色々とやっていましたが、一番の問題はもうひとつのSSに集中していたというのが大きいですね。
バカと幻想と舌禍の女神もよろしくお願いします!
どうにか誘拐騒ぎも解決して1日目が終わったFクラスの教室。
今、ここにいるのは大会に出場している僕とパンドラ、試合には負けてるけど一応プロメテと雄二、プロメテとパンドラの見張りの為にエールさんとグレイ君とテティスを合わせた計7人による貸し切り状態になっている。
念の為、ヘリオスと木下さんに事情を説明して、人質に取られていた皆を護衛してもらいながら皆の家に送り届けて貰ってる。
シャルナクとアトラスはどうにかあの誘拐犯達のリーダー格の二人から没収したライブメタルを解析できないかとPCルームのパソコンを勝手に改造して色々と調べて来るそうだ……
「ねぇ雄二?」
「なんだ明久?」
「また霧島さんに叩きのめされたの?」
「翔子はついてきていねぇだろうが……」
だってそう言いたくなるのも仕方がないじゃないか。 頭と右手には包帯が巻かれてて、制服もボロボロ……
こんな事になるとしたら霧島さんと雄二がいちゃついていたくらいしか思い浮かばないじゃないか……
「取り敢えずお前は黙って待ってろ。 そろそろババアが来るはずだからな」
「何でババアがわざわざここに来るの?」
「俺が呼びつけたからだ。 この誘拐の件と言い、一連の妨害は明らかにババアが原因があるはずだからな。 事情を説明させねぇと気が済まん」
『この子達、よくお偉いさんを相手にババア呼ばわりに出来るんだい?』
「全く、この子達には礼儀ってモノが無いのかしら?」
「少なくとも、話すべきことを全く話さないって言うのは十分すぎる位な裏切りだからな。 ババア呼ばわりされても文句は言えねぇだろ?」
え? 話すべき事? 一体何を隠しているって言うのさ?
「……やれやれ、せっかくこっちから出向いてやったって言うのに、随分とご挨拶だねぇ、このガキどもが」
雄二の声と同時にババアが教室に入って来た。
今のババアの目は完全に面倒なクソガキを上から目線で見る人間のそれだった。
「……全く、賢い奴だとは思っていたけど、まさかアタシの考えに気が付くとは思わなかったよ」
「初めからおかしいとは思ってたんだ。 あの話だったら何も俺達に頼む必要は無い。 もっと高得点をたたき出せる優勝候補を使えばいいからな」
「あ、そう言えばそうだよね。 優勝者に事情を説明してどうにか譲ってもらえばいいだけだし」
「お前今更そんな事に気が付いたのか? いくら何でもバカ過ぎだろ?」
「黙れ、プロメテ」
ココは我慢だ。 キレて殴りかかっても意味が無い……
仕返しはロックマンとして戦った時に数十倍にして返してやればいい。
「明久の言う通りだ。 わざわざ俺たちや学力が未知数の編入生を擁立するなんて効率が悪すぎる」
「話を受けて来た共闘の手前、おおっぴらにできないとは考えなかったのかい?」
「話を聞いた限りだとボクはそう思ったんだけど?」
「ボウズ、お前は分からなくても仕方ねぇが、このババアは報酬としてテティスが要求した設備の増強を渋りやがったんだ。 教育方針なんてものの前にまず生徒の健康状態や学習意欲の向上が重要なはずだからな。 教育者側、ましてや学園の長が反対するなんてありえない」
「なるほどね。 つまり学園長は吉井君達を大会に出場させるためにわざと設備増強を渋ったという訳か。 なかなかに最低ね」
エールさんが物凄い呆れてるよ。 もし、姫路さんがこの学園に残りたいって言ってなかったらエールが文月学園を潰しているんじゃないかな?
エールさんって結構正義感が強いみたいだし……
「そして決定的なのは明久とパンドラの試合だ。 4回戦で木下姉と翔子のペアと戦うはずだったんだろ?」
「うん、出まかせ言いたい放題言ったらそれに乗って出て行っちゃったけど……」
でも普段の様子から考えたら、木下さんは秀吉が可愛い服を着ているのが気に入らないみたいだし、霧島さんだって雄二の浮気に関しては敏感じゃないか?
