バカと双子と二刀流   作:ペンギン太郎

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前に一度似たような物を書きましたが納得いかず消してしまいましたのでこの作品は自分なりに出来る限りやってみますのでよろしくお願いします。


第一問 宣戦布告

 『例え周りからどう言われようが俺はずっと二人の側にいたい。俺は二人を心の底から愛してる。だから二人共、俺と付き合ってくれないか』

 

 あの告白から数日の時間が流れ、ここ文月学園を舞台に俺と二人の姉弟の物語が始まった。

 俺が通う文月学園は試験召喚システムという他の学校にはない独自のシステムを用いており、世間からは多大なる注目を集めている。試験召喚システムはテストで取った点数を元に自信の分身とも言えるを召喚獣を出し、『試験召喚戦争』という学年別対抗の戦いにおいて勝敗を競うものである。

 そしてこの日二度目の春を迎える第二学年の生徒は振り分け試験という試験の結果に基づき、成績が良ければAクラスに逆に悪ければFクラスへと選別されていく。

 

 「おはよう東條」

 

 「おはようございます。鉄人先生」

 

 「キサマは普通に西村先生と呼べんのか!!」

 

 校門の前に立ち、俺に呆れた様に声を掛けてくるのは、全身が筋肉の塊の西村宗一先生(通称・鉄人)である。何故この人が鉄人と呼ばれるかと言うと、俺が一年の時にある生徒が鉄人の人間離れした身体能力を見てそう呼び始めたのが始まりなのだ。俺としてもその方が呼びやすいし、鉄人先生に眼をつけられなければ何も問題ないからな。

 

 「にしてもどうしてこう生徒一人一人に結果の書かれた封筒を渡す面倒な仕組みになってるんですか?」

 

 「まあこの学園は試験召喚システムという独自のシステムを用いてるからかこれもその一環でな、まあ受けとるが良い」

 

 そう言われ、封筒を受けとって中を見てみると

 

 東條 斗真 Fクラス

 

 

 と書かれていた。

 俺は振り分け試験をとある事情で休んでしまい受けれなかったからな。これも何らかの試練だと思い頑張るとするか。

 

 「お前の成績だと本来ならAクラスなんだが結果が結果である以上仕方ないからな」

 

 「わかってますよ。Fクラスって事は俺はアイツらと同じクラスって事で良いんですよね?鉄人先生」

 

 「だから西村先生と呼べと、まあ確かにあの馬鹿共と一緒だが、だからといって問題を起こすんじゃないぞ」

 

 「わかってますよ鉄人先生」

 

 軽いやり取りをした後俺は校門をくぐり自信が通うFクラスがある旧校舎へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

「ここって本当に教室か?さっき見たAクラスとは設備の差が半端ないんだが・・・・・・」

 

 俺はFクラスの教室に着いてすぐ様思った事を口にする。確かにクラス事に設備に差を付け互いを競わせるのは理解できるがいくら何でもこれはあまりにも酷すぎのである。

 ここに来る途中Aクラスの教室を覗いてみたが向こうはリクライニングシートにデスクワークさらに個別に冷蔵庫が付いているなど最高位クラスだからってあまりにも豪華すぎるだろ。

 

 「こんな事なら何としてでも振り分け試験受けるべきだったな。今更後悔しても仕方ないか」

 

 そう俺が愚痴を言いながら教室の戸を開けると、

 

 「早く座れ、蛆虫野郎が!!」

 

 入ると同時にいきなり罵声を浴びせられた。

 

 「何やってんだ雄二?」

 

 「ん?ああ斗真か。てっきり明久だと思って言っちまったんだが悪かったな」

 

 俺に罵声を浴びせてきたのは去年同じクラスメイトだった長身で赤髪が特徴の雄二こと坂本雄二だ。

 

 「雄二がここにいるって事はお前もFクラスって事だよな」

 

 「おうよ。何しろ俺はこのクラスの代表だからな。今自分の戦力になる奴を確認してる所さ、お前もその一員だからな」

 

 「まぁ期待に添えるかはわからんが、精々足引っ張らないようにはしておくよ」

 

 雄二がFクラスの代表だってのは薄々勘づいてはいたけどまさか本当にそうなるとはな。俺の知ってる限りじゃコイツは本気出せばAクラスとはいかなくても上位クラスに行けた筈なんだけどな。

 

 「すいません、ちょっと遅れちゃいました♪」

 

 「早く座れ、蛆虫野郎が!!」

 

 雄二はまた罵声を言ったので声のした方を見てみるとそこには雄二と同じく去年クラスメイトだった明久こと吉井明久が立っていた。

 

 「雄二何してるの?アレ?何で斗真がここに?ひょっとして君もこのクラスなの?」

 

 「よう明久。俺は振り分け試験受けれなかったからここにいるんだ。ま、今年もよろしく頼むぞ」

 

 「そうだったんだ。でも斗真なら普通にAクラスに行けた筈なんだけど」

 

