第13問
イタリア発祥のデザートで、ジェラートやアイスクリームを主な材料として使って作り上げる半解凍状のお菓子は何なのかを答えなさい。
・島田美波、清水美春の答え
「セミフレッド」
教師のコメント
『正解です。 でも確か島田さんはドイツに留学してイタリアではなかったはずでは……』
・テティスの答え。
「セミフリオ」
教師のコメント
『確かにスペインでは似たようなお菓子が存在しますが、今回はイタリアのお菓子としていますので、大変惜しいのですが不正解です。』
・木下優子、久保利光、佐藤美穂の答え
「・・・・・・パンケーキ」
教師のコメント
『パンケーキの隣に添えてみてもおいしそうな気はしますが、全く違います』
・吉井明久の答え
「セミフレッド(これを用いた同じくイタリア製のお菓子で”ズコット”と呼ばれるドーム型のケーキがあります。 これからもラ・ペディスを御贔屓にお願いします)」
教師のコメント
『あなたの名前を見ただけで×を付けようとした先生を許して下さい。 確かにセミフレッドを応用したデザート料理にズコットと呼ばれているお菓子があります。 機会があれば私の授業の調理実習で一緒に作り方の指導を手伝ってもらえませんか?
後、なんで私みたいなおばさんが一人で悲しくラ・ペディスに通い詰めていることを知っているのか教えてもらえませんか?』
・プロメテ、姫路瑞希の解答
「エンジンオイル」
教師のコメント
『…………え?』
「あれ? 雄二のヤツどこに行ったんだろ?」
「道を間違えたとは思えませんが……」
明久達が葉月に案内された場所はAクラスの『メイド・執事喫茶、ご主人様とお呼び!』だった。
今現在、明久に乗せられて先行していたはずの雄二の姿が見えず、近くを探し回っている所である。
「改めて思ったんだけどさ、これってどっちの方が立場が上なのかな?」
「どっちにも合わせてくれるんだと思うですっ! ニンニンのお兄ちゃんが持っていた本にもあったですっ!」
「シャルナクのバカは一体どんな趣味してんのよ!?」
妹の発言に美波のツッコミが炸裂する。
「迷惑極まる行動…… 貴様らいったい何の用だ?」
外の大声が耳障りだったのか、教室からヘリオスが様子を見に来たようだ。
「あ、そうだヘリオス。 雄二を見なかった? 一回ここに来てると思うんだけど?」
「坂本? ああ、奴なら一度ここに来ていたが、すぐに何処かに行ってしまったぞ」
進んでいった先がAクラスだった為に大慌てで逃げ出したのだろう……
坂本が霧島に遭遇したならばその後の行動が容易に想像できてしまう……
「とにかく、そこで立ちっぱなしなのは迷惑極まりないのだから早く入るがいい。 先程から何度もこの店に出入りを繰り返し大声で騒ぎ立てる愚か者よりはマシだがな……」
「ちょっ! ヘリオス、その辺の話を聞かせてくれ!」
「分かったから一度中に入れ! 後ろが詰まっているだろ!」
明久達の後ろには「いつになったら動くんだ!」と苛立っている一般客達である。
大慌てで明久達は中に入って行く。
「……お帰りなさいませご主人様、お嬢様」
「うわぁ…… 瑞希姉ちゃん並みに綺麗だ……」
「気分が沈んだ顔じゃなかったらですけどね……」
中に入ったのと同時に出迎えてくれたのは霧島翔子だった。
「な、なんだか大切な彼氏が浮気していたって言うくらいの絶望感に染まった顔になってるわよ?」
「……雄二に逃げられた。 ……楽しみにしていたのに」
「もしもし、エールさん? そっちにシャルナクと秀吉の二人は戻ってきていますか? 来ていたらシャルナクに女の子を泣かせた雄二の始末をお願いするように伝言をお願いします」
『一体何があったのかは分からないけど、ちょうど戻って来たからすぐに伝えておくわね』
どうやら雄二に逃げられた事がよほどショックだったようだ。
そんな彼女の意を汲んだ明久はFクラスの誰かに電話を架けてエールと雄二を始末する為の話を進めている。
「所で、霧島さんは雄二になんて言って出迎えたの?」
「…………お帰りなさいませ。 今夜は帰らせません、ダーリン♡」
