バカとライブメタルと召喚獣   作:閻魔刀

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クリスマスも正月も大忙し。

おかげでバカテストも思いつかなかったのぜ……
しばらくバカテストはお休みしたいと思います。




第9話

「なんとか勝てたけど、なんだかすっきりしないなぁ~」

「吉井のようなまともな神経ならそれでいいと思う…… むしろそれで喜んだり何も感じなくなったりして来たらそれこそまさしく異常……」

「ナラ俺ハ異常カ? 卑怯ナ手デ勝ッテモスカットスルンダガ?」

「うん、少なくとも周りは異常だって言って聞かないだろうね」

「そう言えば姫路さん達はもう教室にいるのかな?」

「まだ確認していないけど、あの子達も勝ち進んでいるからすぐに戻っているはず……」

 

 

 

 普通に会話しているように聞こえるが、実はこの会話、「明久とシャルナクがコンビを組んでパンドラと戦いながら」しているのである。

 恐ろしく器用な事をしながら教室に戻ろうとしている時だった……

 

 

「……明久、大変だ」

 

 先程から探していたのだろうか? 汗だくになっている土屋が明久の元に駆け寄って来た。

 

「どうしたの、ムッツリーニ?」

「何かあった……?」

「…………ウエイトレスが誘拐された!!」

 

 碌に戦う事が無いまま3回戦の突破や異常なまでのクレーマー達からの営業妨害、挙句の果てには誘拐事件など、予想外すぎる展開が続いていた明久はついに事態の把握が仕切れなくなってしまい、とうとう頭が沸騰しかけてしまう。

 

「とにかく、一度教室に連れてって……」

 

 パンドラの指示で一度教室まで戻る事にした4人。

 教室内に入ると、そこは酷いありさまだった……

 

「・・・・・・・・・・・・」

「別にアタシは悪くないもん……」

『いい加減認めろよな~。 騒ぎを起こさずに大人しくしていればこんなことにはならなかったかもしれねーんだから』

 

「まあ、あそこで銃撃戦やって気が付かなかったわたしも悪いから罰事態は大人しく受けるけど……」

『今、この緊急事態の中で罰を受けている時間は無いんじゃないかな……』

 

「なぁ、なんでオレまで正座させられてんだ? そりゃあ、食材を取りに行くだけでもたついたのは悪かったけどよ……」

「うるさい、貴様はなぜ食材を持って来るだけであそこまで手間取るんだ?」

「つーかオレ、今日編入したばっかだぜ?」

「知るか!」

 

1.荒れ果てた教室

2.それぞれ、ござの上に正座させられた上に首に各自の罪状をまとめ上げられた紙を下げさせられて説教を食らわされている霧島・優子・プロメテ・エール・グレイ

3.すでにボロボロでテティスによって離れの保健所に運ばれて(引きずられて)いるFFF団

 

「そんな事より姫路さん達は大丈夫なの!? どこに連れていかれたの!? 相手はどんな連中!?」

「落ち着け明久。 これは予想の範疇だ」

「え? そうなの?」

「ああ。 もう一度俺達に直接何かを仕掛けて来るか、あるいはまた喫茶店の方にちょっかいを出してくるか。 どちらかの方で妨害工作を仕掛けて来ることは予想できたからな」

「予想出来テイタノカ?」

「引っ掛かる事が随所にあったからな」

 

 テティス曰く、喫茶店での仕事をしている一方でなにか考え事をしていたとの事だったが、この違和感について考えていたのだろう。

 

「…………行き先は分かる」

「何それ? 普段使っているスマホと違うみたいだけど?」

「…………GPS追跡と盗聴器の受信アプリが入っている方。 通話は出来ないようにしてある」

「OK、敢えて何で持っているのかは聞かないよ」

 

 友人が犯罪者なんてシャレにならないと思った明久は何も見なかったことにして話を続ける。

 

「さて、居場所が分かるなら簡単だ。 かる~くお姫様たちを助けに行くとしましょうか、王子様」

「? 何が言いたいのかは分からないけど、今回は雄二とムッツリーニに感謝しておくよ。 姫路さん達に何かあったら正直、大会どころじゃなくなっちゃうからね」

「寧ろそれが狙い…… アナタ達みたいな正義バカが相手ならわたしも同じような手を打つ……」

「まっ、オレらだったらそれに加えてその人質もモデルVに取り込んで相手絶望させてやるけど……ぶべらっ!?」

「お前のゲストークに付き合っていられるほど暇じゃない!」

 