 明久が疑問を投げるが確かにここにいる連中からしたら俺がここにいるのは違和感があるだろうな。自分で言うのも何だが俺は学年成績ランクでは最高位とはいかなくても一桁台には学力があり、得意科目に関しては常にトップレベルの成績を誇るからである。

 

 「明久が疑問に思うのも当然だが、少なくとも斗真はFクラスの一員って事は確かだ。同じクラスになった以上こき使ってやるからな」

 

 「そうだな。俺や場合は明久を捨て駒にするよりかはマシな扱いになると思うけど」

 

 「ちょっと、それって一体どういうこと!?僕はその程度の存在ってこと!?」

 

 俺達三人はいつもの様に喋っていると

 

 「すいません通して貰えますか?今からホームルームを始めますので皆さん席に付いてください」

 

 後ろから声が聞こたえので振り向くと、恐らくFクラスの担任であろう男性が立っていたので自分の席にっといっても特に決まっている訳でもないので適当なとこにつく。

 

「えー、おはようございます。Fクラスの担任を務める福原慎です。よろしくお願いします」

 

 と先生が軽く自己紹介をした。

 

 「皆さん全員に卓袱台と座布団は支給されていますか?不備があれば申し出て下さい」

 

 「先生、俺の座布団に綿が入っていません」

 「あー、我慢して下さい」

 「俺の卓袱台の足が折れています」

 「木工用ボンドが支給されてますので、後で自分で直して下さい」

 

 いくらFクラスが最底辺クラスだからって与えられる物が卓袱台と座布団って酷すぎるぞ。クラスの皆が不満に思ったが軽くあしらわれそのまま自己紹介が始まった。

 

 「木下秀吉じゃ、演劇部に所属しておる」

 

 「・・・・・・・・・・土屋康太、趣味は盗さ・・・・・・何でもない、特技は盗ちょ・・・・・・何でもない」

 

 自己紹介をしているのは去年からの付き合いである秀吉と康太。秀吉は見た目が女の子に見えるがれっきとした男であり、康太に至っては趣味と特技が盗撮に盗聴と聞いている限りじゃ危ないヤツだ。

それと秀吉は双子の姉である優子と同じ俺の━━

 

「島田美波です。えーっと趣味は吉井明久を殴ることです♪」

 

 ちょっと待て。今物騒な発言をした女子がいたよな。と思い見てみるとそこには明久達と同じ去年クラスメイトだったポニーテールと平らな胸が特徴の島田さん事島田美波がいた。島田さんはドイツからの帰国子女で明久をことあるごとにボコボコにしている(理由は明久がデリカシーのない発言をしている為)女の子だ。

 

 「島田さん・・・・・・」

 

 「ハロハロ~吉井。後東條も今年はよろしくね♪」

 

 先程の発言に対し、明久は島田さんに対し萎縮しているのである。そりゃあ趣味が人を殴る事って言われて平然としていられる訳ないからな。次に俺の番が来たから俺は前に出る。

 

 「東條斗真です。今年はよろしくお願いします」

 

 と軽く自己紹介をし自分の席に戻る。

 

 「吉井明久です。僕のことはダーリンって呼んでください♪」

 

 『ダァ━━━リン!』

 

 「・・・・・・失礼、忘れてください」

 

 明久は自己紹介をする際下らない発言をし自滅する。明久、そうなるなら最初から言わなければいいのに。っとまあこんな感じで自己紹介が進んでいる途中

 

ガラッ

 

 「あの・・・・・・遅れて・・・・・・すいません」

 

 「えっ?君は・・・・・・」

 

 声のした方を振り向くとそこには俺と同じこのクラスには似つかわしくない女子が来て俺を始め、皆は驚くのであった。

 

 「あの、姫路瑞希といいます。よろしくお願いします」

 

 そこに立っていたのはピンクの髪に小動物のような可愛いらしさを持った女の子で第二学年の生徒なら誰もが知ってる優等生の姫路瑞希だ。でも何で姫路さんがここにいるんだ?確か彼女は学年成績でトップの霧島翔子(彼女曰く雄二の嫁)『俺は独身だ‼』に次ぐ学年次席で普通に考えたらAクラスにいると思ってたんだが。

 

 「あの、振り分け試験の時、高熱を出してしまいまして」

 

 ああ、そういうことか。振り分け試験はどんな理由があろうと途中退席すると無得点扱いに、その時明久が教師に抗議をしたが聞き入れてもらえず保健室に連れていったって雄二から聞いた事があったな。人間誰しもいつ体調崩すか分かる訳ないし少しくらい多目に見てもいいと思うが

 

 『そういえば俺も熱の問題が出たせいでFクラスになって』

 『ああ、化学だよな?アレは確かに難しかったな』

 『俺は弟が事故にあったと聞いて全力を』

 『黙れ一人っ子』

 『試験の前の晩、彼女が寝かせてくれなくて』

 『今年一番の嘘をありがとう』

 

 何バカな会話をしてるんだよコイツらは。姫路さんと違ってお前らは勉強をサボったからFクラスになっただろうが。

 そして姫路さんは逃げるように明久と雄二の隣の卓袱台に着いた。

 

