教室を改修してもらう為に俺と明久と雄二は学園のトップである学園長に会うために学園長室前まで行き、目的の場所に着くと
「・・・・・・賞品の・・・・・・として隠し・・・・・・」
「・・・・・・こそ勝手に・・・・・・如月ハイランドに・・・・・・」
扉のむこうから声が聞こえてるから学園長がいるのは間違いないな。
「どうした?」
「いや、中で何か話をしてるみたいだけど」
「なら話が終わるまでここで待つとするか?」
「いや、ここまで来たんだ。無駄足にするわけにも行かんし、さっさと入るぞ」
「あっ!ちょっと待て雄二!」
雄二は俺の言葉を物ともせず。ノックをし、確認を取らずにそのまま中へと入っていく。
「本当に失礼なガキどもだねぇ。普通は返事を待つもんだよ」
俺達を迎えたこの白髪の女性はこの学園の長であり、試験召喚システム開発の中心人物でもある藤堂カオル学園長だ。
しかし失礼な態度を取ったとはいえ生徒に向かってガキ呼ばわりするなんてこの人は本当に教育者か?
「やれやれ。取り込み中だと言うのに、とんだ来客ですね。これでは話を続ける事ができません。・・・・・・まさかあなたの差し金ですか?」
学園長の隣にいる眼鏡をかけた初老の男性は確か教頭の竹原先生だったな。クールな目付きと鋭い態度で一部の女子生徒からは人気がある。何て言うか、生徒を見下してるっていう感じが出てるから俺はこの人をあんま好きになれん
「馬鹿言わないでおくれ、どうしてこのアタシがそんなせこいマネをしなくちゃいけないんさ。負い目があるというわけでもないのに」
「それはどうだか。学園長は隠し事がお得意ですから」
学園長と教頭が話してるのはおそらく学園の経営についてみたいだが。ここは一旦出直した方がよさそうか?
「さっきから言ってるように隠し事なんてないね。あんたの検討違いだよ」
「そうですか。そこまで否定されるなら、この場はここで失礼します」
そして竹原先生は出る。ん?部屋の隅を見ていたが何故なんだ?
「んで、ガキども。アンタらは何の用だい?」
会話を中断された学園長は気にすることなく、俺達に話をかけてくる。
「今日は学園長にお話があって来ました」
雄二も目上の人には敬語を使うみたいだな。まぁ、当たり前のことなんだけど
「私は、今それどころじゃないんでね。学園の経営に関することなら、教頭の竹原に言いな。それとまずは名前を名乗るのが礼儀ってもんだ。覚えておきな」
確かに普通はそうなんだけど、こんな態度が横柄な人から礼儀を説かれるのはちょっと癪だな。
「失礼しました。俺は二年F組代表、坂本雄二」
「同じくF組の東條斗真です。そして俺の隣にいるのはー」
「「二年を代表するバカです」」
「そうかい、アンタ達がFクラスの坂本と東條、そして吉井かい」
「ちょっとまって学園長!僕はまだ名前を名乗っていませんよね!?」
バカ=明久で通じるのは俺からしたら凄いけどな明久
「気が変わったよ。話を聞いてやろうじゃないか」
まるで悪役みたいだな、これで教育をしようというのが不思議になるが。
「ありがとうございます」
「礼なんかいう暇あるならさっさと話しな。ウスノロ」
「わかりました」
この人は本当に学園の長か?ここまで口汚い罵倒する教育者はいないんだけどこちらから頼む以上今は失礼のないようにしないとな。
雄二はここまで言われても落ち着いてるとは流石にクラスの代表なだけあるか
「Fクラスの設備について改善を要求しに来ました」
「そうかい。それは暇で羨ましいことだねぇ」
「今のFクラスの教室はまるで、学園長の脳みそのように穴だらけで隙間風が吹き込んでくるような酷い状態です。」
どうやら雄二の奴。内心怒ってたみたいだ。
「学園長のように戦国時代から生きている老いぼれならともかく、今の普通の高校生にこの状態は危険です。健康に害を及ぼす可能性が非常に高いと思われます」
雄二も相当腹が立ってたのか学園長を人外呼ばわりしてるよ。まあこれはアイツなりの仕返しってところか。
「要するに、隙間風の吹き込むような教室のせいで体調を崩す生徒が出てくるから、さっさと直せクソババァ、であります」
うん、やっぱり俺と明久が知ってるいつもの雄二に戻ってるな。
一方の学園長は無礼な態度を取った雄二を物ともせず、何か考えてるみたいだが。
「あの、学園長・・・・・・」
「ふむ、調度いいタイミングさね・・・・・・」
何か小声で呟いてたみたいだが何か良からぬことを考えてると見て間違いなさそうだな。
「よしよし。お前達の言いたいことはよく分かった」
「それじゃあ」
「却下だね」
「二人とも、このババァをコンクリに詰めて捨ててこよう」
「・・・・・・明久、もう少し態度に気を使え」
「雄二が言えた事じゃないけどな」
しかし、何故断るんだ?普通に考えたら教室を改修するのは当たり前な筈なんだが
「まったく、このバカが失礼しました。どうか理由をお聞かせくださいババァ」
「そうですね。理由を教えてください、ババァ」
「まさか俺達が問題児の集まりだから、何もしないなんてふざけた事を抜かすんじゃありませんよねババァ」
「・・・・・・アンタら、本当に聞かせてもらいたいと思ってるのかい」
学園長は呆れ顔で俺達を見るが、俺達はそのことを全く気にせず話を続ける。
「理由も何を、設備に差をつけるのはこの学園の教育方針だからね。ガタガタ抜かすんじゃないよ、なまっちょろいガキども」
どうやらさっき想像していた姫路さんが転校するとどうなるかについて言った方がよさそうかな。
「それは困ります!そうなると、僕らはともかく体の弱い子が倒れてー」
「と、いつもなら言ってるんだけどね」
ん?どういうことだ?
