バカと双子と二刀流   作:ペンギン太郎

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 今回は本音を喋る召喚獣編です。原作通りの展開ですがよろしくお願いします。


俺と本音と召喚獣 Part 1

 「ははっ。こいつは傑作さね」

 

 「学園長。どうかなさいましたか?」

 

 「ああ、高橋先生かい。なに。ちょいと試験召喚システムの操作系統を変えてみようと思って弄っていたんだけどね」

 

 「操作系統の変更、と仰いますと?」

 

 「半自動化を試してみたのさ。今までの設定がはっきりとした意識のみを読み取っていたとしたら、今回のはその一歩先の意識と無意識の間あたりも読み取って、ある程度自立的に行動できるようにしてみたんだよ」

 

 「意識と無意識の間・・・・・・前意識を読み取る、ということですか?」

 

 「フロイトの言う全意識とは意味合いが変わってくるけどね、だいたいそんな感じさ」

 

 「そうですか」

 

 「まぁ、そんな心理学の定義の話はどうでもいいんだよ。それより、そのおかげで召喚獣が面白いことになっていてね」

 

 「面白いこと?」

 

 「そう、面白いことさ。こいつは是非とも実際に喚び出してデータを採りたいところだねぇ」

 

 「よくわかりませんが、データ採取でしたら私が協力致しますが」

 

 「いや。アンタの点数だと、試運転に使うには召喚獣が強すぎるからね。何かがあったら困るんだよ」

 

 「故意に一度低い点数を取りましょうか?」

 

 「それでもいいんだけどねぇ。一度低い点を取って、後でまた点数を戻すためにもう一度試験を受け直すとなると、流石に面倒だろう?」

 

 「面倒とは言いませんが、効率が悪いのは確かですね」

 

 「だろう?だとしたら、それよりも━━」

 

 

 『明久テメェ! なんであのタイミングでくしゃみなんかしやがるんだ! 途中まではうまくいってたってのにこのバカ野郎!』

 『雄二こそ! あのタイミングでお腹が鳴るなんて何考えてるんだよ! あれがなければうまくいってたのにこのクズ野郎!』

 『ええいキサマら! いいから補習に戻らんかあっ!』

 『『くそぉおおっ!』』

 

 

 「━━それよりも、最初から点数の低いバカどもにやらせた方が効率がいいさね」

 

 「なるほど。そういうことですか」

 

 

 

 

 

 「「「召喚獣の試運転?」」」

 

 「ああ。そいつをアンタらにやってもらいたいのさ」

 

 夏休みも終わりに差し掛かったある日。Fクラス特別補習(霧島さんと優子は自主登校)が終わった後、一緒に海に行ったメンバーで写真を見ながら雑談していると、学園長が先に言ったことをやってくれないかと頼んできた。

 

 「どうしてウチらなんですか?」

 

 先程まで見ていた写真を片付けつつ、島田さんが学園長に尋ねる。

 

 「どうしても何も、アンタらが適任だからさ。アンタらなら点数が高すぎず、召喚獣の扱いにも慣れているだろう? それに━━」

 

 「それに?」

 

 「補習から脱走しようとしたバカどもへの罰になるからね」

 

 「「・・・・・・・・・・(サッ)」」

 

 学園長に目を水を向けられ、明久と雄二は咄嗟に目を逸らす。

 先程、鉄人先生から脱走したものの、二人は呆気なく捕まってしまった。にも関わらず大して言われなかったのは、この話の為だったんだな。

 

 「あの。試運転って、具体的にどのようなことをするんですか?」

 

 話を戻すように、姫路さんが手を挙げて学園長に問いかける。

 

 「特にこれといったテスト項目はないさね。喚び出して、適当に動き回せるだけでいいさ。なんの動きもさせないのはテストにならないから困るけどね」

 

 「あ、それだけでいいんですか。それなら私でもできそうです」

 

 安心したように胸の前で手を合わせる姫路さん。彼女は簡単なことなのでホッと一息しているが、俺と明久、そして雄二は妙にきな臭いと感じていた。あのババァのことだからどうせ禄なことにならないのは目に見えてるからな。