「いや、翔子は一度やるって決めたことは簡単には投げださないんだ。 もし翔子にもこの話が来ていたら絶対に放りだしたりはしねぇ。 今のこの急造コンビなんかどんな能力があろうが関係なく10秒後にミンチにしてお終いになってるだろ」
いちいち雄二の発言が辛辣なのは僕とパンドラのコンビが勝ち進んでいるのが気に入らないからだろう……
そうだ! そうだよ! そうに違いない!!
「なるほどね。 実際に話はアンタ等にしか持ちだしていないからね」
「他にも学園祭の喫茶店ごときで営業妨害が出たりするなんてありえないし、何より姫路達を誘拐してFFF団をリンチにして病院送りにしやがったのが決定的だった」
「確かに、ただの嫌がらせでここまでするのは正直やり過ぎよね」
エールさんも怒り心頭といった感じだよ……
正直、モデルXを握力だけでギリギリ言わせているあたりが余計に怖いんだけど……
「そうかい、向こうはそこまで手段を選ばなかったか……」
「すまなかったね」 そう言って学園長が急に頭を下げて来た。
正直、他の連中ならいくら頭を下げられようが簡単に罵倒できるんだけど、このババア、学園長って言うだけならまだしも相当性格が悪いのか基本的に僕ら子供にはかなりキツイ事ばかり言ってくるし……
でも、立場に胡坐をかかずに年下のボクらに土下座までして頭を下げられるなんて、少なくても学園に関することでは責任感の強い人なのかもしれない。
「アンタらの点数と編入生としてのプロフィールを見て問題ないと最初は踏んでいたんだろうけど、順調に勝ち進んで行く所を見て焦ったんだろうね」
「で? ババアの敵かもしれねぇオレらをこのバカ共と組ませてまでやらせようとした事について。 きっちりと説明してもらうぜ?」
「……おかげで色々と計画が狂った」
え?計画? プロメテとパンドラが何を言っているのかが全く分からないんだけど?
「ハァ…アタシの無能をさらすような話だからできれば伏せておきたかったんだけどね……」
「だから誰にも公言しないでほしい」 そう念を押した学園長は少しずつ真相を明かしてくれた。
全く、最初からそうしてくれていたらアトラス達の対処も違っていただろうけどね……
「アタシの本当の目的はアンタらがアタシの無理難題相手にどう対処していくかなんてものじゃないのさ。 アタシにはアンタらの設備がどうこうなんてどうでも良いんだよ。 目的は今回の大会で出された賞品の内の一つ」
「それってプロメテとパンドラが噂で聞いていた腕輪ってやつ?」
だって、直接学園のシステムに関係しそうなのってあれだけなんだよね。
”解放の指輪”は前のトレジャーハンティング大会以降でも自由に使えるようになってるし。
「そうさ。 その腕輪をアンタらに勝ち取ってもらいたかったのさ」
「僕らが”勝ち取る”? 回収してほしいわけじゃなくて?」
「……ただ回収するだけなら私達にまで依頼する必要性は無い」
「そもそも回収なんて極力避けたいだろうしな」
雄二が学園長を揶揄するように話を振る。
「本当にアンタは頭が回るねぇ。 そうさね。 できれば回収なんて真似だけはしたくない。 新技術は使ってナンボだからねぇ。 デモンストレーションも無しに回収なんて真似したら新技術の存在自体を疑われることになる」
「その言葉は裏を返せば、最悪なケースとしてソレも考えていると白状しているような物だよね?」
「チビは黙りな。 上に立つと色々とあるんさね」
「それで、”白金の腕輪”はアキヒサが手に入れないとダメなの?」
「……欠陥があったのさ」
「…………作品の欠陥は技術屋にとって大恥。 ……それを不当にさらされるのは耐えがたい程の苦痛」
パンドラの言葉に苦々しい顔で応える学園長。
それをさらさないといけないのだから無理もないんだけど……
「その欠陥は吉井や坂本みたいなバカなら全く問題ないのか?」
「正確には吉井や坂本のような低得点者でありながら”操作技術が高い”人間であれば暴走は怒らずに済む。 不具合は一定以下のシンクロ率まで下がった場合だからねぇ。 だから他の生徒には頼めなかったのさ」
「なるほどな。 その”シンクロ率”ってのがなんなのか分からないが、とにかくそれは点数と操作技術力の二つが関係しているらしいな」
