ようやくFクラスの出し物が決まり、俺は先程姫路さんから相談があり聞いて欲しいと頼まれた為。姫路さんから話を聞くと
「ーという訳なんですっ」
「成程。Fクラスの環境が悪いからお父さんが転校を進めてると」
「・・・・・・はいっ」
姫路さんからの相談とは、彼女の父親がFクラスの環境が酷い為彼女を転校させようとしているとの事だった。
娘を大切にする親の立場からしたらあんな不衛生な教室やバカばっかりな奴等と一緒にいさせるのは良くないと思うのは当然だな。
まぁ転校を進める一番の理由は体の弱い姫路さんを気遣っての為だと思うかもしれんが
「私は、みんなと離ればなれになるのは・・・・ひっく、い、嫌なんです」
姫路さんは目に涙を浮かべ悲しそうな顔をする
「大丈夫だよ姫路さん。俺だって姫路さんと別れるのは嫌だし。明久や秀吉、島田さんもきっと悲しむかもしれんから何とか阻止してみせるよ。だからこの件については俺に任せて」
俺は姫路さんの肩を掴み、力強く言うと
「あ、ありがとうございます」
姫路さんは微笑んでくれた。
「さて、まずはこの事を雄二に話さないと。アイツがいないとFクラスの連中を纏めあげるのは難しいからな」
俺は今姫路さんの転校を阻止する為に雄二を探している。アイツは今霧島さんから逃げてるだろうからおそらく普通に女子が入れない所には隠れないと思う。
『先生、覗きです!変態です!』
どこからか優子の声が聞こえた為、俺は声の聞こえた場所へ向かってみると
「どうしたんだ優子?あんな大声だして?」
駆けつけると、優子が女子更衣室の前にいたので話を聞く事に
「あっ。聞いてよ斗真!女子更衣室にFクラスの問題児コンビがいたのよ!」
「明久と雄二が?ちょっと待って・・・・・・。そういうことか。アイツ、他に隠れるとこはなかったのかよ」
「どういうこと斗真?」
優子はわけが分からないため、俺に聞いてくる。
「ごめん優子。雄二は霧島さんから逃げてる最中でな。彼女から身を隠す為に女子更衣室に入ってたんだよ」
「それがどうして女子更衣室なのよ!?他に隠れるとこなんてあるでしょうに!」
「いや、優子。実はね、これは言ったら失礼かもしれんけど、優子のいるクラスの代表の霧島さんは普通じゃないから雄二はここに隠れたんだよ」
「代表が?」
「彼女は雄二を探す為なら男子トイレにも平気で入るんだよ。この前雄二とトイレで話をしてた時、霧島さんが平然と入ってきたことがあったしな。雄二もそれを分かってたから裏をかいて女子更衣室に隠れてたんだよ。多分明久も雄二ならそう考えると思ってアイツを探す為に中にいたかもしれんしな」
「そういうことだったのね。まったく代表もそうだけど、坂本君も一体何考えてるのかしら」
「まあまあ優子落ち着いて。何せ雄二は霧島さんに追い詰められてるからさ、ここは俺に免じて許してくれないか?」
俺が両手を合わせ、優子にそうお願いすると
「わかったわ。じゃあ清涼祭の時、休憩時間にアタシとデートしてくれるかしら?」
「勿論。それくらいなら問題ないよ」
「ありがとう」
「じゃあ優子、俺はちょっくら雄二に用があるからまたな」
「ええ、またね。ちゃんとあの二人には言っといてよ」
「わかってるって」
そして俺は明久と雄二を探す為に一旦外を出ると。
『吉井! 坂本! 明日は逃がさんぞ!』
目の前には新校舎の二階の空いてる窓にむかって叫んでいる鉄人先生がいた。
どうやらあの二人は連携プレイで二階に飛び移り、鉄人先生から逃げ切ったって所か。
「となると、あの二人は教室に戻るだろうから先周りしておくか」
そして俺も教室に戻り、明久達と合流する事に
因みに明久と秀吉は島田さんから姫路さんの転校について聞いてた為俺から話す手間は省けた。
「そうか。姫路の転校か・・・・・・」
島田さんから話を聞いた雄二は教室を見渡すと
「となると喫茶店の利益だけじゃ難しいな」
「どういうこと雄二?」
明久が聞いてきたので雄二が姫路さんが転校をする要因を三つあげる。
・ござとみかん箱という最悪な設備
・老朽化した教室による健康被害の恐れ
・レベルの低いクラスメイトによる彼女の成長が望めないこと
「一つ目は設備で二つは教室自体ってこと?」
「そうだ。これに関しては喫茶店の利益程度じゃ改善は難しい。教室自体の改修となると。学校側の協力が必要不可欠だ」
確かに、設備なら喫茶店の売り上げ次第で何とかなるが教室を改修するには先程のAクラスみたいに業者の出入りが必要になる。そういった手続きは俺達じゃなく教師がやらないといけないからな。