 

 「それでしたら、私もお手伝いします学園長先生」

 

 「・・・・・・私も」

 

 「私も喜んで引き受けます」

 

 俺がババァは何を企んでいるか勘繰っている中、姫路さんと霧島さんと優子が自ら進んで申し出る。

 

 「いや。アンタらはダメだね。点数が高すぎる」

 

 学園長はその申し出を即座に断った。

 理由はおそらく、点数が高すぎると暴走する恐れがあるからだろうな。前に白金の腕輪の時も『点数が高すぎると腕輪が暴走する』って話もあったし。危険性を考えて高得点を取っている三人を外したんだろう。だとするとこの試運転は参加しないほうが━━

 

 「そういうワケで、試運転は吉井・坂本・東條・土屋・木下弟・島田に頼むよ。科目は古典でね」

 

 学園長の口から試運転のメンバーが発表された。ん?高得点者はダメだって言ってたのになんで参加するメンバーの中に俺が入っているの?

 

 「待って下さいババァ長! その面子に僕が入れられるのは納得できません!」(14点)

 

 「そうです学園長! ウチをこんなバカたちと一緒にしないで下さい!」(6点)

 

 「・・・・・・・・・・不本意極まりない・・・・・・っ!」(9点)

 

 「・・・・・・アンタらのその自信はどこから湧いてくるのかねぇ・・・・・・」

 

 「俺の半分以下にも達してないのによく言えたもんだな」(312点)

 

 「三人合わせても姫路や霧島の十分の一以下じゃというのに・・・・・・」

 

 せめて、人並みの点数を取ってから文句を言えってんだよ。

 

 「ちょっと待てババァ。俺と斗真は結構点が取れていたはずだが」

 

 「一応、理由を説明してくれませんか」

 

 「理由もなにも、アンタらには何かが起こっても構わないかろね」

 

 「それが教育者の言葉かっ!」

 

 「いくら俺達が問題児だからってこの扱いはあまりにも理不尽だろ!」

 

 俺と雄二がババァに抗議するもババァは話を受け流す。

 

 「とにかく、そういうことだよ。試運転の時間は今から一時間。召喚フィールドは試運転用に学校全体に展開しておくけど、一応この教室から出ないように。データが採りにくいからね。うまくやってくれたら・・・・・・そうさね。学食の食券か図書券くらいは進展してやろうじゃないか。ただでやらせるのもなんだしね」

 

 「「「おおー」」」

 

 学園長の進展に、島田さんと秀吉とムッツリーニが感嘆の声を上げる。ご褒美が貰えると分かれば自然とやる気も出るからな。

 

 「じゃあ、頼んだからね。報酬を出すんだから━━絶対に、逃げ出すんじゃないよ」

 

 ババァはそう言い残し、教室を後にした。

 

 「ご褒美を用意してくれるなんて学園長もいいところあるわね。丁度欲しい本があったから助かるわ」

 

 「・・・・・・・・・・図書券はいくらあっても困らない」

 

 「学食の食券でもありがたいのう」

 

 「良かったですね皆さん」

 

 「・・・・・・ちょっと羨ましい」

 

 「「「・・・・・・・・・・」」」

 

 「どうしたの斗真?何か気になることがあるみたいな顔をしてるけど?」

 

 島田さん達が嬉しそうに話しているのに対し、俺達三人は何か裏があるなと考え事をしていた。

 

 「そりゃあ。あのババァがご褒美を出してまでやらせようとしてるから絶対裏があるに決まってるだろ」

 

 「だよね。あの学園長が、わざわざお礼まで用意して簡単な操作をやらせるだけなんてきな臭いしね」

 

 「う〜ん。斗真と吉井君の言うことにも一理あるけど、学園長から名指しされたんじゃやらないわけにはいかないでしょ」

 

 「そうなんだが・・・・・・」

 

 「じゃあ、さっさと始めちゃいましょ」

 

