MMDの方は辞めようかなあ……(´;ω;`)
「それでは、準決勝第1試合を始めます。 両選手前へどうぞ」
学園長との話から翌日、先日の誘拐事件の件から反省した僕らはムッツリーニと雄二の二人で近辺の見回り、姫路さんと美波への護衛としてアトラスと依頼をしたら素直に引き受けてくれたヘリオスの二人に来てもらうなどの徹底した警戒の元で準決勝の試合に臨んでいる。
ちなみにテティスはプロメテが余計なことをしないようにロックマンとして教室で監視+秀吉と一緒にチャイナドレスでの接客を担当してもらっている。
……女装したテティスって一部の女子から襲われるくらいに可愛いから接客に支障をきたさないかが心配だよ。
「それなりに人が集まってきた…… 宣伝効果バッチリ……」
この準決勝からは外部の人たちの出入りも自由になっていることもあり、召喚獣という存在に興味が尽きない外来の客達で大賑わいだ。
監視としてついてきていたシャルナクは入場前にパンドラと何か話をしていたがすぐにどこかに行っている。
出場者ではないシャルナクはこの試合場の中には入れないし、まあそのまま教室に帰るんだと思うけど……
パンドラもこういった声援には慣れていないのか? 顔は相変わらずの無表情だが、周りの観客席を見回すばかりになっている。
「しかも今回の対戦カードは全員がFクラスだからね。 後は雄二の指示通りにすればもう文句のつけようがないくらいの完璧な宣伝になるらしいよ?」
『明久…… なぜそこだけ疑問形なんだ?』
「僕にこの手の話を完璧に理解できると思っていたの?」
『仮に本当にそうだとしてもそう自慢げに語る理由にはならん!!』
明久の堂々とした思考放棄にモデルZもお怒りの説教ばかりである。
「そんなわけだから二人ともしっかりと宣伝よろしくね?」
この会場に来ている男子の視線を集めている3人に声をかけてみる。
案の定、姫路さんと美波…… 特に姫路さんは相当恥ずかしいのか、顔を真っ赤にしながら服の裾を掴んで俯きっぱなしである。
「アキもチャイナ服かメイド服でも来なさいよ! 不公平じゃないのよ!!」
「いやいやいや! 僕なんかがメイド服なんて着たらむしろ宣伝効果下がっちゃうよ!」
「そんなことはないです! 明久君がメイド服やチャイナ服を着てくれたら絶対にかわいいに決まっています!」
たぶん姫路さんの声がマイクに届いていたんだと思う。 客席の一部から……『キャアアアアア!』『アキちゃんサイコー!』『私が作ったボディコンも着てみて欲しいのー!』などと言った声が聞こえる……
……僕、泣いていいかな?
「よ、四人とも試合を始めてもよろしいですか?」
先生もマイクを片手に苦笑いしてる……
「あ、忘れるところだった…… 先生、試合の前にちょっとマイクをお借りします」
先生が何をする気なのかを聞こうとしてきたけど、その前にマイクを奪い取る。
「『清涼祭にご来場の皆様こんにちは』」
ここで宣伝を開始。 モデルZのサポートもあるし、どうにか上手く行くだろう。
「『僕ら4人は二年Fクラスで本格中華を提供する中華喫茶のお店で働いています。 このようにかわいらしい女子も一生懸命に働いておりますのでよろしければお立ち寄りください』」
僕はここでお辞儀をする。 それに合わせて姫路さん達と僕らの召喚獣もお辞儀をしてくれたこともあり、僕らのクラスの印象も十分に残せたと思う。
「それでは先生にマイクをお返しします」
先生にマイクを返したらここでお互いに向き合う。
ここで先生も苦笑いしつつ僕らの宣伝に協力してくれたこともあり、お客のみんなにも余興として受け入れてもらえたようだ。
「アキにパンドラ、二人ともよくここまで勝ち上がれてこれたわね。 それでもウチらには勝てるなんて思っていないでしょう?」
強気な態度で僕らにタンカを切る美波だけど、視線が時々パンドラに向いているのを僕は見逃してはいない。
なんだかんだ言ってパンドラが何かしでかさないかが怖いのだと思う。
「いや…… まあ確かに姫路さんたちは優勝候補の一角なんだけど……
”だからこそ”雄二は二人がここまで勝ち上がってくることは容易に想像できてたみたいだよ?」
そう言って僕は大型ディスプレイに指を向ける。
ほぼすべての科目に対して万能な姫路さんと違って美波には致命的な弱点があるんだから。
Fクラス 姫路瑞希 & 島田美波
教科 ”古典”
点数 399点 & 6点
「こ、古典!? 噓でしょ! 準決勝は数学じゃなかったの!?」
「美波…… 実はあの対戦表なんだけど……」
