を割いてくれて、このようなイベントに参加してくださるのですから」
「あ? お前が受験に役立つ資料をタダでくれるっていう上に昼飯もおごるっていうから参加してんだよ」
「別にお前とはクラスメイトでお前が代表だから参加しているだけで、そうじゃなかったらほっといて家で受験対策をしているところだったんだからな」
「それでもですよ。 そうやってツンデレな態度で助けてくれている二人のおかげでこうして参加できたのですから」
「「俺たちはツンデレじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」」
顔を赤くして否定している二人。 彼ら二人はとてもガラが悪く、とても学力があるようには見えないが3年の中ではトップクラスの成績を誇る秀才なのである。
3人が図書室前に到着したはいいのだが、その図書室前に謎の集団が集まっている光景を見てすぐに少し離れた柱に隠れることになってしまう。
「……おい、図書室の前に妙な集団がいるぞ! 完全に出遅れているじゃねぇか!」
「やれやれ、せめて一つだけでも残っている事を祈りたいですね」
もう手遅れなのだが、そんなことを知らない3人はわずかな可能性に賭けて図書室を調べるために、その集団を横切って中に入ろうと動こうとした時だった。
「……他のチームはどうするんだよ?」
図書室前の集団の中にいた少年の一人が、それよりも小さい女の子の前で質問攻めにしていた。
様子を確認したい3人はひとまず少し離れた曲がり角に隠れて様子を見ることにした。
『おいおいあいつら、もしかして連合を組んだはいいけど、配分で揉めてんのか?』
『どーだろうな? もし奪い合いになったら最後に横槍入れて強奪と言うのもありじゃねぇ?』
『二人ともやめて下さい。 瑞樹嬢の前でそんなことをする訳にはいきません!』
『『その女が居なかったらどうする気だったんだよ?』』
『図書室中を探し回ったふりをして、最後に残った方に横槍を入れて景品をゲットしようとします』
『『こいつ、鬼だ!!』』
姫路が居なければ躊躇なく実行するのか……
こんな下種な会話をしている時だった。
「仮にヘリオス達の連合に入るとしても、後2か所が1チームのみで挑んでしまう事になるから……」
「ソノ場所ニ向カッタ方ハ確実ニ不利ニナルナ」
少年二人の会話から察して、配分で揉めているわけではないようだった。
仲間割れをしていればよかったものをと思い、落胆するボーズとモヒカンの二人。
『どうやら作戦の為のチームが足りなくて、揉めているようだな』
『……もしかしたら、瑞樹嬢に恩を売るチャンスかもしれませんね。』
『もしかして…… あいつ等と組む気か!? って待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!』
???side end
FFF団side
その一方で……
「うがぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「こんなもの解けるかァァァァ!!」
「あきらめるな、同志達よ! ここの景品を大量に手にすることが出来れば、『女子達にモテモテになりた~い』計画を実行できるのやもしれんのだぞ!」
須川はFFF団の同士を募り、総員43人で連合を組んで参加していたのだが……
「だけど……」
「須川会長、この問題難しすぎて全然解けません……」
「ヤバイ、もうダメだ…… 知恵熱出し過ぎて何故か吐きそう」
「近藤! そんな気持ち悪いもん見せつけんじゃねぇよ!」
「マジで汚ねぇから吐くならさっさとトイレに行けや!」
「つーか知恵熱とか難しい単語使って『頭使っています』風な態度取ってんじゃねぇよ!!」
彼らの最大の失敗は数だけを頼りに、問題そのものを解ける人間を一人も入れていなかったのである。
それ以前にチームワークも最悪であった。
「須川会長。 やはり、我々のようなバカにはこのような大会に参加するなど無理があ……」
「何を言っているんだ福村ぁぁぁぁ! まだ何か方法があるはずだ! 最後の最後まで絶対にあきらめるんじゃない!!」
須川は諦めずに仲間と共に問題を解こうとするが、やはり問題は解けない。
せめて、誰かこの問題を解けそうな頭脳を持っている人物を引き入れればよかっただろうかと思い始めてきていたが、仮にそれだけの頭脳を持った人物を無理に引き入れたとしても、FFF団総員(自分を含む)の嫉妬を食らい、感謝もされないまま相手を激怒させてしまう光景しか目に浮かばない。
「そうだ!テティスだよ! 皆、テティスに相談してみようよ!」
