機動戦士ガンダムafter UC 可能性を信じた者達 作:naomi
恐ろしい偶然に唖然とするカズキを他所に任務の内容をアンが説明し始める。
「この少女はMr.Bの知り合いが経営しているとある養護施設で暮らす子どもで、今回その知り合いからMr.Bが依頼を受けて私達のもとへ回ってきたそうよ」
「いつから居ないんだ」
「居なくなって1年以上経つそうよ」
「1年。こんな少女になんでそんなに手を妬いてるんだ」
「そんなの知らないわ。色々なところに声を掛けて捜索したようだけど一向に見つけられないから、私達に声がかかったそうよ」
「そんな子どもをどうやって探すんだ」
「さぁ、取りあえず目撃情報を元に聞き回るしかないんじゃない」
「…おい。なんだよこれ」
マツウィンが指令書に書かれた支給リスト見て驚愕していた。
「ジムⅢ3機にネモⅢ1機。隊長機にジェガンA型ってなんでこんなガキ1人探すのになんでMS使うんだよ」
「なんでも反連邦勢力もこの子を追ってるって話しだ」
「随分気に入られてるんだなこのガキ」
「…ニュータイプ」
ハクビの一言にその場の全員が凍りついた。
「ニュータイプ…。広大な宇宙空間の環境に適応し人類の中に出現する進化した人類だったか」
「噂では、人の考えを読み取ったり。未来を先読みしたり、ニュータイプ同士だと言葉を交わさずにやり取り出来るんだよな」
「アン中尉。その子どもの最初の目撃場所は」
「ちょっと待ってね…。北米ね」
「一気にクサくなってきたな」
「どういうことだ、おっさん」
「俺の昔いた職場ではある程度知られているが、そこにはかつてニュータイプの研究所があったんだ」
「マジかよ」
「今はもう廃棄になったって聞いたがな」
「でもその近辺で少女が目撃された」
「これはエライ依頼に当たってしまったな」
「そんな面倒事に捲き込まれたたくねーんだけど」
「この憶測に辿り着いた以上後戻りは出来ないぞ、これは連邦の闇だ。辞退してみろすぐに消される」
「勘弁してくれよ」
「元々俺達の仕事も連邦の闇を見てるようなもんだ。事が事なだけでなんも変わりわせんよ」
「…3人はMSに乗れるのか」
「いかにも自分は乗れるって言いたげだな隊長さん」
「俺の出向元は連邦宇宙軍第77MS連隊だ」
「あっそ…バリバリの軍人な訳だ」
「私とマツウィンはモビルワーカーに乗ったことがある程度です。ハクビは…」
「元々俺達の後方支援でひたすらパソコンとにらめっこしたたんだ。乗ったことはねーよ」
(直ぐに戦闘が出来るのは俺とチョウさんだけか…)
「おっさんはどうなんだ」
「…昔知り合いの伝手でちょっと触ったくらいで、乗ったことなんてない」
「どんな伝手だよおっさん」
「…。それだけ重要人物となると迅速に動く必要があるな。アン中尉、Mr.Bに任務了解と打電。それとMSシュミレーターを3台大至急用意して貰ってくれ。3…いや4人には空き時間にシュミレーターでMSの訓練を受けてもらうことになる」
「わかりました」
「30分後。任務に移る各自準備を」
急ぎブリーフィングルームを後にしたカズキ。
(なんてことだ。よりによってあの子が、そんなこと)
カズキはこの短い間で少女とのやり取りの中にあった違和感を思い出し、ブリーフィングで出た仮説に信憑性を持った。
(俺はどうするべきなんだ…)
自室の扉を開けると
「お兄さんお帰りなさい。お風呂ってやっぱり気持ち良いね。何年ぶりだろう」
身体を濡らした少女が部屋中を走り回っていた。思わず背を向けるカズキ。
「なんて格好してるんだ。早く服を着ろ」
「お兄さんどうしたの、顔を赤くして」
「いいから服を着ろ」
「変なお兄さん」
ボロボロの服を着せると神妙な面持ちで腰かけるカズキ。
「あのなビアちゃん。実は」
「バレちゃったね。お兄さんに」
「じゃあ本当に」
「…昔からなんとなく相手の気持ちがわかっちゃったりして、気味悪がった両親に今のお家へ預けられたの」
「…」
「ビアがお兄さん達の言う『ニュータイプ』なのかはわからない。でもお兄さん達の言う通りビアの前のお家はあそこだよ」
(ということは間違いなく養護施設というのは『オーガスタ研究所』…)
「お兄さん…私をどうする」
こちらをじっと見つめるビアの視線にカズキは堪えられず目を逸らした。
「そんなの決まってる。…改めて約束してくれ、俺と一緒にいる時以外は勝手に動かないって」
「お兄さん。ありがとう」
「カズキ。カズキ・アライだ」
「ありがとう。カズキお兄さん」
こうしてカズキの苦悩の日々が幕を開けた。