元トリコ世界の料理人、遠月学園の教師になる(強制) 作:揚げ物・鉄火
日本のある山奥の小さな定食屋の前に高級そうな黒塗りの車が止まり中から数人の黒服の男達が出て来る。
「大丈夫です。仙左衛門様」
「うむ」
周囲の確認を終えた黒服の男達は、車の扉を開けると中から髭を生やし長い髪を後ろで纏めた日に焼けた肌をしたまったく老いを感じさせない老人が出て来る。
「ここが…龍華の店か」
定食屋の扉の前に立った薙切 仙左衛門は、一つ深呼吸してから『定食屋 龍の華』の扉を開ける。
ふわぁ…
「むぅ!!」
パァンッ!
扉を開けた時に漂ってきた臭いだけで仙左衛門の服が破裂し褌一丁となってしまった。
コトコトコトコト…
グツグツグツ…
カカカカカカカッ!
ジュウジュウ…ジュワァ
ピィ―――!!カパッ!
トクトクトク…
「ふ~ん♪ふふん♬」
「さすがだ…」
「あら?いらっしゃいませ。ご注文はどうします?」
仙左衛門が入店してきた事に気づいた店主にして唯一の従業員の神野 龍華は、注文を取る。
「久しぶりだな…龍華」
「あら~?総帥じゃないですかやだー。わざわざこんな山奥までなんの用ですか?」
「実はお主に折り入って頼みたい事があってな…聞いてくれるか?」
「構いませんよ。ただし専属料理人になる気はありませんのでそこだけご注意を。それよりもご注文は?」
仙左衛門の挨拶に軽く返した龍華は再び注文を取る。
「そうだな。では、日替わり定食を頼む」
「畏まりました!日替わり定食一丁!肉はどうします?」
「種類は?」
「牛、豚、鶏とスペシャルがございますが?」
「ではスペシャルを頼む」
「アイアイサー!」
注文を受けた龍華は早速厨房に入り調理を始める。
まず、業務用冷蔵庫の中からキャベツを一玉、卵を四つとパン粉を取り出し調理台の上に並べる。
「油どこかな?」
揚げ物用の栗坊鍋を二つ取り出しそれぞれの鍋にモルス油を入れコンロの火を点ける。
油が温まるまでの間に卵を全て割りボウルに入れ泡だて器で混ぜて溶き卵を作る。
混ぜ合わせた卵の入ったボウルを一度置いてから調理場の裏に置いてある大きめのクーラーボックスを持ってくる。
そして少し大きめのクーラーボックスに手を入れ大きめの四獣のブロック肉を取り出す。
取り出した肉のブロックをまな板の上に置き二代目メルクの研ぎ上げたメルク包丁を当てる。
「ここらへんかな?」
タンッ!
「ビンゴ!」
包丁を一気に振り下ろすと一切ブレることなく一切れの厚めの肉が出来上がる。
その肉の両面に塩コショウを振り薄力粉、溶き卵、パン粉の順番でまぶす。
「ほいっと!」
そのまま肉を低温の油に入れ衣がきつね色になるまで揚げてから一度取り出す。
そして今度は高温の油に入れ高温で一気に揚げる。
揚げている間にキャベツを半分に切り片方だけまな板の上に乗せ一気に刻み始める。
カカカカカカカッ!カッ!
千切りにしたキャベツを皿に盛る。
ちょうどいい感じに揚がった肉を取り出し油を切ってから縦に切り分けて皿に盛り付ける。
トンカツとキャベツを盛り付けた皿を盆に乗せ茶碗に熱々の極楽米を盛り付け、天の絹豆腐の入った味噌汁を別の茶碗に入れ最後にオゾン草の漬物を付け合わせで乗せメニューを完成させた。
「お待たせしました!本日の日替わり定食『四獣肉のトンカツ.オゾン草の漬物寄せ。極楽米大盛り』です。ごゆっくりどうぞ!」
「おお…なんとも香ばしく芳醇な香り。そしてこの肉の厚みと肉汁…それだけでなくこのきめ細やかな米…ゴクリ」
配膳された日替わり定食を前に仙左衛門は生唾を飲み込んだ。
「では、さっそく…」
「総帥?」
「おっと、そうだったな…」
怒気の混じった龍華の言葉に彼女の料理を食べる時の
「いただきます…」
「どうぞ」(*^-^*)ニコッ
手を合わせ食事の前の挨拶を済ませ着替えもした仙左衛門に龍華が許可を出しやっと箸を持つことを許される。
「あむ…むぅ!!?」
一口、口にした瞬間閉じ込められていた旨味が肉汁と共に溢れ出す。
「こ、これは…!?噛み締める事に旨味が肉汁と共に溢れ出す!溶けるような肉質と思いきやしっかりと己の存在感をアピールしている!まるで肉が口の中で激しいダンスを踊っているかのよう!」
仙左衛門の後ろでサンバの衣装を着た肉を擬人化させた男女が激しくサンバを踊っていた。
(ここに米を流し込めば!)
