ついでにこの話を投稿したあとにタグを編集・追加しておきます。
「……で、俺に反感を抱いた貴様らは、補習室までクラス総員で押し掛けて来たという訳か?」
「はい、生徒と教師としてではなく、漢として正々堂々と真剣勝負をしにきました」
鉄人は半分呆れつつも怒っていた。
今現在、Fクラスの皆は鉄人のいる補習室に押し寄せている。
事件はFクラスの担任が鉄人に変わった事を不満に思った明久達のせいで起きた。
another story Fクラスside
「俺は、お前らFクラスを見ていて、もしかしてお前らは『馬鹿なんじゃないか?』と思っていた」
そう言って鉄人はクラスを見回す……
「鉄人、アタシらがクラス発表の紙を受け取った時にも同じような事を言っていたよな?」
「ああ、あのAクラスを相手に善戦した時の話を聞いて思うところがあってな……」
Aクラスの戦いの結果は既に情報が出回っており、学園内で知らない人物はいないとまで言われている。
「今更何を言っているのテツジン? そんなの言われなくても分かっていた事じゃないかな?」
「ああ、俺はこのクラスの現状を見て自分の間違いに気がついたよ……」
「ソウカ、ナラモウ何モ迷ウ事ナド無イナ?」
鉄人の見ている先には各委員を決める為の投票結果が書かれていた……
「ああ、喜べシャルナク…… もう迷う必要などなくなった、俺ははっきりとこう言える」
そして、明久達Fクラスを見てはっきりと言いたいことを告げる。
「お前らは正真正銘の大馬鹿野郎共だ!!!」
そう言われても仕方がないだろう。
・猫耳を付けられている事になんの違和感を感じていない秀吉。
・犬耳フードに短パンを付けさせられたまま謎のショタコン女子の集団に誘拐されそうになっているテティス
・言葉巧みにうさぎ耳の着ぐるみを着せられている明久を撮影している土屋。
・なぜか乱入している霧島と美春
……正真正銘のバカと言い切るにはこれで十分だ。
呆れた鉄人はため息をついてもう一度黒板を見てみる。
そこには美化委員や図書委員などの普通の委員も混ざっているのだが……
「なんだ、このマスコットキャラクターというのは?」
明らかに異色な物が混ざっていた。
明久曰く、「クラス全体で決めた委員です!」らしい。
「何なんだ、このクラスは! クラス代表の坂本はどこだ? あいつならまだ話は分かる……」
だが、その雄二も乱入している生徒の一人であるAクラス代表の霧島翔子に、浮気の容疑で縛られていた。
瑞希と美波が「毎日ラブラブで羨ましい」とか「まるで本当の夫婦みたいで素敵です!」などと言い出している。
結局「そんな訳無いだろ!?」と言い出した鉄人の手に寄って坂本は解放され、ブレない鉄人によって霧島はAクラスに送り返された。
それだけではなく、訳の分からないマスコットキャラクター(主に秀吉・明久・テティス担当)の強制廃止や、他クラスが入っている委員の決め直し、土屋の盗撮用カメラなどの不用品の没収、生徒間での金のやり取りの禁止、姫路・アトラス・テティスの3人を除いて全員赤点だらけなのを理由に全員が補習授業など、Fクラスの正常化が異様なほどに進んでいった。
「鉄人をFクラスから追い出すんだ!」
「「おおーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」」
「じゃが、鉄人は強いぞい? 一体どうやって追い出すつもりじゃ?」
「こんな時は司令塔の雄二と、戦闘術のプロフェッショナルであるアトラスの出番だよね?」
明久はアトラスと雄二に期待しているようだったが……
「ああ、まーいいんじゃないか? 鉄人が担任で……」
雄二の方は霧島から解放された事で鉄人支持派になってしまっている。
「ふん、これは貴様らの問題だろ、戦いとなったからといって簡単にアタシに頼るんじゃない!」
アトラスの方は平気で自分に頼ってくるFクラスの皆を手伝う気が全く無いようだ。
少なくとも、本当に危ない時以外は助ける事はないだろう。
「坂本君は好きな人と離れ離れでもいいんですか?」
瑞希はどうにか雄二にも協力してもらえないか話をしてみる。
「好きな人かどうかはともかく…… どうにか頑張れば個々の要望は受け入れてもらえるんじゃねえのか? ムッツリーニのカメラを返してもらうとかな…… ……そうだな」