「可愛い生徒の頼みだ。こちらの頼みも聞くなら、その話を聞いてやろうじゃないか」
成程、それでわざと断ったか
「・・・・・・」
雄二も疑問を感じたのか何か考えてるみたいだ。
「その条件って何ですか?」
明久が条件について聞くと
「清涼祭で行われる召喚大会について知ってるかい?」
「ええ、まぁ」
「じゃ、その優勝賞品は知ってるかい?」
「ええと、確か・・・・・・」
「賞状と正賞に白金の腕輪と副賞にこの学園のスポンサーを務める如月グループが今度オープンする『如月ハイランドのプレオープンチケット』でしたよね?」
俺が学園長にそう聞くと
「そこまで覚えてるとはね。アンタは確か学園きっての美人姉妹て言われてる木下姉妹と付き合ってるって話を聞くだけはあるね」
何でこの人はそこまで知ってるんだ。後秀吉は男だから姉妹っていうのはおかしいぞ。
「それと交換条件に何の関係があるんですか?」
「話は最後まで聞きな、慌てる何とかは貰いが少ないって言葉を知らないのかい」
「それを言うなら『慌てる乞食は貰いが少ない』です学園長」
「流石は現国で学年トップなだけはあるねえ。この副賞のペアチケットなんだけど、ちょっと良からぬ噂を聞いてね。出来れば回収したいのさ」
「回収?それなら、賞品に出さなければいいじゃないですか」
「そうできるならそうしたいけどね。けどねこの件については竹原が進めた上如月グループと行った正式な契約だ。今更覆す訳にはいかないんだよ」
そういえば、学園長は大会の賞品である『白金の腕輪』の開発に専念していて。後の事は教頭の竹原先生に任せっきりって話があったな。つまり学園長は大会に優勝してプレオープンチケットを回収しろって言いたいんだな。
「契約する前に気づいてくださいよ。学園長何ですから」
「うるさいガキだね。白金の腕輪の開発で手一杯だったんだよ。悪い噂についてはつい最近だしね?」
悪い噂?ひょっとして
「それで、悪い噂ってのは何ですか?」
「明久、それはさっき俺が言いかけた如月グループが作ろうとしているジンクスの事だ」
「あっ、そうなんだ。でも、そのジンクスって?」
「アランが言ってたんだが如月グループはプレオープンチケットを使って『ここを訪れたカップルを幸せにする』っていうジンクスを作ろうとしてるんだよ」
「へぇ。でも何でそれが悪い事なの?」
「そのジンクスを作る為に、チケットを使って訪れたカップルを結婚までコーディネートするみたいなんだ。多少強引な手を使ってでもやるらしいが」
「何だとぉぉ‼」
「どうしたのさ、雄二?そんなに慌てて」
「慌てるに決まってるだろ!今斗真が言った事は『プレオープンチケットを使ってやってきたカップルを企業の力で強引に結婚させる』って事だぞ!」
「それは言い直さなくてもわかってるけどさ」
「そのカップルを出す候補が我が文月学園ってわけさ」
「くそっ。ウチの学園はなぜか美人揃いだし、試験召喚システムと言う話題性もたっぷりだからな。学校から結婚までいけば、ジンクスとして申し分ないし、如月グループが目をつけるのも当然ってことか」
多分あの様子からして今朝霧島さんと何かあったな。でないと雄二がこんな慌ただしくなることなんてないし。
「ふむさすがは神童と呼ばれただけあって、頭の回転はまずまずだね」
学園長が雄二が昔神童って呼ばれた事を知ってるって事はどうやら学園に通う生徒をちゃんと把握してるみたいだ。でないと俺が優子と秀吉と付き合ってるなんて話を知ってるわけないからな。
「雄二、落ち着きなよ。如月グループの計画は別にそこまで悪い事じゃないし、第一行かなければいいじゃないか」
「そうはいかないみたいなんだよ明久」
「えっ?どういうこと斗真?」