「何? どういう事だ、芝崎?」
それだけ絶望的な状況でも諦めようとしない(往生際の悪い)須川の元に団員の一人が、テティスに相談することを提案してきた。
「もしかしたら、テティスならこんな状況でどうするか一緒に相談に乗ってくれそうだし!」
「なぜテティスなんだ? 相談なら吉井を間に入れてヘリオスに相談してもいいんじゃないのか?」
「確かにヘリオスならスゲー頭キレるけどさ、あいつ間違っても俺らの相談なんて乗らないだろ?」
「「「あぁ…… 適当に変な場所に行くように言ってそこには何もなかったとかありそう!」」」
実際には、ヘリオスに嵌められた場合その程度では済まないのだが……
「なら、だれか吉井の電話番号を知っているやつがいたら教えてくれ。 テティス達はケータイを持っていないからな」
Fクラス内にてヘリオスが一切信用されていないことが発覚した。
が、須川にとってそんなことはどうでもいいので、すぐに明久のケータイの番号を確認して、事情を説明した後にテティスに変わってもらうように伝える。
「……もしもし、スガワ?」
電話に出て来たテティスに代表として相談する須川。 その周りでは彼にケータイを渡した後すぐに大鎌と鞭と日本刀(床に落ちた時に切り傷が出来ていたが、模造刀だと思いたい)を用意し、白黒の死神風の衣装に着替えて、息を荒くしながら結果を待ち望んでいる団員が須川を囲んでいた。
「ねぇスガワ、なんか雑音が妙に怖いんだけど…… 話を聞く限りだと、そっちは人数はたくさんいるんだよね?」
「ああ、軽く2桁にはなるな」
正確な人数を伝えないのは、一応敵であるテティスに情報を漏らしにくい状況にするためである。
大した意味もない気がするが……
「学園中にはヒントがあるって言っていたでしょ? まずは全員でそれを確認してそれで解けるだけ解いた後……」
「それはもうやったのだが、それでもようやく4問解けたくらいだった……」
「皆、よくそれでこんな大会に参加しようと思ったね……」
「正直、同士達がバカばかりだったのは失敗だったと思っている」
「「「須川を殺せぇぇぇぇぇぇぇ!!」」」
「うわぁぁァァァァァァァぁ!!」
周りが囲まれている状況で言わなければよかったものを……
須川に鎖付きの首輪を一瞬で取り付けて、それを外そうと必死になっている彼を躊躇な団員5名が引きずってFクラスの教室に全力疾走連行していってしまった。
なお、彼が連行される際に周りを囲っていたFFF団の皆がプラカードを掲げていたのだが、その内容はなぜか
『GAMEOVER』
『スガワくんがクロにきまりました。』
『おしおきをかいしします。』
某推理アクションゲームの犯人制裁シーンを連想させるものとなっていた。
「ちょっと、スガワ? ……スガワ!?」
「テティスすまない、今どうにか団員の皆から逃げて来たところダ」
「あれ? 本当にスガワ?」
「オイオイ、俺の声を忘れてしまったのカ? さっきまで話していただロ?」
声に違和感を感じるテティスだったが、『一応スガワだし死んではいないだろう』と思ったテティスはそのまま話を続けることにする。
「まあ、いいや。 一応人数だけは揃っているっていうなら、ボクならケータイで連絡を取り合いながら各自で散らばって広域探索作戦を実行するかな」
「広域探索作戦?」
「うん、だって問題解けないんじゃ無理して解こうとする意味なんてないし」
「だが、問題を解かんことには場所も……」
「だから数を頼りに、しらみつぶしに探すんだって。 むしろそこで立ち止まって何もできない方が不味いと思うよ? せっかくの人手なんだから、使わないと損だって……」
「「「おおおおおおお! なるほど、そう言う手があったか!!」」」
テティスからアイデアを貰えた事で、すっかり喜んでいるFFF団だったが、偽須川は疑問に思ったことがあったようで
「だが、問題も解かないで出るというのはルール上大丈夫なのカ?」
「うん、そもそもルールで明言しているよ。 もし問題が解けないならしらみつぶしに探してもいいって。 むしろこの問題はどうしても問題が解けない人用の『救済ルール』みたいなものじゃないかな?」
テティスについ質問してしまうが、よくよくルール表を見てみると、本当に書いてあった。
適当に礼を言って、通話を切る偽須川は団員に集合を掛けて今後の指示を出していく。
「我らFFF団は、各チームに分かれてここを出た後に、広範囲に散らばった後にしらみつぶしにありとあらゆる施設や店などを探しに行くぞ!」
「「「分かりました! 新FFF団会長殿!!」」」
さっきまで須川が会長ではなかったのだろうか?
