バカとライブメタルと召喚獣   作:閻魔刀

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バカテスト


第14問

PKOとは何の略か答えなさい

・姫路瑞希の解答
「Peace-keeping Operations(国連平和維持活動)の略。
国連の勧告の元に、加盟各国によって行われる平和維持活動の事」

・ヘリオスの解答
「United Nations Peacekeeping Operations(国連平和維持活動)の略」


教師のコメント
『たしかにそうですね、ヘリオス君が書いたようにUnited Nations Peacekeeping Operationsとも呼ばれていますので、余裕があれば覚えておくと良いでしょう』


・土屋康太の解答
「Pants Koshi-tsuki Oppaiの略。
世界中のスリーサイズを規定する下着メーカー団体のこと」


教師のコメント
『君は世界の平和をなんだと思っているのですか』


・吉井明久、テティスの解答
「パウエル・金本・岡田 の略」


教師のコメント
『それはセ界の平和を守る人達です』


・プロメテ、清水美春の解答
「パシリ・金は渡さない・お前行け の略
世界中のチンピラに言えること」


教師のコメント
『先程鉄人に連絡しておきましたので道徳の授業で大切なことを学んできてください』


・アトラス、シャルナクの解答
「Perfect knock out (パーフェクトノックアウト)」

教師のコメント
『…………』


第8話

「で、3回戦は不戦勝じゃったと?」

「うん、相手が食中毒で病院に運ばれて試合どころじゃないって」

 

 のんびりしていたパンドラを大慌てで引っ張って向かった第三回戦は相手が食中毒で不戦勝と言う拍子抜けにもほどがある結果だった。

 不戦勝宣言された明久とパンドラはそのまま教室に戻ってきており、相変わらず客の居ない教室で秀吉と雑談をしていた。

 その一方で明久と少し離れた所で話をしていた姫路とエールの顔が少し青ざめた物になっている……

 

 

「所で、さっきからヴァンとアッシュを探していたけど見つからなかったのよ。 まさかあの二人がそのまま病院に運ばれた訳じゃぁないわよね?」

「……エールさん、そんな事は無いと信じたいですね」

 

 

 彼女らの予想はかなり的を射ていた。

 明久達が学際荒らしの不良と戦っている間、彼らは彼らで酷い目にあっていたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヴァン・アッシュside

 

 

 

「あ、この品と後この品ももらうわよ。 それと……」

「アッシュ…… まだ買う気なのか……?」

「当然でしょ? こんないいお宝ちゃんが安値で売られてんのよ? ここで買わなきゃ女が廃る!」

「君は一体どこのプリキュア何だい?」

「”爪弾き荒ぶ〇調べ”のプリキュア?」

 

 何故か疑問形で返されて反応に困るヴァン。

 その一方で一体何処から金を持って来たのか、トレジャーハンターとしての鑑定眼を頼りに様々な模擬店で売られている商品を買い漁っていく。 もちろんその荷物の殆どを持たされているのはヴァンである。

 

「そう言えばあと少しで3回戦だったわよね?」

「ああ、対戦相手は前の市内の大会の時に会った吉井君のチームだ。 何があったのかパンドラまで一緒にいるみたいだけど……」

「なんであいつ等と一緒にいるのか?とか気になる事はいくつもあるけど、それは後で聞き出せばいいわ。 それよりも一度お昼にしましょう。 腹が減っては戦は出来ぬってね」

 

 大量の積荷と悪戦苦闘しているヴァンをよそにそのままアッシュは適当な食事系の模擬店を探しどこかに行ってしまう。

 それを追いかけるべく、ヴァンは運よく出会えたシャルナクと秀吉に事情を説明して荷物を預かってもらい、大急ぎでアッシュを追いかけて行った。

 その時彼らの手に謎のキャリーバッグがあった事に関しては追及しない方が良さそうだと判断して無視する事に……

 

 

 

「よし、せっかくだし瑞ねぇの為に敵情視察も兼ねてここで食べるわよ」

 

 そう言って仁王立ちで構えているアッシュの目の先には二年Bクラスの模擬店「”和心”永琳」(おすすめは刺身定食らしい)であった。

 