 あまりにも最低な事を言いだしたプロメテにアトラスが鉄拳制裁を加える。

 ただの人間だったらすでに病院送りの威力である。

 

「兎に角、まずはあいつ等を助け出そう。 ムッツリーニ、シャルナクとタイミングを見て二人で姫路達を助けてくれ」

「…………分かった」

「リョウカイ…… 誘拐シタ奴ラハ?」

「助け出した後は好きにしろ。 ……好きにな」

 

 最低な笑顔で話を進めて行く二人。 誘拐犯達が流石に可愛そうになって来た明久だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 現在、明久達は誘拐犯達が来たと思われる複合型エンターテインメント施設に付いていた。

 そこから少し離れた所で今後の行動を話し合っている所である。

 

「それで、なんでキサマ等はともかくアタシも一緒に来なくちゃいけないんだ?」

「あんたも一応クラスメイトなんでしょう? それに坂本君がそれなりに考えて連れてきているんだから文句言わないの」

『『絶対に全員病院送りにしたくてこれだけの過剰戦力を集めたな……』』

 

 因みに今この場に入るメンバーは、明久・雄二・土屋・アトラス・テティス・シャルナク・エール・パンドラの8名である。

 人数が多いとはいえ、烏合の衆でしかないヤンキー軍団に大国一つを簡単に制圧できる戦力を惜しみなく使う雄二もなかなかに外道であると、ライブメタル達もこれから潰されるヤンキー軍団の方に同情してしまう。

 

「それで、今中の方はどうなってる?」

「……今、この施設にある隠しカメラを総動員している。 ……見つけた、姫路達”5人”はカラオケルームにいる」

「は? 5人?」

「確カ人質ハ姫路・島田・島田妹・秀吉ノ”4人”ト言ウ話ダッタダロ?」

「……一人増えてる」

「ねぇ、それって誰!? 一体誰が巻き添えになったんだ!?」

「落ち着け明久! で、誰が巻き添えになってんだ?」

 

 明久に揺さぶられてせき込んでいた土屋は、一度息を整えてから気まずそうに答える。

 

 

 

 

 

「…………2年Dクラスの、”清水美春”だ」

 

「「「…………いやいやいやいやいや!! なんであいつ(あの娘)が巻き添え喰らってるの!?」」」

「……待て、音声が拾えた。 ……今流す」

 

 土屋が言うには複数の部屋に監禁されているそうである。

 それぞれの盗聴器を個別のスピーカーに土屋が接続させ、その音声を二組に分かれながら確認する……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 another story 清水side

 

 

 私、清水美春は正直困惑しています。

 クラスの店の都合で仕方なく戻っていた時の事でした……

 

 

 

「なっ、お姉さま!?」

 

 仕事をサボって抜け出してきたその先で見た光景。 それは何十と言う汚い豚どもがお姉さま達を人質に一方的にFクラスの家畜共をリンチにしている光景でした。

 

 

「ちょっ! この豚ども! お姉さまを離しなさい!!」

 

 すぐさま美春はお姉さま達を助け出すためにヘリオスの鈍牛に返すのを忘れていたスタンロッドで攻撃を仕掛けました。

 5・6人程叩きのめして(電流で大火傷させて)後もう少しでお姉さま達を助け出せる……

 そう思い込んでいた美春がバカでした……

 

「このガキ! よくもヒデを!!」

 

 なっ! この家畜、美春の前髪を掴んで!?

 

「美春っ!?」

 

 い、一体何が…… この吐き気……まさか胃に当たるように膝蹴りを……

 ま、マズいですわね…… 何だ……か、目の前がチラついて……

 

「美春!!」

「清水さん!?」

 

 ああ……お姉さま、申し訳ありません…… どうやら美春はこれまでの様ですね……

 あれ? あの豚はすがわ……だったでしょうか? ……”ムッツリーニはまだ来ないのか”……と言っているのでしょうか?

