バカとライブメタルと召喚獣   作:閻魔刀

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ここしばらく時間の感覚がおかしくなっている………
いつの間にか一ヶ月経っていて、もう一方の作品も途中で止まってた………

今回は後書きでお伝えした番外編です。


番外編

 テティス達が明久の家に居候して数ヶ月程たった頃の事である。

 

 

 

「全く、なんで僕が買い物になんか出かけないといけないのさ。 居候の上にお金の殆どがアキヒサから来ているから文句は言えないんだけど、だからって……」

 

 今、テティスがいるのは文月にある大規模ショッピングモール。 そこの食材コーナーにて所々赤ペンで〇印を入れられたチラシと買い物用のメモと財布を持って買い物をしていたのだが、向かった先の光景を見て流石に不満を漏らしていた。

 

『今から夕方市特売サービスの時間だよ~! 今日はシイタケと春キャベツ、リンゴとミカンが通常の3分の1ですよぉ~!!』

「「「貰ったああああああああああああああああああああ!!!!!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なんでこんな怖い鬼と化したオバサン集団が大暴れしているような所にあるものまで取ってこないといけないのさ!?」

 

 

 

 

 特売商品目当ての奥様方(通称・鬼、明久曰く”死の超越者(オーバーロード)”)が密集し、獲物を刈り取る猛獣の様に特売品の奪い合いを起こしている光景だった……

 

『あら~、これはすごいわねぇ~…… あの明久がある意味ロックマンになったテティス達よりも相手したくないって言った理由が分かる気がするわね……』

「こんな荒事はむしろアトラスの専門じゃないか! なんでボクがあんな地獄に一人で突撃しなくちゃいけないんだ!?」

『前回はアトラスとシャルナクが行ったらしいんだけど、全然ダメだったらしいわ。

 帰って来た時にめずらしく明久の方が立場強くなって説教していたわよ?「あの化け物の集団を相手に舐めてかかるからこうなるんだ!」って……』

「そんな死地に一人で挑めって言っているの! アキヒサはアキヒサで何考えてるんだ!?」

『そんな事、私に聞かないでよ』

 

 テティスがモデルLと会話している間にも鬼(オバサン)が増えて行き、何メートルもの山と化していた特売品がごっそりと消えていく……

 

「くっ、だけどボクらにもまだやらなきゃいけないことがあるんだ。 かなりずるいけどここはやるしかないかな?」

『全く…… 今回だけよ……』

 

 呆れたとでも言わんばかりの声で応えるモデルL。

 

「『ロックオン!!』」

 

 人目に付かない場所に離れた二人は”一般人”には振るわないと決めていたはずの力を起動させ、ロックマンに変身する……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マダマダイグワアアアアア!!」

「ソノハルキャベツハワタシノモノヨ!」

「クッテヤル! ソノニクヲヒトキレモノコサズニ!! ケキャキャキャキャ!!!!」

 

 最早魑魅魍魎と化していたオバサン集団の戦いも後半戦に突入するかと思ったその時だった!!

 

「『アイスクラッカー&フリージングドラゴン!!!』」

「「「!?」」」

 

 いきなり天井から大量の氷塊と氷でできた龍が降り注ぐ。

 しかもその氷塊は謎の氷の龍によって噛み砕かれ、大小様々な氷の弾幕に変化しつららや雹の様に降り注いでくる。

 

「オバサンとお店には悪いけどお家で食材を求める恩人の為なんだ。 ここでしばらく踏み台になっていてもらうね?」

 

 特売セールに群がる奥様方を床に磔にし、テティスはお目当ての特売品に向かって突き進む。

 だが、その程度の事では、アトラスの手でパワーアップした明久でさえ”超越者”と称する程の”鬼”達は止まらない。

 

「この程度の危機に屈する様では!」

「我が家の台所に!!」

「立てる筈がないだろ!!!!」

 

 奥様(鬼)方は服に縫い付けるように張り付いた氷塊や氷の龍に構わず強引に破壊する。 中には床ごと引き抜いてまで出て来るものまで現れる始末だ……

 

「嘘ッ!? あの氷の弾幕利用して拘束してもまだ動けるの?」

「所詮はお子様よ! あんな小細工で家族の胃袋を預かる主婦の猛攻を止められると思ったか!!」

「貴様は前にやって来た二人組よりも良い匂いを放つが、所詮リトルリーグはリトルリーグ!」

「まだ、お前は特売がなんたるか分かっていない。 野菜の詰め合わせや特売通路の最速への行き方位で満足しているようでは話にならん!」

「苦無や手裏剣の雨?、あらゆる物を焼き払う獄炎の波動がどうした? それで怯える程文月の女は甘くない事を知れ!!」

「『いや、そもそもボク(私)ら特売に参加するの初めてだから!!』」

 

