バカと双子と二刀流   作:ペンギン太郎

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俺と海辺とお祭り騒ぎ Part 4

 ナンパをしに行った明久と雄二を抜きにして昼食を食べた後、俺は秀吉と優子に腕を組まれながら砂浜を歩いていたのだが。

 

 

 『おい見ろよ。アイツ、美人の双子に腕を組まれてるぞ』

 『まさか、双子の姉妹と二股してるって言うのかよ』

 『ねぇねぇ、あの双子に腕を組まれてる彼、よーく見たらイケメンじゃない』

 『あ、それは言えてるわね。いいなぁああいう美男美女のカップルって』

 

 

 なんだろう。滅茶苦茶注目を浴びてるんですけど。

 只でさえ、二人は学校内じゃ有名になるくらい美人だし、俺と腕を組んで歩いていたら注目を浴びるのも至極当然か。

 

 「な、なぁ二人とも。俺達妙に目立っているみたいだし、一旦離れた方が━━」

 

 「「イヤ(じゃ)」」

 

 「即答かよ」

 

 「ワシと姉上はお主と付き合っておるのじゃから別に大したことではないぞい」

 

 「こうした方が変にナンパされずに済むんだし、別に構わないでしょ」

 

 二人は何が何でも絶対にその手を離さないと、頑なに拒否する。

 

 「そ、そうだな。じゃあ今から何して時間を潰そうか・・・・・・ん?」

 

 「どうしたのじゃ斗真」

 

 「いや、あれなんだけど・・・・・・(スッ)」

 

 俺が指差した方向を見てみると、明久と雄二が血眼になって何かを探していたのだった。まぁ、あの様子からしておそらく。

 

 「あら?吉井君と坂本君だよね。あの二人、何してるのかしら?」

 

 「おそらく声を掛けやすい女を探してるんだろうな。さっきナンパがどうのこうのって言っていたし」

 

 「全く。あやつらは一体何を考えておるのか理解に苦しむのう」

 

 「ねぇ斗真。吉井君達がナンパをしてる理由ってひょっとすると━━」

 

 「ああ、姫路さん達にモテないとかナンパはできるわけがないって散々言われてたから自分達だってナンパの一つくらいはできると勘違いして躍起になっているな」

 

 「あの二人は本当に単純じゃのう」

 

 「本当、二人には代表と瑞希がいるっていうのになにやってんのかしら」

 

 二人は呆れた表情をしながら明久達を見つめる。

 

 「とりあえず、あの二人を少し観察してみるか」

 

 「そうね。ちょっと見てみようかしら」

 

 二人に気付かれないよう、俺達三人は近くの岩場に隠れながら二人のナンパするところを見てみることにした。

 

 

 

 

 

 明久と雄二が何か話をしながらナンパできそうな女性を探していると近くにいた女性グループがカメラで写真を撮ろうとしていたが

 

 

 『じゃあ撮るよ〜。はい、笑って〜って、あれ?』

 『うん? どうかしたの?』

 『ごめ〜ん。メモリーがいっぱいだった〜。今消すからちょっと待って〜』

 『もうっ、早くしてよね』

 

 

 『『うぉぉおおおっ!!』』

 

 二人は写真を撮ろうとした女性の声が聞こえた瞬間、砂浜を駆け出して声のした方へと全力疾走した。

 

 『てめぇ明久! その全力ダッシュはどういうつもりだ! お前は後からゆっくりついてきやがれ!』

 

 『雄二こそなんだよその爆走! 余裕がなくてみっともないよ! 向こうは遠く離れているんだからゆっくり歩いてきなよ! 僕が先に話題を作っておくからさ!』

 

 『い〜やっ! お前のやることは信用できねぇ! ここは俺に任せておけっ!』

 

 『くっ! そうはいくかっ!!』

 

 明久は雄二と小競り合いをしながら全力で走る。

 

 

 『お待たせ〜。じゃあ撮るよ』

 『はーい』

 『今度はちゃんと撮ってよね〜』

 

 

 『『うぉおおおっ!!』』

 

 写真を撮ろうとしていた女性達の元に辿り着いた二人は息を切らしながら声を掛ける。

 

 『ハァハァハァ・・・・・・。お姉さん・・・・・・ハァハァ・・・・・・キレイ、ですね』

 