「霧島さんも大胆です……」
「ウチも見習わないとね……」
「あのお姉ちゃん、夜も寝ないで一緒に遊ぶ気だったですか?」
三者三様のリアクション。 美波がどう見習うのかが不安である……
「お席に案内いたします」
霧島がそのまま歩いて行く為、その後ろを付いて行く皆。
とても客が多く、特に女子の客も多い事が意外であった事に全員が驚いていた。
「あら、吉井君達じゃない? もしかしてさっきから何度もやって来てFクラスの噂を大声で垂れ流しにしているバカ共の事で来たのかしら?」
「ま、まあそんな所かな。 本当は雄二も入れて6人の予定だったんだけど……」
「そっ、まあそいつらが来るまではゆっくりしてると良いわ。 アンタ達が何しでかすかはこっちに迷惑がかからなければどうでもいいし、ヘリオスはヘリオスで何かやらかそうとしてるっぽいから心配しなくてもいいと思うけど……」
そっけない態度で適当な雑談をしながらメニューを渡す優子。
「そう言えば木下さん、試験召喚大会で雄二とプロメテに試合で勝ったんだよね?」
「ええ、あいつ等滅茶苦茶やって引っ掻き回してくれるから一時期は本当にどうなるかと思ったわよ」
『いきなりシャルナクがロックマンとして襲撃してきた時は驚いたよな。 あいつ優子の事を確実に暗殺する気だったからこっちも倒す気で応戦しないといつやられるか分かったもんじゃなくてさ』
「モデルAも大変だったな……」
『気にすんなってグレイ。 それに優子のヤツ、オイラを完璧に使いこなしてくれるし、シャルナクの奇襲を躱してからは秀吉を一方的に狙ってあいつの戦い方を全くさせなかったから意外と楽勝だったぜ?』
さらりととんでもない事を言ってくれるモデルA。
明久も『もし木下さんと戦う事があったら仲間の安全は念入りに確保しておこう……』と思ったほどである。
「ウチは『ふわふわシフォンケーキ』で」
「じゃあボクは『なめらかイチゴのミルクセーキ』お願い!」
「葉月もそれでお願いするですっ!」
「私は美波ちゃんと同じ物をいただきます」
「僕は水…… じゃなくてやっぱりバナナミルクで」
陰に居たヘリオスの殺気に恐れをなした明久はメニューにある中で一番安い物を注文した。
「じゃ、注文の確認をするわよ。 『ふわふわシフォンケーキ』と『なめらかイチゴのミルクセーキ』が2つ、『バナナミルク』が一つ。 以上でいいかしら?」
「はい、それでお願いします」
注文を受け取った優子は食器類を用意した後、優雅にお辞儀をしてそのままキッチンと思しき方向へと歩いて行った。
「さてと、ヘリオス達と葉月ちゃん達の言う通りならこの場所にまた現れるはずなんだけど」
「葉月どう? さっき言っていた人達は来ているのかしら?」
「今はまだ来てないようです。 でも嫌な感じのお兄さん達が来て大声でお話ししてたの!!」
葉月が元気よく頷く。
「お帰りなさいませ、ご主人様」
「おう、二人だ。 席は空いてるか?」
話をしている途中で新規の客が入って来た。
聞き覚えのある下品な声が聞こえたのと同時になぜかその声の先で殴り飛ばされる音が聞こえてしまう。
「はっ! アンタらは…… 行方不明になったはずの常夏コンビじゃないですか!?」
「「思いっきり殴り飛ばしてから言うんじゃねぇ! つーか行方不明になってねーし! 出番が無かっただけで普通に俺らの教室で学園祭の準備してたし!!」」
その声の正体は常夏コンビだった。
明久からいきなり殴り掛かられた事もあり、かなりお怒りのようだ……
「つーか何やってんだお前ら?」
「邪魔者の始末です」
「ああ、なんか学園祭荒らしの不良がお前らのクラスで暴れたって聞いてるぜ」
Fクラスで謎の不良が暴れ回っていたという噂はすでに広まってしまっているようだ。
明久と話をしていたらいつの間にか明久の席の隣に座っている。
「ええ、それで偶然ですがこの喫茶店で私達の悪評を流している人たちが居たのを見かけまして」
「それでそいつらを捕まえてやろうって訳か」
事情を察した常夏コンビが納得して頷く。