 次元が違った。 テティスとモデルLはそう思った。はっきり言って敵う敵ではなかった。

 アトラスとシャルナクでさえこの”特売品の争奪”と言う分野では赤子にも等しいというのにも納得である。

 例えるならレベル1の竹やりしか持たされていない子供が90クラスのボス部屋に挑むような愚行にも等しい、最悪な選択肢だろう。

 

 

「……なるほど。 戦闘バカやなまじ器用貧乏なだけの奴じゃ勝てないわけだ…… なんて調子の良い事言ってるけど今のボクでも流石に部が悪いや……」

 

 とは言っているが、それでも恩人である明久の頼みに応える為、エネルギーをフルチャージしたフロストジャベリンを構えている。

 

「「「「その闘気、覚悟だけは本物のようだな! いいだろう、なら相手になってやろう。 全力で来るがいい!!!!」」」」

「『オオオオオオオオオオオオオオ!!』」

 

 こうして未来の英雄の力をもつ氷のロックマン(御使い少年)と鬼(特売品争奪専門家のオバサン)との戦いが始まった……

 

 

 

 

 

 

「…………もう転職しようかなぁ」

 

 その一方で店員達は現実逃避し、思考を放棄していた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「結局特売で手に入れたのは冷凍肉二つとキャベツだけか……」

 

 今、テティスは店の近くにあるベンチの近くで憔悴しきっていた。

 そんな彼の手には、溶けかけの冷凍肉と少し質の悪いキャベツが買い物袋に鎮座している……

 

『ま、何一つゲット出来なかったアトラスとシャルナクに比べればマシでしょ? 素直に謝れば明久とヘリオスも許してくれるわよきっと……』

 

 結局、目当ての特売品は殆ど手に入らずじまいだった。

 いや、初めてであるにも関わらず三つも手に入れただけ僥倖と言うべきだろう。

 理不尽な戦力差がありながらも立派に戦い抜いたのだ。 それをほめこそすれど攻めることなど誰にも出来はしない……

 …………そう、あの特売の”鬼”達に完全勝利するなど最早不可能にも等しいのである。

 

「だけど最後の方は本当に死ぬかと思ったよね。 店の中が滅茶苦茶になってて、最終的にピッチフォークだのバーナーや包丁なんかで武装したカートを持ち込んだ店長が大暴れしちゃったんだもん」

『そもそもあそこでロックマンの力を使ったこと自体が間違いだったのよ。「私の店だぞ! お前ら、私の店を荒らしに来たのか!?」とか言い出していたじゃない』

「まっ、ボクだけ素顔見られていないなら大丈夫だろ? ふざけて「ケガ人がいるんだ。 薬を……」とか言っちゃったのは悪かったとは思うけどさ……」

『アンタがケガ人が出そうな状況を作った張本人でしょうが!! 店長さん、思いっきり「盗難行為は許さない!!」とか言って絶叫しながら突っ込んできたじゃないの!』

「あの時の顔は面白かったなぁ…… カメラがあれば撮影して保存して置こうと思ったのに」

『取り敢えず、今回の件は明久とヘリオスにきっちりと報告して置くわよ。 こってり絞られてきなさい』

 

 テティスが納得いかないとでも言わんばかりにブー垂れているが、実際モデルLも力を貸している地点で同罪である。

 流石に一般人相手には使う事は無いと思っていたロックマンの力をフルに使ったにもかかわらず(氷塊を直接当てる様な事はしなかったが……)まともな成果を上げられずに落ち込んでしまう。

 

 

 

 

 

「あらあら……こんな所に買い物袋を片手にうなだれている子供がいるなんて……

ボク~?こんな所で一体どうしたのかしら?」

 

 いろんな意味で落ち込んでいるテティスに声を掛けて来る女性。

 

「ま、アキヒサがあれだけ警告する位だから甘く見てたつもりは無かったけど、予想は超えてたよ…… って、お姉さん誰?」

「通りすがりのお姉さんです♡ もしかして、お使いを頼まれたのに手に入らなくて落ち込んでいたのかしら?」

「うん、大体そんな所…… あの特売狙いのオバサン達、規格外にもほどがあるよ……」

 

 乾いた笑いをしながらガックリとうなだれるテティス。 だからこそ明久とヘリオスが家に帰る度に家計の事で論争を始めてしまう気持ちと明久組の家計の現状を理解してしまう。

 