「アッシュ…… ここだけはやめないかい? 嫌な予感がするんだけど……」

「何言ってんのよ? 危険だと分かってて変なゲテモノを出す店なんて許可が出る訳ないでしょう? メシマズかもしれない程度で怖気づいてんじゃないわよ」

「いや、それ以前に確か刺身って生ものだったよね? 鮮度管理とかどうなって……」

『いらっしゃいませー』

『2名で席開いてるかしら?』

『2名様ですね。 席にご案内いたします』

「アッシュー!! いつの間に入ってるんだ!?」

 

 その後、アッシュが本気で刺身定食を頼み(2人前)で頼み、ヴァンも続くように仕方なく食べた結果……

 急にアッシュとヴァンが腹痛を訴え、大急ぎで保健室へと運ばれて行き、そのまま病院へと搬送されてしまった……

 最終的にBクラスはこの一件を受けて営業停止、その上Bクラスの生徒全員が一週間の”停学処分”を受ける事となってしまった。

 

 ヴァン・アッシュside end

 

 

 

 

 

 

 

「ならば、こちら側の立て直しに協力してくれんか? このままでは客足が止まる一方じゃ」

「うん、それもそうだよね。 何かインパクトがある事をやる必要がありそうだし」

「男子全員がギリギリな水着とお酒で接客……?」

「パンドラよ、それで喜ぶのは一部の女子だけだからやめてもらえんかのう。 それ以前にそんなものを持ち出されてしまっては店どころかFクラスの存続自体が危ぶまれるのじゃ」

 

 パンドラの奇抜すぎる発想に度肝を抜かれそうになりながら秀吉がツッコミを入れる。

 

「まあ、その辺に関しては雄二とも相談してみようよ。 ってそろそろ戻ってきたかな?」

 

 雄二が戻って来たと思い、適当なナイフでも投げて歓迎してあげようと思っていた明久だった。

 ……が、扉を開けた人物が彼で無かった事に驚き、大慌てでナイフをテーブル奥に隠してしまう。

 

 

「おおテティスか。 ただ着替えて来るだけにしては遅かった……」

 

 扉を開けて入って来た人物は少し前までメイド服を着せられてご機嫌ななめだったテティスであった。

 一体何があったのか、今の彼の服装は女子向けのチャイナドレスに猫耳、そしてなぜか猫の尻尾まで付いているコスプレである。

 だが、秀吉が言葉に詰まってしまったのにはそれとは全く別の理由があった。

 

「ごめんごめん。 ちょっとユキノちゃんと話し込んじゃって!」

 

 彼と一緒にやって来た、恐らく女子大生位の女性を見て驚きを隠せなかったのである。

 とても物腰が柔らかく、非常に穏やかな雰囲気の女性である。

 

「ありがとうテティス君。 所で雄二は何処に言ったのかしら? このくらいの時間に食べに行くって伝えてあるのに……」

「すぐに戻って来ると思うよ? 良かったらヤムチャでも飲みながら待ってる?」

「ありがとう。 テティス君、本当にいい子よね~」

 

 そう言ってユキノちゃんと呼ばれた女性がテティスの頭を「よしよし」と言いながら撫でている。

 

「プーッ! ボクはそこまで年下じゃないってば! 取り敢えずユウジが来るまでその席で待っててね! 急いで持って来るから!」

 

 微笑ましい会話をした後、テティスは一度厨房の中に入って行き、須川と一緒になってヤムチャの用意を始める。

 

「すみません雪乃さん! うちの弟分が失礼な事を!」

 

 珍しく明久がまともにテティスのなれなれしい態度に謝罪をしている。

 FFF団もあまりの急展開に付いて行けず、動きあぐねているようだ。

 

「いいのよ。 むしろテティス君といると若返った気分で凄く楽しいから♡」

 

 本当に気にしていないようで、むしろ彼の事をかなり可愛がっているようである。

 今は雄二の事で楽しそうに雑談をしており、ヤムチャを飲みながらテティスの頭をいじくりまわしている。

 