「お待たせしました、『ふわふわシフォンケーキ』と『なめらかイチゴのミルクセーキ』『バナナミルク』をお持ちしました」
注文した品を優子が送ってくれた。
テキパキと各自が注文したものを的確に置いてくれている。
「あら、アンタ達は確かトレジャーハンティング大会で世話になった……」
「ああ、3年の……」
「……”常夏島”コンビ?」
「「一文字多い! 俺らは”常夏”コンビだ!!」」
「あれ? 勝手にまとめるなって前に言っていませんでしたっけ?」
「「あれも愛嬌あるかと思って諦めたんだよ! 余計な揚げ足取ってんじゃねぇ! 文句あっかコラァ!!」
後輩とは言え、同じAクラス級の人間からすら覚えて貰えてない事にいろいろとショックを覚えてしまう常村と夏川。
「オ前等、何ヲヤッテイル?」
常夏コンビとの他愛のない雑談を楽しんでいる間にシャルナクと秀吉がAクラス内に戻ってきていた。
シャルナクの片手には謎の大きなキャリーバッグが握られている……
「あ、シャルナク? もう捕まえて来てくれたの?」
「アア、坂本ノ奴ハコノ中ニイル」
そう言うのと同時に謎のキャリーバッグを乱暴に置き、そのバッグの鍵を開けて中身を見せる。
「ムー! ムムムムムムーッ!!」
「「うわあああああああああああああああああ!!」」
中にいたのは叩きのめされた末にガムテープで縛られて連行されてきた雄二であった。
流石の皆も可哀想になって来て、落ち着いてもらった後にガムテープを切り取って解放してあげる事にした。
「シャルナクてめぇ何しやがる!!」
「女カラ逃ゲル為ト言イ訳ヲシテ女子更衣室ニ隠レル変態ニ、容赦ナドスル必要性ハ無イ」
シャルナクの言葉に女性陣は軽く引いている……
男子禁制の女子更衣室に隠れ場所に選ぶ雄二の事もそうだが、そこに躊躇なく突っ込んで行く事の出来るシャルナクに対してもどう反応すればいいのかが分からなくなってしまったのである……
「そこでいきなり背中から地面に叩き付けてガムテープで縛って鞄に詰めるとかどこの過激派集団だよ!?」
「この学園にやってくる前にたまたま出会った”殴り屋”と呼ばれている奴らが同じことをしていたが?」
「「『入学前のアンタらは一体何をやっていたんだよ!?』」」
”後デFクラスニ戻ッタラ教エテヤル”と言ってシャルナクは追加とでも言わんばかりに『3層のセミフレッドケーキ』と『ほのかな甘さのホットアップルティー』を注文して席に着く。
『お帰りなさいませ御主人様』
『おう、二人だ。 ”中央”の席は空いてるか?』
またしても謎の下品な声が聞こえて来る。
今度は常夏コンビではないようである。 明らかに外部の人間である事がうかがえるような服装であるが、ガラの悪い雰囲気と横柄な態度から明らかにFクラスで営業妨害を働いた不良の関係者であるのがまるわかりであった。
「あ、あの人達だよ。 さっきから大きな声で”中華喫茶は汚い”って言ってたの」
「ナラ確定ダナ。 秀吉、暗殺ノ許可ヲクレ。 完全犯罪デ消シ去ッテヤル」
「駄目じゃ」
暗殺禁止を言い渡されて”ショボーン”とした態度で落ち込んでしまうシャルナク。
メイド佐藤が持って来てくれたセミフレッドケーキとアップルティーを「ウマイ……」と一言だけ発した後は黙々と食べている……
「オイオイ、シャルナクがポンコツ化しちまったぞ……」
「犠牲者を出すよりかは遥かにマシじゃ」
「シャルナクはこう言う事になるとエグイからねぇ…… でもこのSSでのR-15はあくまで保健だからエグイと知りながら描写されることは無いけど」
「明久、お前何を言ってるんだ……」
秀吉に頼ってもらえずにポンコツと化したシャルナクの事で話をしている間にも中央を陣取っている不良二人はFクラスの中華喫茶の事をわざわざ大声で叫んで悪評を振りまいている。
「兎に角、これ以上指をくわえてみている訳にもいかねぇ…… おーい翔子ぉー!」
何を考えているのか、霧島を呼び出そうとする雄二。
だが、呼ばれた彼女はまだ出てこない……