「そうなの? そう言えば君、確かあの奥様方と特売品コーナーの方を見ていた子よね? いきなり大量の氷が降り注いで来ていたけどケガはないかしら?」

「うん、大丈夫だよ? 運よく全部避けたし」

『こいつ、堂々と大嘘付いてくれたわね!?』

 

 

 先程の特売コーナーでの出来事を見ていたのか、心配して色々と診てくれる女性。

 今の世の中、ここまで他人の子に親切にしてくれる人間も珍しいだろう。

 

「うん、よし! この調子だと大丈夫!!」

「うわっ! 頭撫でないでよ~!」

「あらあら、本当に可愛い反応するわね。 えいえいっ♡」

「あたまなでるなー! 頬をつつくなー!」

「キャー! 柔らかーい♡」

 

 完全にチビッ子扱いである。

 しかも相手に一切の悪気が無い為に余計タチが悪い。

 

「そろそろ暗くなるし、テティス君も気を付けてね?」

「うんお姉さんありがとう!」

 

 数分ほどいじられた末にようやく解放されたテティスはショッピングストアから少し離れた所で女性と別れ、そのまま家に向かう事にした。

 

 

 

『あれ? テティス、ちょっと向こうを見て』

「なんで?」

『いいから?』

 

 が、いきなりモデルLに止められて女性の向かった方へと視線を戻す。

 

「おっ、あのネーチャン可愛くね?」

「いいねぇ…… こっそり拉致ってヤッちゃう?」

「ならいつもの手で行こうぜ? 取り敢えず梱包用のガムテープと、近くにレ〇サスがあったからそれでも強奪して……」

 

 するとその先には怪しい動きをしている男が4人程おり、明らかにゲスな話をしながら先程別れた女性を尾行している。

 

『なんか危ない気がするけど、どうするの?』

「ほっとく、一度話しただけでしかないただの人間だし」

『そう…… ならさっさと帰るわよ。 ”明久が”心配している訳だし』

 

 何気なしにしか話を聞いていなかったテティスだった…… が、モデルLの言葉から明久の名前が出た瞬間、少し前に明久とロックマンとして戦った時の事を思い出し、幻視してしまう。

 

 

 

 ………誰かが困っていたら、助けるのは当たり前。

 ………テティスももう少し人間を見て生きてほしいな。 もしかしたら、少しくらい考え方が変わるかもしれないよ?

 

 

 恩人であったはずの明久との衝突。 きっかけは些細な事だったと思う。

 意味も無く理不尽に海を汚す工場に川に大量のごみを捨てるトラック。

 それらの動機が”それが仕事だから”と一切悪びれない最低な人間達。

 海を……水の世界の命を愛するテティスにはとても我慢がならなかった。

 今のロックマンとしての力をフルに使えばこの国の海くらいは守る事が出来る筈。

 そう思ってこの国の経済基盤となっている工場の全てを破壊する位のつもりで暴れようとした時に明久が命がけで言ってくれた温かい言葉。

 その言葉が無ければ、きっと今頃のテティスはただの指名手配犯として荒み切った人生を送る事になっていただろう……

 

「モデルL、やっぱりあの4人を尾行しよう。 念の為、買った食べ物は氷の倉庫のような物を作っておいて近くに隠しておこう。 あと、相手の戦力が万が一ロックマンとしてのボクよりも上である可能性を考えて、明久にも連絡を入れて置いてくれるかな?」

『そこまでしなくても…… 別に私がいるんだしあの程度なら、明久達を頼らなくてもどうにでもなるんじゃないかしら?』

「念の為にだよ」

 

 そう言って、テティスはモデルLと肉を再冷凍させて保存した後、明久の元に向かわせようとする。

 ……が、モデルLと話をしている間に、男たちは女性を車の中に強引に押し込んでいた。

 

「まてっ!」

 

 とっさにテティスは止めに入ろうとするが間に合わず、逃げられてしまう……

 

「くそっ! 逃げられた!!」

『ちょっ! 私が助けを呼びに行こうとした意味無くなるじゃない!?』

 

 テティスが悔しがっている間にも車は確実に遠ざかっている。

 このままいけば後数秒で見失ってしまうだろう……

 

「ああもうっ!! 万が一の事を考えると若干不安だけど……」

「『ロックオン!!』」

 

 とっさにロックマンに変身したテティスは全速力で追いかける。

 流石にまだ車が低速時であったなら一瞬で追いつき、車を氷漬けにして人質を助け出すなど造作も無かっただろう……

 だが、今の車の速度は確実に上がり続けており、間に合うかどうかはギリギリと言った所である……

 