もう須川なんて居なかったとでもいうように、彼を無き者として忘れようとした彼らは各自で登録してあったチーム同士で班を組み、外へ出る準備を始めた。
FFF団side end
ヘリオスside
「さて…… どうしたものか?」
ヘリオスは計算外な2チームの存在に頭を悩ませていた。
利害が一致している優子チームなら適当なチームと予定の景品の収集を速攻で終わらせてもらい、落ち着いた頃に取引をして景品の交換をすればいいと思ったのだが、最初に一度断っている姫路チームもあとになって加えるとなると、裏切りによってチームバランスが崩壊してしまう可能性が高かった。
ましてや、彼女とチームを組んでいるのはあのグレイとエールの二人である。
両者共にヘリオス達がロックマンとして辛酸をなめさせられた相手である。
特にグレイの方に至ってはロックマンとしては失敗作だと言われていたにも関わらず、ヘリオス達に一度勝って見せたのだ。
試召戦争でも、その戦闘センスが発揮されないとは言い切れないのである。
葉月ちゃんの言葉を信じて姫路チームと組むべきか、自分の策を信じて葉月ちゃんの行動を諌めるべきか……
それぞれの選択の利点と欠点を踏まえたうえで考え込んでいるヘリオス……
「お忙しいところを失礼します。 もしかして、ヘリオス君ではありませんか?」
「誰だ貴様は? 2年では見かけない顔だな?」
いきなり乱入してきた男に対して、警戒している皆。
「た、高城先輩! どうしてこんなところにいるんですか!?」
姫路の驚き様から察して、瑞樹の知り合いのようであった。
「ご機嫌麗しゅう、姫路瑞樹嬢。 今回の大会で欲しい物がありまして、それを手に入れる為にこのお宝探しにクラスメイトの二人と参加しているのです」
瑞樹の質問に答える高城。
その後ろから、そのクラスメイトと見える二人組が、必死な形相で追いかけてきていた。
「おい、高城! いきなりおいていくんじゃねぇよ!」
「あの速さ、人間じゃねぇよ…… おれ、これでも100メートル11秒なんだぞ……」
彼らも物凄い速さで来たはずなのに、それ以上の速さで息も切らさずに涼しげな顔をしている高城の速さは確かに異常だろう。
モヒカン頭の先輩に至っては思いっきり肩で荒く呼吸しながら手を膝についているあたり、どれだけ走らされているのかが容易に想像できた。
「成程ナ、サッキカラ隠レ回ッテイタ気配ハ貴様ラダッタカ」
シャルナクはすぐに気が付いていた様で全く驚いていなかった。
「ええ、問題を解いてここまで来てみれば、貴方達がすでにいらっしゃったので、様子を見て判断しようと」
「ああ、私達はここの景品は手にしたのはいいのだが、次の行き場所について方針が決まらなくて困っていたところなんだ。」
ヘリオスはここで嘘を付く意味が無いと判断したのか、簡単に事情を説明する。
「なるほど、大勢で動いているが故の欠点ですね」
「おいおい、いくら戦力が多くても動きが遅いんじゃ大した意味ないんじゃねぇか?」
とは言ってもあのヘリオスの言い様だと『常に』全員一緒に行動しようとしていると勘違いしてしまうのだが。
ヘリオスはむしろこれを狙っていて好都合だったので、問題なく(ヘリオスにとって)進んでいった。
「なら、もうここは貴方達が独占しているという事ですか?」
「いや、俺たちで二つしか手に入らなかったから、あと一つだけ残っていたはずだぞ?」
「ああ、確かゲットするためには試練があってのう、それを突破できんと景品は貰えんから気を付けるのじゃぞ?」
「本当ですか? それなら急いで取りに行った方が良さそうですね」
「わりーな、感謝するぜツンツン頭!」
「つんつんいうな坊主頭!」
「ありがとよー!」
3人は雄二達の情報に感謝して、そのまま図書室に入っていってしまう。
「おい、貴様ら坂本の言葉は全部嘘だ……」
アトラスが一応止めようとしたのだが、間に合わずに中に入ってしまう。
そして、それから30秒後
「「「……」」」
沈痛な顔をして出て来た3人が居た。
まあ、初対面の後輩に完全に騙されて、いざ試練に挑もうとしたらすでに景品は全て取られていた跡だったのだから当然と言ったら当然なのだが。