「愚かなる発言…… 先程貴様に逃げられたショックで奥で閉じこもってしまっている…… 冗談で済ませられると思うな」
「ちょっ! 悪かった翔子ォォォォ!! もう逃げたりしねぇから出て来てくれ!!」
代わりに出て来たのはいつの間にか風のロックマンとして変身しているヘリオス。
雄二の後ろに立っており、首元にダブルセイバーを突きつけている。
「……雄二、その言葉は本当?」
不安気に涙を溜めながらその瞳を向けて雄二に問い質そうとする霧島。
いつの間に現れたのかが分からないが、実際に雄二の近くにいたと言われても十分信じてしまえるだろう……
その一瞬でヘリオスはどこかに消えて変身を解いた後、何食わぬ顔で平然とした態度で戻ってきていた。
「ああ、本当だ。 俺はもうお前からは逃げたりはしねぇ」
「試合の時に言ってくれた告白も本当?」
「…………」
「……グズッ」
「あ、ああ本当だ! だからもう泣くなって!!」
雄二の必死な説得もあってどうにか落ち着いてくれた霧島。
とても空気が重いが、どうにか話を再開する事に……
「今はあいつ等の対処が先だ。 翔子、取り敢えずメイド服を貸してくれ」
臆面も無く簡単に問題発言をする雄二。 「こいつに躊躇いや恥と言う言葉は無いのか」とあきれている者もいる。
「……分かった」
ここで躊躇なく自分のメイド服を脱ぎ出そうとする霧島。
「愚かなる選択!! 霧島は一体何を考えている!?(ドボドボ……)」
「そうですよ代表! ここにはけだものがたくさんいるんですよ!!」
「わぁ~。 お姉さん、胸おっきいです~」
「ちょっ!! 霧島のねーちゃ……gるdgfjvhんrぢjewarhglkd……」
「キャー!グレイ君の熱が凄い事になってます!!」
「それ以前に途中から言葉になっておらん事に突っ込まんのか!?」
大慌てで皆して止めにかかる。
ここで意外だったのはヘリオスが大量の鼻血を出し、グレイがオーバーヒート寸前の熱を発して言語機能までおかしくなっていたことである。
意外とこの二人は初心なのかもしれない……
「……雄二が欲しいって言ったから」
「誰がお前が着ているメイド服が欲しいと言ったんだ! 替えがあるなら貸してくれって意味だ!!」
「…………今持って来る」
ずれたメイド服を着直して去っていく霧島。
雄二の言う事ならばどんな願いですら叶えそうな危うさを感じてしまう。
「で? どうする気なの?」
「落ち着け明久、取り敢えず姫路と島田も身だしなみの奴があったら全部秀吉に貸してくれ」
逸る明久を制し、瑞希と美波からポーチを借りる雄二。
流石は年頃の女の子だと思いたい。
「……雄二、これ」
「おう、悪いな」
今度は霧島がメイド服を抱えて持って来てくれる。
これで雄二の元にはメイド服と化粧用品が入ったポーチがそろった。
「……貸し一つ」
「だそうだ明久」
「ありがとう霧島さん。 お礼に雄二を一週間くらいは自由にしても良いよ」
「……こちらこそありがとう。 吉井はとても良い人」
「ちょっと待て! 一週間でお前ら何をしやがる気だ!?」
雄二の抗議も虚しく、嬉しそうに霧島はその場を離れて行ってしまった。
「もういいでしょ? これ、どうするの?」
「……着るんだ」
「だってさ美波。 あ、でもこのままだと胸が余る……っと」
「コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス!!」
それなりに速い拳打やつま先蹴りを叩き込もうとする美波だが、明久には簡単に避けられてしまっている。
「何言ってやがる? 島田じゃ面が割れてしまうだろうが。 あのサバットの腕だったらあんな雑魚の二人くらいなら楽勝だろうがな……」
どうやら美波ではなかった様である。 瑞希では性格的に攻撃は出来ないだろうし(それ以前にオーバーヒートを起こしかけているグレイの事で手一杯だが……)シャルナクはポンコツ化してしまい殆ど使い物にならない。
雄二は最早論外である事を考えると自然と答えは絞りこめて来る。
「テティスを呼んで来てくれ。 ついでに明久、お前も着ろ」
