バカと双子と二刀流   作:ペンギン太郎

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第十五問 祝杯

 召喚大会は明久・雄二ペアが勝ち。学園長から表彰され、腕輪のデモンストレーションも問題なく成功した後。中華喫茶は大会に優勝した明久と雄二、そして明久達と互角の戦いを繰り広げた俺を一目見ようと大勢の客に見舞われている。

 

「お兄ちゃん!すっっっごい格好よかったよ」

 

葉月ちゃんが明久を見つけてタックルするかの如く明久に抱きつく。

 

「ぐふ!は、葉月ちゃん・・・・・・。今日も来てくれたんだ。どうもありがとう」

 

「三人共、お疲れ様。凄かったわね」

 

「あはは。そうでもないよ」

 

「そう謙虚するな明久。点数差があったにも関わらず、俺達に勝ったんだ。そこは素直に誇っても悪くないぞ」

 

「お兄ちゃん、凄いです~っ!」

 

「葉月ってば、アキが困ってるわよ?」

 

島田さんが明久に頭を押し付けている葉月ちゃんを見て苦笑しており。明久にやんわりと遠ざけられた葉月ちゃんは不満そうな顔をしながらも大人しく従った。

 

「あの、吉井君」

 

「あ、姫路さん。僕の活躍見てくれた?」

 

「はいっ!とっても素敵でした!今度土屋君にビデオをコピーして貰おうと思うくらい!」

 

姫路さんは目をキラキラと輝かせながら明久を見ている。明久、頑張った甲斐はあったな。

 

「ところでムッツリーニ?いつの間に撮影なんかしてたんだ?」

 

「はいっ。熱心に撮影してましたよ。ね?」

 

「・・・・・・・・(プイッ)」

 

目を逸らしたって事は、どうやらムッツリーニは試合そっちのけで観客の女子のスカートを撮影してたみたいだ。

 

「坂本。アンタ試召戦争の時は散々だったくせに、今回は随分と、点数が高かったわね」

 

「試召戦争の時に散々だったからこそ、だ。あれ以来、日本史は重点的にやってきたからな」

 

「それであんなに高得点だったの」

 

「簡単に言うが大変だったぞ。特に先週例の(姫路の転校)話を明久が聞いてからは、殆ど毎晩ヤツの日本史の勉強に付き合わされたからな」

 

「それに明久は俺にも勉強を教えてくれって頼んできたからな。あそこまで頼まれたら断ろうにも断れなくて協力したが、アイツに教えるのは本当苦労したよ」

 

「ふうん・・・・・・。坂本はともかく、よくアキがそれだけでよくあんな点数取れたわね」

 

「アイツも少しは自分でやっていたみたいだからな。後は虚仮の一念ってヤツだろ?もの凄い集中力だったぞ」

 

「まっ、そのうち何割かは俺が雄二と明久に教えたし。色々あったが結果オーライだな」

 

ガシッ

 

「ん?」

 

「調子に乗るな斗真。お前にはまだ昨日の借りを返してなかったからな」

 

グググク

 

「い、痛だだだだ!雄二、割れる、頭が割れるからアイアンクローはやめてくれ!」

 

「うるせえ!お前には散々痛い目に合わされたからな!今ここで返させてもらうぞ!」

 

「あだだだだ!悪かった!雄二、悪かったって!」

 

「ちょっと坂本!今お客さんが来てるんだからそこまでにしてあげなさいよ!」

 

「そうですよ!暴力は駄目ですっ!」

 

「雄二!落ち着いて!」

 

明久達の説得により俺は雄二から解放され、掴まれた頭を擦っていると姫路さんが明久にもじもじしながら話し始める。

 

「そ、それで、ですね・・・・・・」

 

「ん?ああ、何かな?」

 

「後夜祭の時、お話があるので駐輪場まで来てください。」

 

姫路さんは顔を赤くしながら明久にそう告げると、ダッシュでウェイトレス業に戻る。

 

「良かったな明久。あれはおそらくお前に告白するんじゃないか?」

 

「えっ!?あっ、あはは何言ってるのさ斗真。そんな姫路さんが僕なんかに告白なんてー」

 

「まあ、結果は後夜祭の時にわかるか。しかし羨ましいぞ明久。姫路さんみたいな可愛くて胸の大きい女の子からあんな好かれるなんてー痛だだだだ!?」

 

「ふん!どうせアタシはそんな胸が大きくないですよ」

 

そこには昨日と同じようにムッとした顔をしながら俺の耳を引っ張る優子がいた。

 

「ゆ、優子。お前、いつの間に・・・・・・えっ?」

 

「な、何よ?」

 

「優子。何でAクラスのお前がチャイナドレスなんて着てるんだ?」

 

今目の前にいる優子は刺繍が入った黒のチャイナドレスを来ており、そこからはみ出る生足に思わずドキドキする俺。

 