「……
「夏川落ち着け!」
「常村離せぇぇぇぇ! こいつら一度ぶっ殺して……」
騙された事に激怒した夏川は勢い余って召喚獣で攻撃しようとするが、戦うのは得策ではないと思った常村に止められてしまう。
「まあまあ、いつもの事ですし」
「「それはお前だけだぁっァァァァぁ!!」」
「いつもの事ですの!?」
明久を下回るバカがいる事自体が驚きの美春はついツッコミを入れてしまう。
「バカなお兄ちゃんがもう一人いるです?」
「葉月、あれはアキじゃないわよ?」
「バカで残念なお兄ちゃんですね!」
「ボクはあの人が本当に年上なのか疑いたくなってきた……」
葉月ちゃんとグレイの中で高城は『バカで残念なお兄ちゃん(な人)』に決定されてしまった。
『いつも騙されてんのかあのイケメン野郎?』
『よかったな、モデルFよりも酷いバカがいて……』
『おいモデルH、てめぇ!』
『下には下がいてよかったでござるな』
『いやモデルP、うれしくもなんともねぇからな!!』
モデルFを弄って楽しんでいるライブメタルたちはともかく……
一方の明久達は
明久・テティスside
「バイバーイ!」
その一方で須川からの電話で一時だけヘリオス達の集団から離れていた明久とテティスは電源を切ってみんなの所に戻ろうとしていた。
「へぇ、FFF団の皆も参加していたのか~」
『って奴らはこの問題を解けるつもりで参加していたのか? 普通に考えて無理があるだろ?』
『それが分からないアホだから参加してるのよ。 でも、本当にルールに明記されていたの?』
「うん4番目のルールを見てよ。 闇雲に走って探し回るのも良いことにするって」
「それにしてもさっきの悲鳴って一体何でしょうか?」
佐藤がそんな事を言い出した時だった。
「「異端者は死刑~!!」」
「ギャァァァ! 誰か助けてくれぇぇぇ!!」
「「「……えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!」」」
さっきまで電話で話していたはずの須川が右半分が白い天使の装飾が、左半分が黒い悪魔の装飾が施された死神風の衣装を着こんでいる覆面集団に連行されている光景であった。
「何なんですか、あれ!?」
「まさか……FFF団じゃないよね?」
「確か、FFF団で新ユニフォームを考えているってヨコミゾから聞いたけど……」
『なんか…… どんどん武装が強化されていっていないか?』
『「されていないか」じゃなくて実際されているわよ! 本物の日本刀に大鎌まであるのよ? 前の装備は精々鞭と蝋燭ぐらいの物だったじゃない!?』
『……警察に通報するだけで逮捕できるのは間違いないな』
ライブメタル達も真っ青な光景に明久達はドン引きであった。
「ってヤバイヤバイ! 速くスガワを助けようよ!!」
「うん。 佐藤さんは危険だからそこに隠れてて。」
「ボクがあいつ等の腕を確認するから、もし大会参加者だったら合図を送るからその時にサトウが召喚獣を呼び出して相手を瞬殺してくれるかな?」
「わ、分かりました!!」
ひとまず、いろんな意味で戦闘慣れしていない佐藤さんに安全な場所で待機してもらい、ダッシュで突っ込んでいく明久とテティス。
あまりの速さに、目で追いきれなかった佐藤さんは目が点になったままポケー…とした顔になっている。
先に結論だけ言うと、佐藤に不意打ちをして貰う必要は無かった。
ダッシュで須川の救出に向かった明久とテティスだったが、白黒の死神の正体はFFF団の団員だったのである。
彼らの腕輪を確認した二人は、その瞬間にフィールドの展開をしながら召喚獣を召喚。
強制的に呼び出されたFFF団員の召喚獣の点数を見て、あまりにも低すぎる点数に彼女の出る幕でもないと判断した二人が彼らの召喚獣を瞬殺。
しかも、反射的につい、直接手を出そうとしてしまった彼らは制裁用の電流と二人の格闘術のダブルインパクトで失神してしまい、どこからか現れた鉄人に連行されてしまった。
二人が須川を救出するのにかかった時間は作戦を立てた時間を合わせても53秒と言う常識外な結果であった。(突入時間は2秒、腕輪確認+召喚獣戦は8秒、格闘+電流=0.5秒)