 『ハァハァハァ・・・・・・。良かったら・・・・・・ハァハァ・・・・・・水着の写真を、ハァハァ・・・・・・撮らせて・・・・・・ハァハァ・・・・・・下さい・・・・・・』

 

 『いや・・・・・・ハァハァ・・・・・・僕が撮って・・・・・・ハァハァ、あげます・・・・・・ハァハァ』

 

 

 『『『・・・・・・・・・・』』』

 

 

 明久達を冷ややかな目で見た女性グループは警察に連絡し、二人はヤバいと感じたのかその場を即座に離れたのであった。

 

 「はぁ、あれじゃあ通報されるのは当たり前だろ」

 

 「いきなりやらかしてくれるわね。あの二人は」

 

 「呆れて物も言えぬぞい」

 

 

 

 

 

 『・・・・・・まさか、警察を呼ばれるとはな・・・・・・』

 

 『・・・・・・何が・・・・・・いけなかったんだろうね・・・・・・』

 

 明久達は折角のチャンスかと思い近づいたものの、二人はお姉さん達から冷たいを通り越して、辛辣な反応をされてしまい、通報される破目になった。明久達はわかってなさそうだがあれは誰がどう見ても変質者に見えてしまうのは至極当然だ。

 

 『もしかしたら写真を切っ掛けにするのは難しいのかもしれないね。ほら、ムッツリーニと違って僕らはカメラが似合いそうにないし』

 

 『確かにそうだな。写真を上手く撮るようには見えないだろうからな』

 

 俺からすればあの二人にはそれ以前に問題があると言いたいんだが。

 

 『だとしたら、アプローチの方法を考えるか』

 

 『その方がいいだろうね』

 

 それでもめげずにやり方を変えてナンパをしようと二人は画策した。ま、失敗するのはわかりきったことなんだが。

 

 「行こうか二人共。どうせあの二人はまた失敗するだろうし、見てるだけ時間の無駄だからな」

 

 「「そうね(そうじゃな)」」

 

 バカ二人がまた何かしでかす前に俺達三人はその場を後にした。

 

 

 

 

 

 「はい、斗真。あ〜ん」

 

 「お、おい優子。いくら俺達が付き合ってるとはいえ、こんな人前で・・・・・・」

 

 「何よ。代表の家で愛子からしてもらった時は嬉しそうにしてたじゃない。アタシからのあ~んはダメなのかしら?」

 

 「い、いや。別にそういうわけじゃ・・・・・・」

 

 あの場を離れた後、俺達は近くの売店でかき氷(メロン味)を買って三人で仲良く口にしていた。二人が先に食べて次に俺がかき氷を食べようとしたら「斗真にはアタシから食べさせてあげる」と優子が言い、今俺にあ〜んをしている。

 

 「むぅ。ワシも斗真にあ~んをしてやりたいのに・・・・・・」

 

 秀吉は俺と優子のやり取りを見て少し妬いていた。

 

 「ほら斗真。かき氷も溶けかかってるから早く食べなさいって」

 

 「お、おう」

 

 「それじゃ、あ~ん」

 

 「あ、あ~ん」

 

 優子にあ~んされてかき氷を口にするが、既に溶けていたためメロンシロップと水が混ざった味しかしなかった。

 

 「どう、斗真?」

 

 「どうって、もうかき氷は溶けていたから只の水の味しかしないんだが」

 

 「ちょっと、そこは嘘でも『おいしい』って言いなさいよ。折角の良い雰囲気が台無しじゃない」

 

 「あ、悪い優子。気が利かなくて」

 

 「もぅ・・・・・・」

 

 「姉上。次はワシが斗真にあ〜んしてやりたいからそのかき氷を貸してはくれぬかの」

 

 秀吉はかき氷を貰おうと優子に迫るが

 

 「絶対に嫌。斗真にあ〜んするのはアタシの役割だから秀吉には絶対に渡さない」

 

 「な、なんじゃと!? ワシとて斗真にあ~んはしたいのじゃ!自分だけ独占するのはズルいぞ!」

 

 優子からの一言に秀吉はカチンときたからか、優子からかき氷を奪い取ろうとする。

 

 「ちょっと秀吉!止めなさいよ!」

 

 「姉上こそ大人しく渡すのじゃ!」

 

 二人は頑なに渡したくないのか互いにかき氷を持って取り合っている。おいおい、そんなことしたら折角のかき氷が

 