「間に合ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!」

 

 もう少しでジャベリンを叩き付けて強引に車を止められる……

 そう思った時だった……

 

 

「『え……?』」

 

 ジャベリンを振るおうと力を入れた瞬間、急に車が減速し……

 そして…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 顔面から車の後方に衝突し、勢い余って空中で何重にも高速回転。

 その勢いのまま電柱や壁に何度もぶつけた末に何処かに飛んで行ってしまった……

 

 

 

 

 

 another story ????side

 

 

「おい、なんか後ろから変なのが付いてきてんだけど?」

「はあ? 変なのって一体なんだよ?」

「全身青い服と槍みたいなの持って追いかけて来てるやつだよ」

 

 男の一人に言われて後ろを見てみるリーダー格だと思われる人物が後ろを見てみる。

 その先には言われた事そっくりそのままの事態となっていた。

 

「ま、短距離なら車よりも人間の方が速いって話だしな……っと」

 

 そう言った男が急にサイドブレーキを掛けて急停車させた。

 その時、女が何か言っていたが何を言っていたかは全く聞いていない……

 

「いきなり止めてんじゃねーよ!!」

「「「イエ~イッ!」」」

「話聞けって! こっちは舌噛みそうになってんだよ!!」

 

 槍のような物を構えた青服の少年が車の後部に衝突したのを確認した後、すぐにサイドブレーキを解いて再発進する。

 先程の少年が何処に飛んでいったのかを確認もせずに……

 

 

 another story end……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 男達は数分移動した先にある廃棄工場に到着していた。

 

「むーっ、むーっ!!」

 

 今彼女は運送業者などでよく使われている梱包用の強力なテープを用いて足以外を縛られており、ほとんど身動きが全く取れずにいた。

 

「あ? 逃げたければ好きにどうぞ? 寧ろ楽しみが増えるからよ」

「「「ギャハハハハハハハ!!!」」」

 

 足だけ縛られていないという事はどうにか逃げる事が出来る事の様に思えるが、それは絶望的なまでにありえない事だった。

 一人の女がまともな状況でも逃げ出すのが難しい状況なのにわざと足だけを縛らずにいるという事は、寧ろ逃げ惑う女性を相手に下種で意地汚い行為を惜しげも無く実行しようとする気が満々であるという意思表示でもあるのだ……

 

 

「お? よく見たらこの女坂本のところのじゃね? よく面白そうなことをほざいてツッコミ入れられてるのを見た事があるぜ?」

「マジか? だったらこの女ズタボロにしてやって、その写真でも送りつけてやるか?」

 

 拉致されるまでのんびりとしていた彼女だったが、流石に今の言葉の意味が分かったのかへたり込んだのと同時に後ろに後ずさる。

 そんな彼女を見て男は楽しくなって来たのか、腰のベルトに手を掛けながらゆっくりと追い込むように近寄って来る。

 

「オイオイ…… ここはまず女の方から引ん剝くもんだろ……」

「仕方ねーだろ。 あいつオレらが居ねー時にも街中で下を脱いで、女の子に見せびらかしてるっつー話だしな」

「「すっげー嫌な趣味してんな!!!」」

 

 彼女に近づいていく男、この4人組のリーダー格なのだが……

 典型的な下種で自らの欲望の為に少女に下半身を露出させてから襲い掛かり、たまたま間に入って来た大人と揉め事を起こしては仲間に強引に引き剥がさせ、八つ当たりで殴る蹴るの暴行は当たり前と言う男なのである。

 だが、この街ではかなりの金持ちでもあり、警察の上層部にも顔が利く為か、このレベルの無茶が問題にされないのである。

 実際このグループの仲間もその金と今回の様に拉致した女が目当てで付き従っているに過ぎない。

 そんな下種の手が彼女に向かって伸ばされた瞬間であった……

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………え?」

 

 男の側頭部に6キロ砲丸サイズの氷塊が目にも止らぬ速さでぶつけられた。

 ”グチャッ”と言う嫌な音と共に横に飛ばされた男は地面を転がりながら壁に叩き付けられた。

 よほど効いたのか、頭を抑えながらジタバタと暴れ回り悶絶している……

 

「ちょっと手加減しすぎたかな? 普通あの一発でノックアウトしてもおかしくなかったのに……」

「「「誰だ!?」」」

 

 

 いきなりの声に驚いた3人は声の聞こえた方に振り向き、自身が隠し持っていた武器(メリケンサックやナイフ等)を構える。

 

「誰だって? ははっ、面白い事をいうね? ついさっきボクの事を吹っ飛ばしてくれたのにもう忘れちゃったのかい?」

 

 振り向いた先の薄暗いところからゆっくりと歩いてくる人物には見覚えがあった。

 

「けどね、今の変身したボクにはあの程度の衝撃ではダメージにはならないんだ。 キミ達、ただの人間よりも進化した存在であるボクを倒した気になるならあそこからさらに何度も轢きまくる程度の事はしないといけないんじゃないかな?

