好きだけど勇気がなくて   作:kumakiti

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ごめんなさい
R18とR15を間違えて投稿していました。
直接的な描写をする予定はないです。


高校進学

 彼と別れた翌日からも相変わらずいじめは続いた。つらくはあったけれど昨日までとは違って少しだけいじめにも耐えられるような気がした。

 彼の中学とは学区が離れていてなかなか会いに行けなかった…… というのは言い訳でなぜか彼に会いに行くのを考えただけで顔が真っ赤になるくらい恥ずかしくて会いに行く勇気が湧かなかった。

 そもそもほとんど話もせずに逃げるように別れてしまったため彼の名前もどこに住んでるかも分からない上、お礼も言わずに去って行ってしまっていた。そのことを夜に布団の中で思い出すたびに恥ずかしくて呻いていた。

 なんだよ先生には言わないでって、もっと他に言うことがあっただろっ! ハンカチを返さないといけないし、それにありがとうってまだ言っていない……

 そんなことをずっと考えながら布団の中をいつも転がっていた。結局探しようがないから会うことはあきらめてしまった。

 

 中学は楽しい思い出もないまま卒業することとなった。高校はいじめを知っている人から離れるために地元の公立をあきらめて、家から離れた位置にある私立の進学校に決めた。地元から離れた位置にあるためか自分のことを知っている人間は高校にはいないようで、人間関係をリセットすることができたことに安堵していた。

 しかし、人間関係をリセットすることはできても友人がいないことは変わらなかった。人と話すことがすっかり怖くなってしまった俺は周囲が新しく人間関係を構築していくなかその輪に混じれないまま日々を過ごしていた。

 

 入学をしてしばらくしてから休憩時間に廊下を歩いていたらハンカチをくれた彼とすれ違った。思わず振り返って話しかけようとして友人と話しながら歩いているのを見て話しかけずらくてそのままその日はあきらめてしまった。同じ学校ならいつでも話しかける機会があると自分に言い訳をして。

 

 それからしばらく俺は彼に話しかけようとして休憩時間に校内をうろつくようになった。うろうろする中で彼の話を立ち聞きする機会があった。彼は俺と同じ学年で科学部に所属しているという情報を手に入れた。

 最近うろついていたせいか周囲からじろじろと見られている気がする。特に男子がひそひそ話ながら自分を見ていたりするのをよく見かけるようになってからは怖くなって校内をうろつくのをやめてしまった。

 

 でもこれはチャンスなんじゃないか? 彼と同じ部活になれば自然にハンカチも渡せるし、ありがとうも伝えることができる。そう思った俺は入部届をもらって家で書いていた。

 科学部には少人数の男子しかいない。そんな中で一応女である自分が入部したら好きな人がいると勘違いされるんじゃないか。急にそんな考えが浮かんでから入部届を出すのがすごく恥ずかしいことなんじゃないかと思い、出すのをやめてしまった。

 それでも入部をしたほうがいいのかどうか悩んでいるうちに気が付いたら2年になっていた。


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