なんだかんだ言って雄二も手伝う気の様だ。
明久達がツンデレなどと言って茶化したら、「お前ら、手伝うのを辞めるぞ!?」と言ってキレそうになってしまったが。
「おーい、瑞希姉ちゃん! 忘れ物があったから届けに…… って何の話をしてるの?」
いざ鉄人に挑もうと教室を出ていこうとした時、瑞希の忘れ物を届けに来たグレイとヴァンがFクラスに入ってくる。
「ああ、今から勝手に担任になった鉄人を追っ払って行こうと思ってんだが、二人も参加するか? たしかヴァンって言ったか? エールさんから結構強いって聞いているぜ?」
完全に部外者であるグレイとヴァンを巻き添えにしようと雄二が誘い出してきた。
実際、グレイは体が機械のレプリロイドで、ヴァンは純粋な人間だが未来世界での仕事の都合上、殺戮マシーンであるイレギュラーを相手にある程度は戦えるくらいの戦闘力はあるのだ。
「悪いけど、オレは遠慮させてもらうよ。 さすがに理由もなく人を殴りたくはないし、召喚獣っていうのも持ってはないから全く力になれないと思う」
「そうか、まあべつに召喚獣の方は学園長に言えば体験版用に作ってもらえるらしいけど、無理矢理参加させるわけにもいかねえか…… ボウズはどうするんだ?」
「ボクもやめておくよ。 瑞希姉ちゃんの力にはなりたいと思うけど、鉄人ってあのガチムチ筋肉博覧会とかしていそうなゴツイおっさんだろ? あんなの正面から相手にしていたら体がバラバラにされるに決まっているって……」
ヴァンはどうやらアトラス同様静観を決め込む気の様だ。
レプリロイドであるグレイでもさすがにモデルAの力を使わないと鉄人には対抗できないようである。
「あ、でも皆がどうやって戦うのかが気になるから、ボクも一緒に見学には行ってもいいか?」
「うん、僕らの勇士をしっかりと見ておくといいよ。 なんて言ったって侵略者『鉄人』を追い出して、Fクラスに平穏が戻ってくる瞬間なんだからね」
その明久の笑顔はまさしく戦地に向かう将のようであった。
とても自信に満ちていて、それでありながら余裕も持ち合わせていた……
another story Fクラスside end
これが事件発端の顛末である。
それから補習室に向かう途中でなぜか高橋女史と話をしていたヘリオスと(召喚フィールドを貼るために高橋女史にも事情を説明した)美波に引っ付いて来た美春までそのままついてきた。
「しかし、これで正々堂々というには人数が多すぎやしないか?」
「……まさか、鉄人ともあろう者がこの程度のハンデで断りはしないでしょうね?」
完全に人のプライドを刺激しつつも脅迫している雄二。
この瞬間に鉄人はこの計画の指揮者が雄二である事に気が付く。
「断りはしないが、一体何で勝負するつもりなんだ?」
一応、正々堂々と真剣勝負をするのだから、ある程度のルールくらいは設けておきたいだろう。
「ここはもちろん試召戦争で……」
「あいにく俺はこの担任騒動のおかげで試験を受けそびれていてな、試験の点数が無いんだ。
その代わりと言ってはなんだが、試合としての殴り合いならば喜んで受けてやるぞ?」
スーツを脱いで構える鉄人。
その威圧感は体格も相まって鬼を連想させるにふさわしいものがあった。
「どうする? いきなり作戦と違うぞ?」
「どうするったって……」
動揺するFFF団の皆。
雄二もこれが想定外だったのか、一度前に出る事で他の皆が無茶な勝負をしないようにしているが、新たな作戦を組み直せるほど冷静にはなれてはいなかった。
「坂本雄二、ここは一度下がった方がいい。
鉄人は試合形式での喧嘩なら受け付けると言った、ならば昼休みか放課後あたりに総員で囲んだ上で襲いかかれば……」
ヘリオスはここで雄二に一度撤退するように進言する。
「ちっ、ヘリオスの言う事を聞くのはシャクだが、この際は仕方ねぇ! 明久、ほかのみんなを連れて一度Fクラスに戻って……」
雄二はヘリオスの言葉を信じ、一度みんなを教室に帰して試合形式での戦いにできるように交渉するつもりだった……
だが、そんな考えが理解出来る程Fクラスの人間の頭が良いはずが無く……
「……相手は一人、……数で押せば勝てるッ」