 おかげで運よく車の上に張り付くことが出来て、こうしてキミ達に付いて行く事ができたのさ」

 

 この工場に着く前に一度車の後部に突っ込んで行って自爆したはずの青服の少年である……

 先程の言葉が本当ならば、しばらくの間廃工場に着くまで車にしがみつき、到着と同時に男たちの視界に入る事無く別の場所に隠れ、一度やり過ごした事になるのだ……

 

「何訳の分からねえ事を言ってやがる!」

「構う事はねぇ、ただのバカだ! くたばりやがれ、このコスプレ小僧!」

 

 テティスの話を無視した男達は各自散らばって囲う様に突っ込んで行く。

 前方から左右寄りに二人の男がナイフを持って襲い掛かってくる。

 

「遅いなぁ!」

 

 ひとまずテティスは左右から突っ込んできた二人のナイフを避ける。

 それと同時に両者の頭を掴み、今度は一切の手加減をせずに交差方気味に掴んだ頭同士を叩き付ける。

 

「……おいおい、嘘だろ?」

 

 今度は少し力を強くしたのか、先程よりも鈍くそれでいながら痛々しい音が工場内に響く。

 それほどの力に耐えきれるはずも無く、男二人は悶絶する余裕すら無くしたまま気絶してしまった……

 

「ふーん、乙女をいじめるのは得意なくせに毛色が変わっただけの存在を相手取るのは無理なんだ?」

 

 背後に回ったはいいが、結局最後の一人となってしまった男はテティスに見られたとたん、一歩後ずさってしまった。

 

「ま、せっかくちょうど良さそうな相手を見つけられたんだ。 無理矢理にでも実験に付き合ってもらうよ」

 

 テティスの言葉を一瞬で理解できてしまった男はパニックになり、自分だけでも助かろうと背を向けて逃げ出す。

 

「『フリージング・ドラゴン』」

 

 ジャベリンを振るうのと同時に龍のごとくたうつ氷が形成され、逃げ出した男を徐々に追い詰めて行く。

 追尾性が高い為に一般人である男には回避・迎撃は不可能。 防御に至っては論外の為に、氷の龍に噛みつかれた男は一瞬で凍らされてしまった。

 皮肉なことに逃げ惑っていた男の醜悪さに反して、男を閉じ込めている氷は薄暗い廃棄工場の中でも微かに、それでいながらわずかな光の中で美しく輝いていた……

 

「弱いなぁ、こんな簡単にやられるなんて…… やっぱりあのオバサン(特売の鬼)達や店長さんが異常なだけか……」

『あの人間?……達が異常だって言うのは認めるけど、あの男共はまだ死んでないからね!!』

 

 勝手に男達を死んだ事にしようとしているテティスだが、実際に死者は一人も出してはいない。

 モデルLの絶妙な力加減のおかげでギリギリの所で死なずに済んでいるのである。

 因みに最後の氷漬けにされた男の方は精神だけは生きている状態であり、肉体の感覚が無いというだけで今の現状だけは把握できている。

 最初に氷球を叩き付けられた男も若干痛みが引いて来たようで、壁伝いに立ち上がってこようとしている位だ。

 

「ほいっと」

「あべしっ!!」

 

 だが、男を逃すつもりもないテティスは先程ぶつけた物よりも小さい氷球を形成し、男に蹴り飛ばす。

 先程とほとんど変わらない速さで腰に当てられた男は”グキッ”という嫌な音と共に悲鳴を上げながら倒れ、腰を抑えながら悶絶していた。

 この様子だと腰の骨をやられており、数年の間は入院生活を送る羽目になるだろう……

 

「全ク、オ前ノチカラヲ感ジタカラ来テミタガ、一体コイツハドウイウ事ダ?」

「やべっ、モデルP……」

 

 なまじ派手に暴れてしまった事でシャルナクに気付かれた様で、とっさに名前を出さないようにしながらも大慌てで逃げようとするテティス。シャルナクもロックマンに変身している事を忘れたまま……

 

「逃ガス訳ナイダロ」

 

 しかし、先に回り込まれてしまった!

