明久から姫路さん達が誘拐されたと聞いた俺は優子と一緒に雄二達がいるFクラスへ向かうと教室の前には雄二とムッツリーニ、そしてアランがいた。
「雄二!明久が言ってたことは本当か!?」
「ああ。俺と明久、そして斗真に直接やり合っても勝てないと考えたか。当然と言えば当然の判断だな」
「僕もさっき姫路さん達が柄の悪いチンピラに連れて行かれるのを目撃してここに来たんだけど、まさかここまで深刻な事態になるとはね」
やり合うってのは喧嘩の事だろう。雄二は中学の頃は言わずと知れた程喧嘩に明け暮れ、とある異名が付けられる程だからな。明久も雄二程じゃないがそこそこできる為なんとかやり合えるし。俺は昔アランと一緒に格闘技を習ってたから問題ない。
「ってそんな事より、姫路さん達は大丈夫なの!?どこに連れて行かれたの!?相手はどんな連中」
「落ち着け明久。これは予想の範疇だ」
「えっ?そうなの?」
どうやら雄二もこうなる事は予想はしていたか。
「もう一度俺達に直接何かを仕掛けるか、あるいはまた喫茶店にちょっかいを出してくるか。そのどちらかで妨害工作をしてくることは予想できたからな」
「確かにそうすれば喫茶店に影響力は出るが、いくら何でもこれは警察沙汰だぞ」
「どうやらこれは大きな力が働いてると見て間違いないね」
「一体何をしたらそうなるのよアンタたちは」
「なんだか随分と物騒な予想をしてたんだね」
「引っ掛かることが随所にあったからな」
「それは俺も思ってた所だ」
「そうなんだ」
「とりあえず今は姫路さん達を救出しないと。ムッツリーニ、お前の事だ。あらかじめ場所は把握してるんだろ?」
「・・・・・・・・・・行き先はわかる」
ムッツリーニは懐からある機械を出す。
「何これ?ラジオみたいに見えるけど」
「・・・・・・・・・・盗聴の受信機」
ムッツリーニは常にそういったものを持ち歩いてるからわかっていた事だ。それを知らない優子とアランは少し顔を引きつってるが
「オーケー、敢えて何で持ってるのか聞かないでおくよ」
明久の言う通り。ここは敢えて見過ごすか
「さて、場所がわかるなら簡単だ。かる~くお姫様を助けて出すとしましょうか王子様」
雄二はからかうような目で明久をみる。
「そのニヤついた目つきは気に入らないけど。今回ばかりは雄二に感謝しておくよ。姫路さん達に何かあったら、召喚大会どころの騒ぎじゃないからね」
「・・・・・・それが向こうの目的だからな」
「え?」
「とにかく、まずはあいつらを助け出そう。ムッツリーニと如月は隙を見て裏から姫路達を助けてやってくれ」
「・・・・・・・・・・わかった」
「任せたまえ」
「雄二、僕らはどうするの?」
「それは決まってるだろ明久」
「決まってるって?」
「王子様の役目はお姫様を拐った悪者を退治することさ」
「・・・・・・斗真」
「ごめんね優子。今から姫路さん達を助けてくるからここで待っといてくれないか」
「うん。わかったわ・・・・・・。斗真・・・・・・。気を付けてね」
「ああ」
「お~お。こっちはお姫様に見送られる白馬の騎士ってところかな」
「べ、別にいいだろ。雄二、さっさと姫路さん達を助けに行くぞ」
とりあえず、お姫様を助けに行きますか。
『さてどうするー吉井と坂本、後東條だったか?そいつら、この人質を盾にして呼び出すか?』
『待て。吉井と東條ってのは知らないが。坂本は下手に手を出すとマズい。今はあまり聞かないが、中学時代は相当鳴らしてたらしいからな』
『坂本って、まさかあの坂本か?』
『ああ。できれば事を構えたくないんだが・・・・・・』
『気持ちはわかるがそうもいかないだろ。依頼はその三人を動けなくすることだからな』
ムッツリーニから借りている受信機から音楽に混ざって会話が聞こえる。