「……え?」
開いた口が塞がらないとはこの事だろう。
単に運動が得意どころか格闘技の大会で全国連覇したとかそのレベルの運動能力を持っている人物でもあり得ない行動をしていた二人を目の前にした佐藤は、塞がらない口を手で隠しながら微妙にプルプルと震えている。
『まあ、普通はそんな反応するわよね』
『逆にFクラスがどれだけ常識外れなのかが分かる気もするがな』
「おわったよー」
「あれ? 佐藤さん、震えているけど大丈夫?」
「あ…… はい、だ・大丈夫です」
全然大丈夫じゃないと思うが、本人が大丈夫だと言い張るので気にするのをやめた二人はそのまま須川を叩き起こす。
「川を渡るのには6文だと! 3文あれば……」
『今こいつ三途の川と言うやつを渡ろうとしていなかったか?』
「大丈夫、スガワ?」
「ここに戻ってくるとき思いっきり鎖を引っ張ったからね」
「あれのせいで俺はなぁぁぁぁぁ!!」
助けられたことに感謝したい須川だったが、その際に思いっきり首輪の鎖を引っ張られて、死に掛けていた事を考えると素直に礼を言えないのである。
「まあまあ、何があったのかは分からないですけど、死刑にされる前に助かってよかったって思えばいいじゃないですか」
「う、まあ助けてもらえたことには二人に感謝するぞ」
「それで、スガワはどうするの?」
「ああ、取り敢えず酷い目に合ったふりをして皆の所に……」
「「また処刑されるね(ますね)!」」
須川は一旦FFF団の元に会長として元に戻ろうとしていたが、そんなことをしてもまた処刑されるのは目に見えている。
「しかし、他に行く当てもある訳ではないし……」
「召喚獣で襲われて生き残れる訳でもない……」
「「「どうしたものか……?」」」
明久・テティスside end
「……なら、このポイントを探索するまでの間だけでも頼めますか?」
「はい、瑞樹嬢の頼みとあれば必ずやり遂げて見せますよ」
明久達がFFF団?と戦って須川を救出していた頃、ヘリオス達は姫路チームと高城チームに助っ人を頼むことにした。
姫路チームと高城チームを一時的にとは言え、連合内に引き入れて組ませたチームに動向を監視しさせようと考えたのである。
「おい、ヘリオス」
「何だ、坂本雄二?」
「……雄二、もしかして気が付いた?」
「ああ、これはいけるって思ったんだが……」
「正確なる認識…… 思っていることは同じのようだな」
こうして戦力は明久チームを入れても7チームまでそろった事になり、これをきっかけにヘリオスと坂本夫妻はある策を思いついた。
「ヘリオス、ただいまー!」
「ごめんヘリオス。 FFF団に連行される須川を助けていたら遅くなってしまったよ」
「些細なる問だ…… おい!」
それと同時に明久達が帰って来たのだが、一人増えていることに気が付いたヘリオスはついツッコんでしまう。
「それで、結局姫路さんのチームと3年生の方と同盟を組むという事になったのですね?」
「……明久達が戻ってきたら各チームのリーダー同士でチーム分けを決める予定だった」
増えすぎた連合のメンバーをどう割り振るか、各班の班長同士で話し合っている。
一方で、リーダー以外の皆は適当に休憩を取っている。
話し合いは意外と早く終わり、ひとまず須川個人をちょっとした方法で買収した後、
ヘリオスside
「しかし、本当にいいのか? こんなに貰ってしまっても?」
いきなりの『奇妙なグッズ』や『謎の本の山』を譲ってもらった須川は
「些細なる問題…… 明久がこっそりと隠していた物が殆どだから気にする必要は無い」
「ヘリオス! 何で僕の秘蔵のコレクションの隠し場所を知っているの!?」
「些細なる問題…… 私はお前がj〇シリーズなどと言ういろいろと危ない物を無〇正バージョンで持っていたとしても、私達を救ってもらった恩義だけは忘れたりはしない……」
「大問題だからね!? 居候までしている仲間に隠してまで愛用しているコレクションの隠し場所がばれてて、しかも勝手に知り合いを買収する材料にされているなんて!!」
「アァァァァキィィィィー!! 女子まで居候させておきながらこんなにものエ〇本を隠し持っているのよ!?」