「な、なによ?」
「雄二の手作りなんだって……」
「だ、騙してたのね!! もう坂本は負けてるんだから別にネタバレしてくれたってよかったじゃないのよ!!」
「いや…… だって、僕らが戦う可能性だってあるんだし? そうそう都合がいいことは言うものでもないじゃないか」
あの対戦表は雄二が対戦科目の指定権をもらった際に仕込んだ時の罠。
確実に優勝しようとコツコツと積み重ねてきた作戦の一部なんだ。
皮肉なことにそれを横からかすめ取るように利用しているのが僕とパンドラなんだけど……
友達の不幸を利用して確実に勝ち上がる僕らはすでに善人とは対極の位置にいることだけはもう覆しようのない事実だろう。
「フフッ…… これで勝負は2対1…… これなら勝ったも同然……」
「その通り! 6点しか取れていない美波の召喚獣なんていないも同然! この勝負、貰ったああぁぁぁ!!」
Fクラス 吉井明久 & パンドラ
点数 ”9点” & ”3点”
「パ…… パンドラ?」
「………………………なに?」
「この点数はいったい何?」
「ドイツで日本の古典は習わない…… 多少の勉強はしててもさすがに無理…… あなたはなぜそんなに自慢げにしていたの?」
「正直、パンドラの点数をあてにしていました」
ものすごくいたたまれない雰囲気である。
観客もこの空気では黙る事しかできないでいる。
「二人ともこの点数でどうするのさ!?」
両者共に一桁の点数…… とてもじゃないが、よくこの大会で勝ち上がってこれたと言いたくなるレベルである。
「…………姫路、島田」
「何よ?」
「何ですか?」
急にパンドラは姫路さんと美波に話しかけてくる。
「吉井が昨日こんな話をしていた。 優勝賞品の中にあるプレミアムチケット…… あれを……」
「「…………あれを?」」
「島田、アナタの……」
「え? もしかしてウチと一緒にアキが……」
「妹に送ろうとしている……」
「殺すわ」
な、なんだ! この尋常じゃないプレッシャーは!? 美波の背中に怒れる龍をほうふつとさせるような真っ赤なオーラを放っている!
それこそまさに某伝説の龍と呼ばれた元極道のように、関東最大の極道連合に単身で乗り込んで簡単に叩き潰せるほどの……
それくらいの命の危機を僕は感じ取っている!!
「妙に仲がいいとは思っていたけれど、まさかこういうことだったなんて……」
目が据わっていて鬼教官モードのアトラスとは全く別の怖さを感じる! これまで僕はアトラスの元で強くなった時を境に美波の足技なんて簡単にいなせるようにはなってきたけれど、それを差し引いてもおなお今の美波は僕にとって優しい姉の皮をかぶった殺人鬼にしか見えなくなっている。
その隣での姫路さんも……
「吉井君が葉月ちゃんのような少女と結婚したがるようなロリコンだったなんて…… 私がどうにかしてあげないと…… アトラスさん達みたいな元悪党なんかにたぶらかされてへんな道に行っちゃったんですね? 私が助けてあげないと…… 私が正しい道へと導いてあげないと……」
などと死んだ目で言いながらどこからか肉厚な中華膨張を取り出し、カボチャやアヒルの丸焼きのようなもの、豚の丸焼きのようなものを取り出して試し切りなんてしてきた……
力のこもっているようには見えない軽い一振りで大根やカボチャは両断されていく……
……姫路さんの細腕のどこにあんな力があったんだろう?
「瑞希! そっちでまずはアキの召喚獣をボコボコにして! ウチがアキ本人をやるわ!!」
「ちょっ、美波! それ、反則!!」
どうにか召喚獣を操作しながら逃げ続ける僕だが、はっきり言ってこの状況は絶望的だ。
片方の気が一瞬でも切れたならその瞬間に僕の召喚獣はすり身にされ、僕自身もフィールドバックによる痛みで動きが鈍ってその隙に美波の足技と姫路さんの中華包丁でさっくりと逝くだろう……
「こんな目に合うなら蓬莱人にでもなって不死身になりたかったよ!」
「わけのわからないことを言ってないでさっさとやられなさい!」
「一瞬であの世に送ってあげますから……」
本気だ…… この二人…… 本気で僕の命を取りにかかってる……
どうする……防御の型”獄門剣”で攻撃をさばいてからカウンターを狙ってみる?
無理だ! さすがに40倍以上の点差がある上に本体である僕の命も狙われている以上、カウンターを狙うだけの能力が今の召喚獣にはない!
疾風牙や破断撃で距離を取りながらヒット&アウェイで戦う?
美波の召喚獣が相手ならいざ知らず、姫路さんの召喚獣相手だと一点も削れない!