 ああ、あの影の薄い…… この状況で誰かを呼んで来てくれるというのであればそれはきっとあの赤髪ゴリラかでなければ吉井の豚野郎でしょう……

 悔しいですが、今はあの男共に期待するしかありませんね。

 お願いします…… 美春は最悪どうなってもかまいません…… でも一生分のお願いが今ここで使えるのならお姉さま達だけでも助け……

 

 another story 清水side end

 

 

 1室目……

 ここの音声は明久・土屋・テティス・パンドラの4人が確認している。

 

『離しなさい!! この豚野郎ども! ぶっ殺してやりますわ!!』

『ダメです! 怖いお姉ちゃん!』

『妹様! 後ろに隠れていなさいとあれほど……』

 

『うるせぇんだよこのチビ共! おい、確か口ふさぐギャグボールあったろ? ソレ持って来い!!』

『ごめーんそれこの仕事の前に別の女に使ったっきり回収してねー(笑)』

『おいなんだよ(笑)って! 自分の頭小突きながら”ペ〇ちゃん”みてーな顔しても誤魔化されねーぞ!!』

『ちゃんとこういうのは備えとけって言ってんだろ。 この前もおんなじこと繰り返しやがって。 いい加減にしねーとぶち殺すぞ!!』

『『い~やぁぁぁぁん♡』』

『むしろ喜んでんじゃねぇえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!』

 

 

 なぜだろうか? ここだけ聞けば今の所は大丈夫なようにも思える……

 

 

「アキヒサ…………」

「取り敢えず、ここには美春さんと葉月ちゃんが監禁されてるって事だけは分かったよ……」

「監禁しているチームの部下が変態だって事も…… わたしも久しぶりに背筋が凍った……」

 

 あの歴戦も猛者の一人と言っても過言ではないパンドラでさえ背筋が凍る程の変態性に戦慄を覚える明久達……

 

『ココは気持ち悪い変態しかいないって事と多少の時間の余裕がありそうだって事だけは分かったんだから坂本君達の様子を見に行きましょう』

「それもそうだね……ねぇムッツリーニ……この音声、どの部屋から出てるのか調べられないの?」

「……そこまでの事は内部の情報が無いからムリ」

「そうか…… ねぇ雄二どうしよ…… って、どうしたの?」

 

 

 隣では雄二・アトラス・シャルナク・エールの4人がもう一つの部屋の音声をチェックしていただが、4人の表情は恐ろしい程に暗い……

 いや、シャルナクだけはとてつもない激情と殺気を強引に抑えているかのようなちょっと気が強い程度の人間では即座に気絶しそうな目をしている。

 

「アレハ気持チ悪スギル……」

「アタシも流石にアレは吐き気を催すほどに気持ち悪いと思ったよ」

「これ、盗聴に気が付いていて演技しているっていう訳じゃないわよね?」

「少なくとも秀吉のあの悲鳴を察すると演技だとは思えねえぞ? あいつはこういう下手な演技なんて一瞬で見破っちまうからな……」

 

 吐き気すら催すほどの気持ち悪い話とは一体何だったのだろうか……

 雄二がどうにか倒れてもいいと言う覚悟とささやかな勇気を絞り出して彼らが聞いた情報を明久達に伝える。

 

 

 

 2室目……

 

 

 

『さてどうする? 確か、吉井って奴とパンドラって言ったか? そいつら、この人質を盾にして呼び出すか?』

『まて、パンドラって女は知らねえが、吉井って奴は最近ヤバイらしいぞ? 日本刀やら大鎌やらで武装してこの市内を徘徊している奴らを相手に素手で一方的に叩きのめしているって話らしいぞ?』

『おいおい、そんな事できる奴だなんて聞いてねぇぞ…… 良く知ってたなお前?』

『おれあの悪鬼羅刹って奴の弱点を探ってたんだが、その時にたまたま聞いたんだよ。 『吉井の野郎、滅茶苦茶やりやがるな』って呟いていたのを……』

『マジかよ…… そんなヤベエ奴と正面立って向き合える自信ねえぞ?』

『気持ちも分かるがそうもいかねぇだろ? 前金で何十万も貰っている以上は”その二人を動けなくする”って言う依頼を遂行しないといけねーんだから』

 