依頼?やっぱりアイツらは教頭に雇われたそこらのチンピラってところか。
(雄二、この連中って)
(ああ、黒幕に雇われたそこらのチンピラだろうな)
(どうやらさっき明久を襲った奴より人数はいると見て間違いなさそうか)
ムッツリーニに案内されたのは、文月学園から歩いて五分程度のカラオケボックス。そこのパーティルームに連れてかれたみたいだな。
『お、お姉ちゃん・・・・・・』
『アンタ達、いいかげん葉月を離しなさいよ!』
聞こえてきたのは島田さんの怒鳴り声、どうやら葉月ちゃんを人質に無理矢理連れて来られたようだ。
『お姉ちゃん、だってさ!可愛い~!』
『ぎゃはははは!』
吐き気すら覚える外道の声だな。おそらく中には声からして九人ってところか。
(待て、明久。気持ちはわかるがまずは人質の救出が先だ。ムッツリーニと如月が上手くやるまで待ってろ)
(今ここで下手に動くと姫路さん達に危険が及ぶんだ。辛いのはわかるが今は耐えろ)
(・・・・・・わかったよ)
明久は今すぐにでも駆け付けたいみたいだが雄二によって抑えられている。明久、助けたいのはここにいる俺達も思ってるんだから今は雄二の言うとおり堪えろ。
『・・・・・・灰皿をお取り替えします』
『おう。で、このオネーチャンたちどうする?ヤっちゃっていいの?』
『だったら俺はこっちの巨乳ちゃんがいいな!』
『あっ!ズリー!それなら一番ね!』
パーティルームの中から下品な声が響き渡る。
『あ、あのっ、葉月ちゃんを離して、私達を帰らしてください!』
『だってさ~。どうする?』
『それはオネーチャン達の頑張り次第だよな?』
『やっ!さ、触らないでー』
『ちょっと、やめなさいよ!』
『あー、もう。うっせえ女だな!』
『きゃあっ!』
ドンッという何かを突き飛ばした音と島田さんの悲鳴が聞こえ、その数秒後ガシャァァンなんていうまるでテーブルを巻き込んで倒れたような音が響いた。
アイツら、島田さんに手を出したな。だが今下手に動くと人質が
ダッ!
(おい、明久!)
すると明久が駆け出し、雄二が止めに入ったが遅かった。
(雄二、どうする?俺達も行くか?)
(いや待て!ここで動けば、ヤツらは人質を盾にするぞ)
(でも明久一人じゃアイツら全員を相手にするのは無理があるぞ!)
すると受信機から
『死に腐れやぁぁぁ!』
『ほごあぁぁぁ!』
『てっ、てめぇ、ヤスオに何しやがる!』
どうやら明久は入ってすぐに近くのチンピラに攻撃を仕掛けたみたいだな。だが明久は殴られたのか鈍い音も混ざっていた。
(マズイ!このままだと明久が危ないぞ!どうする雄二)
(ちっ!仕方ねえ、俺達も行くぞ!)
(おう!)
俺と雄二はすぐさま駆け付けパーティルームに入ると
「てめぇら全員!ブッ飛ばす・・・・・・!」
傷だらけの明久がチンピラに囲まれていた。あのバカ、こんな状況にも関わらずそんなこと言うとは大した奴だよ。
するとチンピラ二名が攻撃を仕掛けようとしたので
「やれやれ・・・・・・この阿呆が。少しは頭を使って行動しろ・・・・・・っての!」
「げぶっ!」
「全くバカだな明久。だがそれがお前の良い所なんだ・・・・・・よっ!」
「ぶげっ!」
「雄二、斗真!」
雄二は壁に頭を叩き付け、俺は顔面に拳を叩き込んだ。
「貸しイチ、だからな」
「さて、ここからは俺達の出番といきますか」
そのまま俺と雄二は手当たり次第に近くにいたチンピラを伸していく。所詮喧嘩なれした雄二と格闘技を経験してる俺の敵じゃないな。
「で、出たぞ!坂本だ!」
「何で、ここがバレたんだ!?」
「それにあの東條って奴、恐ろしいくらい強いぞ!」
どうやら雄二と俺の登場に驚いてるみたいだが、貴様らはここで容赦なくぶっ飛ばしてやるから覚悟しろ!