「それでね、雄二ったら酷いのよ。 翔子ちゃんを家に上げてお膳立てしてあげただけなのに私の顔を鷲掴みにして……」

「全くユウジも酷いね。 お姉さん相手に意地悪な事をするなんて」

「それだけならまだしも、少し前にそうめんを昼ごはんに出してあげたのに『これは麺つゆじゃねぇ!”ブラックコーヒー”だ!』と言って怒鳴って来たのよ? あの時も宥めるのが大変で」

「いや、それはユキノちゃんが悪い!」

 

 かなり天然ボケが入ってはいたが…… その光景は年の差があるだけの仲よしコンビと言うより姉弟のような感じの会話である。

 こんな話をしている間にもテティスの髪はいじくりまわされ、髪型がより女の子らしく、猫耳も別バージョンの物へと組み替えられている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいお前ら何を騒いでるんだ? 今からどうにか客を取り戻そうと…………」

「ヤッホーユウジ! 今ユウジのお姉さんが来てたからヤムチャ渡して待っててもらってる所だよ」

 

 戻って来た雄二が完全に硬直している…… かなりの冷や汗を掻いており、顔も青ざめている。

 

「ほ~う? 坂本、貴様もなかなか隅に置けんようだな。 こんなきれいなお姉さんがいたとはな?」

「そう言うならなんで横溝はポケットの中に入れているナイフを手に取ろうとしてんだ?」

「雪乃ちゃんって言うんだって? テティスにいじられてると思ったら姉弟揃って仲がいいようだな、どうりで!」

「それにしては姉弟と言う割に似てないわよね? 今の葉月、ウチが小学生だったころにかなり似ているのに……」

「父親似ナノカモ知レナイ」

 

 Fクラス総出で雄二の事をニタニタとした笑顔でからかいだす。

 

「……お前ら、確かにそこにいる女は俺の家族だが、それ以前に俺は”一人っ子”だぞ?」

「「は? じゃあこのお姉さんは一体誰なんだ?」」

 

 Fクラスのクラスメイトのほぼ全員から詰め寄られた雄二は、目を背けながら弱弱しく答えた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「”おふくろ”」

「「『おふくろおおおおおおおおおおおお!?』」」

「おふくろです♡」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「『えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?』」」

 

 

 Fクラス内の人間のみならず、ライブメタル達も驚いておりしばらく沈黙を貫くはずだった彼らも明久達同様の悲鳴を上げてしまっている。

 

 

 

 

「「!?」」

 

 Fクラスからの悲鳴のような大声に驚いた通行人の大半が、つい足を止めてしまう。

 

「な、なんだ今の悲鳴?」

「さあ? まるで可愛らしい巨乳の女の子が来たと思ったら実は40代のオバハンだったみたいな感じの悲鳴だったけど……?」

「「いや、流石にそれは無いだろ!」」

 

 

 Fクラス内での混乱は外にまで影響を及ぼしているようである……

 

 

 

 

 

 

 

「それでは改めて自己紹介をさせていただきます。 そこで顔を背けながら椅子に座って疲れ切っている雄二の”母”の『坂本雪乃』です」

「お、お若いですね? かなり失礼ですが、年齢が気になってしまって仕方が無いんですけど……?」

「今年で40になります♡」

「「……嘘だ(です)!!」」

 

 見た目からは全く予想が出来ない年齢に驚いた姫路と島田がまたしても悲鳴を上げてしまう。

 

「信じらんねーだろうけど事実なんだよ…… 俺が中学の時に実年齢知らねーでナンパしようとしたバカとストーカーを撃退するってどんだけ苦労した事か…… 中には実年齢知っても『愛人でもいいので一緒に付き合ってほしい』だの『人妻をN〇Rするのも悪くは……』とかほざく奴がタチ悪くて半年くらい前までガチでヤバかったんだよ……」

 

 

 驚愕的な過去話をしてさらに背もたれに垂れてだらけてしまう雄二。

 

「つーか、つーかつーかつーかよぉ~お! 一体何がどうやってテティスとなれなれしく名前で呼び合える位に仲良くなってんの!? それ以前に俺がチビだった時並みか下手したらそれ以上に可愛がってんじゃねぇか!!