 

 

「……ここまでは考えられる範疇だったんだ。 ……ここまでは」

「……この後何があった?」

 

 土屋の言葉の後、一度深呼吸をしてから雄二はその続きの録音されていた音声を再生させる。

 

 

『おい、そう言えばトキの奴はどこに行ったんだ?』

『ああ、あいつはあの爺や言葉の女の所にいるぜ? さっきから何をやって……』

 

 ここで一度全員の声が途切れる。

 恐らくそこで振り向いた先の光景を見て絶句していたのだろうが……

 

『なぁ、どうだ?(ハァ…) いいだろ?(ハァ…ハァ…) かわい娘ちゃんの声が聞きたいなぁ~(ハァ…ハァ…ハァ…)』

『『『『kjれいおhj;ぁksdj;fkljぎおらえ;sdjふぉklghらい;おsfじゃsdlる;いdslgdfk;あ(声にならない悲鳴)』』』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」」」

 

 その汚い音声は明らかに秀吉が嬲られているとしか思えない無いようだった。

 先程から姫路・島田姉の声が聞こえないのはそんな気持ち悪い光景を直接見せられて精神的に逝ってしまっているからなのだろう……

 あまりの気持ち悪さに隠密行動中である事を忘れて明久・テティス・パンドラは悲鳴を上げてしまう。

 土屋はどうにか悲鳴そのものをあげずには済んだものの、かなり気分が悪くなっているようで、ポリ袋の中にこれまでに食べた物をすべてぶちまけてしまっている。

 

「どうするのさ雄二! これ、一刻も早く助けないと秀吉の貞操が……」

「ああ、分かってる! だから今アトラスとシャルナクが先に突入して内部を混乱させる手はずに変更している! その隙にムッツリーニと明久で救助に向かえ!」

「僕とムッツリーニで!? 他の皆は!?」

「残りの俺らは全員で出入口の封鎖に掛かる。 ネズミ一匹たりとも逃さねえから思いっきり大暴れして来い!」

「分かった。 …ってムッツリーニはどうするのさ? 一人で大丈夫なの?」

「……大丈夫。 ……オレにはこれがある」

 

 そう言って彼が懐から取り出したのはシャルナクが日常で常備している物と全く同じ仕様の苦無と多数の手裏剣手裏剣にスタンガン。

 さらには叩き付ける事で使用可能になる煙玉が数個程。

 隠密としてこれほど頼もしい武器はなかなかないだろう。

 

「そう言う訳だ明久。 遠慮なくやって来い!」

「「応!!」」

 

 雄二の檄と共に明久はロックマンに変身して、土屋は忍び装束の様な物に早着替えして一瞬で施設内に突入していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 another story アトラス・シャルナクside

 

 

 はっきり言って、彼らはコソコソと動いたりはしない。

 今シャルナクとアトラスはロックマンに変身して堂々と中に入り、エスカレーターを上る。

 そして、その先にあるホテルのフロントに似た受付カウンターに向かう。

 

「オイ、人ヲ探シテイル。 名前ハ姫路・島田・清水・木下ダ。 コノ施設ニ居ル事ハ分カッテル。 具体的ニドノエリアノドノ部屋ヲ使ッテイルノカヲ知リタイ」

「お客様、大変申し訳ございませんが、当店にはお客様の個人情報を守る守秘義務があります。 お部屋の利用状況をお教えするわけにはいかないのです」

 

 アルバイトと思われる青年はあくまでもマニュアル通りに淡々と対応する。

 接客業である事を考えるとこの対応は当然であり、外部に出せと言われたからと言っていちいち個人情報を出すはずもない。 そうでなくてもいきなりコスプレ同然の変な格好をした人物が胸倉を掴みながら聞き出そうという無茶な行いをしているのだからこの対応はむしろ穏便な方ともとれる。

 が、見えない顔の裏でシャルナクとアトラスは小さく笑った。

 

「いや、いいんだ。 どうせ偽名で借りてるかもしれんしな。 念の為に聞いて置きたかっただけだ」

「は、はあ……?」

 

 よく分からない客の態度に肯定すべきか否定すべきか迷いながらもアルバイトはどうにか返答する。

 そこでシャルナクは続けるようにつぶやく。

 