今度は雄二が苦笑い…… いや、エールさんも反応に困ってるし、グレイ君とテティスに至っては訳が分からずに?マークを頭に浮かべている始末だ……
「ようは吉井や坂本、オレやパンドラみたいなアベレージの点数が低くてかつ”優勝する確率が高い”バカを使う方が都合が良かったって事だろ? くだらね……」
「今、何気に僕の事をバカにしなかった?」
「安心しろ、お前ら全員をバカにしてる」
「なんだとプロメテ!!」
「落ち着け明久。 変身して剣ぶん回してる地点で否定できねぇだろ……」
くっ、どうやらほかの全員は大人しくしているみたいだし、これじゃあまるで僕だけがバカみたいじゃないか……
「取り敢えず、フィールドを作る段階ならある程度の点数なら耐えられるんだけどねぇ……。 問題はその後の特典を使おうとした時なのさ……」
「「その後の特典?」」
「その内容については後で説明するさね。 身内の恥をさらすみたいだけど、隠してると思われる訳にもいかないからね。 恐らく一連の手引きは教頭の竹原によるものだね。 近接の私立校や、怪しい倉庫やクラブのようなところにも出入りしていたなんて話も聞いたからまず間違いないさね」
「それじゃあこれまでの営業妨害や誘拐事件は……」
「全部竹原っていう悪党の仕業って訳なんだね。 ……ちょっと待ってて、優子姉ちゃんからモデルAを借りて来てそいつを懲らしめに……」
「やめろ、いま襲い掛かった所でボウズがただの強盗犯になるだけだ」
まあ、グレイ君が怒る気持ちも分かるけどさ……
僕もモデルZと一緒になって計画をやめさせようと思ってたぐらいだし……
「あ、でもいざとなったら優勝者に事情を話して回収すれば……」
「それが出来る相手だったら良かったんだけどな…… 決勝戦、だれとぶつかるか見てみろ」
雄二がトーナメント表を取り出して僕に渡した。
書き込まれたトーナメント表を追っていくと、ある一つのチームにたどり着く。
「……常夏コンビだ」
だけど、あの人達はAクラスで協力してくれた二人なんだよ?
事情を話せば素直に渡してくれそうな気もするんだけど……
「どうせ明久の事だから事情を話せば素直に渡してくれるなんて思ってるんだろうが……」
悪かったね! どうせ僕の思考は単純ですよーっだ!!
「あいつ等は基本的に自分本位な奴らだぞ? 報酬次第では教頭に付く可能性も十分あり得るんだよ」
「例えばどんな?」
「面倒な受験をしないで済むように推薦状を一筆してやるなんて言われたら確実に教頭に付くだろうな」
もし雄二の言う事が本当ならあの二人は喜々として腕輪の暴走を引き起こす。
これじゃあ回収なんて成立するはずもない。
「悪いが、なにがなんでもアンタらに優勝してもらうしかないんだよ」
学園長の顔もとても堅い。 事態は深刻な所まで来ているようだ……
「学園長さん、質問があるのですが……」
「アンタは、前のトレジャーハンティング大会に出てた……」
「ええ、今回の誘拐事件の被害者になった女の子の一人に世話になっているエールと言います。 その腕輪の暴走と言うのは点数が高くなければ暴走する事は無いんですか?」
「フィールドを展開するだけで良いなら暴走の危険はないんだけどねぇ…… その後の特典は召喚獣の操作技術につながる”シンクロ率”ってのが高くないと点数に関わらずに暴走する危険があるんさね。 まあ、点数が低ければ大した被害にならないから万が一そいつらが使えなくても不調って事でその場をごまかせると踏んでいるんだけど……」
「なによそれ、結局暴走の危険がある代物なんじゃないの……」
「そうなんだけど、一度優勝賞品として出されてしまった以上は無かった事には出来ないからねぇ。 アタシも学園長としてできるのは暴走のリスクを極力下げる事しか出来ないのさ」
そんな危険なものに僕らを巻き込まないでよ……
まあ、幸い?にも僕とパンドラはロックマンだから、暴走してもけがはしないだろうし、学園長が言う暴走も力が制御できないだけだったら僕らで押さえつける事が出来る。
そういう意味では僕とパンドラが残ったのは僥倖ともいえる展開だろうね。
まあ、チームワークが最悪だから今後の展開が不安なんだけど……
「皆、もう聞きたいことは全部聞けたはずだし、今日はそろそろ帰ろらない?」
「そうだな、家に帰ってやる事もあるし、明日も早いからな」
