特殊部隊の取扱い   作:ハエ缶

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相変わらずの不定期更新ですが、失踪せずに投稿していきたいのでまだまだお付き合いよろしくお願いします




味方の敵は味方?

 

入室時のマナーとしてはまずドアをノックして、返事を待ってから開ける。

「失礼します」と言いながら室内に入り、ドアノブを左手で持ち、ドアを押して入室する。部屋の内側ノブを右手に持ち替えて、そのまま右手で静かに閉める。この時、後ろ手にドアを閉めないように心がけるようにすること。

 

入室後は、入り口に近い下座の位置に立つ。

着席は、先方が「どうぞ、おかけください」と言ってから。ハンドバッグや手荷物をテーブルの上に置くことはタブーだ。

小さなバッグはイスの上に、大きめの荷物は足元などなるべく先方から目立たないところに置くこと。

そして、すみやかに本題に入り、だらだら時間を取るのは避けること。

 

以上のことが社会に出てからは特に重要になってくるだろう。今向かっているのは、A級7位である三輪隊の隊室だ。自分より若い上に既にA級、これは目上の人間に対する礼儀を欠くわけにいけないだろう。

 

というわけで、隊室前にやって来たわけでした。今の格好は翁面に和装ではなく、目出し帽にサングラスをかけて上半身はトレーナー、下半身は青色のジャージと完全装備で身バレすることはない。

先の話に戻すが、目上の人間には礼儀を欠くわけにいかない。

が、自分の上司は総司令官だけですので

 

「失礼する」

 

入室します。ノック?返事?知らない子ですねぇ

 

中に入れば、自分を見て身構えている黒髪に茶色がかった紫の目をした青年と、A級1位の幼馴染みである真ん中で分けた長い黒髪と切れ長の目が特徴の美人の2人だけ。

 

青年の方が、A級7位部隊三輪隊をを率いる三輪秀次。

美人の方が、同じく三輪隊のオペレーター月見蓮。

 

「楠か、今すぐトリオン体を解くか別の姿に換装しろ。その姿だと気が散って話が進まない」

 

「一応、自分の正体は機密扱いだからああいう格好をしている訳なんだがな」

 

二人の内、先に自分の正体に気付いたのは三輪であり、三輪の指摘に対して軽口を返しつつトリオン体を解くことのする。

 

解いてから現れるのは、黒い紙を短く纏めた紺色の瞳をした青年。

 

「こんにちわ、月見さん。この姿で会うのは初めてかな?ということで改めて、総司令官直属特殊部隊所属の楠 弥生です。さっきも言ったように、()の正体は機密扱いだからよろしくね」

 

「特殊部隊の話は聞いていたけど、あなただったのね。私たちのことは既に知っているだろうから自己紹介は省くけど、よろしくね」

 

「そうだね、俺()だよ」

 

こちらを軽く睨むように牽制してくる月美をかわすように、視線だけで三輪に話だすよう催促する。

 

「月美さん、楠。本題に入ってもいいか?」

 

 

「どーぞー」

 

月見も三輪に頷き返し、それを確認して話始めた。

 

「先日、行われた“小型トリオン兵一斉駆除作戦”に関連した話だが、楠はどこまで知っている?」

 

三輪のいう作戦とはイレギュラーゲートの原因となった小型トリオン兵、通称ラッドに対する昼夜を徹して行われた作戦の事で間違いないだろう。

 

「どこまで、と言われてもだな。C級隊員の男子中学生が原因となった小型トリオン兵を見つけ、迅と共に解決に導いた。そして、その功績によってB級隊員に昇格。んで、昨日玉狛支部に転属申請を提出したってところかな」

 

迅の名前を出した瞬間に三輪の表情が歪む。こいつは本当に迅の事が嫌いなんだな、昔は迅さん迅さんって感じだったのに

 

「そこまで知っているなら丁度良い。昨日、その隊員が近界民と接触を確認し交戦した。」

 

「隊員同士で?」

 

「近界民とだ。」

 

「そうか」

 

茶々を入れてみれども、美人さんに睨まれるだけ

 

「続けるぞ。交戦したところ(ブラック)トリガーの発動を確認した、能力は“相手の攻撃を学習して自分のものにする”こと。

その後、迅が戦闘に介入。迅とその近界民に面識があり一時停戦した、それからは楠が知っている通り例の隊員と共に近界民は玉狛支部に転属・入隊した。」

 

三輪の話を聞いて思うことは、黒トリガーは奇跡の世代で迅という六人目(シックスマン)が現れたことにより無冠の五将ポジションになってしまった訳だな」

 

「楠、内心どう考えようが勝手だが、口には出すな」

 

「すまんすまん。それで、黄色か灰色か?」

 

「灰色よ」

 

「それは強敵だ」

 

月見も黒(バス)知ってるのか、少し意外。

 

「それで、その時に呼ばれなかった俺たちがどうして今回呼ばれたんだ?」

 

今度は三輪の視線が鋭くなったのを感じたため、話を戻す。

 

「ここからが本題だ。

3日後に遠征部隊が戻る、戻り次第遠征部隊と合流し楠ら含め5部隊合同で黒トリガーを回収する」

 

「回収に伴い、近界民が抵抗してきた場合は?」

 

「抵抗の有無に限らず、近界民は敵だ」

 

_________________

 

作戦の内容や、俺たちの動きを確認したあと三輪隊の隊室をでた。それからはラウンジでカフェオレを買い、屋上へ向かう。

屋上には誰もおらず、ちょうど太陽が地平線に沈むころだった。沈み行く太陽を眺めながら、三輪との会話を思い出す。

 

三輪隊を率いる三輪秀次は先の大規模進攻により、家族を失いボーダーの中でも1,2を争うほどの近界民嫌いで有名な人物だ。そして、俺は三輪を含めた被害者達を裏切らないと決めている。どの立場だろうとあいつらを優先し、味方になると…

 

「よう、楠。…ぼんち揚食う?」

 

「よう、迅。今は一掴みで勘弁してやるよ」

 

振り向きざまに、差し出された袋に手を突っ込み中身を掻っさらう

 

「お前が生身でいるなんて珍しいじゃないか、何かしてたのか?例えば…」

「強盗の相談、とか?」

 

冷たい風が吹き、御互いに黙り向き合う

 

「…どっちに付くか決めたのか?」

 

先に口を開いたのは迅で

 

「俺はまだ考え中だが、命令が下ればその時はその時だな。どっちにしろお前と戦う事はないだろうさ、それに未来はお前がよく知っているだろう、親友」

 

答えたのは()()だ。

 

「前から何度も言っているが、未来は常に動き続けているんだ。お前には空閑遊真(アイツ)の事を知っておいてほしいんだ、アイツも近界民との戦闘で親を亡くしている。アイツも()()()なんだ」

 

 

嘘と本音が混じり、未来は運命となり進んでいく

 

 





楠 弥生【クスノキ ヤヨイ】
2月22日生まれのかぎ座 26歳
元はサラリーマン、4年と半年前の大規模進攻の後にボーダーに入隊した
今では冬島に次ぐ年長者だが、表向きはB級ソロ隊員ということで一部を除き完全に嘗められている。
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