忍者服を装備したムッツリーニを先頭にFFF団員が総出で突撃する。
だが、今彼らがいるのは補習室。
つまり、机などの道具が大量に置かれた狭い一室なのだ。 もし、彼らが戦っていた場所が体育館や運動場などの広い場所なら、この集団戦法は非常に有効であった。
しかし、今回の補修室は人数が多過ぎるが故に非常に狭く感じる。
その結果、一度に攻撃できる人数が自然と絞られてしまうのだ。
結局目にも止まらぬ速さで特攻した土屋は装備していたスタンガンを逆に一瞬で奪い取られた末に電撃の海に沈められ、FFF団のみんなも巴投げや足払い、腕ひしぎなどの柔道技で徹底的に、それでいながら怪我すらすること無く一方的に叩き潰されていた。
「こうなったら多少卑怯だけど…… タカハシセンセー、召喚許可を!」
クラスメイトがどんどんやられていく中、今度はテティスが召喚獣を呼び出す。
あくまでロックマンとしてでは無く、この学園の一生徒として勝負をするつもりらしい。
それでも充分卑怯だが、それを気にしていられないと判断したテティスは自身の召喚獣と共に鉄人に立ち向かう。
テティス vs 鉄人
教科 数学
点数 150点
「『試獣召喚(サモン)!!』 召喚獣のちからは凄いんだ! 物に触れる事が出来るボクの召喚獣で攻撃されればいくらテツジンでも……」
そう、テティスの判断は正しかっただろう……
それが普通の人間の範疇だったならば……
文月学園特有の異常思考で考えなければ……
「殴れればな!?」
「召還獣が殴られればボクも痛い!?」
上からハルバードを振り下ろし、一気にねじ伏せようとしたテティスの召喚獣は鉄人の左拳を叩きつけられてしまい、逆に地面に叩き落とされる。
しかも、地面でバウンドした召喚獣はそのままちょうど鉄人に取って殴りやすい場所まで浮き上がっており、そこに怒涛のラッシュが召喚獣の顔面に的確に叩き込まれる。
拳のラッシュの最後にアッパーを顎に叩き込まれ、天井に叩きつけられて下に落ちそうになったところを、さらに蹴り上げ・空中での踵落としの順で再度地面に叩き付けられ、反動で浮き上がったところに超高速の突撃(右ストレート)で殴り飛ばされた。
観察処分者の召還獣の痛覚フィールドバック率が3割程度であった為に、その分鉄人の攻撃も容赦がなかった。
「チキショー、こんなん相手に勝てるかよ!!」
「どうして、たった一人で44人の男子高校生を相手に勝つんだよ…… しかもひとりは召喚獣有りなんだぜ!?」
「……テティスの召喚獣を殺ったあの動き、もはや人間兵器レベル」
須川・横溝・土屋の3人も今の鉄人の動きを見て、もはや愚痴をぼやくしかできずにいた。
そして、最期に攻撃を仕掛けた雄二もどうにか諦めずに指揮官として皆に指示を出して戦っていたが、テティスの召還獣の敗北と同時に鉄人に首元の襟を掴まれ、一瞬で地面に投げ飛ばされていた。
「アンタらって、
「ある意味凄いとは思いますが……」
「その努力を少しでも勉強に向ければ、Dクラス位にはなれるでしょうに…… 所詮豚野郎共は醜い豚ですわね……」
呆れ果てた顔で倒されたみんなを見ているのはFクラスの数少ない女子の島田美波と姫路瑞希、そして彼女に付いてきた清水美春であった。
彼女達まで巻き込む訳にはいかなかったので、どうにかグレイと明久が後ろに下がらせていたのだ。
その甲斐もあって、彼女達は無傷である。
「皆下ガッテイロ! 俺ガ殺ル!!」
『(やる)の文字が今(殺る)になっていなかったか!?』
そう言って倒れていたクラスメイトを退けたのはシャルナクだ。
それと同時に、暇になっていたヴァンとヘリオスが隣の部屋に適当なマットを勝手に体育館から持ち出してその上に敗者を運んで休ませている。
「セントウ・カイシ……」
まず今回シャルナクが取った戦法、それは己の暗殺スタイルを貫いた物だった。
左手に土屋から借りたスタンロッド、右手には愛用の苦無を装備。
土屋の時と違って彼が取った行動は、体のブレ足音をを完全に消し去る特殊な歩行法を用いて、鉄人の間合いまでゆっくりと詰めていく作戦だった。
「ほう? シャルナク、お前そんな事が出来たのか?」
「…………」
鉄人の質問を無視して徐々に間合いを詰めていくシャルナク。