 シャルナクが同じようにロックマンに変身している以上、スピードは圧倒的にあちらの方が上だという事をテティスは今になって思い出す。

 

「あ、あの……」

「ナンダ?」

 

 シャルナクが視線を向けた先には先程から放置されている女性。 梱包用の強力なガムテープで縛られていることに気が付いたシャルナクは現状を把握し、右手に作りだした苦無を持って一瞬でテープを切断した。

 その間にテティスは男たちの服を全部強奪しながら中身をチェックし、その中から適当なスマホを取り出して女性に渡す。

 

「取り敢えずコレで”ケイサツ”とやらに電話しなよ。 あらかたの事は対処してくれるんでしょ?

 ボクらはこの服をその辺で燃やしてから逃げるから、適当に誤魔化しといて」

 

 氷漬けにまでしておきながらどう誤魔化せと言うのは無茶としか言いようがないが、女性は素直に従う事にしたようで、頭をコクンとうなづき、パスワード画面を無視して緊急コールで警察に電話を始めた。

 

「ソレデ? コノ男ドモハドウスル? 放置デイイノカ? 俺トシテハ”ヤリタイ”トコロダガ」

「どういう意味で言ってるのかは分からないけどどっちにしてもやめてくれないかな。 殺さないように力加減するのが寧ろ大変だったんだ」

『力加減したのは”私”なんだけど?』

「チッ……」

 

 舌打ちしながら先程テティスが強奪した衣服から財布など(身分証明になるものを除く)を取り出して、男たちの衣服をドラム缶に詰めるシャルナク。

 近くで見つけた燃料を適当に入れ、ライターに火をつけてそのまま投げ入れた。

 

「あ、あの……」

「……ナンダ?」

「お名前を聞かせて貰ってもいいかしら?」

 

 名前を聞こうとする理由が分からずに若干困惑している二人。

 どうやら他意はないようだが……

 

「ボクは…… ”ロックマン・モデルL”」

「……”ロックマン・モデルP”」

「あ、あの……それ絶対に本名じゃな…… ま、待ってー!!」

 

 結局適当な偽名を名乗った二人は瞬間移動さながらの速さでその場から逃げ出した。

 余計な問答で警察に見つかるという事態を避けたかったのである。

 

「……取り敢えず、どう説明するか考えましょう」

「お姉さん、大丈夫?」

 

 ぴょんと跳んで現れて来たのは少し離れた場所で変身を解いた後に様子を見に来たテティスである。

 シャルナクは「取リ敢エズチカラヲ悪用シタ訳デハ無イ様だ。 ……メンドウゴトハ嫌イダカラ先ニ帰ル」と言って逃げ帰ってしまった。

 

「ええ、少し前にコスプレをしてた青服の男の子に助けて貰ったから……」

「そっ、なら良かった。 所でその青い服の奴って何処に行ったのかな?」

『それテティスの事でしょうが! 堂々とウソつくんじゃないわよ!!』

「なにか慌ててどこかに行っちゃったわ。 警察が怖かったのかしら?」

「さあ? 面倒臭そうな質問攻めが嫌だっただけじゃないの? なんかサイレンが聞こえて来たし、警察が来たんじゃないかな?」

 

 

 倉庫内に突入してきた警官達は中の惨状に驚いていた。 少なくとも通報にあった情報と違って加害者であるはずの男4人は何者かによって痛めつけられ、中には何をどうやったらこうなるのか、氷の中に閉じ込められている人物までいる光景など一瞬で理解など出来る筈もない……

 最終的に男達をフルボッコにした少年の事を誤魔化しながら説明する事は出来た女性だったが、あれだけの事があったからか、かなり疲れ切っている。

 

 

「取り敢えず、ここで何が起こったのかは分かりました。 お二人とも正式な調書を取った後でこちらの方で家に送らせてもらいます」

 

 二人はそのままパトカーに乗せられて、うんざりするほどした同じ説明をもう一度だけした後、パトカーに乗せられたまま各自宅へと送迎された。

 

「ユキノちゃんも気を付けてね!」

「テティス君も風邪ひかないようにしてね」

「そこまで子供じゃないやーい!」

 

 明久達と暮らしているマンションで降ろしてもらい、刑事の護衛(テティスは要らないと言ったが聞き入れてもらえなかった……)が付いてきて自室の玄関にて待ち構えている明久に捕まって家の中へと引き摺られて行った……

 

 

 

 

 

 

 

 

???side

 

 

「わ……私のレク〇スがあああああああ!!」

 

 先程までテティス達がいた廃工場。 そこで強奪された車の持ち主である人物が絶叫の叫び声をあげていた。

 