 近所の子供と仲良しですってレベルじゃねーぞ!?」

「ちょっと、お母さんにそんな口の利き方は感心しないよユウジ?」

「さっきまで人の母親を姉と勘違いしていたテティスにだけは言われたくねぇから黙ってろ!! 大体母親なんて……」

 

 先程まで怒鳴り散らしていた雄二が急に言葉に詰まってしまう。

 その時視線の先にいたのは……

 

1.先程からさみしそうな視線で雄二を見ているエール(昔を思い出している模様)

2.親と呼べるものを知らず、”なんで怒鳴り散らしているのかが分からない”という目で見ているグレイ

3.いつの間にか『お母様をいじめちゃダメ』とでも言わんばかりにスタンガンを構えている霧島翔子

 

「ねっ、悪い事は言わないからここは大人しくしておいた方がいいでしょ?」

「そうだぜ坂本ォ、ここはテティスの言う通りだぜ。 おふくろは大切にしねぇとな」

「本気でそう思ってんならそのにやけ面をやめろプロメテ」

 

 今度は絡んできたプロメテ相手にキレそうになっている雄二。

 取り敢えず一度落ち着いているようではあるが、プロメテがいじりたおせば再び噴火するかのごとき勢いで激怒するのは間違いないだろう。

 

「それにしても雄二、もう髪跳ねちゃってるじゃない。 ネクタイも歪んでるし、身嗜みを整えられない内から反抗期なんて……」

 

 マイペースにも雄二の身嗜みが気になったのか、手際よく髪や服装を整えようとする坂本母。

 

「もう反抗期でもねぇし、こういう着こなしでこういう髪型なんだよ!

 昔っからおふくろは変に過保護過ぎんだよ! 俺もう高校生だぞ? 少しは息子を信用して独り立ちさせてくれよ!!」

「何言ってるの、いきなり久々に全身痣だらけにして帰って来て、構うなって言うのが無茶な話でしょ?」

「う……」

 

 母親に痛い所を付かれ、頭が上がらなくなってしまう雄二。

 

「なるほど、雄二って何処か面倒見がいいところがあると思っていたけど、そういうところは母親譲りなんだね……ってみんなどうしたの?」

「美人で面倒見がいいおふくろって……」

「美人で天然でそれでいながら面倒見がいいおふくろって……」

「美人で天然で可愛らしさもあってそれでいながら面倒見がいいおふくろって……」

 

 FFF団のようすがおかしい事に気が付いた明久。

 これまでにない彼らからの殺気のせいでつい距離を取りながら身構えてしまう。

 

 

「「「羨まし過ぎんだろ坂本ォォオオオオオオオ!!」」」

 

 坂本の母親に対する反抗的な態度に耐えかねたFFF団が珍しくまともな理由で攻撃を仕掛けて来た。

 手に持っている装備が刃が落とされているとは言え十分本物と呼べる日本刀や、鎖分銅、矢じりを落とした弓矢など戦国時代みたいな武器を持ちだしていなければ本当にまともなのだが……

 

「あんな美人で優しい母親とかマジでいいだろ! どこが不満なんだよ!!」

「嫌いっつーわけじゃねぇけどよ! ブラックコーヒーと麺つゆを間違えたりする天然ボケが日常茶飯事のツッコミ所が満載なおふくろとかどんだけキツイと思ってんだ!?」

 

 先程から状況について行けず、一言もしゃべれずにいた葉月が「あ、きれいなおばさまの事は大好きなんですね」とツッコミを入れていたが、それをよそに彼らはヒートアップし続けて行く。

 

「はっ、そのくらいなら寧ろ愛嬌だろ!! 俺の家のおふくろとか傲慢なだけの汚い白豚だぞ! 見られた時に『巨乳で羨ましいね(笑)』とか言われてバカにされてんだぞ! どんだけ恥ずかしいと思ってやがる!!」

「俺んちのおふくろとか白髪を墨汁で染め上げているうえにゴキブリを手掴みでキャッチとか全く抵抗ないんだぞ!?」

「は? そんなのまだマシに決まってんだろ!! オレのとこのババアに至ってはアルコールとギャンブルが大好き過ぎてオレの事なんてどうでもいいクズみたいに見下してやがったんだぞ!