彼は今、注意を両手の武器に向けさせていて、基本的には警戒が薄い方の武器で攻撃を仕掛け、もし両武器共に警戒を緩めることがなかったなら、ロックマンとしてでは無い、暗殺者としての奥の手を使おうとしていたのである。
「(モシ両手共二警戒シテイルナラ、ワザト武器ヲ手放シ、強烈ナ爆音ヲ両掌デ放ツ『クラップ・スタナー』ヲクレテヤル!!)」
シャルナクの暗殺者としての最後の切り札、一度暗殺に失敗し、しかも逃げることすらが厳しい状況でのみ使う正真正銘の切り札「クラップスタナー」。
猫騙しのように両手を敵の眼前で叩きつけるのだが、この技の一番恐ろしい特徴は敵の意識の波長に合わせて叩く事で、一時的に敵を気絶させることすら可能なのである。
左手のスタンロッドに電流を流して、動揺を誘おうとするシャルナク。
「(クッ! ヤハリ誘イ二ハ乗ラナイカ!!)」
武器には頼れないと判断したシャルナクは、タイミングを見て落とすように武器を手放した。
そして、作戦通りにクラップスタナーを使おうとしたその時だった……
「猫騙しとは意外と地味な手に頼ったな、シャ・ル・ナ・ク?」
クラップスタナーが発動する寸前でシャルナクは両手首を掴まれていた。
「コレハモウ駄目ダ……」と判断したシャルナクは素直に降参しようとしたが、それすらも間に合わずにそのまま一本背負いで地面に叩きつけられてしまった。
動けない事が確認されたシャルナクは、そのままヴァンの手で運ばれていきそのまま強制的に休憩を取らされた。
「吉井君? シャルナクさんって意外とお茶目なところがあるんですね。 猫騙しで西村先生に勝つ気だったんですか?」
「あ…… うん、そうみたいだったね、あんな一面があったなんて僕も知らなかったよ(言えない、実はシャルナクがガチで殺る気で挑んだって……)」
「でもどうするんだ? テティスのバカは召喚獣と一緒に叩きのめされたし、シャルナクもギャグに走って自爆したし、そもそもボクは挑もうなんて気は全く無いよ?」
「どうするのよアキ? まさかアキが戦うなんて言うつもり?」
「うん!」
「そう、せいぜい頑張りなさ……え?」
冗談のつもりで美波が明久をけしかけるが、まさか本気だとは思わなかった為に止めに入ろうとする。
しかし、その明久は既に革製の手袋をはめ、拳を上げて構えている。
その構えはまるでボクシングのようで、敵を殴ることを前提にしている様だ。
「ほう? 吉井、今度はお前か……」
それに応じる様に鉄人は全身をリラックスさせて、右手を後ろに構えて半身を取る。 左手を若干前に出して体を揺らしてリズムを取る。
「ふんっ!!」
先手を取ったのは明久だった。
一瞬で鉄人の懐に入って顔面に右肘打ちを当てに来たが、読まれていたように防がれてしまう。
「はあっ!!」
しかし、実際には肘打ちはフェイントであり、肘に気を取られているスキに左掌打を顎に叩きつける。
しかも、その攻撃で体制を崩した瞬間を狙い、『ボディーブロー・左右からの顔面ストレート・左アッパー・右掌打から肘打ち』のラッシュを叩き込む事による衝撃で、鉄人を若干だが後退させる事に成功する。
「ちょっ!! アキって、こんなにも喧嘩が強かったの!?」
「吉井君、頑張ってください!!」
それだけでは終わらない、その後退した鉄人に詰め寄り、遠心力を付けた回転蹴りを顔面に打ち込む事に成功する。
だが、それでも大して堪えていないのか、明久が放った渾身の蹴りの技後硬直時を狙い、明久の腹に寸勁(すんけい)で殴り返す。
完全に当たる前に体を引くことで衝撃をある程度受け流した明久だが、それでも鉄人の拳は強烈で明久が立とうとした時に若干だが腕が痺れていた。
もし鉄人の拳をモロに受けようとしていたなら、その衝撃で後ろにいた女子にそのまま激突し、大変な事になっていただろう……
「ヤッ!」
次に明久が取った攻撃は上からの飛び蹴りに見せかけたスライディングであった。
当然、上に飛んで躱す事で対処する鉄人だったが、明久が「姫路さん、美波もどいて!!」という言葉とほぼ同時にドアごとぶち破るほどに強力な掌打を叩きつけ、鉄人を廊下の方まで打ち飛ばした。
「うわっ、なんだ!?」
「吉井だ! 吉井と鉄人が戦っているぞ!!」