「吉井……」
「何、パンドラ?」
「……お疲れ様」
そう言ったパンドラは僕の召喚獣を蹴り飛ばして二人の前に差し出し……
「え? ちょっ! このままだと僕が殺され……ギャアアアア!!」
い、痛い痛い!! 僕の召喚獣が粉砕された事で、僕の全身を粉砕機で砕かれたかのような激痛があああああ!!
姫路さんの召喚獣によって瞬殺された僕は悶え苦しみ続け、痛みに耐えきれなくなった僕はそのまま気絶してしまう。
another story パンドラSide
「もう残っているのはパンドラ、アンタだけね!」
「吉井君の召喚獣同様、一撃であの世に送ってあげますから」
「アナタ達……」
全く…… 吉井に期待せず、念入りに策を敷いておいてよかった……
「……本当にバカ?」
「何ですって? ウチはたまたま古典が苦手ってだけで別にバカでもなんでもないわよ! アンタだって似たようなものじゃないのよ!!」
「美波ちゃんパンドラちゃんの言葉に構うことはありません。 そのまま決着をつけましょう」
「ふふっ、結局アナタ達って正真正銘のバカ…… 見せてあげる。 この古典だからこそできる究極の召還を……」
それと同時に手筈通りに隠れていた”シャルナク”と目を合わせる。
試合前に事前に話し合った作戦…… それはもし吉井も古典の点数が少なかったら帰ったふりをしたシャルナクに目を合わせることで合図を送る。
そして……
「……サーモン『サモン!』」
私の呼び声に被せるようにシャルナクが召喚獣を呼び出す。
それと同時にシャルナクの召喚獣が能力を発動。 フィールド内を3秒だけ暗闇に染め上げ、その瞬間に島田の召喚獣を瞬殺した。
「きゃっ!」
その間に私は音だけで周りの状況を把握しながら姫路の後ろを取る。
ある交渉をする為に首をいつでも締め上げられるようにする。
「ああっ! ウチの召喚獣が!!」
「えっ? ちょっ! 何が起こったんです…… きゅっ!!」
「瑞希!」
「スキあり……」
姫路が驚いているスキに召喚獣の方も背後に回って首筋に木刀の柄頭を当てる。
「おとなしく降参する事を勧める…… そうじゃないと……」
「そう言われて誰が素直にすると思っているんですか! それにこの能力、シャルナクさんの……」
余計なことを言う前に柄頭を姫路の召喚獣の顔面に叩き付ける。
当たり所が悪かったのか、こちらにとって都合よく大量の点数が削られた。
「今度は両目に当てて召喚獣の戦力を潰す……」
「なっ!?」
「ちょっ! あのねーちゃんえげつなさすぎだろ!?」
「本当に女子同士の会話なのかこれ!?」
「会話っていうか……脅迫?」
観客が何か言っているけどどうでもいい……
どうせ嫌われるのには慣れているし、いざとなったら少し涙目を見せて吉井に責任のすべてを押し付けてもいい。
とにかく今は目先の勝利を掴むことを優先したい……
「わ、分かりました! すぐに降参します! ですからこの子を傷つけるのはやめてください!!」
「……審判?」
一応審判に確認は取っておく…… いくら姫路が降参だと言っても審判が認めなかった場合、最悪姫路から手痛い反撃を受ける可能性がある。
もし審判が認めない、あるいは迷う素振りを数秒見せたなら躊躇なくつぶせばいいだけだが……
「……分かりました。 トラブルを利用した姦計を巡らせ、味方もろとも始末した上に女子とは思えない最低な脅迫で屈服させたパンドラの勝利です。
パンドラさん、この試合場から出たら西村先生からお話があるそうです。 すぐに生徒指導室に向かって下さい」
余計な一言と最後の話とやらが気になるが、とにかくこの戦いの勝利を手にした私は気絶した吉井の足を掴んで引き摺りながら試合場を後にした。
姫路の元では召喚獣が泣いているところで姫路が頭を撫でているが……
今はこの勝利を喜ぶべき…… 後は決勝…… これに勝利して優勝すれば”計画”を進められる……
another story パンドラSide end
「パンドラの奴…… 教室に戻ってきた時があの女の最後だからな!!」
「パンドラちゃん…… 次にあった時には容赦しません!」
「瑞希、その時はウチも呼んで! ドイツでの仇と今回騙してくれた一件、絶対に許さないんだから!!」
「お、おい…… お前ら一体どうしたんだ? とにかく島田妹がガチでおびえてるからそこでドスとか包丁を研ぐのはやめとけ……」
「「「雄二(坂本君)は黙ってろ(下さい)」」」
「うおっ!!」
今僕ら3人は忙しいんだ! 僕はパンドラを斬りたい気持ちを抑えながら繁盛している店の料理を延々と作り続け、美波は少し離れたところで包丁やドス、FFF団がよく使っている大鎌の刃を研ぎ、姫路さんに至っては本気でパンドラに復讐したいのか、勝手に食材をいくつか持ち出して禁止されたはずの毒殺料理を作り始めている。
本当だったらシャルナクが止めに入るはずなんだけど、後で聞いたらこの作戦にシャルナクも少なからず関わっていて、一歩間違えたら自身も包丁でブスリと逝ってもおかしくはないほどに激怒した姫路の殺気とパンドラに協力した後ろめたさ…… そして秀吉からの”大嫌い宣言”とそれを盾にした脅しを受けたのをトドメに殺人料理の政策の許可を出したのだった。
「ど、どうしたですか? バカなお兄ちゃんたちが般若や閻魔大王とか不動明王みたいな怖い顔をしているです……」
「ごめんね葉月ちゃん 少ししたら落ち着くと思うから……」
葉月ちゃんには居心地が悪いかもしれないけどここは我慢してもらおう……
今回ばかりは本気でパンドラを潰す!