「あ、こちらの車は貴方のものでしたか。 いやー災難でしたね。 いきなり車を強奪された上に壊されるなんて思ってもいなかったでしょう」

 

 現場に残って調査をしていた刑事が言った通り、彼の眼前には大穴を開けられて破壊された車があった。

 車体は完全にへこんでおり、廃車にされることだけは間違いないだろう……

 

「あそこまで壊されてしまったら廃車にするしかないでしょう。 後は保険会社にでも連絡して対応してもらって下さい」

 

 「保険には入ってるんでしょ?」と刑事が言いながら、車の破損状況の詳細が書かれた紙と記念にとでも言わんばかりに車のハンドルを渡す。 その一方で眼前でトレーラーに回収されて運ばれていく車。

 

「…………そんな」

 

 男はポカンとした顔で力なく膝をついて崩れ去る事しか出来ずにいた……

 

 

 ???side end

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………って事があったのさ」

「お前はどこのヒーロー気取りだよ…… って、実際に未来世界の英雄の力を持ってたか」

 

 そう言って頭を抱えた雄二がツッコミを入れている。

 同時にテティスが霧島の事で協力的な理由も分かってしまった。 あらかた、天然ボケである母親が適当な事を言いだしたのだろう……

 また、悩みの種が増えた雄二であった……

 

「でもテティス君とスーパーで会う様になってからはきちんと買い物が出来る様になったのよ?」

「それ以前にケーキを作る為と言ってホームセンターに行くのは違うと思うよ? あれから数日後にユキノちゃん塩化アンモニウムと硝酸ナトリウム買って来ようとしていたよね」

「「『なんでケーキを作るのに化学薬品をいくつも購入しようとしたんですか(んだよ)!?』」」

 

 あまりにも危険な組み合わせに皆悲鳴のような叫び声でツッコミを入れてしまう。

 

「雄二達のお仕事の邪魔をしたらまずいし、そろそろ他の所も見物に行こうかしら?」

「おう、おふくろも学園祭楽しんでってくれ」

「ユキノちゃん、ボクも付いて行こうか? 案内できる人がいた方が迷わずにいろんなところに行けるでしょ?」「あら、頼もしいガイドさんね。 せっかくだしお願いしてもいいかしら?」

 

 そして二人はそのままFクラスを出て、何処かに行ってしまう。

 一応、テティスは雄二に「いろんな所に案内しながらさっきまで流れてた噂がどうなっているか確認してくる」と言ってから出て行っている為、雄二も特に何も言わずに了承している。

 

 

 

 

 

 

「さて、おふくろも出て行ったことだし…… ってプロメテの奴まだ帰って来ねぇのか?」

「アトラスが様子を見に行っておるのじゃが……」

「……雄二、ストリップショーなんてダメ」

 

 いきなり狂ったような眼でFクラスに突入してきた霧島。

 その手には謎のバッグとスタンガンを持ち込んでおり、雄二に目掛けて躊躇なくスタンガンを叩き込む。

 

「ちょっ、翔子何トチ狂っ…アバババババ!!!」

 

 いきなりの電撃になす術も無く気絶してしまう雄二。

 「……夫の間違いを正すのは妻の務め」と言った霧島は彼を連れてどこかへと行ってしまう。

 

「ヒイイイイイイデエエエエエエヨオオオオオオシイイイイイイイイ!!」

「あ、姉上!?」

『秀吉、今は逃げろ! 今の優子はイレギュラー並みに狂って……』

 

 続いて突入してきたのは二丁拳銃を構えている優子である。

 モデルAが秀吉に逃げるように促そうとしているが、残念な事に秀吉の方に声は全く届いていない。

 

「アンタ、その裾の短いチャイナドレスは一体どういうつもり? アンタが余計なことをすると私もそういう目で見られるからやめろって」 

「はっはっは、何を言っておるのじゃ。 姉上は家じゃと殆ど下着姿で生活しておるではないか」

『数日前まで護衛兼ねて一緒にいたけど、その時にだらしないからやめろって言っても聞いてくれな……』

「モデルA? バラバラに解体されたくはないわよね?」

『オイ! 怖い事さらりと言うなって! オイラに取ってそれシャレにならないんだぞ!?』

「モデルAが何か言っておったのか姉上? っと、今更体裁をとりつくろわんでも……」

 

 秀吉の言葉に何を思ったのか、いきなり彼の手首を掴み、裏の厨房となっているエリアまで引っ張って行ってしまう。

 

