後この回では斗真がある技を披露しますがマニアックでわからなければスルーして構いませんよ。
喫茶店を出てアランと合流した俺は予選会場に向かっている。
「さて、一回戦は数学だけど問題ないよね斗真?」
「当然だろ。俺はお前に負けた後リベンジする為にいつも以上に勉強してるからな」
「そうみたいだね。聞いたところによると彼女である木下さんに教わってるみたいじゃないか」
「ま、まあな。一応総合科目は俺の方が上だけど苦手科目では優子には負けっぱなしだし。いつまでも苦手にしていたら再戦する際そこを憑かれたらおしまいになるからな」
「そうだね。でも、次戦う時は手加減しないからね」
「ああ、わかってるさ。おっ、そろそろ着くぞ」
「じゃあ。初めてのタッグ戦といきますか」
試験召喚大会 予選会場
一般公開は三回戦からとなる為、ここには立会人の先生と対戦する生徒しかいなかった。
「えーっ、それでは試験召喚大会一回戦を始めます」
一回戦は数学であるため担当は船越先生だ。一回戦で戦う相手は
「ゲッ!?あの時の豚野郎ではありませんか!?」
「出会って早々罵倒なんて酷いな清水さん」
俺達の相手はDクラスの清水さんペアか。清水さんのパートナーは三つ編みの女子で見たところ普通な子だと思うが。
「あのっ、アキちゃんはここにはいませんか?」
「アキちゃん?」
誰だその子?アキちゃんなんて聞いたことないんだが。
「斗真。彼女は清水さんと同じDクラスの玉野美紀さんだよ」
「へえっ。何か問題がある子なのか?」
「問題っていうより、彼女はマニアックな趣味を持っていてね」
「マニアックな趣味?」
「女装した男子が好きみたいなんだ」
「・・・・・・」
アランから玉野さんが女装した男子が好きだという事を聞き思わず沈黙するしてしまう。
「えっと、玉野さん。そのアキちゃんってのはどこのクラスか教えてほしいんだが」
「アキちゃんはアキちゃんです」
イヤそれだけじゃ分からないんだけど。
『さっきの決着をつけるぞクソ野郎!』
『それはこっちの台詞だバカ野郎!』
突然怒鳴り声が聞こえたので、声のした方を見てみると何故か明久と雄二が喧嘩をしていた。
「ねぇ斗真。何であの二人はタッグを組んでるのに喧嘩をしてるんだ?」
「俺が知るわけないだろ。どうせ下らん事でやりあってるのは間違いないしな」
「あっ、アキちゃんです!」
「えっ?」
玉野さんが明久を見た瞬間『アキちゃん』と呼んでいたからひょっとして
「もしかして、アキちゃんって、明久の事なのかい玉野さん?」
「そうです。アキちゃんはアキちゃんです」
何だろう。俺は知ってはいけない事を知ったような感覚に陥ってるんだけど。
「とりあえず。さっさと戦うかアラン」
「・・・・・・そうだね」
とにかく今は目の前に集中するとして
「豚野郎、さっさと負けてしまいなさい。美春はお姉様と幸せになる為に負けられませんから」
やはり清水さんは島田さん狙いで参戦してたか
でもなこっちだって負ける訳にはいかないんだよ。
「まあお話はここまでにして、さっさと決めるぞ」
「では、開始してください」
『
召喚獣が出現し点数が表示される。
まあDクラスの平均レベルってところか
「ふんっ!所詮Fクラスの豚野郎には届かない点数ですわ」
「あの、清水さん。俺がどんだけ点を取れてるのか知らないのか?」
「ごちゃごちゃ言わずに、さっさと出してやられてしまいなさい!」
どうやら清水さんは俺の隣にAクラスのアランがいるにも関わらず勝ったと思い込んでるみたいだな。
「アラン、格の違いを見せてやろうぜ」
「そうだね」
「何ですって!?豚野郎の分際で!」
「あのさあ、俺達の点数を見てみろよ」
「はっ?」
清水さんが俺達の点数を見てみると
「なっ!?美春の3倍の点数ですって!?」
清水さんはあまりにも差がありすぎて驚いてるみたいだな。
「凄いね斗真。まさかそこまで行くなんて、これも愛しの彼女のお陰かな♪」
「恥ずかしいからやめろ。まあ前は精々200点台だったが優子にみっちりしごかれてここまできたからな」
「なら余計に負けるわけにはいかないね」
「元からそんな気はねえよ。さあ二人共さっさと決めるぞ!」
「くっ!行きますわよ玉野さん!」
「はい、清水さん」
互いの召喚獣がぶつかりあい勝負が始まったが・・・
「勝者、東條・如月ペア」
苦戦することも何もなくあっさり決めてしまった。
「お姉様~!美春をお許しください~!」
清水さんは負けてしまった事に相当落ち込んでいる。
「でもまあ例え手に入れたとしても、島田さんが断るのは目に見えてるから無意味だな」
「そうだね。僕も清水さんが島田さんにベタつくのを何回か見てるけど、島田さんは嫌がってたしただの無駄骨になるけどね」
今の島田さんは明久一筋だしな
「ところでアラン。このあと俺のクラスがやってる喫茶店に来るか?」
「悪いね。僕のいるAクラスは今お客さんで一杯だから抜け出すわけにはいかないんだ」
「そうか。じゃあこっちの手が空いたらそっち行くさかいまた後でな」
「じゃあね斗真」
俺はアランと別れ喫茶店へ戻っていくと。
「斗真、大変じゃ」
「どうした秀吉?」
「うちのクラスで営業妨害が発生しておるのじゃ」
「営業妨害だと?」
まさか本当にそんな事をする奴がいたとは。
「みたところウチの三年みたいじゃが」
三年だと?何で上級生がそんな事をするんだ?