 結局オヤジが離婚した時にそのままオヤジについて行ったからもうどうでもいいけどよ、あれは最悪だったと思うぜ?」

「それ言ってしまったら俺の家のクソババアなんてもっと凄いぞ。 オヤジの保険金目当てで薬盛って消しにかかりやがってさ、その後処理を弟とさせられてマジで狂っちまいそうだったぜ! 結局バレてポリ公に連れていかれたけどよ。 あんときはマジでヤバかったわ」

「「ちょっと待て! 後半二つシャレになってねぇぞ!?」」

 

 

 いきなり不幸自慢みたいになり始めているFFF団の話のせいで反応に困り始めている雄二。

 珍しく「すまんおふくろ。 さっきまでの俺の言葉は全部忘れてくれ……」と素直に謝りだすあたり色々と思う所があるのだろう……

 

 

「……御待たせしました、こちらがご注文の……  ……明久、一体何があった?」

 

 坂本母が注文した食べ物を届けようとした土屋は料理に集中して聞いていなかったのか、わけの分からない状況に若干困惑気味のようだ……

 

「うん、なんだかんだでアトラス達の居候を認めてくれた上に仕送りまで増やしてくれた僕の母さんも優しい方の母さんだなって再認識したところだよ」

「……会話がつながってない。 ……大体予想は付いたが。 麻婆豆腐”辛口”、ゴマ団子セットでお持ちしました」

「あら~ありがとう、ムッツリーニ君」

「……雄二、一体オレの事をどう説明した?」

「よーし本題に入るぞ! 取り合えず本題に入るぞ!」

 

 荒れに荒れた坂本母の一件がどうにか落ち着いた所で、強引に本題に入る雄二。

 本当に大切な事なんだと言わんばかりに2回も言うあたりどうしてもこの話題には触れたくないようである。

 

「雄二、どんなアイデアなの?」

「中華とテティスが着ている”これ”では安直過ぎるが、効果は絶大なはずだ」

 

 そう言って取り出したのは複数のチャイナドレス。 若干裾が短い気もするが刺繍も見事なものでとても可愛らしいデザインとなっている。

 

「で? コレをどうするの?」

「ああ、コレを…… 明久と秀吉とプロメテが着る」

 

 それは流石にインパクトがあり過ぎるだろうと明久とプロメテは思い始めていた。

 

「冗談だ明久。 明久だけならまだしもプロメテまで来ていたら逆に客足は遠のくだろ?」

「待って雄二! それは僕だけなら大丈夫みたいに聞こえるんだけど!? メイド服だけでも危ないのにチャイナドレスまで着ちゃったら、きっと僕はホンモノだって皆に認識されちゃうよ!!」

「だから着せないって言ってんだろ。 この服はパンドラ・秀吉・姫路・島田に着てもらう」

「なあんだ、良かったぁ~」

 

 雄二の言葉で冗談だと分かった明久は良かったが、その一方で秀吉の方は冗談では無い事に溜息を付きながら諦めた様に更衣室に入って行く。

 

「吉井、もう少しで4回戦が始まる……」

「うそっ、もうこんなに時間が経ってたの?」

「私も着替えてからすぐに行く。 吉井は先に行って待機してて……」

「そんな事をアタシがさせると思っているのか? 貴様はまだ警戒されている身であるという事を忘れていないだろうな?」

「私は別にそんな下らない手を使ったりはしない……」

「それをアタシらが信じると本気で思っているのか?」

 

 そう言ってアトラスが指した先にはモデルXを構えていつでもロックマンに変身できるようにしているエール。

 忘れそうになってしまうが、プロメテとパンドラはあくまでも敵なのである。 

 

「分かった、吉井と一緒に行く…… 更衣室で着替えて来るから吉井は待ってて……」

 