「酷い目にあった…… 西村は化け物……? 全力で抵抗したのに簡単に押さえつけられた……」
どうやらパンドラは鉄人の元にいたようだ……
まあ、鉄人はアトラスでさえ力押しでは敵わずに軍隊仕込みの格闘技をフルで使い込んでようやく互角らしいから……
パンドラがどれだけ老獪なんだとしてもロックマンに変身できないならあの鉄人を相手取るのは無理だろうね。
アトラス曰く、「鉄人相手に挑むなら未来世界のイレギュラーの部隊を一個中隊相当(最低60体)を集めてから挑まないと……」って言っていたくらいだし。
殺戮マシーンでも本格的に大部隊を組んでからじゃないと勝てないとか正真正銘の化け物ですかアンタ……
「パンドラお姉ちゃん、お疲れ様ですっ!」
「ただいま……」
そう言った葉月ちゃんの手には姫路さんが先ほど作っていた中華のお菓子。
なんでも中に塩漬けした卵を入れて作るお菓子らしいけど……
「お疲れのパンドラお姉ちゃんの為にお菓子があるですっ! よかったらどうぞ!」
よし! 今の僕らが近づけば絶対に警戒されるけど、葉月ちゃんは純粋で裏が無い上に隙だらけだからこそ、なんの問題もなくパンドラ相手でも容易に近づける。
「ありがと……」
そのまま口に含んだぞ! よし、姫路さんがどんな極悪料理を作ったのかは知らないが、そのまま飲み込んでしまえ!
「……あまりおいしくなかった。 苦い……」
「あう…… ごめんなさいです」
「気にしないでいい…… 失敗は誰にでもある……」
あれ? あのお菓子って確かとんでもない猛毒が入っているって姫路さんが言っていたような?
もしかして姫路さんの毒料理ってレプリロイドには効きにくいのかな?
まあ、行動と思考レベルが人間と全く同じだとは言っても機械なんだし、仕方ないのかもしれないけど……
でも、普通にごはんとかは食べたりするみたいなんだよね? その辺も人間に似せているというだけだって言われたらそれでおしまいなんだけど……
なんだかんだ言って葉月ちゃんが出した姫路さんお手製のお茶もマズいって言いながらも普通に飲んでるし……
「フフフ…… ウフフフフフ…… ちゃんと味わって飲んでくださいね? それがあなたの最後の食事になるかもしれないんですから」
姫路さんの目が死んでる…… 詳しいことはわからないけど、シャルナクから聞いた話だと相当酷い手を使ったらしいからそれであそこまで恨んでるんだと思う。
だけど、姫路さんの仕込んだのが全く効いていないというのになんであそこまで笑っていられるんだろう?
「大丈夫ですかお姉さま! 美春はお姉さまがまたひどい目にあわされたと聞いていてもたってもいられずにいまだ繁盛しているお店を勝手に抜け出してまで様子を見に来ましたわ!」
いきなりとんでもないことを言いながら厨房に入ってきた美春さん…… って、何とんでもないことを言ってるんだ!?
……雄二に事情を説明してからDクラスに謝っておかないと。
「雄二…… 申し訳ないんだけど……」
「仕方ねぇ。 俺からDクラスには謝っておくから、厨房に戻ってくれ」
とりあえず厨房に戻って、作り置きが聞く料理を用意してから決勝戦に行こう……
うーん……
感想欄で面白い作品について教えてくれるのはありがたいのですが……
出来ればこう言った作品に直接関係しなさそうな事はメッセージで伝えてくれた方がありがたいカモです(~_~;)
いえ、教えてくれる事自体はとても嬉しいんですが……
なんて言ったらいいんだろう……
今回も楽しんでくれたならありがたいです!
感想お待ちしております!