「なんで僕まで!? テティスだけでいいじゃないか!!」
「念のために保健だ」
納得のいかない明久は猛抗議をするが、抵抗虚しくシャルナクと秀吉によってそのまま男子トイレへと連行されてしまう。
途中で駄々をこねるテティスがアトラスによって首根っこを掴まれて運ばれて行く光景が見えたが、皆はどうにか笑いをこらえるのに必死になっていた。
「ねぇ……何でFクラスで待機する事になっていたボクが巻き添えを食らってこんな目に合わなきゃいかないのさ?」
「はぅぅぅ~! テティス君も吉井君もとても可愛らしくて似合っていますよ!?」
「うむ、ワシも頑張ったかいがあったのじゃ」
「「全然嬉しくないからね!!」」
明久とテティスの女装姿を見せられた瑞希が軽く変になり始めている。
その一方で返送の為だけに服だけでなく、カツラや下着まで女性用にされてしまった明久とそれに巻き込まれたテティスは相当不機嫌になってしまっている。
その一方でテティスを連れて来たアトラスは、Fクラスでプロメテ達を見張る為にと言ってすぐに戻って行ってしまった。
どうやらこれ以上Aクラスに残る気は無いようである。
「アンタ達、本当に何をやる気なのよ……」
『オイラとグレイも変な奴には何度も会っているけど、流石にこの手の変態は見た事はねーぜ』
そんな事を言っている優子だが、彼女もどこからか女性用下着を勝手に持ち出して瑞希に提供している為、ほとんど同罪であることを忘れてはいけない。
「……明久、テティス。 そもそもなぜこんなことになった」
「「完全に雄二(ユウジ)のせいじゃないか!!」」
雄二からいきなりの質問に息バッチリの答えを出す二人。
「違う。 本当の原因はあそこで騒ぎ立てる不良共のせいだ。 そう、あの不良共がFクラスに嫌がらせをしたからお前らがこんな目に会っているんだ」
「ゆ、雄二……?」
「なら、あいつ等を八つ裂きにすればお前らはこんな苦しい目に会わずに済む。 そうだ、そうだろう! そうに違いない!!」
二人をあおるように説得する雄二。
その鬼気迫る目に二人は若干押され気味で、どう反応すればいいのかが分からなくなっている。
「なぁモデルA…… いま、あの坂本って奴を楽にしてあげた方がいいのかな……?」
『グレイ……あの霧島って姉ちゃんがコエーからやめとこうぜ?』
オーバーヒート寸前の状況から復活したグレイも今の状況に追いつけずに困り果てている。
「兎に角だ明久、テティス。 お前らのその怒りはあの不良二人に対して向けて来い。 よろしく頼むぞ」
「了解……」
「も~分かったよ…… じゃあ行ってくる……」
完全に諦めた明久とテティスは相も変わらず騒ぎ立てる不良たちの方に向かっていった。
「お客様、先程ご注文になられました”メイドポテト愛の山盛り”を用意いたしました」
そう言った明久とテティスは馬鹿デカい皿に山盛り(言葉通り)になる程に積まれたポテトを”ドスン!!”と言わせながらテーブルに置いて行った。
「おっ、結構可愛いじゃん」
「こっちの小さい娘もすっげー可愛い! 良かったら学祭サボって俺とデートしない?」
不良二人のなめまわすような視線が明久とテティスにまとわりついてくる。
あまりの気持ち悪さに二人とも身震いし始めて来る。
「お客様、今からこのポテトに”美味しくなる愛の魔法”をかけさせていただきます」
『テティス、アンタ実はノリノリなんじゃないの』
『明久も自棄になっているな。 一応笑顔だが目が死んでしまってる……』
身震いを抑えてどうにか笑顔を保った二人はどこからかケチャップを取り出して、ポテトにメッセージとデカデカとしたハートマークを書き込んでいく。
モデルZとモデルLもかわいそうになって来たが、今はどうすることも出来ない為、時が来るまで見守る事しかない。
「おっ、結構本格的じゃねぇか」
「メイドとは言っても秋葉のメイドカフェみたいだがよ……」
どうにか気もち悪さを我慢して明久とテティスが書いたメッセージにくぎ付けになっている不良。
二人が行動を起こそうと決めていたのはこの瞬間だった!!