 「そうじゃな。こうしておっても始まらん」

 

 「・・・・・・・・・・了解」

 

 俺と明久が考え事をしている間に、既に召喚を始めようとしている島田さん達。少しくらい疑ってもいいんじゃないかと俺は思うが。

 

 「三人とも。ちょっと待っ━━」

 

 「「「 試験召喚っ!(サモン)」」」

 

 明久が止めに入る間もなく、三人は声を揃えて喚び声を上げてしまった。

 毎度お馴染みの幾何学模様が足元に浮かび上がり、そこから徐々に姿を現す召喚獣。

 

 「良かった。サイズは前のやつに戻っているみたいね」

 

 「やはりこっちの方がしっくりくるのう」

 

 「・・・・・・・・・・耳と尻尾も以前と同じ」

 

 その場に現れたのは、見たところ殆ど見慣れた召喚獣とかわりがなかった。前の妖怪仕様も戻っているようだし、見た目に関しては大丈夫そうだ。

 

 「・・・・・・武器を持っていない」

 

 「服装も学校の制服みたいですね」

 

 「装備をリセットするって、言っておったからの。そのせいじゃろうか?」

 

 霧島さんと姫路さんも会話に加わる。

 確かに彼女達が言うように、パッと見てわかる変更点は学園の制服を着ている上手には何も持っていないというところか。喚び出された召喚獣が三体共同じ格好である点からして、これが装備を設定していない時のデフォルトなんだろう。

 

 「一応、今のところおかしな部分は見当たらないね」

 

 「安心するのはまだ早いぞ明久。さっきのババァの話だと、変更したのは操作性の部分らしいからな。動かしてからが本番だろ」

 

 「それもそうだな。秀吉。試しに動かしてみてくれないか」

 

 「ふむ。ならば、早速動かしてみようかの」

 

 秀吉が自分の召喚獣に指示を出そうとしたその時。

 

 

 《では、斗真に飛びついて驚かせてみるのじゃ》

 

 

 「「「へ?」」」

 

 まるで子供のような高い声が、教室に響き渡った。どういうことだ?

 

 「秀吉。今喋ったか?」

 

 「いや。ワシは何も喋ってはおらぬぞ」

 

 だが

 

 

 《さっきは一体どういうことなのじゃ?》

 

 

 再び、声が響き渡りこの場にいた皆が驚く。

 

 「い、今の・・・・・・何かしら・・・・・・?」

 

 「小さな子の声が聞こえましたけど・・・・・・」

 

 「というより、口調からして秀吉っぽかったような・・・・・・」

 

 辺りを見回す限り、子供どころか俺達以外の人の姿はどこにも見当たらない。じゃあ、今しゃべったのは一体・・・・・。

 

 「そう言えば前に召喚獣が妖怪になっておったな。そのせいで今度は心霊現象でも起こったのじゃろうか?」

 

 「「えぇえええっ!?」」

 

 姫路さんと島田さんが揃って悲鳴を上げる。

 

 「けど、おかしくない? それだと操作性の変更とは全然関係ないじゃないか」

 

 「だな。そうすっと、あの声は心霊現象なんかじゃないってことか?」

 

 「・・・・・・・・・・そもそも、召喚獣と無関係かもしれない」

 

 「でも、明らかに口調からして秀吉が喋ってるみたいなんだけどなぁ」

 

 俺達が会話をしている最中

 

 

 《今の声はどこから聞こえてきたんじゃろうか?》

 

 もう一度、さっきの声が聞こえてきた。うん。これは間違いなくアレからだな。

 

 「もしかして今の、秀吉?」

 

 「いや。ワシは何も喋ってはおらんぞ?」

 

 「いや、さっきの声の口調からして秀吉が喋ってるのは間違いないぞ」

 

 「じゃが、ワシは━━」

 

 「俺が言いたいのは、さっきから高い声で喋ってるのは秀吉本人じゃなく、秀吉の下にいるコイツだってことだよ」

 

 俺は秀吉の下にいた召喚獣を指差すと皆は一斉に見つめる。すると

 