「実はなー」
俺は今日の朝、登校するとき雄二が霧島さんと如月ハイランドのプレオープンチケットについて話しているのを見かけており。その時に雄二が霧島さんと何らかの約束をしてる事を話した。
「なるほどねぇ。後先考えずに安請け合いするなんて雄二はバカだね」
明久、お前も雄二と大して変わらんバカなんだが
「ま、そんなワケで、うちの可愛い生徒の将来を決定しようという計画が気にいらないのさ」
「つまり交換条件は、俺達が召喚大会で優勝しプレオープンチケットを回収すれば教室の改修をしてくれるって事ですか」
「そういうことさね」
「だったら俺とアランが組んでー」
「ただし、吉井と坂本ペアじゃなきゃいけないさね」
「・・・・・・何故ですか?」
「でないとこの話は無しさね」
何で明久と雄二なんだ?確実に手に入れるなら俺とアランに頼んだ方が確実な気がするが。
「無論、強奪何て馬鹿な真似はするんじゃないよ。譲って貰うのも不可だ。私はお前達に大会で優勝しろ。と言ってるんだからね」
益々怪しくなってきたな。学園長は一体何を隠してるんだ。明久と雄二が優勝するなんてそんなリスクが高い真似を犯してまで何を狙ってるんだこの人は?
「・・・・・・僕たちが優勝したら、教室の改修と設備の向上を約束してくれるんですよね?」
「何を言ってるんだい。やってやるのは教室の改修だけ。設備についてはうちの教育方針だ。変える気はないよ」
それについては仕方ないな。取引で設備を導入なんてしたら他のクラスに示しがつかない。
「ただし、清涼祭で得た利益で何とかしようって言うなら話は別だよ。特別に今回だけは勝手に設備を変更する事に目を瞑ってやってもいい」
利益に関しては一応良いみたいだ。
「そこを何とかオマケして設備の向上をお願いできませんか? 僕らにとっては教室の改修と同じくらい設備の向上も重要なんです」
「それで?」
「もしも喫茶店が上手く行かずに設備の向上が危うかったら、そっちが気になって集中出来ずに僕らも学園長も困ったことに・・・・・・」
「なんだ、それだけかい。ダメだね。そこは譲れないよ」
「でも! 設備の向上を約束してくれたら大会だけに・・・・・・」
「明久、このババァは譲る気はなさそうだから取引に応じるしかないぞ」
「そうだな。それについては引き受けよう」
「ん?雄二、復活したのか?」
「ああ、何せこの取引を応じる以外方法がないからな・・・・・・」
「そうかい。交渉成立だね」
「但し、こちらからも提案がある」
提案?一体何をするつもりだ?
「何だい、言ってみな?」
「召喚大会は二対二のタッグマッチ。形式はトーナメント制で、一回戦は数学、二回戦は化学っていうふうになると聞いている」
「ふむ、それで?」
「俺と明久のペア・斗真と如月のペアは決勝戦に当たるようにすること、そして対戦表が決まったらその科目指定を俺にやらせてくれないか?」
成程。雄二はおそらく学園長が何かを隠してるかもしれんと思い、学園長を試してるんだろな。
「ふむっ・・・・・・、いいだろう・・・・・・点数の水増しだったら一蹴してたけど、それくらいなら協力しようじゃないか」
「ありがとうございます」
引き受けたって事は、どうやら学園長はなにがなんでも明久と雄二に優勝してほしいみたいだな。
「さて、そこまで協力するんだ。当然召喚大会で優勝できるんだろうね」
「無論だ。俺達を誰だと思ってる」
学園きっての問題児コンビって言いたいが今はやめとくか
それに今の雄二のあの笑みは、試召戦争の時にも見たやる気全開の顔をしてるよ。
「それじゃ、ボウズども。後はまかせたよ」
「「おうよ」」
「了解」
こうして、文月学園最低コンビが誕生した。
感想お願いします。