いきなり鉄人がドアを破って飛んできた事に驚いたほかの生徒達が驚いてその場から離れ始める。
そして、ドアの向こうから明久が壁蹴りを繰り返しながら鉄人に対して飛び蹴りの追撃を叩き込む。
衝撃を受け流しながら体制を立て直すために、バック転をしながら後ろに下がる鉄人。
それを追うように明久は全力疾走、体制を立て直す前に蹴り上げから空中踵落とし、そしてサマーソルトキックの3連擊を繰り出す。
その全てが命中した後も手を緩めず、肘打ちで決着を付けようとする明久だったが、一歩間に合わずに鉄人に受け着られてしまう。
「ほう? 1年の時が嘘のように強くなったな明久?」
「それはどう…もっ!!」
腕を押さえつけている鉄人を無理矢理引き剥がし、距離を取ろうとした明久だったが、その行動は失敗に終わり、鉄人から容赦の無い蹴りが繰り出される。
後ろに吹き飛ばされ、膝を付いた明久に左フックを繰り出した鉄人。
それを躱した明久だが、その拳は廊下の窓ガラスを突き破り、粉々になって砕け散ってしまう。
鉄人の拳を弾くのと同時に思いっきり鉄人を補習室の中に突き飛ばした明久は、彼の服をつかみながら跳躍し、彼の胸板を踏みつけ、鉄人を床に叩き落とす。
「なんだか物凄い騒ぎになってきましたわね、お姉さ……まああああああああああああああああああああ!!」
廊下での様子を見ていた美春が、鉄人とぶつかりそうになってしまい、大慌てで飛び退いてよける。
その後ろでは、明久が鉄人を踏み台に跳躍し、距離を取ろうとしていた。
「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
その明久の脚を掴んた鉄人は、補習室内の机を巻き添えに思いっきりに明久を何周も振り回し、ハンマー投げのように明久を投げ飛ばした!!
「「吉井君(アキ)!!」」
既にグレイによって廊下に避難させられていた瑞希と美波は振り回されている明久を心配しているようだが、その心配は杞憂に終わる。
投げ飛ばされた明久は壁に激突することなく、逆に壁を蹴り返して鉄人に超高速で突進して見せていたからである。
「やあああああああああああああああああああああああああああああ!!」
鉄人はそれを拳で迎撃しようとしたが、その拳が当たる前に明久の掌打が鉄人の顎を打ち抜き、しかも突進している時のスピードまで乗っているために、鉄人は床に擦りつけられるように吹き飛ばされる。
明久は、さらに一度拳を押し込む事による反動で鉄人を無理矢理上に飛ばした。
そして…………
「はっ!!」
空中で鉄人の服の襟を掴み、掛け声と共に補習室の椅子に投げ飛ばす!
「アキ!」
「吉井君、大丈夫ですか!?」
「うん、僕は大丈夫だけど…… いくら鉄人が相手だからってさすがにやりすぎたかな…………」
苦笑いしながら、心配して駆け寄ってきた瑞樹と美波と話をしようとする明久。
「……おい! バカの兄貴、まだ鉄人は倒れていないぞ!!」
グレイの言葉に驚いた明久は先程鉄人を投げた場所を振り返る。
そこには、チャイムと同時に机や椅子の残骸を蹴り飛ばして起き上がってくる鉄人の姿があった。
「どうする、吉井? 続きをやるか?」
どうやら次の授業の準備をしたいのだろう。
わざわざ聞き返すあたり一応教師である。
あれだけフルボッコにされたにも関わらず、普通に立ち上がっている所を見ているとさすがに人間かどうか疑問に思い始めるが……
だが、まだお互いが普通に立っている以上決着を付けなければ示しが付かないだろう。
明久も二人に避難してもらい、そしてすぐに構えようとしたその時だった。
「はっ!」
鉄人が蹴り飛ばした椅子が明久に目掛けて襲いかかって来たのだ。
飛んできた椅子を旋回裏拳で弾き飛ばす。
だが、その行動が結果として重大な選択ミスとなってしまう。
「吉井君!!」
「アキ!?」
裏拳を放った事によって一瞬だが腹部が完全に空いてしまっていたのである。
明久が気がついた時には既に鉄人の拳が触れており、明久の体は吹き飛ばされてしまっている。
しかも、本当にすごいのはここからである。 吹き飛ばされた明久が壁に激突してそのまま倒れそうになる前に距離を詰めた鉄人が拳を壁と挟む様に、そのまま明久の腹部に叩きつけたのだ!!