「ソレニ、答エ様ガ答エマイガヤル事ハ変ワラナイカラナ」

「え?」

 

 青年はシャルナクの言葉が理解できずに言葉を発することは出来なかった。

 いや、もしかしたら言葉にする意味すら無かったのかもしれない。

 

 直後。

 

 彼の頬を掠める様に何かが高速で投げ飛ばされていた。

 それは青年の数秒ほど頬元で回転を続けており、そしてシャルナクの手に引き戻されていった。

 それでも青年は理解してしまった。 今投げられたものが何だったのか。 もしこれが自身の顔面に直撃していたらどうなっていたのかを……

 

「ひっ!」

 

 青年は混乱したが、それでも恐怖が限度を超したからか悲鳴を上げる事が出来なかった。

 他の客達も騒がない……いや、”騒げなかった”。 あまりにも異質過ぎる彼らの存在感とこの”異常事態”が行動する事すらも許さなかったのである。

 そして、シャルナクは先程投げた物を今度は複数青年の近くに投げ飛ばす。

 それは彼の周りで回転を続けその周りにたまたまあった電話を一瞬で粉々に砕いてしまう。

 それは彼が先程イメージした事と全く同じであり、これがただの映画などのアクションの撮影シーンとかだったならどれだけよかっただろうかと思い始める。

 

「”まだ”殺すなよ」

「ワカッテイル。 ダガ、モウ少シダケ理解サセタ方ガ良イダロ?」

 

 アトラスの言葉にそう返事したシャルナクは青年に向けていた物の内の一つを簡単に動かす。

 それは別の所に飛んでいき、今度はたまたまフロントに来ていた別の青年が持っていた金属バットを細かく裁断してしまう。

 

「ひっ、ヒイイイイイイイ!!」 

 

 アルバイトの口から情けない悲鳴が上がってしまうが先程の凶悪な切断ディスクのような何かはぴたりと動かない。

 なにか特別な制御機能が備わっているのか、悪魔的な安定感があったのだ。

 先程切断された金属バットの先端を調整するように切断していき切っ先が完全にとがったような状態になるように調整し、その手槍のような物をアルバイトの眉間に突きつける。

 

「おい、勘違いしないように言ってやる。 これは映画やドラマに出て来るような空想の拷問シーンなんかじゃない。 何が何でもキサマから強引にでも情報を聞き出さなくてはならない、なんて言う状況ではない」

 

 ほんの数秒だけ離れていた女の方が戻ってきていた。

 少し離れた所で謎の悲鳴が上がっている。

 ここ以外でも騒ぎはすでに起こっている。 彼らの仲間と思われる人物たちが別ルートで内部に突入し、一方的に蹂躙している可能性が高いのである。

 

「キサマがしゃべってもしゃべらなくてもどっち道答え事態は分かるんだ……」

 

 そして、アトラスはゆっくりと呟くような小声でこう言い放った。

 

「どっちでもいいのに職務に準じてシぬか?」

 

 結局アルバイトの青年は二人から聞いた特徴を元に部屋番号を割り出し、その上、彼女らが監禁されているエリアのマスターキーまで貸してしまった。

 これで見逃してもらえる…… そう思った青年だが、シャルナクが取った行動は彼の予想に反して彼の両手を後ろで縛り上げ、猿轡までしてしまったのである。

 それと同時に青年に数発ほど暴行を加えた後、近くにあった男子トイレの便座室の中に青年を叩き込んだ。

 

 

「「ヨシ(良し)!」」

「良くないよ! 二人共何やってんの!?」

「……騒ぎを大きくし過ぎ」

 

 部屋のマスターキーまで入手する事が出来てお互いの手を叩く二人だが、青年をトイレに監禁する光景をたまたま見ていた明久とムッツリーニが詰め寄って来たのである。

 

「コレデイインダ」

「いや、流石にやり過ぎだって!?」

「……これじゃあ、ただの犯罪者」

 

 絶対に”ただの”犯罪者では済まないと思うが、それを全く意にも介さずアトラスが言葉を続ける。

 