「女子ってアトラスの事? 『アトラスには一度バレて』ってやばっ!!」
少し距離を取ってこっそりと話していた男子組だったが、何故か美波には聞こえていた様で、明久が回避し続けているせいで、無駄に精度とキレが増してきている蹴りで攻撃してくる。
「つーか今、アトラスにはバレているって言っていなかったか?」
「うん、家の掃除担当がアトラスだったのが災いしてさ、一度ベッドのマットとフレームの間に隠していたんだけど、大掃除した時にバレちゃって……」
「それで? 焚火とか言って思いっきり燃やされたとか?」
「いや、全部探し出された後、二人っきりの時にガチギレしたアトラスに半日ぐらい説教させられたよ」
「あいつはお前の母ちゃんか!?」
「ううん、『普通の漫画とかならまだしもこんな下らないものにうつつを抜かしていたいならもう少し漢として強くなってからにしろ!!』だってさ」
「あー、その…何だ? ある意味目の前で燃やされた方が現実味が無くてマシかもしれねーな……」
「最後のとどめに『最後に貴様を丸焼きにしてやるか(お互いロックマン状態で)』『エログッズを全部目の前で燃やされるか』の二択を迫られたけど?」
「殺す気か!! そんな二択なら目の前でエログッズを全部燃やされた方がマシじゃねぇか!」
「二人とも何をしているのです! そんなどうでもいいことはともかく、話を先に進めますよ」
「「どうでもよくねぇぇぇぇぇ!!」」
明久組のとんでもなく恥ずかしい話をさらしてしまった事を無視して、高城はすぐに話を進めようとする。
「で?、チーム分けについてだけど、『2・2・2・1』と言った感じでバランスを取って行くのかしら?」
「愚かなる選択…… それでは確実に1チームだけが不利になることくらいは分からんのか?」
正確には『そのあぶれたチームはせっかく連合に入ったのに結局ハブられたと思い込んで疎外感を覚えてしまう』可能性を考えていたのだが、そんなことを言ってもこの女は理解しないだろうと思ったヘリオスは別の方向から説得しようとしてみた。
「う、それもそうだけど……」
「なら『3・2・1・1』と言った感じでで分けて、一つの試練をすぐに終わらせるようにして、すぐに他のグループの応援に行けるようにするんですか?」
「優秀なる選択…… まずは如月グランドパークに3チームほど送り、速攻で試練を終わらせ、他チームの増援として来てもらう」
「……雄二、グランドパークに一緒に」
「行かない!!」
ヘリオスの発言の後、何故か霧島は雄二と行きたがって腕を組もうとしていたが、速攻で拒否されてしまい、泣きそうな顔をしながら落ち込んでしまった。
「いろいろと申し訳ないんだが、最初から雄二は体育館の方に回ってもらおうと思ってい……」
「……ヘリオス、覚悟」
「おおおおおおおおおお! 恥ずべき誤算…… このわたしが狙われるとは…… って違う! ちゃんとした意味があるからちゃんと話を聞け!!」
ヘリオスが申し訳なさそうに詫びを入れようとしたが、霧島からの不意を突いたスタンガン攻撃に驚き、後ろに飛び退いて回避する。
「……下らない理由だったら、覚悟をして貰う」
半端な答えは許さない。 それだけの風格と殺気をスタンガンと同時に出す霧島。
その殺気は戦闘モードのロックマン達のそれと何ら遜色がない程だ。
しかし、彼なりに彼女の事を考えての理由がある以上簡単には引き下がらない。
「霧島が前に話してくれた『坂本夫婦』の愛の絆と言う物を信じていたいからだ! その二人の抜群のコンビネーションに余計な要素は極力取り除きたく……」
「ヘリオスてめぇ! 誰が夫婦……」
「……雄二は少し静かにして」
「翔子、何をする? やめ…… ギャァッァァァァァァァァァァ!!」
坂本(妻)との関係を否定しようとした雄二は愛の電撃を受けて天国に上るように昇天していった。
(要はスタンガンによる攻撃で気絶)
「そして、あの性格の悪い学園長の事だ。 如月グランドパークにあるように見せかけてプレミアムチケットを別の場所に隠しているかもしれん!」
学園長side
「失礼なガキだね! 私はそんなことはしないさね!」