「それで秀吉、雄二は今どこに?」
「わからぬ、ワシも今雄二を探しておるのじゃが」
「オーケー。俺は先に教室に戻るから秀吉は雄二にこの事を伝えてくれ」
「了解じゃ」
俺は秀吉と別れた後、直ぐ様喫茶店へ戻っていくと
「マジで汚ねえ机だな!これで食い物扱っていいのかよ!」
俺が戸を空け見てみるとそこにはクロスで敷いたみかん箱が気に入らないのか。クロスを剥いで中のみかん箱を露にし文句を言っている奴がいた。
みたところ坊主頭とモヒカンが特徴のチンピラだな。
『うわ・・・・・・確かに・・・・・・酷いな』
『クロスで誤魔化したみたいね』
『学園祭とは言っても、一応食べ物の店なのに・・・』
不味いな、このままだと悪評が広まり、営業が立ち居かなくなるぞ
「おい斗真、一体どういう事だ?」
「雄二か」
俺の後ろには雄二がおり側には秀吉がいるから急いで駆けつけてきたってところか。
「俺にもわからんが、このままだと営業が立ち居かなくなってしまうぞ」
「そうか、秀吉、ちょっといいか?」
「ふむっ、何じゃ?」
「至急用意して欲しいきて欲しいものがあるが」
雄二が秀吉に耳打ちする
「一応用意はできるが・・・・・・あっても二つ程度じゃが」
「それだけあれば十分だ頼む」
「了解じゃ。すぐ戻る」
秀吉が駆け付けどこかへいくと
「明久。お前はあの小悪党共の特徴をよく覚えておけ」
「? よくわかんないけど、了解」
「よしっ、行くぞ斗真」
「おう」
俺と雄二はクレームをつけている奴のもとへむかっていく。
「まったく責任者はいないのか!このクラスの代表ぶべぁっ!?」
雄二はすぐさまクレームをつけた奴にパンチを見舞う。
「私がこのクラスの代表、坂本雄二です。何かご不満な点でも御座いましたか?」
まるでホテルのウェイターのように恭しく頭を下げる雄二。いきなり顔面にパンチをするのは駄目なんだが
「不満も何も、今連れが突き飛ばされたんだが・・・・・・」
殴られてないモヒカンが驚いてる。まあいきなりパンチを浴びせて挨拶する責任者はいないからな。
「それは私の『パンチから始まる交渉術』に対する冒涜ですか?」
凄い交渉術だがそんな物はあってたまるか。
とりあえず俺はそこのモヒカンに対して
「ふ、ふざけんなこの野郎・・・・・・!何が交渉術ふぎゃあ!」
「そしてこれが『キックで繋ぐ交渉術』です。お客様」
モヒカンに蹴りを浴びせる俺、コイツらを黙らせるには俺の知る限りこれしかなかった。
「最後には『プロレス技で絞める交渉術』が待っていますので」
雄二がそう話すと
「わ、わかった!こちらはこの夏川を差し出そう!俺は何もしないから交渉は不要だそ!」
「ちょっ、ちょっと待てや常村!お前、俺を売ろうってのか」
成程、常村と夏川か。面倒だから『常夏コンビ』ってつけとくか
「それで、常夏コンビとやら。まだ交渉を続けるのか?」
雄二の方は仮面が外れてるな。こいつには慇懃な態度を続けるのは面倒みたいだったな
「い、いや、退散させて貰う」
常村(モヒカン)が雄二の雰囲気を感じとり、撤退する気か、懸命な判断だが。
「斗真、モヒカンを頼む」
「了解、常村先輩、あなたには私ご自慢のとっておきをお見舞いしましょう」
俺は常村の背後に周り常村の首を左手で抑え右腕を掴むと。
「おいっ、貴様一体何をーぐはぁっ‼」
そのまま逆上がりの要領で回転し常村の後頭部を床に叩きつけた。
これは俺のとっておきであるプロレス技の一つ『リバースDDT』だ。どこでこれを知ったかというと前に優子達と一緒にプロレスを観戦した際、その技に見惚れ独自で練習し習得した技だ。
「なっ、常村!俺もうなにもしてないだろ!?どうしてそんな大技をぶるぁっ!」
雄二は夏川にバックドロップを決めて、平然と立ち上がる。
「覚えてろよ‼」
倒れた相棒を抱え、常村はそのまま去っていった。
『流石にこれじゃ食っていく気はしないな』
『折角美味しそうだったんだけどね』
『食ったら腹壊しそうだしな』
どうやらいくら大技を披露したところでお客さんに対する印象は悪かったか(普通客にプロレス技は掛けません)。
ガタッ
客の一人が席を立つ。ん?あれは教頭の竹原先生だな。何であの人がここに?こういった催し物は好きそうに見えなかったけど。