「べ、別にいいでしょ。人が折角手伝いに来てあげたんだから」

 

顔を赤くしながら俺に手伝いに来たという優子。

 

「へ? 手伝いって、ウチのクラスのか?」

 

「そうよ。如月君が『後は僕達だけで何とかなるから、斗真のいる喫茶店を手伝いに行ってきたらいいよ』って言われたから来てあげたのよ」

 

「ああ、なるほどね。でもそのチャイナドレスは?」

 

「喫茶店を手伝うって言ったら土屋君がくれたわ」

 

「・・・・・・ムッツリーニ。お前いつの間にこんな物用意してたんだ」

 

「・・・・・・・・・・(プイッ)」

 

「まあ、後で報酬払っとくよ」

 

「・・・・・・・・・・毎度」

 

「斗真にムッツリーニよ。今こっちは忙しいのじゃから手伝ってくれんかのう」

 

「ああ。今行くから待ってろ」

 

「待ちなさい秀吉。アタシも手伝うわ」

 

そうして俺達は優子の助太刀もあり、一般公開終了までの残り時間を喫茶店に費やすのだった。

 

 

 

『ただいまの時刻を持って、清涼祭の一般公開を終了しました。各生徒は撤収作業を速やかに行ってください』

 

「お、終わった・・・・・・」

 

「さすがに疲れたのう」

 

「・・・・・・・・・・(コクコク)」

 

「予想以上に客が来たからな。もうクタクタだ」

 

放送を聞いてすぐさま足を崩す俺達。しかしここまで人気になるとは。あれだけ来たのだから恐らく相当の売上金になっただろう。

 

「そういえば、姫路さんのお父さんはどうしたんだろう?」

 

「んっ?お義父さんが気になるのか?」

 

「なっ!?べ、別にそういうわけじゃなくて!」

 

「後夜祭の後で、話をしに行くと言うとったのう。結論はその時じゃな」

 

「召喚大会で優勝したし。そのおかげで喫茶店の売上も上がった事だ。おそらく転校を取り止めてくれるだろうよ」

 

「じゃ、ウチらは着替えてくるわ」

 

「えぇっ!?どうして!?」

 

「どうして、って言われても・・・・・・恥ずかしいからに決まってるでしょ。」

 

「すいません。今すぐ戻りますので」

 

「そうね。さっさと行きましょう」

 

「待って!三人とも考え直すんだ!カムバァーック!」

 

明久の必死の説得も虚しく、三人は制服に着替えに更衣室に行った。

因みに葉月ちゃんはあの格好のまま帰ったとの事。末恐ろしい子だよ

 

「ふむっ、ならばワシもー」

 

「させるかっ!せめて秀吉は着替えさせない!」

 

明久は秀吉にタックルするかのように秀吉の足にしがみつく

 

「なっ!?何をするのじゃ明久!」

 

「・・・・・・(フルフル)」

 

「お前ら。秀吉が嫌がってるから離してやれよ」

 

「嫌だ!絶対離してなるものか!」

 

「・・・・・・(コクコク)」

 

「まったくコイツらは」

 

「おいお前ら。遊んでないで学園長室に行くぞ」

 

明久達を呆れたような目でみる雄二だが、アイツあんだけ大勢の客が来たにも関わらず、疲れすら見せないとかどんだけデタラメな体力してるんだ。

 

「学園長室じゃと?三人とも学園長に何か用でもあるのか?」

 

「ちょっとした取引の精算だ。喫茶店が忙しくて行けなかったからな。遅くなったが今から行こうと思う」

 

「あ~雄二。今からアランに連絡するから連れてきてもいいか?」

 

「そうだな。如月も当事者である以上呼んでおいた方がいいな」

 

俺達なら問題なく動くとは言え、一応約束してるから最低限の報告はしておかないとな。

 

「ならば、その間にワシは着替えを」

 

「そうはいかない!秀吉も一緒に連れていく!」

 

「・・・・・・・・・・(クイクイ)」

 

「あ、ムッツリーニも一緒に来る?」

 

「・・・・・・・・・・(コクコク)」

 

「困ったのう。斗真、何とか言ってやってくれんか?」

 

「はぁっ・・・・・・。秀吉、悪いがその格好のまま一緒に来てくれ。この様子だと二人は中々納得してくれないみたいだしな」

 

「そうだな。秀吉とムッツリーニも行こうぜ。明久を説得するのも面倒だし」

 

「やれやれ。雄二まで・・・・・・仕方ないのう。着替えは後回しじゃ」

 

「よし。ほら明久にムッツリーニ、足を離してやれ」

 

「うん」

 

「・・・・・・(コクリ)」

 

「やれやれワシのこんな格好みても何の足しにもならんのに」

 

決してそんな事はないぞ秀吉。俺はさっき明久達を説得してたが本心ではずっと秀吉のその格好を見続けたい。流石にその格好をさせ続けたら優子に関節技を掛けられるから言えないけど。




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