 

 ツルッ、ビチャッ

 

 

 「「あ」」

 

 「あああああ━━!!」

 

 持っていたかき氷は二人が取り合っている最中に滑ると同時に宙に舞い、俺の頭に落ちた。落ちると同時にあまりにもの冷たさと痛さが合わさったか、俺はその場で悶絶してしまう。

 

 「と、斗真。大丈夫!?」

 

 「これのどこが大丈夫だ!頭が滅茶苦茶冷たいぞ!!」

 

 「す、すまぬ・・・・・・」

 

 「ごめんなさい・・・・・・」

 

 かき氷を俺に当てたことを悪いと思ったのか二人は申し訳なさそうに俺に謝る。

 

 「と、とりあえず二人共・・・・・・。どっかからタオルを持ってきてくれないか。こ、このままじゃ頭がキンキンになりかねん」

 

 「わ、わかったわ。秀吉」

 

 「う、うむ。今すぐ持ってくるぞい」

 

 秀吉はタオルを取りにペンションに戻り。優子は俺の側に残り、秀吉が来るまでの間看病してくれた。

 

 

 

 

 

 「痛ってぇ〜。頭が未だにキンキンするよ全く」

 

 「ご、ごめんなさい斗真。アタシと秀吉が下らない喧嘩をしたせいで」

 

 「も、申し訳ない・・・・・・」

 

 秀吉と優子は俺に対して気まずそうな顔をする。

 

 「と、斗真・・・・・・。もしかして、怒ってる?」

 

 「べ、別に怒ってはいないよ。ちょっと頭が冷えてしまっただけだし気にするなって」

 

 「でも・・・・・・本当にごめんなさい」

 

 「さっきは本当にすまなかったのじゃ」

 

 秀吉と優子は俺に深々と頭を下げる。いや、それ以上謝られても余計に後がしんどいだけなんだけどな。

 

 「二人共。もう終わったことなんだし。頭を上げなよ。もう過ぎたことだし。とりあえず、日が暮れるまで泳ごうか」

 

 「う、うむ・・・・・・」

 

 「斗真がそう言うのなら・・・・・・」

 

 二人は未だに引きずってはいるみたいだが、俺はもう何とも思っていないよ。ひとまず気分転換に泳ぐとする━━

 

 

 『に、にげて吉井君っ! この三人、本気でキミを━━』

 

 

 どこからか愛子の叫び声が聞こえたので行ってみると

 

 「ど、どうしたんだ愛子?なんか慌ててるように見えるんだが・・・・・・」

 

 「あ、斗真君!た、大変よ!瑞希ちゃんたちが吉井君を本気で処刑しようとしているの!」

 

 「え?処刑?・・・・・・まさか!」

 

 あのバカ。姫路さん達を放ったらかしてナンパしてるのがバレてしまったか。とりあえず明久は今どうなっているか確かめないと

 

 「ちょっと斗真!あれを見て!」

 

 「ん・・・・・・げっ!?」

 

 優子が指差した方を見てみると、明久が姫路さんと島田さん、そして玲さんに拷問が生易しく見えるほど悲惨なお仕置きをされていたのだった。

 

 「ま、マズい!早く明久を助けないと!そ、そうだ。雄二はどうしたんだ!まさかアイツ、この状況を楽しんでるじゃ━━」

 

 「ゆ、雄二ならあそこで霧島に沈められておるぞい」

 

 「・・・・・・・・・・」

 

 どうやら雄二もダメみたいだな。仕方ない。

 

 「俺は明久を助けてくるから秀吉と優子は霧島さんを取り押さえて!愛子はすぐにライフセーバーに応援を頼む!」

 

 「「「了解!」」」

 

 「と、斗真!た、助けてぇぇぇぇ!!」

 

 「明久君。私たちに内緒で何をしていたのですか?」

 

 「アキ。海の中でじっくりと反省しなさい」

 

 「アキくん。弟を失うことがどれほど悲しいことか、身を持って味わって下さいね」

 

 「・・・・・・雄二。浮気は許さない」

 

 「・・・・・・!(ゴボッゴボッゴボッ)」

 

 こうして折角の海水浴は悲惨な結末を迎えてしまい、明久と雄二は峠を越えてしまいかねなくなったのであった。




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