 しょんぼりとした顔でそのまま更衣室に着替えて行くパンドラ。

 明久は若干罪悪感を覚えているようだが……

 

「流石にパンドラが可愛そうになってきたね……」

「なっ! 何でアキがそう言う事を言うのよ! 一体ウチがドイツでどれだけあいつ等にひどい目にあわされたか……」

「そうですっ! 葉月もあの二人のせいでどんどん弱っていくお姉ちゃんを何度見せつけられたか分かったものじゃないですっ!」

「実際、プロメテとパンドラは市内大会を滅茶苦茶にした挙句にFFF団相手に”消してもかまわない”と言うつもりで攻撃しやがったからな」

「……少なくとも善人じゃないのは事実」

 

 やはりと言うべきかFクラス内での彼らの信用はマイナスと言っても良いくらいに酷い物となっている。

 

「でもやっぱり……」

「吉井、待たせた…… すぐに会場に行く……」

「え? ちょっ、引っ張らないで! って、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」

 

 エメラルドグリーンを基調としたデザインのチャイナドレスに着替えたパンドラは問答無用で明久の腕を掴み、そのまま引っ張って行ってしまう。

 とっさの判断でシャルナクが二人を尾行するように付いて行ったが、Fクラス内での空気は重いままだ……

 

「オイ! お前らこれから客寄せでも始めんだろ? テティスのバカが茶葉をテメーのおふくろの為に結構使ってやがったからそろそろ補給しねえと客が来た時に対応出来ねーぞ!」

「お前が指揮ってんじゃねぇよ! 誰のせいで苦労してやがると思って……」

「喧嘩している場合ではなかろう。 ならすまんがプロメテよ、その少なくなっている茶葉をすぐ近くにある空き教室から持って来てもらえんか?」

 

 喧嘩しそうになっている雄二を宥めてプロメテにお使いを頼む秀吉。

 他の皆もそれぞれの持ち場に戻り、姫路と美波の二人も更衣室に向かってチャイナドレスに着替える為に移動する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「4回戦の相手は誰……?」

「えっと、ちょっと待って…… 嘘っ! ここで木下さんと霧島さんのコンビ!?」

 

 次の対戦相手を確認していた明久とパンドラだったが、流石の4回戦なだけあって相当強いチームとの対戦を組まれたようである。

 雄二が居ないこの現状を考えると今の明久に彼女らに対する攻略法が思いつかないのである。

 

「確か一人は貴方と同じロックマンの……?」

「うん、それは木下優子さんだね。 あの時は秀吉のお姉さんがロックマンになるなんて思ってもいなかったけど……

って、木下さんも学年第4位の総合点保有者で相手すると考えただけでも絶望モノだけど、この場合一番厄介なのは霧島さんの方だよ!」

「あの長い黒髪の……?」

「うん、あの人が学力最優秀者が所属するAクラスの中でも最も総合点が高いAクラスの代表なんだ!

いくら僕自身の操作技術が高くて召喚獣自身も素早いタイプでも、流石に勝てるかどうか……」

 

 さすがにこれまでの快進撃ももう終わりかと思った明久は頭を抱え、それでもどうにかする方法は無いかと考えだす。

 

「吉井、ワタシに作戦がある………」

「パンドラ?」

「詳しい事は試合場で…… もうそろそろ試合が始まる」

「え? なんで僕の足首を掴んで…… ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

 パンドラに何かの策があるのか、先程から元から無い頭でさらに悩み抜こうとしている明久を足から引き摺って試合場に進んでいく。

 その引きずられていく明久も顔面を打ち付けたからか鼻を抑えながら悶絶しており、パンドラに文句を言いたげである(そもそも鼻の痛みで文句を言える状況でもないのだが……)

 

 

 

 

「……吉井、邪魔しないで」

「って、吉井君は何鼻をさすっているのよ? それになんでさっきからパンドラの方をにらみつけているのよ?」

「木下さん、勝ち負けに関係なく後でパンドラとプロメテを倒すの手伝って。 さっきからFクラスに迷惑しか掛けてこないから軽くオシオキしたいんだ……」

「え…ええ、分かったわ」

 