「では、どこに隠したというのですか?」
ヘリオスの言葉に少々お怒り気味の学園長に高橋先生がプレミアムチケットについて質問する。
「あれは、あの4か所にあるヒントの場所にある最終試練をクリアしないと貰えないさね」
「ヘリオス君、近かったですけど正解には到達していないようですね……」
学園長side end
「……分かった。 雄二と一緒ならどこでもいい。 でも、約束は忘れないで。 ……ううん、絶対守って」
「ああ、約束しよう。 プレミアムチケットは坂本(妻)に譲ると」
「あの、ヘリオス君。 すみませんがそろそろ私達のチーム分けも決めないと時間が無くなってしまいます」
「高城3年生、済まなかった。 では、各自このチーム分けで行動してくれ。 忘れないでいてほしいが、グランドパークに向かった3チームは試練が終わり次第、他のチームの増援に向かう事も忘れるな!」
「おい待て! ヘリオス、俺と翔子が夫婦である事が当たり前みたいに言うんじゃ……」
雄二が霧島から腕を組まれて(関節を極められて)いる間に、ヘリオスは全員にチーム分けを書き込んだメモを渡す。
皆はヘリオスの指示に従い(雄二はまた気絶)、決められたチーム同士で行動する為に解散。
移動するための準備に取り掛かった。
「よし、佐藤と清水。 わたし達は発電所に向かい、こちらに隠されていると思われる景品の確保に向かう」
「ちょっ! ヘリオス、お姉さまは一緒ではないのですか!? って話を聞きなさい! ヘリオス…ヘリオース!!」
チームヘリオス・美波が一緒でないことでごねている美春を無理矢理に連れて、発電所へ
ヘリオスside end
商店街組side
「ヘリオスも考えたわね。 こうやって別チームに分断しておくことでウチから美春を遠ざけてくれるなんて」
美波もべつに美春の事は『友達』としては嫌いではないのだが、あの度を越した愛情表現だけはどうにも受け入れがたいものがあったのだ。
「島田(フン!)、思っていた(フン!)よりも(フン!)早かった(フン!)な。(フン!フン!) 明久と雄二あたりが(フン!)何かバカ騒ぎを起こして(フン!)会議が長引くと思ったんだがなっと!」
「……カメラの整備が終わっていない」
アトラスと土屋はマイペースにも、アトラスは筋トレ、土屋は盗撮用カメラの整備を行っている。
「土屋のカメラの整備が終わったらウチたちも行くわよ!」
「……場所は?」
「ウチらは商店街よ」
「ウチら? 他のチームは一体どうなっている?」
アトラスは事情を知らないため、美波につい質問してしまう。
「ヘリオスは時間がかかりそうでなおかつクリアした後でみんなの増援に行きやすい如月グランドパークに戦力を集中させるんだって アキと瑞樹と先輩のチームがそこに行くって言っていたわよ」
「なるほど、悪いが正直、私はヘリオスの策には賛同できんな」
「え?なんでよ?」
「……あの3年が裏切る可能性」
美波の疑問にアトラスに変わって答える土屋。
「ヘリオスの事だ、葉月の頼みを断れなかっただけだろうがな」
そしてアトラスは言葉を続ける。
「それに裏切る可能性といえば姫路の方もそうだ。 あの女は時々本当に明久に惚れているのかが怪しくなってくる行動を取ることがあるからな。 万が一あの三年と手を組む様なことがあったら、明久達といえど、止めることは出来ないかもしれん」
「姫路に限ってそれは無いと思うわよ?」
アトラスはあの毒弁当事件を引き合いに出して説明して行くが、その言葉を美波が否定する。
「確かにあんな失敗をする様な所はある娘だけど、あの様子だと瑞樹の恋は本物よ?」
「本気で言っているのか?」
「ええ、間違い無いわ。 なんだかんだ言ってアキの事を本気で愛しているから、絶〜対に裏切らないわ。 むしろ三年の奴らが裏切ったとしてもアキに協力して率先して抑えてくれると言ってもいいくらいだからね。」
そう言って、にこりと笑う美波。
「それよりもウチたちも急ぐわよ! 商店街って言ったら相当広いじゃないの!」
急いで土屋のカメラの準備を終え、商店街に向かう島田達。
商店街組side end
総合体育館組side?