 

 《それにしても、困ったのじゃ。今朝のことはどうしたら良いじゃろうか・・・・・・》

 《怖い怖い〜! お化けとか、ウチ本当に嫌なのに〜!》

 《・・・・・・・・・・この視点の低さ。悪くない》

 

 

 召喚獣の口からさっきの声が聞こえてきた。

 

 「ほ、ホントだ! 召喚獣が喋ってる!」

 

 「へぇ〜。こりゃ面白いな」

 

 まじまじと召喚獣を眺める。召喚獣達はそれぞれ腕を組んだり、その場にいる頭を抱えてしゃがみ込んだり、低い体勢から頭上を見上げてみたりと、思い思いの行動をとっていた。

 

 「と、とりあえず、心理現象とかじゃないみたいね」

 

 「はぁ・・・・・・。良かったです・・・・・・」

 

 お化けが苦手な姫路さん達は胸を撫でおろしている。心霊現象じゃなかったことに一安心ってところか。

 

 「しかしまぁなんつーか、操作性の向上というよりは、自動化って感じだよな。これ、お前らが指示してるわけじゃないだろ?」

 

 「・・・・・・・・・・特に何もやらせてない」

 

 「秀吉の方はどうなんだ?」

 

 「ワシもあのような行動をさせておらんからの」

 

 喚び出された召喚獣は、さっきから溜息をつく仕草をしてみたり、胸に手を当てたり、仰向けに寝転がったりしている。

 そして

 

 

 《お化けじゃなくて良かったぁ・・・・・・。危うく前の肝試しのときみたいに、また眠れなくなって葉月と一緒に寝なきゃいけなくなるところだったわ・・・・・・》

《まさかまた近所の男子中学生に告白されるとは・・・・・・。こんな話が明久達にバレてしまえば、ワシは更に女扱いされてしまう。なんとか秘密裏に断らねば・・・・・・》

《・・・・・・・・・・この視点の低さなら、いつでもスカートの中を見られる・・・・・・!》

 

 

 召喚獣達は口々にそんなことを言い始めた。え?秀吉。俺の知らないところでラブレターを貰ってたの?

 

 「美波・・・・・・。今召喚獣が言っていた、肝試し以来お化けが怖くて葉月ちゃんと一緒に寝てるって話本当なの?」

 

 「木下君・・・・・・。ついに学校外の男の子にまで告白されちゃったんですか・・・・・・?」

 

 「ムッツリーニ・・・・・・は、別にいつも通りだな」

 

 明久達が問いかけると、三人はそれぞれ否定の姿勢で返事をした。

 

 「な、何を言ってるのよアキ!召喚獣が勝手にウチがまったく思ってもいないことを喋ってるだけよ!ウチがお化けを怖がるとか、そんなのありえないもの!」《寝る時だけじゃなくて最近はお風呂も一緒かな。だって、髪洗うとき怖いんだもん!》

 

 「島田の言う通りじゃ。いくらなんでも、男のワシが近所の男子中学生に告白されるなぞ、嘘にもほどがあるぞい」《今月はこれで三人目じゃ》

 

 「・・・・・・・・・・スカートの中に興味なんてない」《・・・・・・・・・・スカートの中にはロマンや夢や希望があり興味は尽きない。タイト・ミニ・ロング・フレア・プリーツなど様々なスカートがありそのどれにも異なった魅力があるが、キュロットだけはスカートを名乗るべきではないと思う。あれにははあれで独特の魅力があるものの、防御力が高すぎてー》

 

 「語るに落ちるとは正にこのことだな・・・・・・」

 

 俺がそう呟くと、全員が頷く。

 

 「どうして秀吉はアタシよりモテるのよ・・・・・・!」

 

 あ、優子がとても悔しそうな顔をしては秀吉を睨んでいた。

 

 「ちょ、ちょっとぉーっ!? 本当に何言ってんのよーっ!」

 