「そして最後の三つ目。レベルの低いクラスメイト。つまり姫路の成長を促すことのできない学習環境という面だ」
雄二の言う通り、Fクラスは基本バカしかいないからな。単科目なら俺やムッツリーニで何とかなるが、それだけじゃ多分難しいだろうな。
「参ったね。随分と問題だらけだ」
「そうじゃな。一つ目と二つ目はともかく、三つは難しいのう」
「そうでもないさ。三つ目に関しては姫路と島田で対策を練っているんだろう?」
雄二が島田さんに聞く
さっきのHRにも話してたけどこの学園には「試験召喚システム」という独自のシステムがあり、清涼祭にはそれを披露する為の「召喚大会」がある。それを姫路さんと島田さんが優勝は難しくても、上位まで行けばきっと競争相手については何とかなるか。
「この前、瑞希に頼まれちゃったからね。『どうしても転校したくないから協力してくださいって』って。召喚大会なんて見世物にされるだけみたいで嫌だったけど、あそこまで必死に頼まれたらね」
いつもと違う表情を見せる島田さん。まるで面倒見がよく、弟か妹がいるみたいだな。
「翔子が参加するようだと優勝は厳しいが、アイツはこういった行事には無関係だしな。きっと姫路と島田の優勝は充分ありえるだろう」
「そうだね。二人ならきっと何とかなるよ」
「本当なら姫路抜きでFクラスが優勝する方が効果的だけどな」
「それはいいっこ無しだよ」
「そうだな。霧島さんが大会に出場するわけ・・・・・・あぁぁぁ‼」
「うわ!? どうしたの斗真!?」
「何だ?急に驚きだして?」
「あ~。実はさっき、アランから召喚大会の優勝賞品について聞いたのを思いだしてな」
『優勝賞品?』
「それがな・・・・・・」
説明後
「・・・・・・・・(ガクガクガクガク)‼」
俺から優勝商品に何を出されるか聞いた雄二は生まれたての小鹿の如く震えていた。
「なるほどのう。だとすると霧島が出場するのは必須じゃな」
「そうなると益々優勝が難しくなるね」
「そうだな。一応俺もそのチケットを回収する為にアランと組んで出るんだけど」
「えっ?斗真も召喚大会に出るの?」
「ああ。何しろ、如月グループはあるジンクスを作ろうとしてるから、それを阻止する為なんだよ」
「あるジンクス?」
「それについてはまた今度話すとして、今は姫路さんの転校を阻止する事について考えないとな」
「そうね。ねぇ坂本、二つ目についてはどうするの?」
島田さんが雄二に聞くが雄二は今だに震えていた為
「明久、頼む」
「了解」
ドゴォッ
「ぐばぁっ!」
明久の手により雄二が目を覚まし、先程の話について聞くと
「それについては、学園長に直訴したらいいだけだろ」
「それだけ?僕らが学園長に言ったくらいで何とかなるかな?」
「あのな。曲がりなりにも教育機関だぞ?いくら方針といえ、生徒の健康に影響を及ぼすような状態であるなら、改善要求は当然の権利だろ」
「それにここは試験校だ。もし生徒が汚い教室で勉強させられて倒れたなんてなってみろ。マスコミに叩かれてただですまないのは間違いないからな」
「なるほど。言われてみるとそうだね」
いくら学園のルールだからと言って、姫路さんは体が弱いにも関わらずこんな不衛生な教室に押し込み、何も対策を施さないのは普通に考えたらアウトだ。そんな話がもし姫路さんが転校したとして他校に知られたら間違いなく他校の人はマスコミに話すに違いない。この学園は試験校故学費が安い為、たくさんの生徒が集まっていて周辺の学校から疎まれてるし、それをネタに揺すればおそらく改善はしてくれるかな。
まぁ普通は健康第一に改修するのは当然な筈だが。
「それなら、早速学園長室に行こうよ」
「だったら俺と雄二と明久の三人で行くとするか」
「そうだな。学園長室に乗り込むか。秀吉と島田は学園祭の準備計画でも考えておいてくれ。鉄人が来たら俺達は帰ったと言っておいてくれ」
「うむっ、了解じゃ。西村教諭と、ついでに霧島翔子も見かけたらそう伝えおこう」
微笑みながら了承する秀吉。霧島さんの名前が出た瞬間、雄二は言葉に詰まっていたが
「アキ、それに東條も、しっかりやっときなさいよ」
「オーケー、任せといてよ」
「ちゃんと話をつけてくるさ」
島田さんの声援を受け、俺達三人は学園長室に向かっていくことなった。
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