「……雄二と一緒。 私とてもうれしい」
顔を赤らめながら言った霧島の右手にはまだ気絶している雄二。
あの会議からずっと気絶していた雄二を引きずったまま離さないで捕まえていた霧島を見てシャルナクと秀吉は後ずさってしまった。
シャルナクに至っては、せめて雄二の命がある事をガラにもなく神に祈ってしまうほどである。
「ソレデ?、俺達ハ総合体育館ト言ウ場所ニ行クンダナ?」
「……うん、雄二と私との夫婦の絆を信じるって言ってくれたの」
「「そ・そうなんだ……」」
霧島の言葉を聞いてつい苦笑いを浮かべながら軽く引いてしまう皆だった……
「取り敢えず、みんな体育館に行こうよ。 体育館ってここからだと割と時間かかるよ?」
愛子のその言葉に賛成し、彼女たちは体育館に……
総合体育館組side end
グランドパーク組side
他のチームがそれぞれの場所に向かう中グランドパーク組の方は人数が多いこともあり、とても騒がしい事になっていた。
「それじゃあ、グレイ君もよろしくね」
「……(プイッ!)」
「はぁ……」
明久はせっかく同盟を組んだもの同士、仲良くしようと何度も話しかけているが、当のグレイからは完全に嫌われていた。
それもそのはず、グレイにとって明久はモデルAを空の彼方へ打ち飛ばした張本人なのである。
そのモデルAは運よく優子の元で保護されているからよかったものの、最悪モデルAだけが友達と言う悲しい少年であるグレイはモデルAと会えなくなってもおかしくなかったのだから。
「明久君、きっと大丈夫ですよ。 グレイ君もきっとわかってくれますよ」
「だと良いんだけど…… 僕が姫路さんと話している時に至ってはそっぽ向いてどこかに行っちゃうし……」
『おい! それってまさか……』
「モデルZ、どうしたの?」
『いや、何でもない』
モデルZは何かに気が付いたようだが、肝心な二人が気が付いていなかったために何も言わない方向で決めたようだ。
「へぇーじゃあ、二人は常夏コンビでいいとして……」
「「全然よくねぇ!! 覚える気がねぇからって一纏めにするんじゃねぇ!!」」
「えーっと、じゃあモヒカンが『夏川』君で髪の毛が無い君が『常村』君でいいかしら?」
「「エールさんも違いますって!!」」
「ボーズ頭のオレが『夏川』で!」
「モヒカン頭の俺が『常村』ですからね!?」
「じゃあ「川村」コンビでいいでしょ? あ、まるで二人が兄弟みたいだね?」
「分かりましたです! 「川村」のお兄ちゃん達と覚えておくです!」
「テティス! てめぇいい加減にしろおおおおおおお!」
一方でテティス達は自己紹介していた常夏コンビの名前を覚えようとしているのだが、主にテティスのせいで常夏コンビの名前が覚えられずにいた。
そんな中に途中で明久との件ですねたままのグレイをテティスが呼び出してきた。
「あ、グレイ君! さっき君も彼らの名前を聞いていたよね? 君は覚えているかい?」
どうやら、グレイがふたりの名前について覚えているかどうかの確認だったようだが……
「ああ、確か『夏村』コンビだっけ?」
「「お前もかァァァァァァァ!!」」
『ボクはちゃんとボーズ?の子は「夏川俊平」、モヒカン?の子は「常村勇作」ってちゃんと覚えているんだけど……』
『モデルX様? 恐らくですが、テティスとグレイ君はわざと間違えて二人を混乱させていると思いますので、後でエールと葉月ちゃんにきちんと正しい名前を憶えてもらったほうがよろしいかと思われます』
グレイにも覚えられていない事実にショックを覚えた常夏コンビ。
ライブメタルの二人はそんな彼らの漫才のような会話に、あきれながら話を続けていた。
「(少し、離れて歩きましょう……)」
そんな中高城は彼らと同じ側の変人に見られたくないからと言って、少し距離を取りながら明久達を追いかけるような形で走っていた。
「あ、見えてきたです!」
「遊園地か……」
建設途中の遊園地を見て、エールの顔が少し暗い物になる。
「青のお姉ちゃん、一体どうしたですか?」
「ううん、大丈夫よ葉月ちゃん。 心配しないで?」
「うん、分かったです。」
しかし、すぐに笑顔になり、葉月ちゃんに優しい笑顔を見せる。
「(大丈夫よね。 ここにはイレギュラーなんて居ないんだから。 あんな事件なんて起こるわけがない)」
グランドパーク組side end
初めてのバカテストです。
もしよろしければ感想お願いします。
11月22日 問題点を発見の為、追記。