 言って欲しくないことを口にされたようで、島田さんが慌てて召喚獣に飛びかかるが、島田さんの召喚獣はその手をひらりとかわして逃げ回ると、明久の足にしがみついてきた。あれ?ひょっとしてこの召喚獣━━

 

 「って、あれ? 美波の召喚獣に触れる・・・・・・?」

 

 「あのババァのことだ。細かい部分の調整に失敗したんだろ」

 

 「ん〜・・・・・・。どうも、そんな感じだね」

 

 雄二が言ったように、あの学園長がその辺の設定に色々と手を入れて失敗したんだろう。現にテストの点数が表示されていないのがその証拠だ。

 

 「そんなことどうでもいいから、とにかくその子をこっちに寄越しなさいアキ!」

 

 《やっ。ウチはアキのところにいるっ》

 

 そう言って明久の足から離れない島田さんの召喚獣。まるで小さい子供みたいだな。

 

 「え?今、召喚者の意思に逆らいませんでしたか?」

 

 「・・・・・・学園長は、無意識領域の一部を読み取ると言っていた」

 

 「なるほど。それで体面より欲求にしたがった行動を取るワケか」

 

 「ったく、あのババァ。厄介なもん押し付けてくれやがって」

 

 「斗真。学園長をババァ呼ばわりしないで」

 

 俺と雄二が話をする中、明久はわかっていないのか頭を悩ませている。

 

 「えっと、要するに?」

 

 「・・・・・・この子たちは、幼児程度の行動原理を持ち、自我があるということ」

 

 「つまり。本音を喋っちゃう自分自身の子供の姿、といった感じですね」

 

 姫路さんがわかりやすく説明してくれたおかげで明久は漸く理解した。

 

 「そっか、子供の姿か。だから美波の召喚獣はこうなんだね」

 

 《アキ、抱っこ》

 

 「抱っこじゃないでしょうが!何甘ったれてるのよ!いいから離れなさいっ!」

 

 《やーっ》

 

 島田さんが明久の足にしがみついている召喚獣を引き剥がそうとするが、召喚獣は抵抗しており手こずる羽目に。

 

 「ま、気にしなくても大丈夫だよ美波。こういうの、慣れてるから」

 

 「え?慣れてるって?」

 

 「どうしてか知らないけど、僕って昔から小さな子に好かれるんだよね」

 

 「知能レベルが近いからだろ」

 

 「黙れ雄二」

 

 「もしくはそれ以下かもしれんな」

 

 「斗真まで」

 

 明久が召喚獣の頭を撫でると、島田さんの召喚獣は気持ち良さそうに目を細めた。ああいうところは葉月ちゃんに似ていて可愛らしいな。

 

 《あのね、あのね、アキ》

 

 「ん?なに?」

 

 《ウチね、いつもは酷いことをしてるけど、ホントはアキのことが》

 

 「きゃぁあああああーっ!」

 

 「ぎゃああああああーっ!」

 

 島田さんはよっぽど聞かれたくなかったのか、明久に関節を極る。あれがなければ姫路さんといい勝負ができたんだけどな。

 

 「ちょっと、本当に何を話そうとしてんのよ!?どうしてウチの分身なのにウチが困るようなことを言うの!?」

 

 《アキ、大丈夫?痛くない?ごめんね?》

 

 「こらっ!ウチの話を聞きなさい!」

 

 「あれじゃあ、明久との距離が縮まることは難しいだろうな」

 

 「美波ったら、素直になればいいのに・・・・・・」

 

 俺と優子が思った事を口にする。一方秀吉達はというと

 

 《参ったのじゃ・・・・・・あの少年、いくらワシが男じゃと言っても聞いてくれんのじゃ》

 

 《スカートの魅力はたくさんあるがその中でも特筆すべきはそこに内包される可能性つまり見えるかもしれないと言う希望を提供すると言ういわば優しさにも似た━》

 

 「むぅ・・・・・・。この召喚獣、なんとかして消したいのじゃが・・・・・・」

 

 「・・・・・・・・・・召喚フィールドが広すぎて範囲外に出られない」

 

