好きだけど勇気がなくて   作:kumakiti

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初投稿です。
拙い点があると思いますがよろしくお願いします。


出会い

 唐突だが俺は生まれ変わっている。生まれ変わる前の記憶で覚えているのは男だったことと、人と接するのが苦手でいつも一人でいたことだけだった。

 生まれ変わった記憶なんて欲しくはなかった。なぜならこの世界には男なんていないんだから。

 

 この世界には両性具有の人と女性器のみを持っている人の2種類しかいない。俺は残念ながら後者だった。

 皆は両性を男だというが俺から見たら女にしか見えない。

 この世界は性別がおかしなことを除けば前世とほとんど変わらない世界だったが、最初は女しかいないことも自分が女であることにも違和感が拭えなかった。

 

 そんな違和感も俺が小学校に上がる頃にはなんとか慣れることができた。

 前世の記憶はひどくぼんやりとしているけれど前世では独りで死んでいったことだけは覚えていた。それがとても悲しかったことがいつも忘れられなくて、人と話すのが苦手だけどいろんな人と友達になろうとした。

 学年が上がるにつれだんだんクラスの皆が性別を意識しだすようになった。そんな中俺だけ男女関係なく接していた。それがよくなかったんだろう。クラスの女子からいじめが始まった。

 はじめは無視をされるだけだった。でもそれが物を隠す靴の中に画びょうを入れられる。そんなことが続くようになった。

 

 中学に上がれば状況は変わると思ってずっと耐えて、中学まで上がった。

 中学に上がるまで自分は全然気づいていなかったが、どうやら皆には感覚的に女性と男性の区別がついているらしい。俺には全員女性にしか見えないから性差を気にせずに接してきていた。

 だからだろうか、中学では自分のことをビッチだと陰で言われるようになっていた。セックスどころかオナニーすらしていないのに理不尽だ。

 中学に上がってもいじめは止まず、ずっとそれに耐える日々が続いていた。今世の両親はすごく優しい人たちでいじめを知ったらひどく悲しむだろうことは目に見えていたので、心配をかけたくなくてずっと学校での嘘の楽しい話しかしてこなかった。それに自分がいじめられていることを知られるのが恥ずかしくて、失望されるのが怖くて言い出すことができなかった。失望なんてするはずないのに。

 

 その日は他校の中学校と合同で奉仕活動をすることになっていた。市内のゴミを拾うだけだったから、皆とは別れて一人で作業をするつもりだったが俺をいじめている奴に捕まってしまった。

「山本さん、一人だと大変でしょう? 一緒にやろうよ」

 白々しい。どうせ荷物持ちやからかいたいだけだろう。足をかけられたり転んだことを馬鹿にされたりしながらゴミ拾いの時間が終わってごみを捨てることになった。

「私たちがゴミを持っててあげるからゴミを捨てに行こう?」

 てっきり一人で片づけを命じられて捨てに行くことになると思っていたから気味悪く思いながらも一緒に行った。ゴミ捨て場でみんなの分のゴミ袋を捨てていたら突然おしりを蹴られて頭からゴミ袋の山に頭から突っ込んだ。匂いが目に染みて涙が出てきた。こいつらの前では泣かないと決めていたのに涙が止まらない。

「あんた少しかわいいって言われたからって調子に乗らないでよ」

 

 いじめっ子達が言うには他校の男子から私がかわいいと言われていたらしい。そんなことうつむいていたから全然知らなかった。そもそもこの世界は美形ばかりであまり自分がかわいいとも思えない。聞き間違いじゃないだろうか。もし本当だったとしたらその男子を恨む。こんな理不尽な目に合わなくて済んだのに……

 

「おい、やめろよ。その子泣いているだろ」

 

 急に声をかけられて思わず声のした方向を見た。そこには他校の制服を着た男子(多分)が立っていた。白けたと言っていじめていた子たちが去っていく。改めてまじまじと声をかけてくれた少し地味だけどかわいい男の子を見ていると少し手が震えていることに気づく。怖くても声をかけてくれた事実に気づいたと同時に涙で顔がぐちゃぐちゃになっていることに気づいてそんな顔が見られるのが恥ずかしくてうつむいてしまう。お礼を言わなきゃいけないのに。

「立てるか?」

 そう言ってハンカチを差し出してくれた。その後はずっと泣いていてどうにか喋れたのは先生にこのことは言わないでということだけだった。彼は何か言いたそうだったがこれ以上恥ずかしいところを見られたくなくてそのまま別れた。

 その後、彼とは別れて家に帰った。泣き腫らした目を親には見られないようにしながらお風呂に入り、部屋に戻ってからはずっと部屋に閉じこもっていた。その日はなぜかずっと胸がポカポカしていた。

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