「まだやるか?」
鉄人も教師である以上鬼では無い。 ここで決着もついている以上、素直に降参したならば特別に保健室で大人しく休めるようにする為の準備をしてもいいと思っていたのだ。
「まだまだ元気いっぱいですよ、鉄人!」
だが、明久は諦めるつもりは無いようで、はっきりと戦う意志を示していた。
「そうか、残念だったな吉井!!」
その明久の闘志を評価した鉄人は、あえて情けをかけずに一本背負いで床へと叩きつけた。
明久は諦めずに立ち上がろうとするが、体がついていかないのか、立ち上がることもできずにそのまま鉄人が手配した保健室に連れて行かれてしまった。
「どうやら万策尽きたっていう感じだな」
「ほう、アトラスか……? なんだ、お前も俺が担任では不満なのか?」
瑞希達とは別の場所でFクラスと鉄人の戦いを見物していたアトラスが鉄人に話しかけてきた。
「いや、アタシとしてはべつにアンタが担任でも問題は無い」
「ふう、それを聞いて少しは安心したよ、いくらなんでもお前とまで戦っていたらどっちが勝つかはともかく、最悪この日の授業を全て中断して生徒総出で後処理をしないといけなくなるからな……」
一体、鉄人とアトラスが戦ったらその余波だけでどれほどの被害になるのだろう?
少なくとも、校舎が破壊されないだけマシなのかも知れない……
「まあ、『アタシ』はべつにいいんだ、『アタシ』はな……」
「どうした? 補習室に何かあるの……『待ってください!?』」
アトラスが指をさした場所に目を向けた鉄人が見た光景。
それは……
「私だって…… 西村先生に勝負を申し込みます!!」
明久の構えを真似て無謀にも程がある勝負を挑もうとする瑞希の姿だった。
「おいおい…… いくら俺でも普通の女生徒を相手に喧嘩はできないぞ?」
流石の鉄人でも人望が全くないのかという不安で顔が青くなってしまう。
「瑞希姉ちゃん、いくらなんでも無茶だって! 滅茶苦茶足震えてるじゃないか!?」
「ふふふっ…… 若干涙目な上に、明久の構えを真似たつもりだろうが…… はっきり言って隙だらけにも程がある」
「これじゃあ、小動物の威嚇行為っていう感じだよね? 頭の上にうさみみでも付けてやったほうがいいかな?」
「姫路までどうしたんだ? 俺が担任では不満なのか?」
グレイがどうにか瑞希を止めようとしているが、なかなか話を聞いてくれない。
ヘリオスは何がおかしいのか、両腕を組みながら顔を背けつつ笑っていた。
「いいえっ…… 明久君のコスプレを見る為だけに勝負を挑みます!?」
「「『そんな理由で!?』」」
モデルH・ヘリオス・ヴァンの3人がついツッコミの声を上げてしまう。
「なるほど…… 姫路、お前もFクラスなんだな……」
姫路までもが鉄人相手に挑もうとする事が決定的となり、一部の要望(生徒間自治の範疇で)だけは受け入れられる事となった。
その後、職員室では……
「全く、バカの相手も疲れるものですよ。 そういう意味ではAクラスが羨ましいですな?」
「ウチの様に全く手がかからないというのもある意味問題ですよ!」
鉄人と高橋先生が雑談をしていた。
「まあ、確かにやりがいはありますがね!! ハッハッハ!!!」
「そう言えば……」
「高橋先生、どうかしましたか?」
高橋先生がなにを思ったのか、鉄人にとある質問をしてきた。
「西村先生とアトラスさんと話をしていた時ですが、あの時ふたりがぶつかったら大惨事になるとのことでしたが……」
「ええ、そうですね。 一度対峙した事がありましてね…… その時は二分位だったでしょうか? 最期に竹原教頭の車を完全に破壊してしまいまして……」
「確か…… 『私のレク○スがあああああああああああ!!』と叫んでいましたね……」
「あの時は申し訳ないことをしてしまいました……」
ふたりの顔が若干沈痛なものとなってしまう。
その時の竹原教頭の顔があまりにも悲愴感に溢れていて、さすがに可哀想になってくるものがあったのだ。
another story 鉄人side
「貴様…… 一体何をやっている?」
ある日の放課後、鉄人は学園内にて見回りの仕事をしていた。
