機動戦士ガンダムafter UC 可能性を信じた者達 作:naomi
「泣いてる。俺が」
少女は赤の他人であるカズキの隣になんの躊躇いも無く座る。
「自分が正しいと思ったことと全然違うことになってて泣いてる」
「どうしてそう思うんだい」
「う~ん。なんとなく」
平静を装ってはいるが自分の本心を当てられている気がしたカズキは少女を警戒した。
「お兄さんはね、私と同じ」
「君と俺が同じ」
少女は顔をふっくらさせた。
「君って嫌。私は『ビア・ヴァイス』って名前がちゃんとあるの」
「ごめん、ごめん。ビア…ちゃんと俺が同じってどういうこと」
「お兄さんは【星】を信じてる。私も信じてるから、だから同じ」
「【星】…【星】って何」
「皆が観たんだよその綺麗な【星】」
ふとビアを見たカズキは違和感を覚えた。ビアは髪もボサボサ、身に着けている白い服もボロボロ。この町の中では明らかに異質な存在だった。
「ビアちゃんのお家はどこ」
「ビアは今お家を探してるの、前にいたお家大嫌い。一緒にいた子達とバイバイするのは寂しいけど」
「一緒にいた子って」
「ロッソ、ブラウ、エルプ…他にもいっぱい良い子がいるの。でも一緒にいる大きな人達嫌い。すぐに怒るし叩くもん」
「そっか…」
近くにいる憲兵に保護をお願いする。
真っ先にそのことが思い浮かんだ。だが何故かそれが出来なかった。
気がつくと自室にビアを連れて来ていた。
(何をしているんだ俺はこんなに幼い子どもを…これでは)
「お兄さん。ありがとう」
ビアの予想だにしない言葉にカズキはまた戸惑った。
「今あった知らない人に知らない場所へ連れられて怖くないの」
「うん。だってお兄さんこのまま私と離れたら危ないと思って私を連れて来てくれたもん」
「…約束してくれ。この部屋からはお兄さんと一緒の時以外一歩も外に出ないって」
少女の顔は不満げではあったが小さく頷いた。すると呼び出しのアラートがなる。
「どうした」
「隊長、アンです。Mr.Bより指令が届きました」
「わかった。直ぐに行く。…少し待ってくれるか」
「うん。いってらっしゃい」
急ぎ着替えブリーフィングルームに向かう。
「遅れて済まない」
「いえ。まだ皆揃ったばかりです」
「それで今回の任務は」
「こちらです」
「…これが今回の任務」
「こいつは…」
「本当に僕達がこんな任務を」
「犯罪予備軍の尾行と逮捕が主任務だった俺達が、遂に人探しだってよ。それもこんなガキの傑作だぜ」
指令書を確認するカズキその指令書に写っている子どもは、たった今自分が保護した少女だった。