 先程まで罪悪感を抱いていた自分がバカらしくなって来た明久は、こめかみを引き攣らせながら解放の指輪を装備する。

 

『な……なあモデルZ? 一体お前のパートナーに何があったんだよ?』

『鼻を擦っているあたりで想像が出来るだろ?』

『あー…… 何となく理不尽な目にあわされたってところだけは分かったぜ……』

 

 ライブメタルの方でも状況を察したのか、明久の事が可愛そうになって来たようである。

 

 

「それで? パンドラの作戦って何?」

「さっきの話からよくもワタシに振る事が出来たの……? 今回は貴方は合わせるだけで良い……」

 

 そう言って明久よりも少し前に出てくるパンドラ。

 

「霧島翔子…… 貴方に話がある……」

「……何?」

 

 何をする気なのかと明久を含めた3人で警戒していたが、肝心なパンドラは特に余計なことをせずに何かを話そうとする。

 

「霧島翔子…… 貴方の男がFクラスの教室でストリップショーを始める……」

「……夫を更生させるのは妻の務め」

「「霧島さあああああああああん!?(代表おおおおおおおおおおお!?)」」

 

 

 まさか滅茶苦茶すぎるパンドラの発言を真に受けて高速で試合場から抜け出して試合放棄する霧島。

 驚きのあまりに悲鳴のようなツッコミを上げてしまうが、よくよく考えれば前回の試合でも雄二の頼みでは断り切れていなかった彼女の行動を考えるとあり得る話だった為に優子は悟った様に諦めた。

 

「霧島さん、足も速かったんだね~」

「くっ…… ならここはアタシだけでも……」

 

 一人になっても諦めないとでも言わんばかりに明久達に対して身構えて召喚獣を呼び出す優子。

 

「木下優子…… そのストリップショーでは秀吉も参加予定だって……」

「ヒイイイイイイデエエエエエエヨオオオオオオシイイイイイイイイ!!」

『ちょっ! 優子、何トチ狂って…… って、オイラを握りつぶさんばかりの握力で捕まえるのはやめろおおおお!!』

 

 目が死んだ笑顔のままモデルAを構えながら試合場から出て行ってしまう優子。

 この様子だと完全に明久との約束の事も忘れているだろう……

 

「あ、あの…… 西村先生、試合の方はどうしましょうか…………?」

 

 審判兼フィールド作成を担当するはずだった教師が鉄人に相談している。

 だが、いきなり敵が試合を放棄して行方不明になってしまった以上……

 

 

「こんな状況で試合が出来ると思うのか?」

「そうですか、分かりました………… た…ただいまの勝負、吉井・パンドラペアの勝利です」」

 

 

明久・パンドラチームの勝利が確定した。

 場内が物凄く静かである。 よく見てみると、観客の全員が冷ややかな目で見ている……

 

「……僕、結局何もしてないよね?」

「ここまで大きい釣り針にむしろ食らいついてくるなんて思ってなかった……」

 

 

 それも仕方のない話である。 まさか一番注目されている召喚獣同士の戦いが全く起きる事の無いまま決着が付いてしまっては興ざめもいいところである。

 

「それじゃ! 僕たちはこれでっ!」

 

 ブーイングの嵐が吹き起きる前に2人は逃げるように試合場から出て行った……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最近、井上堅二さんが原作を務める「ぐらんぶる」と言う漫画にハマっています。
イメージとしては「バカテスのノリで大学生として生活していたら?」と言う感じのストーリーとなっています。
井上堅二さんの作品って何度繰り返し見ても必ず爆笑してしまうから不思議ですよね……
他のギャグ系の漫画やラノベは1・2年後には飽きてしまっているというのに……
とは言っても今回の話では全くネタにしていませんがwww


そして今回、理不尽にもヴァンとアッシュが病院送りとなってしまいましたwww
彼らの今後の戦いぶりを楽しみにしていた方には謝っておきます。


代わりと言っては何ですが、次のストーリーでおまけの番外編を出しますのでそちらの方もお楽しみいただけたらと思います。


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