当時、まだ学園の生徒として入学していなかったアトラスが、とある事情で不法侵入をしていた所だった。
「それは貴様の想像に任せてやる」
「どうせなら素直に喋った方がお互い損は無いと思うんだがな?」
素直に降伏するように呼びかける鉄人だが、アトラスは不敵に笑うだけで素直に従う気は無いようだ……
「ふっ、冗談は休み休み言えよ…… (ドンッ!!)なっ!」
いきなりアトラスはそのへんにあった廃材を鉄人に向けて蹴り飛ばす。
それと同時に距離を取ろうとした鉄人に詰め寄り、彼が生徒から没収していたエアガンを奪い取り、それを向けようとした。
その先には鉄人はおらず、逆にエアガンを腕ごとしっかりと抑えて撃てないように固定されてしまっている。
エアガンに頼れないと判断したアトラスはワザと鉄人にエアガンを奪わせて彼の手ごとまとめて蹴り飛ばす。
激しい攻防の末に、一度距離を取った鉄人は、近くにあったジョウロをアトラスに向けて蹴り飛ばす。
当然アトラスは回避するのだが、その隙を付いた鉄人が全身全霊の拳をアトラスの顔面に叩き込む。
「なっ!?」
だが、その拳は逆にアトラスの手に収まるように止められていた。
鉄人が動揺しているのも束の間、彼は一瞬で腕を極められ、それと同時に首まで絞められて動きを封じられてしまう。
「うおおおおおおおおおおおお!!」
どうにか鉄人は強引にアトラスの絞めを振り切り、距離を取る。
なにを思っているのか、アトラスは不敵な笑みを浮かべている。
「ほう? 貴様、その身のこなしは元傭兵か軍人か? なかなかに鍛えられているな……」
「元? アタシは今でも戦技教導官を現役で務めて見せるぞ?」
彼女の言葉が誇張でも誇大表現でもないのが本気で怖い。
現に、彼女は数ヶ月で当時の明久を鉄人相手に抵抗できるレベルに鍛え上げて見せていたのだから……
『おいアトラス! もうヘリオス達は学校から逃げ出せたっぽいぜ、シャルナクからはへんな双子と話をするって言い出してからは連絡が来ねぇけど? お前もそろそろ急いだほうがいいんじゃねえのか?』
モデルFとの会話の後にアトラスも逃げるための準備をする。
だが、そんな行動を鉄人が見逃すはずもなく、彼女を捕まえようと手首を捕まえてから動きを封じようとする。
「ふん、捕まえられると思うな!」
その鉄人の手を振り払い、逆にラリアットで反撃するアトラス。
ラリアットを躱した鉄人が引き際に放った回し蹴りを、アトラスは屈んで躱す。
そして顔面に打ち込まれそうになった肘打ちを鉄人は防御するが、アトラスはその密着状態から金的狙いで膝蹴りを何度も叩きつける。
膝蹴りを防いだ鉄人はアトラスを振りほどき、裏拳を叩き込もうとする。
それを躱したアトラスは自身よりも体格で上回る鉄人を相手にタックルで押し倒そうとする。
当然失敗に終わり、逆に倒れそうになったところを後ろに回り込まれて捕まりそうになったアトラス。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
どうにか振りほどく為に、後ろに回り込んだ鉄人の腕を掴み一本背負いで投げ飛ばす。
それと同時に一度取り返されてしまったエアガンを再び強奪し、今度は乱射して、鉄人の動きを封じようとする。
だが、鉄人の動きは止まることはなく、徐々に後ろに下がらざるを得なくなってしまう。
その後ろには竹原教頭が愛用している高級車が……
「これで終わりだ! 大人しく捕まれェェェェ!!」
これでトドメだと言わんばかりに、アトラスに目掛けて全身全霊の拳をフルスイングで殴りつける。
だが、この立ち位置では非常に最悪であった。
アトラスの後ろには高級車。
そして、これを避けようとするためには当然横に逃げざるを得なくなる。
その結果……
金属がグシャグシャになる轟音と共にボンネットが完全に破壊されてしまっていた。
しかもその衝撃で、内部のエンジンまでひび割れてしまっており、完全に故障してしまっていた。
さらに、その衝撃はフロントガラスをも粉砕し、車を支えていたタイヤもパンクしてしまっている。