 「ふ~、緊張しましたぁ」

 

 「あの、姫路さん・・・・・・」

 

 「あ~、姫路さん。明久がブサイクですまんな」

 

 「いきなり罵倒!?酷いよ斗真」

 

 明久が姫路さんに話しかける直前に俺が割って早々明久を罵倒すると明久はショックを受ける。

 

 「そ、そんな!目もパッチリしてるし、顔のラインも細くてキレイだし、全然ブサイクなんかじゃ」

 

 「まぁそうだな。明久に関して何かあるなら俺に聞いてくれ。後体には気を付けてな」

 

 「あっ、はい。お気遣いありがとうございます。え~っとあなたは・・・・・・」

 

 「東條斗真。明久(常識じゃ計り知れないバカ)の友達だ」

 

 「ちょっと待って!いくら何でも言い過ぎだよ!!」

 

 「本当のことだろうが。まあ俺も事情があって受けそびれてこのクラスになったがよろしくな」

 

 「あっ、はい。よろしくお願いしますね」

 

 「姫路、ちょっといいか?」

 

 俺と姫路さんがやりとりしてると雄二が割って入ってきた

 

 「はい、えっと・・・・・・」

 

 「坂本だ、坂本雄二・・・・・・このクラスの代表『そして翔子の夫』おい斗真、余計な事を言うな!んでもって俺は独身だろうが!っとまあよろしくな」

 

 「あっはい、よろしくお願いしますね。えっと翔子さんっていうのは」

 

 「ああ、学年主席の『話がややこしくなるから止めろ!!』っとまあそれはおいといて何か困った事があったら俺達を頼ってくれよな」

 

 「あ、はい。わかりました」

 

 「てめぇ、後で覚えてろよ(握り拳をしながら)」

 

 「あー覚えとくよ」

 

 そんな俺と雄二が軽く口喧嘩している途中

 「はいはいそこにいる皆さん、静かにしてくださ・・・・・・」

 

 バキィ

 

 先生が軽く教卓を叩くと崩れてしまい

 

「えー替えの教卓を取りに行くので、自習していて下さい。」

 

そして先生は教卓を取りに教室から出ていく、一方明久はと言うと

 

「雄二ちょっといい?ここじゃ話せないからちょっと廊下でー」

 

「あぁ、別に構わんが」

 

 明久は何らかの話をする為に雄二を連れて廊下にいきその間俺は秀吉と会話をし始める。

 

 「斗真よ。この教室はあまりにも酷すぎるのう」

 

 「そうだな。いくら設備に差を付け勉学へのモチベーションを上げるためとはいえ、ここまで酷すぎると最悪体調を崩す奴が出てもおかしくないな」

 

 「しかし、何ゆえ明久は雄二を連れて廊下に出たのじゃ?」

 

 「詳しい話しは後で二人から聞けばいいし、今は待っているとするか。まあ大方予想はつくが」

 

 「そうかのう。それと斗真よ。お主は何故振り分け試験を欠席したのじゃ?お主が試験を欠席したと聞いて姉上も心配しておったぞい」

 

 「悪いがそれはまたの機会に話すよ。今は目の前の事に集中するとしてだ。明久は多分姫路さんに関する事で雄二と話してるは筈だ」

 

 明久の事だから恐らく姫路さんの為に何かできないかと雄二と話してるはさっきの様子から見て間違いないだろう。明久はバカだが誰かの為になるのなら自分を犠牲にしてでも動くからな。それと俺が振り分け試験を欠席した件については後日秀吉と優子に説明しないとな。

そして話しを終えた二人が先生と一緒に戻ってくる。

 

 「坂本君、あなたが最後の一人ですよ・・・・・・」

 

 先生が雄二にそう呼び掛けると雄二は教壇に立ち口をする。

 

 「Fクラス代表、坂本雄二だ。坂本でも代表でも好きなように呼んでくれ。早速だが皆に一つ聞きたい。」

 

 このクラスの皆が雄二へと注目を集めると雄二は話を続ける

 

 「Aクラスは冷暖房完備に、座席はリクライニングシートらしいが不満はないか?」

 

 

 すると皆は

 

『大アリじゃあぁぁぁぁ‼』

 

 と絶叫が響き

 

 「だろう?俺だってこの現状は大いに不満だ。代表として問題意識を抱いている」

 『そうだそうだ!』

 『いくら学費が安いからと言って、この設備はあんまりだ改善を要求する!』

 『そもそもAクラスだって同じだろ!あまりに差が大きすぎる』

 

 皆が不満を口にする。俺もいくら設備に差を付けるからって健康に害をなすようじゃやり過ぎだと思ってるしな。

でもまあコイツら(姫路さん以外)は多分ちょっとやそっとじゃくたばらんだろう何せさっきのバカな会話を見たら誰でもそう思うし

 

 

 「皆の意見は最もだ。そこで俺はFクラス代表としてAクラスに対して『試験召喚戦争』を仕掛けようと思う。」

 

 と雄二は高らかに宣戦布告をここに宣言した。

 




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