 二人も自由に話し続ける召喚獣に苦戦していた。

 余計なことを言われる前に召喚獣を消したいものの、フィールドは学校全体に広げられている為簡単に消すことはできない。俺か雄二が腕輪を使って干渉を起こせばなんとかなるが生憎腕輪はメンテナンスをするため、学園長に預けている。

 

 「それにしてもこれは凄いな。ムッツリーニはともかく。秀吉が隠そうとしていることまでわかるなんて、なかなかできることじゃないぞ」

 

 「そうですよね。木下君のポーカーフェイスは凄いですから」

 

 雄二と姫路さんは秀吉の意外な一面を見て驚く。

 

 「いやいや何を言うのじゃ雄二に姫路。ワシは常に自然体じゃと《演技を褒められたのじゃ。嬉しいのじゃ》・・・・・・・・・・」

 

 ぴょんぴょんと跳ねて喜ぶ秀吉の召喚獣。少し、試してみるか。

 

 「なぁ秀吉」

 

 「な、なんじゃ斗真?」

 

 「秀吉は男子に告白されたことがあるか?」

 

 「あるわけなかろう。ワシはお主と付き合っておるのじゃからそんな心配せずとも━」《ここのところほぼ毎日じゃ》

 

 「「「毎日!?」」」

 

 おいおい。秀吉は俺と付き合っているにも関わらず毎日告白されてるのかよ。

 

 「ななななんてことを言うのじゃ!斗真よ!今のはこやつの嘘じゃからな!?本当はワシは《金曜日と月曜日は特に多いのじゃ》違うのじゃ!ワシは男に告白などされておらんのじゃ!」

 

 なるほど。週末と週始めは更に増えてるのか。通りでその時は付き合いが悪いわけだ。

 

 「あ、あれはその・・・・・・きっと姉上と間違えられておるだけなのじゃ!《宛名を何度確認してもワシの名前が書いてあったのじゃ》だから違うのじゃ!」

 

 「ひ〜で〜よ〜し〜。ちょ〜っといいかしら?」

 

 「ま、待つのじゃ姉上!ワシとて好きで貰ってるわけでは━」

 

 秀吉は慌てて召喚獣の言葉を誤魔化そうとするが、その程度のことで俺は秀吉を偏見しないから大丈夫だよ。明久達もきっと秀吉を見る目は変わらないだろう。

 

 「んじゃ、今度はムッツリーニに何か聞いてみっか。ムッツリーニ、お前は・・・・・・」

 

 《・・・・・・・・・・話しかけるな。今、スカートについて考えるのに忙しい》

 

 「・・・・・・・・・・すまん」

 

 「・・・・・・・・・・っ!(ブンブンブン)」

 

 なるほど。ムッツリーニはいつもそんなことを考えてたのか。まぁ、いつもどおりだから置いておくとして。

 

 「じゃあ、最後は━━」

 

 「━━島田だな」

 

 「な、なによ」

 

 明久と雄二の視線を受けて、一瞬だしろいだ。そして、気を取り直すように咳払いをしてこう告げる。

 

 「い、言っとくけどね!ウチに隠し事なんて何もないんだからね!アンタたちがいくら質問しても《実は昨日、下級生の女の子に告白されて》いやぁああーっ!」

 

 「「「・・・・・・・・・・」」」

 

 まだ聞いてすらいないのにこのざまか。無意識の部分でも隠すのが不器用だな。

 

 「ひ、卑怯よアキ!そうやってウチの恥ずかしい秘密を聞き出すなんて!」

 

 「いや、今のは美波の自爆のような・・・・・・」

 

 「問答無用よ!いいからアンタも召喚獣を出して本音を喋りなさいっ!」

 

 《本音?本音って、好きな人のこと?ウチの好きな人はね》

 

 「アンタは黙ってなさい!」

 

 「斗真。この際召喚したらどうかしら?」

 

 「あのな優子。さっきまでのやりとりを見ていて出せるわけがないだろ」

 