極楽米の盛り付けられた茶碗を持ち、米を一気に流し込む。
「むぐ!?この幸せへの片道切符のようなしっとりとしながらもしっかり存在感を感じ取れる米の上質な味わい!米と肉お互いの存在感をアピールしながらも一切喧嘩せず逆に手を取り合いより一層互いの美味さを引き立たせている!まるで米と肉が優雅に踊っているかのようだ!」
今度は、米の被り物を頭に被った男女が先ほどの肉たちと一緒にボレロを踊っていた。
「味噌汁もどうぞ。今日のは自信作なんですよ」
「うむ」
ズズ…
龍華の言葉に頷き一口味噌汁を飲む。
「これは!」
味噌汁を口に含んだ瞬間口の中で味が爆発する。
「何種類もの出汁が混ざり合い一つの未知なる味を作り出している!先ほど食べた肉や米の幸せで満たされた口の中が未知なる幸せに侵されていく!だがそれでも消えない肉と米の旨味!それらと一切喧嘩する事なく全員で一体感を発揮している。これはまるで日本舞踊のよう!」
今度は出汁を取るために使った食材たちが先ほどの肉や米たちと一緒に日本舞踊を踊っていた。
「じゃあ今度は、お肉、キャベツ、お米の順番で食べてみて下さい。新しい発見がありますよ」
「そうか。それは楽しみだな」
龍華の勧めた順番通りに食べると場面が一気に変わり先ほど食べた食材たちが舞台の上でミュージカルを踊っていた。
「これは…肉!米!キャベツが全員で一つの旨味を演じている!だが…終着点が無い?」
何か物足りなそうな顔をした仙左衛門に龍華が悪戯のような笑みを浮かべながら最後のアドバイスを出す。
「ここですかさず味噌汁を飲んで最後に漬物を食べてみて下さい。それでクライマックスです」
「なに!?クライマックスだと!?」
龍華の言葉を聞いた仙左衛門は、すぐさま味噌汁を口に含む。
「むぐ!?」
その瞬間ミュージカルの役者たちが一斉に動き出し悪役と主人公が対峙し遂にクライマックスまでへのカウントダウンのような音楽が鳴り響く。
「ここで漬物を…」カリッ
オゾン草の漬物を一切れ食べると漬物と思えないほどの瑞々しさと漬けられた事によって何倍にも倍増した野菜の甘味が口の中で大暴れする。
そして遂に
「終幕か…最高のステージだった。出来れば
食べ終えた仙左衛門の着物はまたもや破裂し褌一丁の状態に戻っていた。
「ならデザートにこれをどうぞ。まだ試作中ですが」
「これは…フルーツゼリーか?」
仙左衛門の呟きに龍華はまだまだ完成品には程遠い試作段階の劣化版『虹の実ゼリー』を提供した。
「…!!」
パァン!!
『虹の実ゼリー』を一口だけ口にした瞬間、店の外に待機していた黒服の男達のスーツが弾け飛んだ。
「こ、これは…いちご、マンゴー、パイナップルにキウイ。バナナにオレンジそしてライチの七つのフルーツの味が一斉に向かってくる!まるで甘味の爆弾!これで試作段階とは末恐ろしい」
「そうですかね?私の理想からすればまだまだですけどね。うん、美味しい!」
仙座衛門に提供した『虹の実ゼリー』とほぼ同じ物を食べた龍華は、満足そうに頷いた。
「総帥、何か忘れてませんか?」
「おお、そうだった。危うくお前さんの料理を二度と食べられなくなる所だった」
「ごちそうさまでした」
「お粗末様でした!」
食後の礼をした仙座衛門に嬉しそうに返した。
「さて…本題に入ろうか」
「ええ、良いですよ。前置き無しでお願いします」
「そうか…ならば単刀直入に言おう!神野 龍華よ!お主には遠月学園の教師になって貰う!」
「え!?」
「もちろん拒否権など無い!」
「ええ!?」
要件を伝えた仙座衛門の言葉に逃げようとした龍華だったがすでに半裸のムキムキ男達に取り囲まれていたので逃げる事も出来ずあっさりと捕まりそのまま遠月学園に連れて行かれた。
その数日後、彼女は見事教員の採用試験に見事満点で合格し教師の職に就いたのだった。
「うそ~ん…」
なお当の本人は、ショックのあまり2日寝込んだ。
続きは書けたら書きます。
オリ主情報.
名前.神野 龍華
異名.神の料理人
遠月学園入学2日目に当時の十傑第一席に食戟を挑み一席の地位を奪った。
それから卒業までの三年間ずっと一席を維持し続けた。
人生のフルコースメニュー.
スープ.『センチュリースープ』
魚料理.『フグ鯨、サンサングラミー、王陸鮫の刺身盛り合わせ』
肉料理.『
サラダ.『オゾン草と7種の野菜のサラダ』
デザート.『虹の実ゼリー(完成形)』
ドリンク.???