機動戦士ガンダムafter UC 可能性を信じた者達 作:naomi
「おい。フォックス1大丈夫か」
「…あぁ、すまないどうだ」
「手掛かりは無しですね」
「まぁ流石にこの近辺にいて早々に見つかる訳ないか」
少女の最後の目撃情報が自分達の拠点の側にある町だったためオグロスナは急ぎ目撃場所に急行していた。
「しかしよ、ここは最初の目撃情報から30㎞以上離れてる。1人でこの歳の子どもがここまで移動出来るかね」
「1年以上経っていますが、年齢的にも独力ではかなり困難ですね」
「協力者がいる…」
「そう考えるのが自然か」
「施設育ちで社会常識を知らないであろう子どもにコネクションなんて作れるんですか」
「それもそうか」
「どう思うフォックス1…おい隊長」
「あっ、すみません」
「…」
「ボーッとしてんじゃねーよさっきから」
「すまない。もう一度別れて捜索しよう。60分後ここに再び集合だ」
各々が捜索に向かいに行く。カズキはすぐに後ろを振り向き尾行を始めた。尾行の対象はさっきカズキがぶつかってしまった男。
「なああんた。このメモ書きはどういう意味だ」
人気が少なくなった脇道に入ったところで彼に声をかけた。
「…」
「さっき。ぶつかったとき俺のポケットに忍ばせたろ」
「そのままの意味だ。切り札は早めに捨てることをオススメする」
「…切り札はここぞって時に取っておくべきではないのか」
「そいつは『ジョーカー』。時にお前自信に牙を向く諸刃の剣だ」
「俺は俺の信じた道を進む」
「…そうか。もうすぐテロが起きる気をつけな」
「…確かか」
「直にわかる。お前に【星】の加護が在らんことを」
突然鳴る爆発音次第に銃撃音が八方から聞こえてくる。
「隊長。こちらフォックス3テロが発生。テロリストと数名交戦に入りました」
「他のメンバーにすぐに位置を伝達しろ、俺もすぐに向かう」
通信が終わると既に男は居なくなっていた。急ぎ連絡を受けた地点に向かうカズキ。
「…各員作戦変更。フォックス4は直ちにトレーラーに戻り後方支援。あとジェガンの発進準備を整えてくれ」
「どういうことです。隊長」
「緑色の軍服とその近くで機械らしき物を見た」
「それは…」
「各員周辺を注視。MSが出てこられては手の打ちようが無いため、即時トレーラーに撤退しろ」
「こちらフォックス2。ドワッジ、マラサイ、ゲルググを確認」
カズキはちょうどトレーラーに戻ったところであった。
「いつでも行けるか」
「発進準備は出来てます」
「上出来だ。メンバーが揃い次第このエリアから撤退する用意しておけ」
「このまま野放しにするんですか」
「直に連邦軍の部隊も来る。俺達裏の人間は時間稼ぎをすればいいんだ、ジェガン出るぞ」
バーニアをふかし急行するジェガン。発見したゲルググからすぐに攻撃された。
「…テロリストに慈悲を与えるつもりは無い」
狙いすました一撃でゲルググの左腕を撃ち落とす。
爆発に気づいた2機がジェガンに集中砲火を浴びせる。
(こっちが誘爆を気にしてるからって良い気になるなよ)
巧くバーニアを使い接近してゆくジェガン。
(地球の重力か…宇宙と違って出力と移動スピードのイメージに誤差があるな)
懐に入りマラサイにビームサーベルを突き刺すと即座にシールドミサイルをドワッジに発射。ドワッジがミサイルを撃ち落として生まれた爆煙を利用し近づきドワッジの四肢を切り落とした。
「こちらフォックス1。他にMSは」
「いません。連邦軍の駐留部隊があと10分程で到着する模様です」
「パイロットを捕獲次第撤退する。トレーラーは先に行ってくれ」
「了解」
焼けた町にたたずむジェガン。
「こいつらは関係あるのか」
メモを改めて読むカズキ。
【星】を背負う覚悟はあるか
その一文が意味することとはいったい…。