 いくら優子からの頼みとはいえ、ここで召喚獣を出してしまえば暴露大会になりかねん。ここはひとまず召喚しないよう逃げ切るしかなさそうだ。

 

 「・・・・・・本音を喋っちゃう、召喚獣ですか・・・・・・」

 

 あ、姫路さんが明久に召喚させようと熟語を書き始める。明久のことだから間違いなく━

 

 「あの、明久君」

 

 「ん?なに姫路さん」

 

 「これ、なんて読みますか?」

 

 「えっと 格差問題(かくさもんだい)かな?」

 

 「はい。正解です」

 

 単純な罠に引っかかてしまったな。明久。

 

 

 ポンッ ← 明久の召喚獣登場

 

 

 「しまったぁあああーっ!!」

 

 「ごめんなさい明久君っ。でも、どうしても本音で聞きたいことがあるんですっ」

 

 「ははっ。相変わらずバカだな明久」「・・・・・・雄二。法の精神を書いた人は?」「モンテスキューだろ。お前はいきなり何を言って」

 

 

 ポンッ ← 雄二の召喚獣登場

 

 

 「しまったぁあああーっ!!」

 

 雄二も霧島さんに引っかかり、召喚獣を喚び出してしまった。

 

 「ま、人の不幸を笑うからこうなってしまったんだ。ここは観念して」

 

 「斗真。問題を起こした組織や団体を取り調べる人たちをなんて呼ぶか知ってる?」

 

 「査問委員会だろ?それがどうして━━あ」

 

 

 ポンッ ← 俺の召喚獣登場

 

 

 「ちっくしょおおおおーっ!!」

 

 「ふふ。斗真も意外と単純だね」

 

 つい、口を滑らせてしまった俺は思わず召喚獣を出してしまった。

 

 「ナイスよ三人とも!さぁアキ、答えなさい!アンタの好きな人は?」

 

 《あのねあのね、ウチが好きなのはね》

 

 「アンタは言わなくていいの!さぁアキ、答えなさい!」

 

 「あ、明久君っ!私も知りたいですっ!」

 

 「・・・・・・雄二。私のことをどう思っているのか、聞かせて欲しい」

 

 「斗真。アタシの質問にはちゃんと答えてよね」

 

 女子達の視線が俺達に集まる。その視線を受けた俺達の召喚獣は

 

 《バカ明久!お前の名前のせいで召喚しちまっただろうが!》

 《アホ雄二!人の不幸を笑うからそんな目に遭うんだ!》

 《てかなんで関係のない俺まで巻き込まれなきゃいけないんだよ!》

 

 取っ組み合いの喧嘩をしていた。召喚獣までもが毎度の如く喧嘩するとは。

 

 「明久!テメェの名前のせいで召喚されちまったじゃねぇか!」

 

 「何を言ってるのさ!元はと言えば雄二が脱走に失敗するからこんなことになったんだろ!」

 

 「どっちもどっちだろうが!」

 

 因みに本体同士も喧嘩をしていたのだった。

 

 「あの、明久君っ。坂本君のことじゃなくて、好きな人について考えて見て下さいっ」

 

 「そうよアキ!人のだけ聞いておいて自分は逃げようなんて許さないんだから!」

 

 「・・・・・・雄二。本当の気持ち、聞きたい」

 

 「斗真。下手に誤魔化しても無駄だから観念しなさい」

 

 《ムキー!雄二のアホー!》

 

 《うぎー!明久のボケー!》

 

 「くたばれ雄二!責任を取れ!」

 

 「死ぬのはお前だ明久!地獄に落ちろ!」

 

 「明久君っ」

 

 「アキっ!」

 

 「・・・・・・雄二・・・・・・!」

 

 「はぁ、なんでこんなことに・・・・・・」

 

 そうして不毛な争いをしていると

 

 「皆お待たせー。って、なになにー?なにか面白そうなことやってるねっボクも混ぜてよっ」

 

 部活を終えた愛子が遅れて合流してきたのだった。

 何故だろう。愛子が関わると禄なことにならない気がするんだが。

 




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