「いや、これだけやっておけば実際に殴り殺されそうになったと言っていい訳が出来るからな。 さすがに表の人間が意味も無く死ねなんて言えるとは思えん……」

「いや、そう言う意図があったとしても理解できないって……」

「それに、ある懸念材料があったからな。 それを含めて考えたらこうした方がいいんだよ」

「なにさ? その懸念材料って?」

「アノ店員ガグルノ可能性ダ」

 

 シャルナクとアトラス曰く、姫路・美波・秀吉はともかく、清水は人によっては中学生にも見えるし、葉月ちゃんに至っては完全に小学生である。

 そんな女の子たちがいかにも不良ですと言わんばかりの男達と共にこんな大規模な遊び場に普通に遊びにやってくるだろうか?

 普通に対応するなら準備に手間取っている振りをして警察を呼ぶか、そこまでいかなくても身分証明が必要になってくるだろう……

 だが、そんな疑問を一切持たずにそのまま普通に中に通している。

 その場合、考えられるのは店員がグルである。 あるいはただの職務怠慢としか言いようがないのである。

 それならば、どちらにせよキツくお灸をすえる意味を込めて、あれほどの脅迫行為を平気でやらかしたのである。

 

「理由は分かったけどさ…… もう少し穏便にできなかったの?」

「なら明久ならどうする気だったんだ?」

「一瞬で殴り飛ばしてカラオケルームのマスターキーを強奪する。 短期決戦で皆を助け出した後で施設を壊しながら脱出する」

「警察ガ来ル方ガ速イ上ニドッチ二転ンデモ犯罪者ジャナイカ!?」

 

 明久のバカな発想に3人は呆れかえってしまう。

 

「…………この施設の地図通りならここがカラオケルーム」

 

 話をしながら向かっている内にいつの間にかカラオケルームに到着したようである。

 

「おい、テメェらなんの用だ?」

「悪いがココは俺らの貸し切りになってんだわ? ガキはお家に帰ってママのおっぱ……」

 

 見張り番らしき二人を瞬殺する明久とアトラス。近くに誰もいない事を確認すると彼らを全裸にし、その服をアトラスの炎で焼き払い、男二人から財布を奪って現金だけを引っこ抜く。

 

「……どさくさに紛れて何をやってる」

「「経験値2を手に入れた! 3万円を手に入れた! 衣服は汚かったので焼きました!!」」

「……」

 

 この滅茶苦茶な発言にもうなにも言うまいと思って考えるのをやめた土屋。

 そうでなくても、彼自身も盗撮写真を使って利益を上げている身なので何も言えないはずなのだが……

 

「最後の確認だ。 今からアタシ等で人質を救出するわけだが、まずは土屋とシャルナクが店員に変装して各部屋に入り込め。 理由は二人に任せる。 それから数秒したらアタシが姫路達のいる部屋に……」

「僕が美春さんと葉月ちゃんがいる部屋に突入だね?」

「ああ、流石に馬鹿な頭でもきちんと入っているようだな」

「いくら何でもきちんと覚えてるよっ!!」

「……どうにかここの警備システムをクラッキングした。 ……これで、暴行事件があっても、物が壊されても、殺人が起こっても”異常は無かった”」

 

 土屋がいつの間にか施設の警備システムに適当なクラッキングを掛けていたようである。

 かなり悪役色に染まっているが、どうやらやるからには腹をくくったようである。

 

『おい、元々坂本の指示では明久と土屋が入る手はずになっていなかったか?』

『アトラスがその辺は調整してやがったぜ? あの赤髪ゴリラ、敵の気持ち悪さのせいで結構冷静さ欠いていたってアトラスが小声で愚痴ってやがったからな』

『『ああ、そう言う事……』』

 

 アトラスの手によって勝手に編成が変わっている事でライブメタル達が雑談感覚で話している。

 雄二の指示と若干違っている編成になっている理由も説明が付く。

 

「それじゃあ行くぞ?」

『『『任務(ミッション)、監禁された人質を無傷で救い出せ!! ミッション……』』』

「「「スタート!!」」」

 

 円陣を組み、各自散開する。

 シャルナクと土屋は潜入の為の準備に。

 明久とアトラスは突撃のチャンスをうかがう為の行動に…… 

 

 

 ここからが本番である……

 