『店変えるか』
『そうしよう』
『あ、お客さん!』
一人目が立つと、次々とお客さんが立ってしまう。これは集団心理ってやつか。不味いなこのままだと悪評が広まってしまう。
「失礼しました。こちらの手違いでテーブルが遅れていましたので、暫定的にこのような物を使ってしまいました。ですが、たった今本物のテーブルが届きましたのでご安心ください」
お客さんの前に頭を下げる雄二。その後ろには秀吉と他の男子が立派なテーブルを運んでるが。
そうか雄二はこうしてお客さんの前で衛生面を改善したところを見せて安心感を持たせようとしてるんか。
「あれ?テーブルを入れ替えてるの?」
後ろから声が聞こえ、振りかえるとそこには島田さんと姫路さんがいた。
「二人共、予選はどうだった?」
俺は二人の側に行き結果を聞くと
「はいっ。何とか勝てました」
姫路さんがVサインをしている。まあ勝てたんだから喜ぶのは当たり前だし、何しろ自分の転校が掛かってるからな。
「そんな事より、テーブルを入れ換えちゃっていいの?そんなに数はないはずだけど」
島田さんの指摘はごもっともだ。秀吉はテーブルは二つしかないって言ってたし。そうすると残りもそのままの状態にしとく訳にはいかないしな。
「それでは、他のテーブルも届き次第順次入れ替えさせて頂きますので、ご利用中のお客様はひとまずこちらのテーブルにお移りの上、ごゆっくりとおくつろぎ下さい」
そうして雄二は一礼し、廊下へ出ると
「ふう。こんなところか」
小さい息をつく雄二。慣れない丁寧語を使った為かしんどそうだな。
「お疲れ、雄二」
「何とかなったか」
「何があったのか分からないけど、お疲れ様」
「お疲れ様です」
「おう、姫路に島田か。その様子だと勝ったみたいだな」
その言い方だと、雄二は二人が勝つのを最初から分かってたみたいだな。
「一応ね。それより、喫茶店は大丈夫なの?」
さっきの騒動でお客さんは減り、このまま悪評が流れでもしたらますます姫路さんの転校が高まってしまうな。何とかしないとな。
「雄二、どうする?」
「そうだな。このまま何も妨害がなければいいが」
このまま?どうやら雄二はこの後にも何か起きないか予想してるみたいな言い方をしてるが、おそらく学園長との取引が関わってるとみて間違いない。
「あの、持ってくるテーブルは足りるんですか?」
「それについてはどうする?」
「そうだな。・・・・・・明久、二回戦までは後どれくらいある?」
スマホを見て確認する明久、確か明久達は十一時から始めてたんだから
「小一時間ってとこかな」
「そうか、あまり時間がないな」
「だったら俺からアランに余ったテーブルがないか聞いて、もしあったら借りてこようか?」
「イヤ、それよりもてっとり早い方法があるからその件についてはこっちに任せろ。・・・・・・明久、ついて来い」
「了解」
そして雄二と明久はテーブルを調達しにどこかへ行った。雄二の事だから録でもないのは確かだ。
「ねえ、ウチらはどうすればいいの?」
「島田さん達はウェイトレスをやっといてくれないか?落ちた評判を取り返す為にできるだけ愛想よく笑顔で頼むよ」
「わかりました。それで東條君は?」
「俺は今から二回戦が始まるからそろそろ行かないとな。二人共後を任せていいかな?」
「はいっ。任せてください」
「いいわよ。後はウチらに任せて、勝ってきなさい」
「ありがとう。じゃあ行ってくるね」
俺はそのまま二回戦へ向かっていき、アランと合流した後クレームの話とテーブルの件について説明すると、アランはOKしてくれた。どうやらAクラスには余ったテーブルがあったらしく、二回戦が終わったら貸して貰うよう話をつけてくれるみたいだ。
やっぱ頼りになる友達がいて助かった~。
因みに雄二達は各箇所からテーブルを盗んでたみたいで雄二曰く「一旦、喫茶店に使えばコッチのもんだ!」とのことだ。お前ら、他に方法がなかったのかよ。
今回披露したリバースDDTは最初デ○ティーノと書こうとしましたがそれだけじゃ分かる人はいないかなと思い、普通に技の名前にしました。
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