これではもう廃車として処分するしか無くなってしまうだろう。
「ふっ! さらばだ、筋肉ゴリラめ! ハーっハッハッハ!!!」
鉄人が唖然としている間に、アトラスは既に遠方に離れており、ワザと馬鹿にするような言葉を残して学園から脱出して行った。
鉄人もどうにかアトラスを捕縛しようとするが、さすがに何十メートルも先に逃げられてしまってはもう捕まえようもなく、二人が戦った後には生々しい戦闘後と廃車確定となった竹原教頭の高級車だけであった……
鉄人side end……
「西村先生…… 貴方は一体なにをやっているんですか……」
「後で学園長から話を聞いてみれば吉井の関係者で、学園の見学に来ていたって聞かされましたよ……
まったく、こういう話はきちんとして欲しいものですよ……」
こんな事件があった後で、アトラス達はよく学園に編入しようと思った物だと高橋先生は思っていた……
この後、お互いクラスの授業の準備がある為、それぞれの持ち場に戻って行った。
そして、Fクラスの面々は、なぜかナース服に着替えている秀吉と美波から介護を受けていた。
「やっぱり、へそぐらいは出していこうよ~?」
工藤が秀吉にセクハラをしている……
秀吉の反応がいちいち女子みたいだからか、工藤も楽しそうである。
「でもさ、マスコットキャラクターなんて女の子がやったほうがいいんじゃないかな? 吉井君も『戸籍上』では木下くんも男の子でしょ?」
「あれ?男の子…… だよね?」と困り顔になった工藤が疑問に思った事を投げかける。
「……
土屋の指を指す方向には、笑顔でベビー服のようなものを着せようとしている瑞希。
グレイは若干嫌がっているが、瑞希に怪我をさせたくないからかたいした抵抗ができないでいる……
そして、あと二人の女子は……
「ふん、なぜアタシがこいつらの面倒を見なければならん?」
「どうせウチはサブヒロインだし、補欠だし……」
「まあまあ、ミナミも怒らないで元気出しなって!」
アトラスは着替えを拒否して勝手に須川が持ち込んだバトル漫画を読んでおり、島田はテティス以外の男子から診てもらうのを拒否されてしまってやさぐれていた。
「おーい、だれか助けてくれ! 瑞希姉ちゃんがボクによだれかけなんて付け始めてきたんだけど!? ……ってお願いだから、おしゃぶりだけはやめてぇ~!!!」
「グレイ君、キミももう諦めなよ」
「おいテティス! なんでお前はこの状況を受け入れてんだよ!?」
「グレイ君…… ここでは、この程度で動揺していたら心がいくつあっても足りないんだよ?」
「だからって、この混沌とした状況を受け入れるのか!?」
結局、おしゃぶりという最後の一線を超えずに済んだグレイとテティスだったが、グレイの中で姫路瑞希という人物像が若干屈折してしまいそうになっていた。
自分がお気に入り登録している作品が盗作されたって問題になっていた為に、自覚なきパクリをしていないかが心配になってきた私がいます……
芸術作品って大抵は何かしらの影響を受けているものなんですけど、それを言い訳に限度を弁えずに平気で他人の作品を盗作をしている人間もいるから困ったものですね……
そんなことを言いつつ若干ビビリ気味になりながら、自分の作ったストーリーを信じて投稿する決心をつけました。
次の話からは清涼祭編に突入します。
この辺りから明久×美春のストーリーも進めていきます。
楽しみにしていてくださいね!!
因みに召還獣無しの条件で各自の強さを纏めてみました。
ロックマン>>(召還獣無しでは超えられない壁)>>鉄人・アトラス>明久(ただし、アトラス・パンドラは例外だが女子を相手には殴れない)・シャルナク・ヘリオス(剣術あり、なしだと1ランク下がる)>坂本雄二・テティス(明久同様女子は殴れない)>土屋康太>FFF団(ただし全員集結するとさらに馬鹿になる代わりに戦闘力が2ランク上がる)
>内における順番にも意味がありますが、大雑把にまとめると強さの設定はこんな感じになります。
感想を楽しみにしています!
H27.2/14 人物紹介欄を更新