「あ、姉上っ! ちがっ!その関節はそっちは曲がらなっ…………!!」

『ちょっ! 何弾倉にフルリロードしてるんだよ! こんな所でぶっぱなしたら警察沙汰じゃ済まな……』

「あら? せっかくだし、秀吉のコピーデータをもっと念入りに収集しておきたかったところなのよね~? コピーショットをあと何発か打ち込んでおきましょうかしら?」

『いくら殆ど威力の無いコピーショットでも短期間に何十発も撃ったら秀吉のメンタルが持たな……ちょっ!ほんとにあぶなっ……』

 

 厨房から聞こえる話から察して体の関節の一部を抑えた上で秀吉のデータを収集しているようである。

 モデルAの声から察するにかなり危険な方法のようだ。

 

「あ、あの娘一体何やってるのよ!」

「エール、流石にあれは止めないと秀吉が危ないんじゃないのか!?」

『行こうエール。 今すぐに彼女を止めないと!』

「ボクも協力する。 ボクも相手ならモデルAの方があまり本気は出さないと思うし……」

 

 エールとグレイはそれぞれモデルXと愛銃を片手に先程優子が入って行った厨房に突入していく。

 中では「愚弟への教育」がどうこうなどと大喧嘩に発展しているようだ。

 それから一分後に話し合いは決裂したようで、ロックマンとなった両者と数秒遅れでグレイが出て来た。

 扉などを破壊しなかっただけましの様にも思えたが、少し離れた所で銃撃戦に発展している為か、大慌てで逃げ出している人物が続出している。

 

「この状況、大丈夫かのう……」

「……非常にマズイ。 ……護衛になる人間が一人も居ない」

 

 1.明久はパンドラと試合中。 シャルナクが念のために見張り

 2.雄二は霧島に捕まって行方不明。

 3.アトラスはプロメテが返ってこない為に捜索中

 4.テティスは坂本母の案内

 5.エールとグレイはキレた木下優子と銃撃戦

 

 このタイミングで何かしらの事件を起こされたらなす術がない。

 

「どうするのかしら? 坂本までいなくなっちゃたし」

「とにかく私達だけでもお客を取り戻さないといけないですね」

「葉月もいっぱいお手伝いするですっ」

 

 女子達はひとまず自分達だけでも動いて少しずつ客を取り戻すつもりのようである。

 この調子で大丈夫なのだろうかと秀吉が頭を抱えたその時だった。

 

「「「ふん!」」」

 

 いきなり謎のチンピラ集団がFクラスに突撃してきた。

 その数は約40人と言った所で、明久達の内戦闘に長けた人物が誰か一人でもいればどうにか撃退できたかもしれなかった……

 だが、その場に残っている戦力ではなかなか事が上手く運ばず、ある程度対抗することで15人位は倒せたが、いかんせん多勢に無勢。

 

「お、お姉ちゃん……」

「アンタ達何するのよ! 葉月を離しなさい!!」

 

 葉月を人質に取られ、全員動けなくなってしまう。

 

「お姉ちゃん~だってさ! かっわいぃーッ!」

 

 吐き気すら覚える下種な発言に怒りを覚えるが、彼らでは人質がいる現状では全く手が出せない。

 FFF団の皆も倒せなかった残りのチンピラに人質をちらつかされながら一方的にリンチに会ってしまっている。

 

「ムッツリーニ、お前だけでも窓から出て、明久達にこの危機を伝えろ」

「……須川、何言って」

「ムッツリーニなら明久達が何処にいるかすぐに分かるだろ? さっさと助けを呼ぶんだ!」

 

 須川のとっさの判断で窓から飛ばされる土屋。 普通なら死んでてもおかしくはないが、うまく着地してその場から逃げ出せた彼は、大急ぎで明久を探しに向かう……

 

 

「取り敢えず女共は全員こっちで人質になっていてもらうぜ」

「お前ら全員に動けなくなっていてもらえれば結構いい金になるんでな」

 

 結局、人質に取られてしまった女子の事で動けずにリンチに会ったFFF団のメンバーは全滅。

 秀吉と女子達はそのままどこかに連れていかれてしまった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




しばらく前からニコニコでの東方projectの幻想入りシリーズにハマっていました。
ロックマンシリーズのキャラが幻想入りした作品とバカテスの幻想入り作品が特に面白くて爆笑していた記憶があります。
キャラの崩壊っぷりがひどい作品も多かったですけど…………

最近はモンハンクロスの体験版もやっていました。
スラッシュアックスのストライカースタイルが爽快感があって楽しかったですね。
ナルガ7分討伐で終われたのはかなり気分が良いです。
上には上がいましたけどwww

次回から本編を再開したいと思います。
感想待ってまーす!!
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