「ボクはシャルナクとアトラスの二人を迎えに行ってくるよ。 あのライブメタルの事も何かわかったかもしれないし」
「それじゃあ、ボクはエールと一緒に帰る事にする。 瑞希姉ちゃんの事も心配だし、ヴァンとアッシュの二人も病院から出て来て家に戻ってるらしいし」
「「『あの二人の回復力凄いな!?』」」
どうやら姫路さんの料理は毒物などに対する耐性を異常なまでに底上げする効能があるらしい……
アッシュちゃんはなんで帰ってこれたのかは分からないが……
「じゃあオレとパンドラはアジトに戻って……」
「「認めると思ってるの!!」」
どさくさに紛れて兄妹仲良く帰ろうとしている所を僕とエールさんがロックマンに変身して足止めする。
プロメテはともかくなぜかパンドラはあのアミューズメント施設にいった時ロックマンに変身していたらしいし……
この二人がまだ何かを隠している以上、自由に行動させる訳には行かない。
「あー……、悪いけどお前ら、オレらが解放されたからなにかたくらんでると思ってるんだろうけど……」
「……それはムリ。 ……わたし達はアジトに置いてある調整装置で定期的にメンテナンスを受けないと機能停止してそのまましんでしまう」
「いくらなんでもそんな都合のいいことを言われて信じるバカだとでも思ってんのか?」
そうだそうだ! なんだかんだでロックマンがらみのアクシデントも起こっている以上、この二人が無関係だとは思えない。 そんな中であっさりと信じられるはずがないだろう!!
って、思っていたんだけど…… 思わぬところから助け船が出て来る。
「その二人が言っている事は本当だよ…… ボクがこいつらの未来世界のアジトに突入した時に見たんだ。 プロメテとパンドラの調整をする為の特殊な機械を…… そこの機械には数日ごとにメンテナンスをしないと機能停止に追いやられるようになっていて、数日単位でのカウントダウンも刻まれてた」
これが他人から言われた事だったならすぐにプロメテ達の共犯者とみなして追い出すんだけど……
ほかならぬ味方のグレイが言い切るならそれを信用するしかない。
もしそのカウントダウンとやらが今日が末日でメンテナンスを受けないといけない日だったのなら、それをさせずに死に追いやったその瞬間、その責任は僕らに降りかかる事になる。
「ちっ、だがこいつらの言う事が本当だったとしてもそのまま解放するわけにもいかねぇ」
「だが、流石にオレらのアジトに関してまでは教えるつもりもねぇぜ?」
悔しいがココで二人を解放するしかない。
ライブメタルを返す訳にもいかないが、そのメンテナンスの為にココで大人しく返す事にした。
「……先に失礼」
「じゃあまたなー!」
堂々と教室から出て行く二人。
念の為にライブメタルが手元にあるのか確認するがライブメタルは二つともそろっており、彼ら二人がロックマンとして変身する要素は全くない事を考えたら解放しても大丈夫なように思える。
「それじゃ、アタシは学園長室に戻るとするかね。 それじゃ、明日は頼んだよ」
「はい」
こうして学園祭初日は幕を閉じた。
シャルナクとアトラスはパソコンルームを占拠して解析を続ける気のようだ……
another story プロメテ・パンドラside
文月市内の何処かに隠れた廃ビル内。 そこでプロメテとパンドラは特殊な装置の中に入ってメンテナンスを受けていた。
「ったく、さっさと終わってくれねぇかなぁ……」
「……あと3分、終わったら仕込みに行く。 ……わたし達が未来に帰る為に」
そう言う二人の眼には激しい憎悪の念。
まるで未来世界での因縁が全く切れていないかのように小さくも激しく燃え盛っている。
「取り敢えず、オレの方でも仕込みはあらかた終わったぜ? パンドラはどうだ?」
「……あと2割、あのチンピラの余計な騒ぎのせいで予定が狂った」
「ま、それならあいつ等の眼が届いてない内にさっさと終わらせようぜ? 明日に備えてよぉ?」
「……うん、分かってる。 ……絶対に未来に帰る。 ……そしてあんな狂った世界は全部壊して見せる」
プロメテ・パンドラside end
今回、ロックマンエグゼの要素を少しだけですが入れてみました。
これからもその要素を入れて行こうと思っています。
次回の投稿がいつになるかは分かりませんが、可能な限り早く投稿していこうと思いますので、よろしくお願いします。