「「ロックオン!!」」
コンマ01秒でロックマンに変身した明久とテティスは、メッセージにくぎ付けになった不良を相手にジャベリンとセイバーを思いっきり振り回した。
「「危ねぇ!!」」
奇跡的に二人の攻撃をかわした不良だったが、その頃にはすでに明久とテティスは普通の人間に戻っていた。
流石の雄二も予想外だったらしく口を開いたまま唖然としてしまっている。
「「キャー! この人達痴漢ですー!!」」
「なっ、何を言ってやがる! いきなりお前らが切り掛かって来たから避けただけ……」
「絶対に許さん!!」
「こんな公衆の面前で痴漢行為とは、このクズ野郎どもが!!」
「「誰だお前ら!?」」
しかも痴漢の冤罪まで押し付けた結果、痴漢退治と言う大義名分を得た雄二となぜか久保が乱入して不良を相手に鉄拳制裁を叩き込む。
「てめーらまさかFクラスとやらの連中か! 痴漢なんて誰が信じるかよ!」
「本当なのじゃー! そこの二人はワシの尻と股間を撫でたのじゃー!?」
どうにか否定しようとする不良二人だが、いつの間にかメイド服に着替えていた秀吉のフォローによって状況的に詰んでしまった。
「何しやがんだ、テメー!!」
「抹殺スル!!」
「何で常村がキレてんだ!?」
『シャルナク! さっきまでポンコツだったお前までなんでキレてるんだ!? っておい、苦無はやめろ。 本当に死ぬぞ!?』
秀吉の言葉と同時になぜか常村とシャルナクが同時にもう一人の不良に襲い掛かる。
どういう訳か二人のコンビネーションは完璧で、常村のストレートによって地に伏せた不良をシャルナクがトドメとでも言わんばかりに数本の苦無を投げつける。
モデルPの制止もあり本当に死ぬことは無かったが、首元を掠める様に苦無は飛ばされて、いつ死んでもおかしくはない状況である……
「何見てたんだお前ら! 被害者は明からにこっち側だろうが!?」
「黙れ! 今しがたお前らはこのメイド3人の尻を撫でていただろうが! 俺の目は節穴じゃねぇぞ!」
節穴かどうか以前にイレギュラーやモデルV以上の濁り切った闇を抱えているだろう。
「何だ、一体どうした?」
ここでいきなり騒ぎを聞きつけた鉄人がやって来た。
「ああ、鉄人。 悪いがこいつらがここのウェイトレスに痴漢行為をしていたからな。 さっさと連れ出して警察にでもぶち込んでおいてくれ」
「全く、お前らは一体何をどうしたらこんな状況を作れるんだ…… お前らこっちに来い! 生徒指導室でみっちりと補習をしてやるからな!」
「「おいちょっと待て! 明らかに被害者は俺ら…… ってああああぁぁぁ……」」
痴漢容疑の取り調べの為に鉄人によって生徒指導室まで強制連行されてしまう不良二人。
どうにか必死になって抵抗しているが、最終的に二人とも絞め落とされてそのまま連行されてしまった。
『おい明久、そろそろ3回戦の時間じゃなかったか?』
「ヤバイ! 急いで準備しないと!」
『テティス、アンタもそろそろ戻りなさいよ。 店の見張りとプロメテ達の見張りもあるんでしょ?』
「アトラスが強引に連れて来たんじゃないか!!」
明久とテティスは一度着替えに行く為に男子トイレに大急ぎで走って行った。
おまけ
another story 秀吉side
「ひーでーよーしー?」
「あ…姉上よ、一体どうしたというのじゃ?」
メイド服から元のチャイナドレスに着替えようとした秀吉はなぜか姉の優子に呼び止められ、首根っこを掴まれてしまっていた。
「誰が、誰に痴漢されたのかしっかりと聞かせてもらおうかしら?」
「こっ、これはこのクラスの為にどうしても必要な……ああああああああああ!!」
怒り心頭の姉をどうにか説得しようとした秀吉であったが、その言葉も虚しく別室までそのまま強制連行されてしまった。
しばらくの間、秀吉は戻っては来ないだろう……
another story 秀吉side end
投稿が遅れてしまったZE!
繁包期だから本当に忙しいですね。
などと言い訳をしているが、理由はそれだけではなくモンハンクロスの発売に備えて4Gを再プレイして勘を戻そうとしたり、幻想入り系の作品を見るようになってきて爆笑していたりしていました。
しかも本編完成させておきながらバカテストをほとんど考えていない上に凝った物にしようと試行錯誤……
本当に私は何をやっているんでしょう……
今度の3回戦、対戦相手はいったい誰なのか?
そして暴れ回る不良共の目的とはいった…… ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!
ヴァン・アッシュ「「次回もお楽しみに!!」」