「坂本よぉっ!このお嬢ちゃんがどうなってもいいのか?」
「こっちもだぜ!」
向こうの二人が葉月ちゃんと姫路さんを人質にしてる。チッ!女の子を人質にするとは卑怯者が!
「いいか?おとなしくしていろよ?さもないと、ひでぇ傷を」
「・・・・・・・・・・負うのはお前達」
ゴインッ‼
「あがぁっ‼」
「か弱き女性に手を出すあなたには容赦する必要はないですね」
ドスッ‼
「ぐはぁっ‼」
白目を向いて倒れる外道達。その後ろにはクリスタルの灰皿を振りかぶったポーズで立っているムッツリーニと手の形を真っ直ぐにしているアランがいた。
ムッツリーニは灰皿で、アランは手刀で相手を伸したみたいだ。
「お、お姉ちゃん!お姉ちゃーん!」
「葉月っ!良かった・・・・怖かったよね・・・・?」
解放された葉月ちゃんを島田さんが抱き締める。感動の再会ってところか
「吉井君っ!」
姫路さんも明久に抱きつこうと駆け付け、明久も手を広げるが
「吉井、ヤスオをよくも!」
「ぐばぁっ!」
明久を出迎えたのはチンピラのパンチだった。
「・・・・・・‼」
「な、何だコイツ?血の涙をぐはぁっ!!」
俺はすぐにチンピラを蹴りで仕留めた。
どうやら明久の奴、姫路さんの擁護を邪魔されたのか怒りが頂点になったみたいだ。
「姫路さん、ちょっと待ってて、今斗真が仕留めたコイツを殴ってからもう一度・・・・・・」
「姫路に島田!先に学校に戻ってろ‼」
「雄二!貴様まで僕の邪魔をするのか!」
「明久、気持ちはわかるが今は姫路さん達を安全な場所まで送り届けるんだ!コイツらは俺達が殺っとくからお前はムッツリーニと一緒に女子を連れて早くここから逃げろ!」
「わかった!斗真。後は頼むよ!」
明久はムッツリーニと一緒に救出した女子達を連れてパーティルームを出る。ここに残ったのは俺とアランと雄二だけだ。
「くはははは!それにしても丁度ストレス発散の相手ができたな!生まれてきたことを後悔させてやる!」
「僕もコイツらには怒りが溜まってたから徹底的にやらせてもらうよ」
「そうだな。俺もそう思ってたところだ。さあ、地獄を見せてやろうじゃねえか!」
「こ、これが坂本か・・・・・・」
「悪鬼羅刹の噂は本当だったか・・・・・・」
「それにあの二人もメチャクチャ強いぞ」
霧島さんに追い詰められてる状況の雄二を相手にするのはご愁傷様か。まっ、こんな奴らには容赦なくやらせてもらうか。
「おっとそうだった。アラン、秀吉はどこだ?」
「そこで縛られているよ」
アランに言われ、俺は秀吉に駆け寄る。
「大丈夫か、秀吉?」
「・・・・・・斗真」
すると秀吉は縛られてるにも関わらず俺の胸に顔を埋める。
「斗真。・・・・・・助けてくれて嬉しいのじゃ」
「・・・・・・もう大丈夫だ。ところで何で、縛られてるんだ?」
「姉上に縛られた時の縄が残っておってのう」
「そうか」
「それとワシだけ随分と尻を撫でられたのじゃが・・・・」
「・・・・・・まあ、その気持ちはわからなくもないな」
秀吉、今日は災難にあってばっかで大変だな。まあ秀吉の尻を触ったチンピラは即座に俺がタコ殴りにして病院送りにしたのだった。
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