 

 

 

 

 

 一方、雄二達の方はと言うと……

 

「で? ここまでやる必要ってあったのかしら?」

 

 

 雄二・テティスはエールからゲンコツを、パンドラはダブルチャージショット直撃のお仕置きを食らっていた。

 彼らの後方には窓が全て氷漬けにされたり、出入口が大型の廃棄物などで封鎖された施設であった。

 その向こう側では、パニックになったような声が上がっており、明らかに巻き添えを食らった一般客が閉じ込められている。

 

「正直、やり過ぎたと思ってます……」

「全く、ユウジもバカだなぁ。 さっきまで普通に入っていた出入口が全て氷漬けとか普通の人間は驚くに決まってるじゃないか?」

「そう言うテティスも張り切ってた……」

 

 パンドラがテティスを攻めているが、そのパンドラも瞬間移動を使いながら大量の鉄骨や土嚢などを持ち込んで出入口を封鎖していった為、完全に同罪である。

 

「一般人の言う事だから精々出入口を張って逃げ出してきた不良を叩くだけかと思ったら……」

「「「こいつが悪いんです!!(悪い……)」」」

 

 エールが呆れている中、3人はお互いに責任を押し付け合っている。

 雄二はテティスが悪いと指差し、テティスはパンドラが悪いとジャベリンでチクチクと突き、パンドラは雄二の頬に杖をグリグリと押し付けている。

 

「なるほど、良ーく分かったわ……」

「「エールも分かったでしょ!? 本当に悪いのがどっちなのか!!!」」

「分かってもらえたらそろそろ学園に戻る…… そろそろプロメテがワガママを言い出す……」

 

 適当に言い訳をしてその場から逃げ出そうとする3人。

 だが、エールは手を震わせながら右手のバスターにエネルギーをチャージし続ける。

 

「アンタ達が正真正銘のバカ共だって事がねええええええええ!!」

『エール! その威力は雄二君にはシャレにならな……』

 

 ロックマンモデルXとして溜めに溜め、練りに練った最強のダブルチャージショットを放つエール。

 モデルXの制止も虚しく、チャージショットの照準になった3人は(雄二だけは余波だけでだが……)一度空の彼方へと吹き飛ばされて行ってしまった。

 

「全く、あの子たちは……」

 

 先程放ったダブルチャージショット。 それによってえぐれた地面の下に何か光り輝くものが……

 

「何かしら? その辺の金属の破片だとは思えないけど……」

『これは…… 一体?』

 

 謎の金属片に近づいて回収してみるエール。

 その金属片からは何か禍々しい怨念のようなエネルギーが感じ取れる……

 

「なんだか嫌な感じね…… 取り敢えず、回収しておきましょう。 こんな禍々しい物、置きっぱなしにしておくのも危険そうだしね」

 

 そう言ってエールはその金属片を適当なポーチの中に入れて置く。

 そして雄二達が言葉通りに封鎖した出入口をエール自身のバスターで破壊。

 閉じ込められていた一般客を救出しておくことにした。

 

『フゥ…… 元モデルZXのロックマン…… ずいぶんと弱体化してしまったようだね』

「え? モデルX、何か聞こえなかったかしら?」

『…………エール、すまない。 ボクには何のことか分からない』

「そう、ならいいわ……」

 

 その中に一人だけとてつもない危険人物が混ざっていた事にも気が付かずに……

 

 

 

 

 

 




クリスマスも正月も忙しすぎてまともに書けなかったのぜ……

あけおめもメリクリもサビ残続きで俺はもう……

とか言いつつMHXでは特殊ナルガの防具を完成させている男がここに一人www
はい、友人と一緒にやっているモンハンに最低でもついて行ける程度の装備が欲しくてずっとモンハンばかりやっていました。
繁忙期で忙しかったのも事実ですが、それ以外のわずかな休みの時間もモンハンと他作品の感想書きと睡眠に時間を取られてこの話の作成にほとんど時間をさけなかったのぜ……

しかも教えてもらったブロリーの幻想入りらしきものが見つけきれず、代わりに別の幻想入りにハマる始末……
せっかく教えてもらったのに申し訳ありません。

次の話を投稿するまでに見つけたいですね……


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